月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.90

2017年04月16日

  今月は、滋賀県立米原高校からの生徒さんが2名参加され、撮像された木星画像を持ってこられました。毎回、前回よりも進歩した画像になっており、これからが楽しみです。例会は、自分の観測機材をグレードアップされたお話もあり、時間があっという間に過ぎていきました。

例会集合写真
参加者

堀内・奥田・畑中・熊森・坂本・谷口・田中・安達
 参加者は8名でした(順不同)。  

自己紹介と近況報告

安達
春休みにはいり、晴れたら木星観測をしているが、一向に天気が良くならないため、思わしい成果は上がっていない。最悪状態の気流のためmid-SEB outbreakの白斑すらまともに拝めない状態でいる。最近になってようやくましな気流に当たるようになったが、それでもろくに見えていないので、イライラしている。
奥田
滋賀県の信楽から来た。昨年、自宅に観測所ができた。ミケゲの25pF7.6ニュートンを使っている。今までとは違い、地上2mの高さで惑星観測ができるようになった。今までとは違い、冬は床が温かい。(地上観測では冷え込む)観測はまだ始めていないが、木星そのものは何度か見た。これから観測もしていきたい。
畑中
熊野から3時間かけてやってきた。40pカセグレインを使っていた。調整を試みたがピントが甘く、内外像は対称になってこない。その頃、アイベルで30cmスカイウォッチャー(サイトロン製)を7万で購入みてみるとこれがよく見える。 そこで、40cmをニュートンに改造することにした。
 鏡筒は、近くの工場で鉄板(1.2mm厚)を丸めてもらい。セルと斜鏡は、カサイトレーディングで購入した。鏡筒重量約60kgなんとか赤道儀に取り付け、調整を始めたが内外像の見え方がおかしい。元々真円でない鏡筒が変形したのか光軸に直角に取り付けたはずの接眼部が、ずれていることに気づいた。その後は割合スムーズに進んだが、一番手間取ったのが斜鏡の位置の調整だった。主鏡の中心に穴があいているため調整が難しく、斜鏡の位置を計りながら内外像で確認する作業を何回となく行い、何とか正しい位置を見つけた。それと主鏡のセルが特殊でこれになれるのにも苦労させられたが、何とか利用できるようになった。
掘内
2010年に自宅にドームを置き、観測するようになり、活動を再開した。今は盛んに惑星画像を撮っている。3年前に視力低下が起こり、経年変化のため0.4に急落した。たんのうにも結石が見つかり、切らなくてはいけない状況になりつつある。腰痛も悪化し、体調は万全ではない。カメラをASI290のモノクロカメラに替えた。良好だがLRGBの画像を撮って合成するという作業に戻り、悩まされている。最近になって40pのドブソニアンの鏡筒を買い求めた。京都にあるメーカーにのせられるようにバンドを作ってもらっている。近いうちに40cmでの画像が見せられるようにしたい。
熊森
C-14でベランダ観測を頑張っている。望遠鏡は大きくしたので、もうこれ以上は大きくできない。筒だけで23sある。C11はこの半分くらいなので、非常に重くなった。
坂本
同じ高校での勤務が13年目に入った。学校の望遠鏡の鏡筒をC11に載せ替えられないかと考えている。追尾など問題があるので、皆さんにいろいろ教えてもらいたい。
谷口
理数科の2年生になった。火星や木星を観測している。面白くて今年も同じことをしたい。
田中
理数科の2年生。課題研究として木星をやっていきたい。

木星の近況

(1) (1) 木星の模様について

 高校生の諸君もいるので、最初に木星面のベルトやゾーンの説明・木星の模様の簡単な説明を行った。特に大赤斑の経度変化のグラフを見ながら、年々経度変化をしており、同じ位置にいないことを解説。大赤斑の姿についてもここしばらくの様子を、画像を通して見た。また、カッシーニの動画を見て1系・2系の説明も行った。さらにそれを見ながら現在注目しているところが何かも説明。


(2) (2) mid-SEB outbreakの近況

 月惑星研究会では、水元さんが盛んに情報提供をしてくださっているが、それと安達の作成した図を使って、今回の現象についての解説をした。高校生向けの簡単な解説と、今年の状況についての説明。
 発生源が白斑から始まり、どのように変化してきたかを水元さんの作成された動画をもとに確認した。発生源(Source)が2つは確実で、最初は同じ位置から発生していたが、3月に入り前進するようになっていった。そのほかにも発生源がありそうだが、追跡するとなるとかなり難しく、安達にはよく分からない状態になっている。
 白斑の前端は30日で90度くらいの前進量になっていて、3月中頃にはGRSに到達しているはずだ。しかし、GRS post disturbanceの活動の下に滑り込む形になり,前端はどこまであるのかよく分からない状況だ。ひょっとすると、この地域を通り抜けて大赤斑の前方に姿を現してくることも考えられる。可能性は低いがないとは言えないので、注目する必要がある。
 今回の現象全体が、どの程度広がり、いつまで続くのかが今後の注目点となるだろう。


(3) (3) NEBの白斑のマージの紹介

 4月10日Goさんの画像にNEBnの白斑がマージするところが写っていた。初心者も多いので、白斑がマージする現象がどのようなものであるかを、確認した。このように鮮明にとらえられたものは珍しく、解説は極めて容易だったが、マージすることにより、元の大きさよりも大きくなる様子が見られることも説明した。


金星の近況

 フランスのStanislas Maksymowicz氏の金星観測について、紹介した。この人は金星の内合前後になるといつも屈折望遠鏡での眼視観測を送ってこられるが、今回は、図のように金星の夜の側を観測したものを報告されてきている。非常に細く、太陽に近く危険な状態での観測をされているが、夜の側の観測を続けられている。
 画像観測では写るものの、明るい部分に妨げられてきれいに写すことはできないが、肉眼の観測では、この様子が非常によくわかるようだ。
 この人以外に、眼視観測でここまで追求しておられる方はない。もう当分内合はないが、次の機会にはできればどなたかが確認観測をされると、意味のあるものになると思われる。


JUNOの観測から

 JUNOの観測画像が公開されている。中には面白いものがあり、例会ではその中から安達がピックアップしたものを見ていただいた。注目されるものの一つにSTB Specter 付近の画像があった。ターミネーター付近での観測で、明らかに積乱雲の雲頂部が粒粒の白点となって無数に並んでいる様子が記録されていた。
 積乱雲は、下からの熱源がないと起こらないものであることから。STZの帯の部分は、内部に熱源があることを示していると思われる。また、STB specterの周囲は非常に速い流れになっており、内部は流れていないことが、この画像からは見て取れる。GRSは内部も回転しているが、この画像からはそういった様子は見られず、GRSのような渦とは違う様子が見て取れた。
 また、明らかに高度の違う雲というか、乗り上げた雲というか、高度差のついた画像も見られており、興味は尽きない。今後のさらなる公開が楽しみである。


会員の持ち寄り話題

(1) (1) 米原高校観測の木星

 3月28日にようやく晴れた空をついて、木星の撮像を行った。撮影中、CPへの結露が著しく、どのような対策を取ったらいいかという質問が出た。扇風機を当ててみるが、鏡筒が揺れて使えない。ドライヤーを使って短時間に乾かすなどの対策をすればいいと、アドバイスがあった。
画像は露出がアンダーでトーンジャンプが残っている画像になっているので、それが改善できるようにするとよいと、アドバイスを受けた。また、ピント合わせは模様で合わせることも。


(2) 40cmの近況(畑中)

 赤道儀は、E-ZEUSを使っており自動導入でき、望遠鏡の微調整(ガイド)もパソコン上で可能であり、今回接眼部をMoonlightにしてパソコンでコントロールし位置を確認しながらできる様になった。Moonlightのメモリは1000カウントで4ミリ移動する。10カウントで0.04mmなのでピント合わせは10ウント 単位で行っているがseeingの良いときはもっと細かく調整できそうだ。


(3) (4) チリ望遠鏡の紹介など(熊森)

 〇 HPの、だんだん光学系でここまで写る パート2 を更新した。
 〇 「世界91人の木星」の公開があって、日本人もたくさん採用され、自分もその中 で使われた。(みんなでその画像を鑑賞した)
 〇 木星の展開図を作った。4月4日から5日にかけて撮ったものをつないであるが、それをもとに開店する木星像を作った。(回転する木星像をみんなで鑑賞)
 〇 チリスコープ
  チリにある望遠鏡で1mと50cmの2種類があって、自分の家でそれをコントロールして撮影することができる。ダミアン・ピーチがそれを利用して、木星像を撮っていた。
   経費や申し込みなど、まだよく分からないが、興味深い。


土星の近況

 報告されている画像をもとに、この1年間逆戻りをして調べたが、見事に何も出てこず、 ここ1年間、ベルトや縞に変化は見られなかった。

事務連絡

会費受領 2017年分を例会で受領

 畑中・熊森・掘内・坂本さんらからいただきました。
 振込では 2月5日に菅野さん・4月3日に中井さんより2017年分の会費を受領しました。ありがとうございます。何とか、会場費を確保して例会を進めていますが、皆さんのおかげです。納入されていない方もご協力ください。現状では例会を開くだけにとどまります。


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