月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.76

2013年10月27日

 今回は、高校生のビジターが加わりました。遅れて駆けつけてくださった方もあり、10名の参加となりました。特に今回は木星会議の方向付けも検討し、いよいよ木星会議に向けて行動開始となりました。

参加者

永田・岩永(ビジター)・佐藤・風本・柚木・堀内・熊森・林・岡本・安達  

例会集合写真


自己紹介と近況報告

永田
星は見ているが、惑星は見ていない。惑星観測だけでなく、超新星の捜索も行っているが、望遠鏡の架台をSX赤道儀からEM200に換えた。例会には参加できたが、関東のほうにはいけていない。ここまで花山星空ネットワークの観望会にはすべて参加できた。
岩永
高校1年生で大津市在住。惑星の観測は全くない。望遠鏡もなく、どうしたらいいのか分からないが、これから勉強したい。
     安達から:大津市ということですが、なんと、安達の自宅から20mもないところに住んでいる高校生だということが分かり、一同仰天しました。
佐藤
エッジプリズムを購入して月・金星を見たらとてもきれいに見えた。効果が良くわかった。前回の例会で皆さんにお願いしたアンケートの結果が出たので、後から発表する。今日はZWOのカメラのことを知りたい。
風本
時間ができたので、例会に3年ぶり?に来た。皆既日食を見てからは、仕事が忙しく、惑星は見れていない。屋上の30cmにはカビが生えていないかと心配している。宮古島の50cmは4月に鏡の洗浄を行った。それ以降2回行ったが、ろくに見れていない。観測に遠ざかっているので例会に出席し刺激を受けに来た。
       (嬉しいです。大歓迎です。もっと来てね!)
安達
11月に火星の話をして欲しいという以来を受けた。火星を観測せずにはできないので、追い込まれ、最近になって火星の観測を開始した。まだ火星は小さいが、かろうじて模様を見ることができている。これからも、この調子で観測をしていきたい。
柚木
3.11以降処理をあまりしていない。撮影したうちの4/5はまだ撮影したままで処理していない。早くに寝て、夜中に起き、晴れていれば撮像はしている。3週間前に永長さんらが3人、スライディングルーフを見にこられた。今は、仕事に使う、小学校6年生用の月の画像を撮っている。これからは火星に力を入れていきたい。
堀内
これで3回目の参加となった。今年は気流が悪く、良い像が撮れない。ZWOなどの新しいカメラまではきびしいものがある。ソフトではオートスタッカートが使いこなせていない。設定がうまくいくといいものができるが、ずれると難しい。これからは木星・火星・アイソンと楽しみが多い。
熊森
できるうちに、やれることはどんどんやっておきたいと思っている。今日はZWOのカメラについて話をしようと思っている。このカメラは、星野写真の動画も撮れるので、購入した。ベランダ観測では木星は30〜40分くらいしか見えない。シーイングも良くない。今日は、このカメラの話をする。
   遅れてこられた方の自己紹介や近況報告をしていただく時間が取れませんでした。もうしわけありません。

木星の近況

 木星は7月から今日までの様子で特徴的なものをピックアップした。合のあと、大きな変化はないものの、予想されたような変化が見られている。

(1) GRSの変化

 GRSは合のあと、前シーズンと同じような状態にあるが、短時間にときどき変化をしているようだ。
 10月10日(下の画像)では、GRSの後方に乱れた部分ができているが、11月にはもう元にもどっている。
 また、大赤斑は経度増加方向に移動しており、不安定な状態にある。例会のときに熊森さんから急速に後退し始めているとの指摘があった。安達はまだつかんでいなかったが、GRSのこの一連の変化は、大変化の兆候につながるかもしれない。

(2) NEBの変化

 例会ではNEBが細くなっていると解説したが、NEBの濃い部分が南側だけになって細く見えるようになった。あるいは、NEBの北側の淡化とするほうが適当だと、熊森さんから指摘があった。この現象は2011年にも見られ、一見NEBが細く見えるようになったことを記憶している。
 今回も、これと同じようなものになる可能性もあるので、注目したい。
2011年のときは、この状態になる前にNTrZガ明るくなり、メタンバンドでも明るくなっていた。今回は部分的に明るくなっている部分もあるので、それがどのように変化しいくかを注目したい。

(3) NTZの白斑

 9月6日、2=95度付近に目立った白斑が見られたので、前後の様子を追跡した。8月30日から姿を確認することができた。北側を小さな暗斑がいくつも通過しているがその後は大きな変化はなかった。

(4) STBの変化

 BAの前進はリニアに動いておらず、9月下旬には一時的に10日程度止まっていた。ように見える。ちょうどこのとき、BAの南方にSSTBの白斑A4が通過した直後のことだった。BAの振る舞いは、このA4白斑と関連があるように見える。もうすぐA5が通過するので、同じことが起こるか注目したい。


火星の近況

(1) シーズン最初の様子

 火星は視直径が4秒台であり、まだ最小と言ってもよいくらいの大きさである。肉眼では、今も昔もこの大きさでは、模様を見ることも難しい大きさである。しかし、日の出時の地平高度が上がるにつれて、観測報告もそれなりに集まってくるようになった。
 模様の記録された画像は7月27日のManos Kardasis氏のものが最初だった。このころはNPCができるかできないかの時期に当たる。添付されていたシミュレーションはJPLのものだったが、NPCは出ていない。一方、同じ時刻のわれわれのシミュレーションではNPCとして出している。微妙な違いが見られた。
 その一月後の8月29日にはNPCと思われる、白いものが写った画像が報告された。あまりに小さい火星像のため、NPCかどうかの判断は、地上観測だけではできなかった。

(2) ボレオシルチス(Boreosyrtis;285W,+43)の変化

 9月18日のDavid Gray氏の眼視観測に、目立った変化が記録されてきた。それによると、ボレオシルチス(Boreosyrtis;285W,+43)の先端の北西方向に、直径20度くらいの大きさの模様のない明るい部分が記録された。また、その後、9月20日にはDamian Peach氏からもそれが鮮明にとらえられた画像が報告されてきた。(右)
 それによれば、青画像でも明るい点として確認できた。おそらく白雲ができたものと思われた。

(3) MROの画像から

 10月18日から19日にかけての画像に円形の雲が見られた。(右図)これは、地上の観測ではおそらく円形に見える雲である。ただ、形状は横向きのナッシュルーム形をしており、白雲ではなく砂嵐の形態をしている。水蒸気を一緒に巻き上げれば、青画像でも写るので、上の画像と比べてみても納得できる。おそらく上の画像と同様の観測と思われる。

(4) タコの吸盤!?

 9月24日にEfrain Morales Rivera氏がタコの吸盤のような明部を捕らえている。どうやら、この模様も上のダストが拡散途中になっている姿のように思われる。しかし、MROの画像では、短時間でみられなくなることから、ダストの濃さそのものは薄いものかもしれない。
 いずれにせよ、4回程度、発生したことになる。今後の変化に注目したい。

持ち寄り話題

(1) アマチュア天文家の欲しいグッズは。(佐藤)

 前回の例会のときに出席者からアンケートをとって、欲しいものを書いていただいたが、それの集計を報告するとともに、進捗状況を報告する。
 アンケートでは、1位がエッジプリズムになった。無線式のピントあわせ装置なども上がったが、現在エッジプリズムの試作を始めている。価格をどれくらいに設定すればいいかとの話し合いもあった。ただ、必要な人は、それなりに持っていること。国内だけでの販路では足らないだろうなど、たくさんの意見が出ました。佐藤さん、がんばってください。

(2) 新しい撮影機材(熊森照明)

ZWO ASI120MCを購入しました。カラーカメラの方です。 内容物一覧です。


惑星用PCカメラで、海外では去年2012年あたりから人気があって、時々見かけていました。
それはモノクロタイプのZWO ASI120MMでして、CMOS タイプで初めて?惑星撮影用に使えるとの評判でした。
モノクロカメラのセンサーはAptina Imaging製のMT9M034で、イギリスのダミアンピーチさんやフィリピンのクリストファーゴーさんが強烈な画像を公開していました。
 ただ、センサーのサイズは私が現在活用中のBasler Ace acA1300-30gmと全く同じの 1280x960ピクセル、1/3インチサイズで全くかぶっているモノで、L画像はさしあたりそのままで行こうと思っています。
 カラーPCカメラのZWO ASI120MC はスペックを見ると、ZWOの型番はとなりなのですが、センサーはAptina Imaging製のAR0130CSで、全く型番がモノクロとは違うので同じ最高感度なのかどうか疑問に思っていました。

 これで、10月27日に撮影してみました。
 最大ゲインで1秒露出10秒間撮影したもの(11フレーム)をスタックしています。
 左上の明るいのは月で、その右上は木星です。正面上にはオリオン座が見えていて、原版で良く見ると小三ツ星がかろうじてわかります。
 レンズ部分を外して見ると、なんかHPで見たものとIRカットフィルターの取り付け構造が違います。黒いリングネジが見えません。
 フロントの枠を回すと簡単に外れました。内側から取り付けるようになっているようです。


惑星撮影は基本的に今までと変わらず、LRGB法でのカラーデータ(RGB)を取得するために、DFK21AF04の代わりにフリップミラーに取り付けます。

 L画像の取得は今までどおりBasler Ace acA1300-30gmです。
 10月27日朝にZWO ASI120MCで撮影した、木星です。

 ROI トリミングモードが不調なので、フルサイズで撮影しています。
 左画像はスタックのみです。右画像はRegistax6でウエーブレット、PhotoshopCSで輝度、彩度アップなど画像処理した物です。
  シーイングがかなり悪いので(2〜3/10)、解像度の参考にはならないかと思いますが、そこそこ写っているのがわかります。

月面観測について

 広島の佐藤先生から、ALPOのLuna Jarnalや小森長生先生の惑星地質学の本が送られてきた。安達がそれらについて紹介した。

(1) ALPOの取り組み

今までに月面の異常現象が観測された例は、非常にたくさんあるが、それらを整理し、怪しいものをチェックし、精査の必要のあるものをピックアップした。そこで、それらの観測されたときと同じ月面余経度の日を選び、同時観測をする試みが行われている。会員ではなくても参加できるので、興味のある人は、参加を薦めたい。

(2) 書籍「惑星地質学」小森長生著

   月面のクレーターについて、単純な隕石衝突説で成因を考えるのは大きな間違いで、もっと深く考えるべきである。隕石衝突で説明できない部分がたくさんあり、もっと精査していかなければならないことが書かれている。例えば、コペルニクスはインパクトではない。など。
   この書籍は、書店では手に入らないが、地学会の出版物なので、ネットで問い合わせると良い。

木星会議について

日時2014年6月21日(土)午後1時から 22日(日)正午まで
場所大阪大学豊中キャンパス 大学学生会館
主催大阪大学天文同好会
共催月惑星研究会
特別講演 (未定)

 例会では、大阪大学の佐々木晶先生にJUICE計画についての話をしていただけるように大阪大学天文同好会の人に依頼してはどうかとの意見で一致しました。このプロジェクトのアウトラインをネットで探し、参加者で見て検討しました。

参加費講師の先生への謝礼と交通費、CDR購入費、発送費を割ります。
一般会費(2日間) 全額

1日目だけの人は講演を聞くので全額
2日目だけの人は半額

学生の人は一般会費の半額
以上のような参加費の形態をとります。
懇親会大学内の食堂で行います。
宿舎近くにありません。十三など、近くのホテルを探してください。
交通別に案内をつくってHPにあげます。

阪急電車宝塚線石橋駅下車 会場内まで徒歩15分

事務連絡

(1) 会費受領

 風本さん 2014年まで受領(5年分5000円)

(2) 今後の例会予定

   1月12日(日)
   4月13日(日)
       以上のようになっています。時間の確保をお願いします。

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