月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.85

2016年01月17日

 2016年最初の例会は、ビジターの学生さんがこられにぎやかな会になりました。高校生が2名、大学生が2名。そしてそれぞれの指導教官も来られました。また、高校生も大学生も発表されて、新鮮味のある例会となりました。

例会集合写真
参加者

岡本・松尾・中野・平川・布村・坂本・宇根・山田・熊森・奥田・堀井・安達・堀内・畑中 参加者は14名でした。  

自己紹介と近況報告

安達
学校が冬休み期間に入るころに、ようやく観測できる状態になり、観測活動を再開した。晴れていれば毎朝4時過ぎに起きて観測をしている。夜半過ぎに木星は上がってくるが、その時間に観測すると、明け方の火星観測ができないので、明け方の観測をまだしばらく続ける。また、明け方は近くの家から出てくる熱風の影響もなく、シーイングが良い。
岡本
箕面から引越し、池田市になった。きっかけは安達さんのかかれた「天体スケッチ入門」だった。大学の顧問から月惑星研究会を紹介され入会した。今日は1年ぶりに参加した。ぼちぼち火星や木星のスケッチを再開したい。
松尾
神戸から来た。7〜8年前に例会に一度来たことがある。昨年は1度くることができたが、今回も参加できた。神戸で友達と星を見ている。
中野
京都教育大学で天文と理科教育を教えている。若いころには天体写真を撮ったり、木星のスケッチをしたことがある。一時は教育関係ではない仕事をしたが、惑星科学をやりたくて大学院に進学し、隕石の有機物の研究をしてきた。その後、中学校→高校と教員をして、現在の職になった。今日は学生を2名連れてきた。(以下2名が学生)
平川
4回生で、今は卒論の仕上げをしている、4月からは大学院に進む。卒論では土星の衝効果について研究しているので、今日はあとでその研究の発表をしたい。自分で考えたモデル実験をしている。
布村
3回生。小学校のころから天文に興味を持っていた。望遠鏡を作って、ガリレオ衛星の模様を撮りたいと思っている。
奥田
信楽から来た。今年還暦を迎える。自宅には25cmのニュートンがある。今年は格納庫の改修を行う。
畑中
今日は暖かいので大台ケ原を越えてやってきた。駅前でうろうろしていて、ついビデオカメラを衝動買いしてしまった。望遠鏡は30cmとC11で撮っている。自宅は紀伊半島の先にあるが、紀伊山地の陰に入り、無風になると気流が良くなる。どんな時に気流が良くなるのかについて調べてみたいと思っている。
坂本
今の学校に勤務して11年目が終わろうとしている。今日は勉強させようと、高校生を2名連れてきた。学校の望遠鏡をどうにかしたいが、40cmのドブソニアンの鏡筒を買って、使えるようにできないか考えている。できることは何でもやってみたいと思っている。
宇根
課題研究で木星をしている。学校に泊まれる時だけになるが、撮像を行っている。木星をいろいろな方法で撮ってみている。(前回よりもかなり上達していました。吸収力が違う!と思いました。by安達)
山田
先輩や先生から進められてやっている。今年は火星についての研究をやってみたい。
堀井
永長さんに進められてはじめた。30cmのドブソニアンの望遠鏡で撮像している。パワーメイトを付けたら望遠鏡にトラブルがでてしまった。架台のゴムがひずんでしまい、使えなくなり、現在修理中。
堀内
昨夜は月がきれいだったので撮像した。けっこう良いシーイングだったので、そのまま木星観測に移行した。木星もよく見え、3時まで頑張ってやめようと思っていたが、つい延長。4時になったら大赤斑が出てきたのでまた延長。とうとう5時までやった。今日はあまり寝ていない。火星は、今までとは違った方法で撮ってみたい。

木星の近況(安達)

(1) 学生向けの木星の基本

学生さん用に作ってきた模様に関するプレゼンを映して解説。

(2) SSTBについて

白斑のドリフトチャートを作って調べているが、A0〜A7まで大きな変化は見られていない。A0とA1との間に若干北寄りのWSが見られるが、2つのWSの間を行ったり来たりしているのが面白い。さかのぼると2014年4月から見られる。現在はA0のすぐ後方に接しているが、これからA1の方にずれていくものと思われる。



(3) GRS

今までになく非常に赤い姿をしている。1970年代に非常に赤い時があったが、その時に近くなってきたように思う。大きさはその時と比べるとかなり小さいが、消えるかと思われたGRSだが、復活したように感じる。

(4) GSRのDark streak

前回の例会で、SEBsが非常に濃くなっていたこと。GRSの後方にGRSを取り巻くような模 様ができたことで、dark streakが延びてくるのじゃないかという予想をしたが、残念ながら大きな変化とはならなかった。現在もSEBsは濃くなったままである。

(5) SEBの中のWS

2年前にGRSの前方のSEBの中央に「謎の明部」ができたが、最近はSEBの中央にある淡化部に小さな白斑が見られる。かなり淡くなる時もあるが、ドリフトを調べると、リニアに動いていることが分かる。現在GRS直前にWSが見られるが、元をたどると「謎の明部」の後端に一致する。GRSに接したところで、どのようなふるまいをするか注目したい。



(6) ロジャースからのレポートの紹介

メタンバンドの中に見られる大きな波についての解説をした。半値幅の狭いものを使わないと撮れないが、できる人は狙ってほしい。


今年の木星会議

 10月8日(土)〜9日(日)に静岡科学館「る・く・る」で行うことになった。会場の位置と科学館の中の施設の図を見ていただき、会場の紹介を行った。静岡駅の真ん前で、交通の便は極めて良好である。
 館の希望で、8日の午前中に安達が市民向けの木星の話をすることになったが、午後からはいつもの木星会議となる。どんな内容を行うか、過去に催された内容の一覧を示し、内容を考えたが、4月の例会の時に内容を決定するということで、全員で承認した。例会に来ておられないかた、および本部の方々も希望をお寄せいただきたい。それをもとに内容を考えようと思います。

会員の持ち寄り話題

(1) 木星の画像処理について(米原高校:宇根)

μ180で撮像をしている。前回と違って非常に良い画像を披露された。一同感心。シーイングが悪く、どちらが北か南かわからないので困っているとのこと。見方を大人からアドバイスしました。さらにJUPOSでの展開図作りに挑戦し、展開図を作れるようになったことが分かった。
 国立天文台の出している画像解析ソフト「マカリ」を使って解析するのに、鮮明度の高い画像とはどのような画像かに悩んでいるとのことで、それについて参加者で討議した。明るいところと暗い模様との輝度差が判断のもとになるのではないかと、話し合った。


(2) 京都教育大学の天文普及活動(中野英之先生)

大学では、小中学生を対象とした反射鏡研磨教室を行っており、最近真空蒸着装置を導入して、鏡磨きだけでなく望遠鏡にまで作り上げるコースを作っているとの紹介があった。メッキまでできるとなると、最後まで行きつけるので、参加者一同感心。その後学生の紹介があって、学生さんの発表となる。


(3) 土星の衝効果(平川)

卒論として研究している。土星の衝効果がなぜ起こるかということを、モデルを作って実験し、検証したレポートを発表された。土星の本体は発泡スチロール球の大きなものを使い、その周囲に小さな発泡スチロール球をリング状に並べた。そこに照明を当てたり、いろいろな方向から撮影したりして、どのような明るさになるかを探るもので、いろいろな仮説を立て、それらがどのような影響を与えるかを検証している。最後には衝効果が現れることが確認できた。


(4) 望遠鏡の製作について(布村)

ガリレオ衛星に興味を持っている。自分で望遠鏡を組み立ててガリレオ衛星を撮影しようと考えている。現在望遠鏡の筒を作るための軽量化の方法を考えている。アルミ板とステンレスパイプを使うなどして、使用に耐えられる望遠鏡を作ろうと考えている。ということで、図を描き考えを紹介され、会場の先輩連からアドバイスを受けた。


(5) C11の改造(熊森)

購入したC11の改造の様子を紹介された。前回の続きになる。今回は前回聞けなかった人のことも考え、鏡筒に吸排気の穴を開けることや架台の改修についての経緯が紹介された。また、今回は、駆動装置についての紹介もあり、完成した様子とそれで撮像した木星像のプリントが配布された。
 ナイフエッジでは年輪のようなリング模様が見えるが、傾向としてはのっぺりした平面になり、撮像の可能な面になっているようで、良好な画像が公開された。ここかしこに苦労談があり、みんな感心しながら解説を聞いていました。


「あかつき」の撮影した金星画像から(安達)

   JAXAから公開された画像があるが、とりわけLIRカメラの画像が凄まじい。この画像をよく見るといくつもの特徴が見られる。同時に撮られたUV1のカメラで撮られたものは向きも形も同一だった。画像を並べ、補助線を入れて調べると、同じ方向から取られた画像であることがよくわかる。
   これらのうちLIRの画像では図のように縦方向の筋が見える。カーテンにできたような大きなものではなく、細い筋だが南北方向に何本か見られる。東西方向にできるのなら分かる気もするが、南北方向は理解に苦しむ。とりわけ最大の「しわ構造」についてはあまりに激しく、悩ましい。現在のところ、太陽風の影響を考えるくらいしか、この原因に思いあたるヒントがない。これから発表される画像に関心を持ってほしい。


事務連絡

次回例会予定

  これからの例会は次のようになっております。よろしくお願いいたします。
    2016年4月例会  4月17日(日)
    2016年7月例会  7月17日(日)
  10月例会をするかどうかは未定。4月例会で決めます。

会費受領

  2015年 永田・岡本
  2016年 野々口・大杉・岡本・堀井・坂本・安達・堀内・松尾・熊森・畑中・奥田
  以上、ご協力ありがとうございました。


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