月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.73

2013年1月13日

 今回の例会は、ビジターとして京都の堀内さん。滋賀県立米原高校から高校生3名が参加され、 賑やかな例会となりました。例会の後、堀内さんが入会したいということで、近々入会の運びとな りました。最近精力的に報告を送ってくださるようになり、これからの活躍が期待されます。
 例会では、初めての方にもわかるように気をつけました。

参加者
堀内 直・熊森 照明・薄出 俊彦・林 敏夫・岡本 彬宏・畑中 利明・柚木 健吉・奥田 耕司・
坂本 大介・安達 誠  
例会集合写真


自己紹介と近況報告

堀内 直
初めての例会参加。京都府宇治市に転居して50年以上になる。現在64歳。高校生のころに天文に夢中になっていたが60歳になって退職したあと、残りの人生を楽しむために天文に復活。2010年に自宅の屋上にドームと30cmニュートンを据付、惑星の撮像に取り組むようになった。なかなか測できないが、これからはHPに報告するなどがんばりたい。
熊森 照明
堀内さんと同じ年齢だ。東京オリンピックのときくらいに天文を始めた。団地に住んでおり、28cmのシュミカセを使っている。今日は20分くらい話題になるものを用意してきた。
薄出 俊彦
昭和28年生まれで、安達さんと同じ。いつかはニュートン。いつかはドームということで20年前に作り始め、7年かかって完成した。中にはC14のSCが入っているが撮像する時間があまり取れない。ドームは雨漏りがひどくなり、FRPを貼りたいと思っている。安達さんも同じ悩みなので、協力して改修したいと思っている。
林 敏夫
撮像はしていたが、処理していない。家の近くの気流が悪くなって、良い画像が撮れないのでどうすればいいか迷っている。昨日も撮っていたが気流は極めて悪かった。今年は彗星がやってくるので期待している。バーダーのカラーフィルター用のターレットを購入した。
岡本 彬宏
最近は何もできていない。4日前「ソフィア堺」に連れ合いと行って、プラネタリウムを見てきた。新しくリニューアルされたもので、実際の星空が自然のままに再現できているように見え、感心した。今年は彗星を見たいと思っている。
畑中 利明
天文の始まりは中学生からで、1971年の火星の大接近が惑星へのきっかけとなった。家には40cmシュミカセを置いているが、光軸が合わなくて苦労している。凸鏡が3面あり、テストしているが、内外像を比べると3mmくらい球面収差のあることがわかった。何とかならないかと考えている。画像のほうは処理の方法を少し考え直している。画像のスタック数を減らし、良い画像を使うようにしたら少しましになった。
柚木 健吉
熊森さんと同い年。小学校6年生のときに8cm屈折を自作したのが始まり。その後、自作に走る。15cm木辺鏡、20cmと進化し、画像を撮影するようになった。HPに報告するようになって、観測にはまり込んだ。6〜7年前に病気のようにやっていた。20時から04時までやっているときもあった。最近は、健康的にしっかり寝るようになって報告までの根性がなくなった。
奥田 耕司
来年57歳になる。小学生のころから始めたが、10年間のブランクがあった。自宅にはNTKの25cmニュートンがある。格納庫がぼろぼろになってきたので、ドームにしたいが、当分は今のまま続きそうだ。先月号の天ガに出ていたデジカメの動画で撮像する方法をやってみようかと思っている。
坂本 大介
今日は、高校1年生を3名つれてきた。普段は太陽をしているが、惑星のことも知ってほしいと思っている。学校は校舎の改修でドームなどが使えない状況にある。皆さんに画像処理のことを教えていただき、それをつかって研究活動を指導している。昨年は科学研究のコンクールで滋賀県代表になった。皆さんのおかげだ。
(このあと、高校生3人から自己紹介があった。)
安達 誠
観測は少しだけやっている。滋賀県に巨大な地震があるという情報があって、年末から年始には、自宅や職場の耐震対策をおこない、てんてこ舞いだった。
 

木星の近況

(1) 大赤斑

 大赤斑は、1800年代は東西に30度近くあったが、その後次第に小さくなる傾向にある。最近はおよそ15度くらいだったが、昨年は9月後半10月末の2回、13度くらいに小さくなった見えたときがあった。位置は、II=187°で、ゆっくりと後退を続けている。画像では、オレンジ色が鮮やかで、輪郭もはっきりしており、大変よく目立つ。ただし、肉眼ではそれほど赤くない。気流が悪いと赤斑孔に世に見えるときもある。

(2) BA

 最初に永続白斑についての簡単な説明をおこなった。昨年の10月上旬に大赤斑の前方にでた。周辺には、特に大きな変化は見られなかった。安達の観測では、現在、中には赤くリング状の模様が見え、気流が良いと大赤斑よりも赤く見える。気流の悪いときは暗い大きな暗斑のように見える。
 BAに続いて、南温帯縞(STB)の小暗斑(CD1)と低気圧性の白斑(CW1)が大赤斑を通過しているが、その後方に続く、STBの濃化部が接近しており、数ヶ月中にBAのすぐ後方にある暗斑に追いつくと思われます。注意が必要です。
 

上の展開図は10月10日〜13日、下の展開図は1月1〜4日

(3) NEBn〜NTrZにある3つの白斑衝突について

 10月から11月にかけて、北赤道縞(NEB)北縁では3つの白斑が相次いで衝突した。    下の図は11月4日の4つの白斑を示している。左端の白斑がBで右にA C Zと並んでい る。微妙に緯度が違っており、この緯度の違いによって自転周期も異なっていた。
 

WSB   WSA    WSC         WSZ

(4) その他の気になる画像から

 波長による惑星の写り方の違った画像をピックアップして、ビギナーの方々に解説した。安達・ 柚木・熊森さんからたくさんのコメントを頂きながらの解説となった。

新しい機材 (熊森)

 新カメラ BASLER ACE ACA1300-30GM
     675.5ドル(カナダドル)で購入(昨年の7月)
      ドイツ製で、DMKの4倍のピクセル数である。(モノクロ)
 カナダのXAGIL社より購入1/3インチCCDタイプでソニーのICX455のチップを使っている。カメレオン のセンサーと同じものである。ランケーブルで接続し、かなり早く撮れる。カメレオンよりも早い。電源は48Vと12Vの2つがとれる。DMKと感度や効率は変わらないが。セル面積が小さいので感度は幾分下がる。結果的には、DMKよりも幾分良いように思う。オニオンリングは出にくいようだ。
 ソフトはFine Captureというもの(無料)をダウンロードして使う。カメラの説明書にアドレスが記載されている。・・・・・詳しくは熊森さんにたずねてください。

火星の近況

(1)南半球のダストストーム

 昨年の11月にMROによって、火星面にダストストームが観測され、そのことがアストロアーツに紹介された。早速MROの観測結果を見に行き、ダウンロードして調べた。その結果、南半球では11月14日にヘラス(Hellas;295W,-50)とイシディス(Isidis;268W,+23)の中間あたりに大きなダストストームの発生しているようすが確認された。    発生後、東西に広がり、4日後の18日にはノアキスとエリダニア(Eridania;210W,-45)の間にまで拡散していくようすが記録されていた。中規模のダストストームで、Ls=206度付近の原現象となった。
 

アストロアーツのHPより掲載

(2)北半球のダストストーム

 北半球では、極域から中緯度に向かって小規模なダストストームがしばしば発生し、地球の寒冷前線に伴う雲のような姿が見られるが、この期間中も11月12日・13日の2日間に2ヶ所でこの現象の起こっている様子が記録されていた。詳しく追跡していないが、この時期特有の現象である。地球からは観測できないときにあたるが、火星面ではいつもような気象現象が着実に繰り返されている。

(3) キュリシティの画像から

 ロボットアームの先端につけたブラシで、地表をけずった画像が公開されている。それを見て分かることを言い合った。意外に表土が薄く、数ミリしか覆っていないこと。水によってはり付いたあとのような姿に見えることなど、いろんな見方が出された。
 砂漠の画像からは、大気がかなり埃りっぽくなっているようすがみてとれた。


土星の近況

 明け方に、高度は低いが観測できるようになってきた、比較的良い画像によれば、NTB付近にあった明るいゾーンが、本年は見えにくくなったこと、赤道帯がオレンジ色になってきたこと。温帯が緑っぽくなっていることが特徴である。
 また、2年前の大異変のあと、まだ微妙な白斑が見られ、影響を残していることが分かる。

天王星

 ケック望遠鏡が、天王星のすばらしい画像を撮像しているが、北緯55度にベルトばかりならんだ地域と、極域の斑点だらけの地域との境目が見られる。これは木星や土星でも同じで、共通する特徴だと思われる。
 

事務連絡

1 例会の予定

 4月の例会は21日(日)
 7月の例会は7日(日)と、なっています。ご予定ください。会場はいつもの通り、京都市生涯学習センター山科アスニーとなっています。できれば、もちより話題をお願いいたします。

2 会費

 例会の参加者の皆さんから会費を頂きました。また、永田さんからもいただきました。
  2012年分 坂本
  2013年分 奥田・熊森・畑中・岡本・薄出・坂本・柚木・林・堀内・安達・永田  以上12人分
  支部の方は、会費をお願いいたします。
  振込先 郵便局振込先
     00940-6- 132972
     月惑星研究会関西支部

      滋賀銀行堅田駅前支店 店番 175
         種別 総合口座
         口座番号 117589
         名義人 アダチ マコト


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