月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.80

2014年10月19日

 今回は、例会の案内が遅れ、参加者の少ない例会となりました。誠に申し訳ありません。今月は、木星の新しいシーズンが始まり、新しい木星面の様子をいろいろ見ていきました。例会は6人で行ったが、終わり間近になって永田さんが生存証明だと、顔を見せられた。

例会集合写真
<佐藤さん撮影>
参加者

岡本・佐藤・柚木・堀内・熊森・安達・永田  

自己紹介と近況報告

岡本
普段、ろくに星を見ることもできていないので、せめて例会くらい来ないといけないと思い出席した。(えらいっ!!by:A)現在GPDを使っているが、ガタが出てきたので望遠鏡の架台をかえたいと思っている。C11のフル装備の新品の望遠鏡を50万円以下で手に入れようかと思ってもみたが、例会で情報を集めようと思った。どなたか情報をいただきたい。(お金は払いますとのことです。どなたかいいものがありませんか)観測はマンションのベランダ観測所となります。
佐藤
河内長野市から参加しました。8月の初めに柚木さんのお宅を訪問し、前回の例会でモニターをお願いしたウェッジプリズムの感想を聞きに伺った。望遠鏡の取り付け部にもう少し工夫のいることが分かった。また、できれば電動化も視野に入れたい。これからも、観測に役立つものを考えていきたい。月食は見た。
柚木
望遠鏡のモータードライブの調子が悪くなって困っている。調子のいい時に撮像していて、先日は天王星も撮ってみた。白斑の出ている経度になれば撮れるのじゃないかという感触を持った。体調は、いろいろあったが今は異常もなく元気にしている。ただ、長年続けてきた煙草をやめた。やはり、煙草はよくない。(当たり前じゃん!)モータードライブを直し、木星の良いシーズンになってきたので、そろそろ頑張りたい。
熊森
7月には、自宅のベランダからは惑星の観測はできなくなった。ようやく最近になって木星が1時間くらい撮れるようになってきた。9月に新しいカメラを購入したが、使いこなせていない。「星をもとめて」に参加してきた。その時に面白い架台を見つけ、自宅に置けないかと思ってみた。現在のC11よりも大きいものがほしいなあという気持ちもある。
安達
8月の天王星の白斑発生以来、天王星の観測を2枚行った。気流が良いと、NTrZやEZだと思われる白帯が肉眼でも見られ、2回目の観測では淡く見えるが白斑を記録することができた。木星はまだ見ていない。自宅のドームの中にファンを置き、光電池で日中だけ発電した電気でドームのてっぺんの熱い空気を排気する装置を作りつつある。うまくいくといいが、出力を高める工夫がいるようだ。
永田
木星は明るくなって見ているが、観測は超新星の捜索を主に行っている。木星観測はしていない。最近になってメールのアドレスを変更した。

木星の様子(安達)

(1) GRSの後方の暗斑の変化

合を過ぎたが、GRSの後方のSEBsに暗斑が発生した。気流の良い時の画像はなく、詳細は分からないが、面白い姿を見せた。8月19日に永長さんがGRSの後方に位置する白斑を観測した。8月26日にはGRS前方のSTrZから暗物質が流れ込み、長さが2倍くらいに成長した。その後9月6日になって、様子のよくわかる画像が報告されてきた。スペインのJoapuin Camarena氏のもので、SEBsの一部がSTrZのほうまで大きく盛り上がったものであることが判明した。
 GRSを取り巻くように成長するのかと思われたが、10月になって弱まり、本来のSEBの姿に戻っていった。

<まとめ>
     8月19日の永長さんの観測で、GRSの右端に暗斑が不明瞭だが見え始めた。
     8月26日の永長さんの観測で、明らかな暗斑状に観測された。
     9月1日のMichel Jacquessonの観測で、暗斑の長さは2倍になった。
     9月6日のJoaquin Camarena : Spainの観測で、SEBsの拡幅部として確認
        SEBの南側は赤く、GRS前方のSEBと同じ色になって観測された。
        GRSの南1/3は切断されたように見えなくなり、STrZにstreakが形成
     10月14日のJean-Jaquies POUPEAU氏の観測では元に戻った。

(2) SEBの正体不明のbright patch

 合の後も存在しているが、全シーズンと比べると、長さが2倍くらいに広がってきた。相変わらず前方にゆっくり移動している。
 今後も目が離せない。

(3) STrZのdark streak

 展開図でよくわかるが、GRSの前方にはDark Streakが見える。
9月9日の画像では極めてはっきりしている(右図)。長さにして90°くらいあり、非常に顕著であるが、9月14日になると活動は弱まり、次第に暗斑の連鎖状で淡くなった。
 9月末には、daek streakは非常に淡くなり、右の画像にあるSTBnのバンドと、濃さが入れ替わってしまった。




(4) GRS

GRSの経度はII=216°位にいる。2000年7・8月のころとよく似ているということで、当時の観測を映し出し、その時の様子を見た。確かによく似ていることが分かった。ロジャースによると、当時もSTBnの暗斑群の活動があったそうなので、今回との共通点として、暗部の出現をきっかけとして、大赤斑が数年間不明瞭な状態が続くのかもしれません。ただ、現在はGRSの大きさが小さいので、同じになるかどうかは定かではありません。
 10月18日の米山さんの画像にはGRSを取り囲むようなバンドができており、今後の変化に興味があります。

天王星の白斑

 8月6日の大白斑の発生以来、にわかに観測が集まっています。精度の高い観測がたくさんあれば、変化量も正確に出せるのでしょうが、いかんせん、それほどの精度のものはほとんどなく、経度の特定が難しい状態が続いています。集まってきた観測を見ても、どうやら白斑は一つではなく複数あるらしいことがわかります。発生からもう2か月になりますが、依然としてはっきり写る白斑があって、最初のものと同じものであるかどうかははっきりしません。つかみどころがなく、もやもやした状況が続いています。

 発生ののち、いくつか気になったことがあって、過去の画像をいろいろ調べました。一番最初に思いついたのは、発生緯度です。記憶に新しい土星の大白斑は、発生後赤道方向に移動していき、次第に淡くなっていきました。天王星にもそういった傾向がないか調べたいというのが、元でした。
 ネットでは年代のはっきりした画像がいくつか見つかりました。例会の直前に思い立ったため、正確な位置を測定できないので、画像に補助線を入れて図る方法をとりました。

<白斑の発生緯度> 5°以内位の精度
1997年 ・・・・・・・・・・・40°
2004年 ・・・・・・・・・・・35°
2005年 ・・・・・・・・・・・30°
2007年 ・・・・・・・・・・・0°  27°  35°2個    40 °
2008年 ・・・・・・・・・・・40°  45° 
2012年 ・・・・・・・・・・・50°
2014年8月6日 ・・・・・・ 32°  40°

結構いろいろな緯度に出ていることが分かった。これらの中には、1画面にいくつもの白斑の記録されているものがあるが、その場合は中心緯度を測定している。35°〜40°あたりにピークがあるように見える。ネットでは右のようなグラフが見つかった。

 このグラフからは35°〜50°付近にたくさん集まっていることがわかる。上の調査と同じ傾向だということは、おそらく同じ画像を測定しているものと思われる。

 次に、報告画像だが、残念ながら緯度をはっきり決めるだけのものがない。10月2日のHPにはAnthony Wesleyさんが、白斑の移動量を加味した経度を示されました。観測される場合は10月分しかありませんが、それを参照されるといいのじゃないかと思います。


事務連絡

今後の例会予定

  2015年1月例会  1月18日(日) 午後1時から
      4月例会  4月19日(日) 午後1時から
  以上のようになっています。よろしくお願いいたします。


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