月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.64

2010年04月25日

 今回は、女子大生のビジターを迎えての例会となりました。若い方をお迎えし、終始和やかな例会となりました。今回は木星会議のこと、月面セクションのことなど内容の多い会となり、たくさんのご意見を頂きました。お礼申し上げます。

参加者
林敏夫・安達誠・柚木健吉・畑中明利・瀧本郁夫・奥田耕司・新宮香耶子(ビジター)・坂本大介・永長英夫  以上9名
例会集合写真


近況報告

奥田
1年ぶりの参加となった、ここしばらくの間仕事がなく、就職活動を行っていたがようやく仕事に就いた。PCを新しくしたが、新しいOSでは冷却CCDが使えないため使える環境に作り直した。これから、撮像していきたい。
安達
もっぱら、眼視観測を行っている。(例会では言えなかったのここで書きます)仕事が思い切り忙しく、土曜日や日曜日にも出勤していることが多く、帰宅もほとんど毎日11時くらいになる生活が続いています。観測活動はほとんどできておりません。
坂本
高校に新入生の地学クラブ員が4人入った。いずれも理数系の生徒だが、まだ入学したばかりで、今回はつれてこられなかった。先週の水曜日に火星や土星を見せて、感動してもらった、最近は天候が悪く、思った事ができていない。新しいカメラも買いたかったが、例会には間に合わなかった。(高校生のために、安達が学校訪問をすることになりました)
柚木
子どもの結婚式で京都に来たり、仕事で山形に行ったりした。この3月で退職したが、再任用など、毎日忙しくしている。PCが不調になり、新しいPCを導入した。CPUが早いので、画像処理には今までの時間の1/3の時間で終われるようになった。退職して、時間ができるようになったが、今までの無理がたたり、最近は思うように観測できず、観測して即処理をするようなことができなくなった。
瀧本
気流の悪い日が多く、撮影できないので、星景写真を撮っている。(月と金星など)夜はできないが、昼間の太陽は撮っている。(ええっ・・まだほとんど無黒点ですよね)仕事が忙しく、惑星拡大画像は撮れていない。仕事が忙しい。最近、藤井旭さんが出された「隕石の見方調べ方」の本を買い、藤井さんにサインをしてもらった。(本の披露があった。みんなうらやましがっていました。)
2月以降、悪シーイングばかりでいやになってきている。模様が見えても写らない。仕方な星野をみており、先日東方離角になった水星を見た。虹色できれいだった。京都産業大学の1.3mの望遠鏡を見てきた。仙台のものと比べると、コンパクトだった。M3を見せてもらったが、本当は土星を見たかった。
永長
3月で退職した。最近は腰痛がひどく、撮影しても処理をするエネルギーがない。とは言うものの、今朝に撮像した木星を処理して持ってきた。(みんなで見ました。大赤斑など、良く撮れていました。今朝はシーイングが良かった。でも、いいのは30分間くらいの間だ。
新宮
立命館大学4回生で、情報理工学部で勉強している。宇宙を見ることが好きで、月惑星研究会のHPをみて、どんなところか見学に来た。

木星の近況(安達 誠)

 阿久津富夫さんの初観測以来、どのような木星面になっているかの概観を確認した。安達の所 見および、BAAのRogersのレポートを重ね合わせて解説をおこなった。

(1) SSTBの小白斑
 昨年と同じように確認されている。目立った変化は見られない。

(2) STZ
 北半分が暗くなっている部分が見られ、STBの幅が広くなったような印象を受ける部分がある。

(3) SEB
 北半分は灰色がかっている。SEBnはやや赤みがかっている。大赤斑の前方では非常に淡くなっている。大赤斑の後方すぐにあったバージは今も健在であるが、GRSよりも幾分後退した。

(4) BA
 2009年後半に赤くなってきたが、今シーズンもかすかに赤みが記録されている。前シーズンと同じような姿をしているものと思われる。最初の観測は4月8日のAnthony Wesley氏の観測だった。

(5) NEB
 昨シーズンの終わりには拡幅していたが、完全に拡幅し、バージやWSが北組織の内側になり、ひじょうに顕著な姿になって見えている。あちこちに小さなリフトが見られる。WSで非常に顕著に見えるのは「Z」である。合の間に「Y」とマージしたようだと、ロジャースの報告にある。

(6) NTBn
 複雑な姿をしている。今後の変化が注目される。緯度は違うがNNTZの小赤斑は今シーズンも依然として顕在である。

(7) GRS
 1970年代以降で最も赤くなったように感じられる。どこまで本当に赤いのか、安達はまだ肉眼観測を行っていないので、客観的にはいえない。しかし、今までの状況から総合的に判断して、かなり赤くなっていることは間違いないだろう。
 大赤斑の位置は1988年以後、前進を続け、現在は2=148度付近にあり、大赤斑の周囲(大赤斑孔)は明るくなっていた。これらの様子は1993年のときの様子に非常に良く似ている。1993年のときの観測を画像を通して確認した。
 また、大赤斑の前方のSEBnには青い三角形が特徴的な姿を見せている。


(8) SEB攪乱への期待
 1978年以降のSEBの観測をスケッチや画像をもとに振りかえった。SEBのかく乱は1919年以降15回発生しているが、SEBが淡くなったことから、発生への期待が高まっている。
 1993年次の攪乱の様子を見ながら、どのような見え方だったかを安達から解説した。当時のスケッチを見ながら説明したが、注意しなければならないことは、最初の攪乱の暗柱に惑わされず、2次攪乱など、ちがった経度での発生も起こるため、一部に焦点をあてるのもいいが、全体をカバーしなければならないことを注意した。
 2007年6月8日のGoさんの画像が、攪乱のときの複雑な動きを感じさせるものである。
 これからの大切な観測は、初期の前兆現象のキャッチである。SEBの中にどのようなものが見られるか、しっかり監視したい。内部からの変化だとすれば、赤や赤外でいち早い変化をとらえられるようになるかも知れない。


(9) 安達の疑念
 1993年には、SEBnに暗斑ができて前進していったが、安達は報告されてまとめられている速度以上に速い変化が伝わっていったと考えている。自分だけの誤った見方かもしれないが、できれば確かめたいと考えている。
    攪乱発生は、最初に暗柱がとらえられるが、内部から鉛直方向に何かが出てくるとか落ち込むというような現象が起こるのではなく、変化が内部で傾斜した経度方向に広がる大きな変化があるとすれば、自転周期の差異によって移動する速度以上の変化がある可能性もあるのではないだろうか。

火星の近況など

(1) 低緯度の氷晶雲
 2010年1月からの観測を整理したが、氷晶雲と思われる低緯度地方特有の雲が次第にはっきりと見られるようになってきた。特徴的な雲としては、エドム(Edom;350W,-2)付近に明るい白雲が見られたことである。画像のように見え、エドム(Edom;350W,-2)が光ったように報じられたときもあるが、現象としては白雲である。

(2) ブルークリアリング
 今シーズンはきわめてはっきりしないものだったが、1月18日の柚木氏のが画像にかろうじて見られるように思われる。ほとんど見えない状態のシーズンだった。

(3) 火山の様子
 タルシス(Tharsis;90W,+5)の山やオリンピカ(Nix Olympica;135W,+25)などの火山は赤黒い斑点として観測された。4月2日にははっきりした姿が見られた。


(4) ヘラス(Hellas;295W,-50)の白雲
 ヘラス(Hellas;295W,-50)は白雲に覆われて見えることが多かったが、南半分だけ覆われている姿が記録された。(3月14日)

月面のHP

  われわれの会の名称は「月惑星研究会」だが、HP上に月面の掲載されているものはない。外部からもどうなっているのかと聞かれることもよくあり、永年の懸案となっている。今までにいろんなことがあったが、安達の試案を提示したい。

<試案>

 a 掲載画像について

   ・月齢全面画像は掲載しない。(将来的には考えても良い)
   ・画像の中心の緯度経度を掲載する。
   ・撮像の目当てをデータとは別に、レポートとして提出してもらう。
   ・受付者は、当面安達としてレフェリーを兼ね、目当てのはっきりしない画像は掲載しない。
     送るときのルールはこれから考えたい。

 b レポート
   ・レポートは長大なものは無理だが、簡単なものは受け入れる。

 c スケッチ
   ・画像と同じく目当てのはっきりしたものを掲載する。
   ・1950年代の月惑星研究会のスケッチをスキャンして掲載する。
 
  以上のような提案を行った。出席者からは、コンテストのようになるものなど、何でも掲載とならないような工夫をして、運営できるのならいいのじゃないかという意見が多かった。とりあえず、皆さんのご意見をお聞かせいただきたい。意見は次の7月例会の話題の一つとし、ゆっくり考えていきたい。

木星会議

開催期日   2010年10月23日(土)午後00時30分受付開始
                        午後1時00分開会 〜 午後5時
              10月24日(日) 午前9時開会 〜 12時閉会 開催場所  姫路科学館
        〒671-2222 姫路市青山1470番地15
        http://www.city.himeji.lg.jp/atom/

 以上のように決まりました。1月例会では京都産業大学が候補として挙がったが、大学側とアクセスした結果、天文台側の受け入れ態勢ができておらず、開催はできないとのことで、急に振出しに戻ったが、結果的に上のような会場で決定した。

 宿  泊   会場から徒歩ではいけないが、近くにホテルがあり、そこで泊まっていただく方向で
         ホテルと協議し、懇親会もこのホテルで行うこととにして予約を入れました。
         ホテル側から25人乗りのマイクロバスをピストン運転していただけます。
         宴会場は、18:00−20:00 約2時間確保
 候補宿舎  ホテル サンシャイン青山
         〒671-2223 兵庫県姫路市青山南4-7-29
         TEL:079-276-1181  FAX:079-277-4015
         URL http://www.hotel-sunshineaoyama.co.jp
         E−mail:front@hotel-sunshineaoyama.co.jp

宿泊料金は、お部屋タイプにかかわらず、一人5000円(朝食付)にしてただけます。
各自で早めにご予約ください。

交通手段 JR姫路駅からバスがありますが1日に4本とか。10時台のバスしか間に合いません。
       タクシーだと2000円くらいだそうです。乗り合わせればそんなに高くはなりません。
       姫路駅で集合の段取りをつけておくといいと思います。

内  容 例会でも決めていませんでした。講演者がはっきりしなかったからです。ですが、
      この通信を出す時点で決まりました。ということで、例年のオーソドックスな形をとりたいと
      思います。

<1日目>
   自己紹介 ・・・・・ 参加者による簡単なもの
   木星の近況 ・・・・ 堀川さんかな?
   記念写真
   懇親会 ホテルサンシャイン青山 5000円
<2日目>
   研究発表
   時間が余るようだったら、分科会などのイベント


画像の処理について・・・・・畑中氏の発表

 2007年当時 LUで撮影して、fpsを30位にするとゴーストのような筋が入り困っていました。添付の木星写真が例(fpsは、32で撮影しています。)面白いことに、fpsを15位で撮影するとこのスジは出ないのです。
 はじめは、ゴーストを疑いレンズを交換したり、しましたが解消しませんでした。そんなとき、池村さんも同じような症状で困っていると聞き何度かメールのやりとりをしました。そんなとき、三品さんからの情報だったかよく覚えていないのですが、LUは、フレームを転送する時のドライバーが、3種類あり低速、中速、高速(だったか? )のうち中速と高速のドライバーに問題があると言うことだったと思います。
 DMKも 60fpsで使用すると僅かに左側のエッジが、同じように二重にった様な記憶があります。その後インターネットでルミネラのホームページから新しいドライバーをダウンロードしました。
 その後、DMKの方も同じようにダウンロードしたような記憶があります。最近は、あまり60fpsで使わないので、記憶が曖昧ですが。参考になればと思います。

事務連絡

(1) 会費受領  奥田さんから2010年分を頂きました。

(2) 次回例会
     7月18日(日) いつのも 京都市生涯学習総合センター「アスニー 山科」


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