第37回 木星会議報告
報告:安達 誠

日時:2014年6月21日〜22日

会場:大阪大学 豊中キャンパス 大阪大学学館・アセンブリホール

主催:大阪大学天文同好会

共催:東亜天文学会・月惑星研究会


(画像を拡大)

プログラム

6月21日(土)第1日目

13:30 開会あいさつ

大阪大学天文同好会会長 薮崎隼人氏
(画像を拡大)

月惑星研究会関西支部長 安達 誠氏
(画像を拡大)

13:40 特別講演
    演題:「JUICE計画」
    講師:大阪大学大学院理学研究科
         佐々木 晶教授(宇宙地球科学専攻)

JUICE計画について講演される佐々木 晶先生(画像を拡大)

  2006年から6年にわたり、日本と欧州宇宙機関(ESA)が計画し、(途中からNASA, ロシアが参加して)EJSMという計画がありました。数機による同時観測が当初期待していた計画です。最終的には、ESAの JUICEが選定されました。日本はJUICE計画の4種類の観測機の一部の開発を担当します。この木星オービタによる木星探査計画で、特にガニメデ、カリスト、エウロパを対象とするものです。これら3つの天体は、磁場観測からは表面の下にかなりの水を持ち、居住可能性のある環境であると考えられています。2013 年に発見された、エウロパからの氷のプリューム噴出は、新たなターゲットになる可能性があります。


木星最大の氷天体ガニメデの表面および内部の構造について。(画像を拡大)

衛星の地下で氷がどのような状態で存在しているかを磁場の観測から解説されました。(画像を拡大)

14:50 自己紹介(参加者全員)

会場風景。参加者一人一人による自己紹介が行われました。(画像を拡大)

15:50 木星の2013−2014年のまとめ (堀川 邦昭氏)

今シーズンの木星に起こったいろいろな現象が、堀川氏によって解説されました。学生さんからのリクエストである、大赤斑の変化についての解説も行われました。今年は、SEBの中にできた「謎の明部」が特徴的な現象となりました。


(画像を拡大)

(画像を拡大)

17:20 記念写真撮影
17:30 懇親会 会場「学生交流棟・食堂“宙”(そら)」
学内のレストラン「宙(そら)」での懇親会の様子です。学生の諸君が積極的に集まった人たちの話を聞きに行っておられる様子が印象的でした。初めての人との楽しい懇親会となりました。

(画像を拡大)
20:00 2次会 阪急石橋駅前 居酒屋「保呂酔」(ほろよい)


6月22日(日)第2日目

09:00 初心者向けの木星講座 (安達 誠)
初心者向けということで、15分間の予定が40分になってしまいましたが、木星の紹介と観測における注意点など、木星観測の面白さが紹介されました。

(画像を拡大)

10:00 研究発表の部
(1)簡単な木星の分析方法 (安達 誠氏)
HPには10日ごとにMarco Vedobatoさんの作成された展開図が報告されていますが、それをエクセルに取り込んで、簡単なドリフトチャートをつくる方法の紹介がおこなわれました。

(画像を拡大)

(2)NEBの太さの変化(ここ10年程度の画像から解析)(鈴木 重則氏)
ここ10年間でNEBがどんな太さになっていたかを研究されました。太さの平均を出す方法に苦労されています。青色はNEBsの緯度。オレンジ色はNEBnの位置で、大きな変動のある様子が、よくわかります。

(画像を拡大)

(3)SL-9から20年/そのあらましとデジタルリマスター画像(石橋 力氏)
SL-9の衝突から20年目の節目の年、当時撮影された8mmビデオの画像を最新の画像処理技術で再現されました。どのような方法で再現したのかを説明されました。

(画像を拡大)

(4)私の画像処理 (熊森 照明氏)
Derotationの技法を使い、画像処理をし、より位置のはっきりつかめる画像を作成する処理方法の説明です。

(画像を拡大)

(5)木星観測の楽しみ・一夜一自転を撮る (永長 英夫氏)
一夜のうちに一自転を撮るには、どのシーズンでもできることではなく、木星や土星の赤緯の高いことが条件になります。そのため、毎回できるわけではなく、どういう条件で取り組んでいるのかの説明がありました。

(画像を拡大)

(6)STBは今も永続白斑に支配されている! (堀河 邦昭氏)
永続白斑があった時代からSTBの模様の位置は、依然として永続白斑のあった位置に影響されているという発表でした。

(画像を拡大)

11:45 閉会事務 (安達 誠氏)
11:55 閉会挨拶 (福永 崇平氏)大阪大学天文同好会