月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.75

2013年7月7日

 七夕の日の開催となりました。今回も滋賀県立米原高校の生徒さんが二人と、鳥取の高校生の永田さんの3人が来てくれました。今回は、米原高校での取り組みについての紹介があり、参加された会員から、アドバイスを受けていました。

参加者

安達 ・ 永田 ・ 岡本 ・ 佐藤 ・ 大橋 ・ 畑中 ・ 柚木 ・ 河村 ・ 坂本  

例会集合写真


自己紹介と近況報告

安達
 ここ数年間かけて、ドームの修理の部品を集めてきていましたが、家庭内で話し合い、急遽ドームを新調することになりました。現在の観測室の上にドームを載せるだけの工事となりますが、年内に3mドームが完成する運びとなりました。完成は11月末ごろになるという見積もりでした。
 家庭的にもいろいろあって忙しくしているが、時々土星を観測している。
永田
 フリップミラーが壊れて修理に出し、昨日修理が完了した。これからは土星を撮りたいと思っている。自宅の前に、望遠鏡を置き、小屋がレールの上をスライドするものを自作した。床は90cm×90cmの狭いものだが、ずらせば、その中にPC2台とC8が格納されるものになった。
岡本
 仕事に追われ、観測活動はできていない。今は、赤道儀をグレードアップするために、適当な架台を探している。望遠鏡はC11を載せるつもりだ。何か良い架台があれば教えて欲しい。(会場では、いろんな架台の話題が出ていました)
佐藤
 正式に月惑星研究会関西支部に入会した。4月以降は観望しかできていない。仕事はものづくりの仕事なのだが、望遠鏡のパーツを製品としてつくれないかと模索しており、今日は皆さんにも協力して欲しいので、アンケートを持ってきた。
 今後は、撮影方法をいろいろ教えていただきたい。
大橋
 米原高校から勉強しに来た。4月以降土星の観測を何回か行っている。今回は、活動の紹介をする。
畑中
 悪天候続きで、一ヶ月に二回くらいしか見えなかった。その間、望遠鏡の調整に取り組んだ。望遠鏡には球面収差があって、端と中央では焦点にして3mmのずれが見つかった。直径250mmくらいのドーナツ状に絞るとピントは良くなる。どうやら凸鏡に問題があるようだ。凸鏡の修正を計画することになった。
柚木
 20時30分くらいに寝て、夜中に一旦起きることが多い。天気がよければ撮るようにしているが、処理をして報告までする馬力がなくなった。(まるで年寄りのよう。あきまへんえ!・・by:あ)最近デスクトップのPCが良く落ちるようになったため、拍車をかけられたようになっている。雑誌にも載ったけれど、もっといいものをとりたいと思っている。
河村
 午前中は、花山天文台で、太陽の勉強をしてきた。今日は4月のように忘れものをせずに来ることができた。後から発表したい。
坂本
 高校生を二人連れてきた。太陽の研究を生徒がしており、それについて、花山天文台の先生に指導を受けてきた。近々発表するので、その準備に追われている。学校では太陽・惑星・ボーリング調査などをやっている。

木星の近況

 木星は合になり、観測はできない状況にある。最近、ロジャースからレポートが届き、伊賀さんがそれの和訳をされた。その中に面白いものがいくつもあるので、そのレポートを中心に、木星面の整理をした。

(1) SPRでマージした白斑

 2012年9月末・10月末・3月14日あたりに長径13°に縮小し、大きさが不安定になっている。4月7日にGoさんが下の画像を報告されているが、前端と後端は図のようになっていて、後端が見えにくくなって起こった現象かもしれない。この様に判断したのは、GRSの中央付近に直径が1/3くらいの楕円の核が写っており、それを中心と見ると、うまく説明できるためである。

(2) STBのダークセグメントの変化

 SEBsが大赤斑の北側で湾入しており、SEBsの南側のジェットで運ばれてきた暗斑がGRSの北側を回り込むようすが観測されている。1月23日には大赤斑孔の直前に達したが、その後、暗斑は、北側を回りこみ、GRSの後方に抜けていった。暗斑は大赤斑の渦には取り込まれず、SEBsを伝い、さらに後方に移動していったが、このときに興味深い現象が起こった。
 


(3) STBのDs4

 STBにはDs4が見られている。これが成長し始めると新たなダークセグメントとして発達すると思われるが、今のところ目だった変化はない、dark sterak状になって、SSTB方向に延びている姿が、観測されているが、STBの前方に発達する気配は、まだ見られない。
 現在のダークセグメントが消えるころ、動くのではないかと安達は考えている。

米原高校の観測

  課題研究地学2班の研究で「木星型惑星の素顔を調べる」というテーマのレポートが配られ、それに使われている画像の紹介が行われた。望遠鏡は18cmミューロンでメタンバンドフィルター波長890nmと赤外フィルターの1000nmの画像での木星と土星の見え方を比べたものである。メタンだとリングが明るく写り、驚いたとのことだった。
 参加者からは、撮影に対するアドバイスがたくさんあり、高校生たちは熱心に聞き入っていた。とりわけ、画像処理のときにダークを引くことが十分できていないため、ダークのうまい引き方を習っていた。今後は、撮影した画像での分析についても、勉強していくようだ。

土星の観測から

 土星観測の、最も注目されている現象は、北極の六角形の模様だと思われる。土星が傾き、北極が見えやすくなってきてから、この観測がたくさん寄せられるようになってきた。動画はもとより展開図が作成され、きれいな六角形がつかめるようになってきたのはすばらしいことだ。
 この六角形の広がりを、いろいろな土星の観測画像と付き合わせてみると。この六角形の広がりは、土星のオーロラの広がっている地域と、ほとんど重なっている。木星型惑星の緯度で55°より極側は、磁場の影響を受けやすいということを、旭川の木星会議の特別講演で紹介があったようだが、とりわけ、この六角形の地域はその影響を大きく受ける地域であるらしい。
 科学的な裏づけデータがあるわけではないが、拡がり方などを見ると、無関係とは思えない姿であった。また、この地域内では目だった白斑の出ることもあるようなので、詳細な姿を記録できた場合には、この部分の中の様子にも注意をはらう必要があるだろう。

米国ALPO 月面セクションの活動

 7月例会開催の前日に、広島の佐藤 健先生から、米国のALPO 月面セクションの機関紙を送っていただいた。時間がなく詳細は報告できなかったが、どのような活動をしているかがそれによって詳しくわかった。日本では、月面はほとんど振り返られなくなったが、アメリカではまだ活発な活動をしている様子が伝わってきた。
 名古屋の長谷部さんが来ておられたら活発な話ができたのにと、思わず思ってしまった。月面にはドームやソーサーが見られるが、米国ALPOは昔からこの観測に精力的に取り組んでおり、今回の機関紙にも大きく取り上げられていた。
 また、LTPもでていた。月面の異常発光現象と決め付けたものではなく、夜の側に落ちたインパクトフラッシュの光を取り上げていた。観測は注目すべきポイントを挙げ、啓発しているところなど、われわれも参考にすべきものがたくさん見られた。
 日本の過去の観測や、これからの活動など、考えさせられるものが多かった。何とか生かしていかないものかと思うと共に、これっきりにならないようにしたい。佐藤先生にはこの場を借りてお礼申し上げたい。
 

事務連絡

(1) 会費受領

 佐藤さんから2013年分の会費を1000円頂きました。

(2) 今後の例会予定

  10月27日(日)
   1月12日(日)
       日にちのキープをお願い申し上げます。

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