CMT観測からのドリフト・チャート

伊賀 祐一


大赤斑(GRS)と永続白斑(LEBS)のドリフト・チャートです。

1995年の観測は、月惑星研究会関西支部のCMT観測です。
1996年の観測は、第21回木星観測者会議で報告のあったCMT観測です。

以下の模様の名前は、第21回木星観測者会議で定めた命名に従います。

   BC  DE        FA
  -O--O---o---O---
_____O________O_____
     WS1   WS2 WS3
赤色  :大赤斑(GRS)
緑色  :永続白斑(LEBS)
水色  :WS1
青色  :WS2,WS3
オレンジ:SEBs Bay

ドリフト・チャート JPEG:11KB)


自転周期

田部一志氏(月惑星研究会)

第21回木星観測者会議で得られた模様のCMT観測を基に、自転周期を計算しました。

模様名 観測期間
開始
終了
経度1
開始
終了
経度2
開始
終了
drift

°/day
L

°
N

自転周期

生データ
位相効果考慮
標準偏差

σ
誤差

s

GRS
1996/03/09
1996/10/13
51.0
65.0
53.2
62.7

+0.04

58.3

43

9h55m42.28s
9h55m41.04s

±1.77
±1.91

±0.67s
±0.72s

SEBs Bay
1996/02/12
1996/09/15
-20.0
15.3
-20.3
15.9

+0.17

3.7

29

9h55m47.62s
9h55m46.38s

±1.25
±1.39

±0.48s
±0.53s

FA
1996/05/22
1996/09/03
290.0
249.6
290.8
249.0

-0.40

273.5

20

9h55m24.21s
9h55m22.16s

±1.31
±1.32

±1.03s
±1.04s

BC
1996/04/13
1996/09/15
248.3
187.0
243.4
186.2

-0.37

213.1

22

9h55m25.44s
9h55m23.80s

±4.35
±4.28

±2.31s
± 2.27s

DE
1996/04/23
1996/09/15
267.9
207.6
264.9
205.7

-0.41

235.5

28

9h55m23.80s
9h55m22.16s

±3.31
±3.36

±1.88s
±1.90s

WS1
1996/04/23
1996/08/10
293.2
245.7
239.9
201.0

-0.39

224.5

13

9h55m24.62s
9h55m22.98s

±1.60
±1.64

±1.30s
±1.33s

WS2
1996/04/23
1996/07/12
293.2
260.8
273.7
220.3

-0.47

254.8

9

9h55m21.34s
9h55m19.70s

±4.64
±4.67

±3.37s
±3.39s

WS3
1996/04/23
1996/09/15
293.2
228.2
295.8
229.4

-0.46

262.8

20

9h55m21.75s
9h55m20.11s

±2.72
±2.72

±1.54s
±1.54s
ここで、
経度1は観測値,
経度2は回帰直線からの計算値,
Lは衝における経度(計算値),
標準偏差は σ=√Σ(lj-l )**2/n-1で算出。
誤差は2σ/p*30*1.369で計算。(pは観測期間)

データは木星会議で集ったものを基に計算。

永続白斑など一昔前は-0.6°/dayくらい動いたのにずいぶん遅くなってしまいました。

SSTB(STZ?)の白斑も永続白斑よりやや早い程度です。STBの流れとしては極普通なのでしょう。永続白斑が異常に早かったのです。

データの最下段は、位相効果を考慮して計算した数値です。

ズレの量は位相角に比例するものとしCMTの個々の数値に対して比例係数-0.24×位相角(°)として計算してあります。自転周期で約1秒程度短くなっています。-0.24という数字は使用望遠鏡が6cm〜15cmが主流だった大天連の観測から得られたものですが,ここでのデータの多くは20cm以上の望遠鏡を用いたものです。過修正になってしまった可能性もあります。