木星の経年変化 1972-1996

月惑星研究会関西支部  安達 誠

1972年から1996年の間の木星スケッチをまとめてみました。その観測シーズンの中から、代表的なスケッチを1枚ずつ取り上げ、各部の模様の特徴を整理しました。過去25年間の木星の経年変化を追うことができます。残念ながら、1981年だけは欠測でした。

縮小イメージで表示していますが、それぞれのスケッチをクリックすることで、元の大きさ(330x300 JPEG)のイメージを見ることができます。


Java Scriptによる25年間の木星の変化の動画(132x120)

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1972年
1972.10.13 17:50(JST)
I=105.7 II=333.1
15cm Ref. x271
S:4/10 T:7/10
  • 1971年6月 SEB Disturbance発生。
  • EZ暗化は1970年に進行。
  • 年の中頃までEZは全体が暗く、1本の太いBelt状を呈している。
  • 5月以降NEBZ明化。8月からEZn明化開始。
  • NTrZに多数の暗班。
  • 1964年の活動に類似している。
1973年
1973.07.27 00:06(JST)
I=108.9 II=308.9
25cm Ref. x320
S:8/10 T:7/10
  • EZが明るくなりつつあり、顕著なフェストーンが全周に渡り散見。
  • SEBsが年間を通して濃くよく目立っている。
  • NEBsにCondensationがたくさん見られ、なかには小赤班であった。
  • EZ内に明るい白斑がしばしば出現。
1974年
1974.10.26 19:25(JST)
I= 63.0 II= 21.6
25cm Ref. x350
S:5/10 T:4/10
  • GRSは赤味が強い。
  • EZsはかなり暗くなっている。
  • フェストーンも顕著だが、背の低いものが多く、EBまで達せず、EZnの中で留まることが多く見られた。また、フェストーンの内側には小さく目立つ核状白斑が散見される。
1975年
1975.09.20 01:00(JST)
I=175.8 II=145.0
20cm Ref. x268
S:7/10 T:4/5
  • 7月2日 II=200°近くでSEB Disturbance発生。
  • 7月16日 日本で初確認。
  • SEB Disturbance発生するも、SEBは濃くならず。SEBsが濃くなるだけに終わる(一時濃くなる)。
  • 暗班群は部分的にSEBを濃化させたように見えるが、1年後には濃化が進む。
  • STBはFAの前方約70°でほとんど淡化してしまう。
  • NTBは幅が広くなる。
  • GRSは南分枝衝突後淡化。
  • 9月 北温帯流-C発生。STBの淡化はこの後ずっと続く。
1976年
1976.11.02 22:17(JST)
I=339.7 II= 65.5
30cm Ref. x350
S:5/10 T:5/5
  • SEB Disturbanceの影響でSEBは濃化している。
  • SEB、NEBともにオレンジが強い。
  • 特にこの年はSEBsが濃く際立っていた。
  • EZsがしだいに淡くなってくる。
  • GRSは7月頃大赤斑孔状態にまで淡化する(淡化・濃化を繰り返す)。
  • STBはFAの後方でも淡化が始まる。
1977年
1977.09.05 03:29(JST)
I=242.2 II=111.6
20cm Ref. x350
S:4/10 T:5/5
  • SEBZに大白斑。
  • SEBは暗いままとなる。
  • EZsは次第に明るくなってくる。北側から始まり、南側に波及していく。
1978年
1978.01.12 19:05(JST)
I=275.8 II=278.6
30cm Ref. x257
S:4/10 T:5/5
  • SEBは非常に濃くなる。大赤斑の後方のみ、やや明るい部分が見られる。
  • NTBは見えにくい。
1979年
1979.03.05 22:58(JST)
I=249.4 II= 46.5
30cm Ref. x257
S:3/10 T:1/5
  • 大赤斑後方以外全周に渡り、SEBは濃くなっている。
  • 1978年と大差ない。
1980年
1980.02.22 21:42(JST)
I= 4.6 II=241.1
30cm Ref. x334
S:4/10 T:5/5
  • SEBの淡化進行中。
  • NEBnとEZsとの中間部がBelt状になって見える。
  • SEBsのすぐ北側が明化している部分。
1981年 欠測

1982年
1982.04.22 22:16(JST)
I=146.0 II=114.7
30cm Ref. x360
S:4/10 T:5/5
  • SEBは全周濃いままになっているが、GRS後方だけは明部が連続している。
  • SEBnには暗班が連続している。
  • STBは極めて見えにくい。
1983年
1983.05.21 23:18(JST)
I= 85.9 II=287.9
30cm Ref. x360
S:7/10 T:3/5
  • SEBは非常に濃く太くなっている。GRS後方には明部もあるが、1982年(前年)よりやや不活発。
  • NEBは太くオレンジ系の色。
1984年
1984.07.26 23:05(JST)
I=222.8 II= 8.8
30cm Ref. x360
S:6/10 T:5/5
  • GRSは大赤斑孔になった。
  • SEBは右側に白斑がでている。
1985年
1985.08.23 22:30(JST)
I=301.8 II=329.5
30cm Ref. x360
S:4/10 T:4/5
  • SEBは濃いままで大きな変化はない。
  • GRSは元にもどるが、淡く見られる。
  • 7月12日 II=131°のSEBZに白斑出現。後方へ急速に発達(前回は1975年)。
  • STBはFA-BC間が淡い。
1986年
1986.10.14 21:38(JST)
I=200.5 II=286.6
30cm Ref. x360
S:5/10 T:5/10
  • SEBの中央付近にかなりな太さのBeltができており、よく目立つ。
  • SEBsのRS Bayが顕著。
1987年
1987.10.28 22:27(JST)
I=275.3 II=349.5
30cm Ref. x360
S:5/10 T:3/5
  • GRS 9月初めに赤班孔になり3ヶ月間続く。
  • SEBは北側から明化してきている。しかしながら全周には到らない。
  • STBは1975年から淡化し、今年になって全周の8割が淡化する。見えるのはBC-DE間とDE後方のみ。
1988年
1988.10.22 22:34(JST)
I=202.0 II= 49.0
60cm Ref. x360
S:3/10 T:5/5
  • GRS シーズン初めに楕円形に復活。
  • SEBはGRS後方においても沈静化している。
  • GRS後方のSEBが暗化するのはSEBの大規模な明化の前兆現象か?
  • GRSはボンヤリとしていて北側が明るい。
  • STBは全周の9割が淡化。
  • EZは近年まれな不活発な年。
  • 合の間にNEBは太くなってしまった。
1989年
1989.11.26 23:53(JST)
I= 15.0 II= 10.0
30cm Ref. x360
S:5/10 T:5/5
  • SEBは1989年夏の合で急激に淡化。
  • LEBSはBC-DE間が15〜18°しかない。
  • NEBは北縁が淡化し、通常の太さにもどる。
1990年
1990.03.10 19:18(JST)
I= 74.0 II= 37.0
30cm Ref. x271
S:3/10 T:3/5
  • 1990年は、1989年夏の合の間に急激に淡くなった。その結果SEBは1990年前半には最も明るい帯に変化。
  • GRSはSEBが明るくなったことから赤味を増した。
  • 北温帯流-Cが2月〜3月に観測される。
  • 7月上旬にSEB Disturbance発生。SEBは濃化。
1991年
1991.02.24 19:39(JST)
I= 37.3 II=201.9
30cm Ref. x360
S:4/10 T:5/5
  • SEBはGRSの後方約80°のみ淡化したが、それ以上進行しなかった。SEBZに白斑が出現せず。ゆっくり淡化進行。
  • 1991年前半GRSは赤班孔だったが、後半からSEBの濃化に伴い見えるようになる。
  • LEBSはSTBが見えなくて、位置がつかみにくい。
1992年
1992.04.26 22:54(JST)
I= 14.0 II=229.0
25cm Ref. x371
S:4/10 T:3/5
  • 1992年6月〜7月 BCとDEの間に暗部出現。次々に伸張し、STBが濃化する。
  • EBが1992年半ばに淡化した。
1993年
1993.04.13 24:12(JST)
I= 26.0 II= 5.0
31cm Ref. x360
S:7/10 T:5/5
  • 1993年4月6日 SEB Disturbance発生。中央および北分枝は順調に発達したが、南分枝はGRSにブロックされて止まる。
  • GRSは3ヶ月遅れて淡化。
  • STB復活。
1994年
1994.06.05 21:45(JST)
I= 30.0 II= 60.0
31cm Ref. x274
S:8/10 T:4/5
  • SEBは淡くなり始め、とりわけGRS前方が淡くなった。
  • GRSは年始めは赤班孔として見えていた。
  • 7月17日以降、SL9が衝突していたが、この中には収録していない。
1995年
1995.05.27 24:24(JST)
I=145.0 II=339.0
31cm Ref. x360
S:6/10 T:5/5
  • 1995年2月〜3月 SEBs濃化に転じる。SEBsにDark Spotが次々に後退。SEBの濃化は南組織のみ。
  • GRSは1年を通して見やすかった。
  • STBは全周の1/3が明化。
  • BCとDEの中間に白斑出現。
1996年
1996.08.09 20:35(JST)
I=334.0 II= 51.0
31cm Ref. x360
S:4/10 T:3/5
  • GRS後方にOvalがたくさんできて、SEBは複雑になってきたように見える。
  • GRSの色も濃く感じられる。