月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.91

2017年07月09日

  梅雨に入り、観測のできない状況が続いている中、今日は8人での例会になった。週に欠席になった方もあり、少し寂しい例会となってしまった。

例会集合写真
今日は滋賀県立米原高等学校からの参加があり、今回も木星の画像を持ってこられ、参加者からアドバイスを受けました。  

自己紹介と近況報告

安達
5月20日・21日に絶好のシーイングを得た。シーイング8だった。細部まで非常によく見えた。シーイングがよくなるとそれぞれの模様の色が非常によく見えるようになり、フェストーンの青っぽい色が印象的だった。これからまだ見えるかと期待したが、その後梅雨空になり、観測できなくなった。もうすでに隣のマンションの際まで木星は移動しており、おそらく事実上木星観測はこれで終結となる。
堀井
スカイウォッチャーの30cmドブソニアンで撮像を続けている。先日白内障の手術を受けた。見え方が画期的によくなったが、眼は固定焦点になりものを見るのに、遠近両用老眼ではなく近近両用老眼鏡を購入して生活している。保険外となるがお金を出せば、もう少し幅広く見えるらしい。望遠鏡のセッティングに離れた2星を使うようになってから、アライメントがよくなり、導入が非常に楽になった。
奥田
観測所はできたが、たまにしか見ていない。先日、低空だが土星を久しぶりに見て、撮像してみたが思ったよりよく撮れた。今は40cmのドブソニアンに関心がある。堀内さんを参考にしたい。観測所は、今までと違って快適だ。
堀内
4月に40cmのドブソニアンの鏡筒を購入した。取り付けバンドを作ってもらって取り付けてみると、思いのほか弱く、鏡筒がローリングをしてしまう。また、風が吹くと揺れるため、いろいろと補強したがうまくいかなかった。また、筒の向きを変えると光軸がずれてしまいことも分かり、とうとう、別途アルミニウムの鏡筒を巻いてもらい、新しいものに替えてみた。そのかいあって、ようやく使えそうになったが、その後悪天候でテストできないままでいる。
坂本
よく曇るため、観測活動はできていない。木星から土星に切り替えなくてはならない状況になってきている。今は、自宅に望遠鏡がほしいと思っている。
高校生3人の、名前と学校での活動についての紹介があった。

木星の近況

(1) SSTBのWSについて

 安達が作成しているWSの簡単なドリフトチャートを使って、高校生用に解説した。前回から今回までは特に目立った変化はなく、順調に推移している。




(2) GRS

 およそ273°付近にあって、変わりなく後退傾向が続いている。大きな変化は見られていない。


(3) mid-SEB outbreakについて

どんどん前進しており、活動は相変わらず活発である。前進した本体は、GRS post disturbanceとぶつかり、その下に潜り込むかのような姿をしている。そのため、mid-SEB outbreakの前方と後方では、床屋の看板構造が顕著にみられ、大変興味深い姿をしている。堀川氏の作成されているドリフトチャートを見てみると、矢印の部分に、mid-SEB outbreakの先端が顔を出しているように見える。このことから、GRS post disturbanceの下を潜り抜けてきたのではないかと思われる。 JUNOの画像でも、こういった様子の感じられるものがたくさんあり、今後の様子に注意したい。水元氏のまとめられた動画などを見て様子を確認した。


JUNOの画像から

 JUNOのHPから特徴的な画像を選び出した。今回、mid-SEB outbreak(上述)の現象に関連する画像として次のようなものをピックアップした。

(1) 極全体の画像から

 青い画像には様々な渦が記録されている。一見、いろいろな渦があるように見えるが、一つ一つよく見ていくと、みんな同じもので若い渦と、なれの果ての渦になるような気がする。もっと詳しく調べてみないといけない。また、崩れていくときは、極の中を動いて拡散する傾向があるようにも見える。帯流そのものは、昔カッシーニが撮像した極画像によく記録されており、動きそのものはすでに分かっていたものである。現在JUNOが新しい画像を撮像したので、カッシーニのものと比較する作業が生まれている。


(2) もぐりこみ画像

 この画像は、赤い流れの中心線を基準に見ていくと、赤っぽいSSTBnが白雲を主体とした領域の下に潜り込んでいるようにみえる。これは、Post GRS disturbanceの下に潜り込んでいるmid-SEB outbreakの模様と同じことではないかと思われる。
 地上観測では、つい平面的に考えてしまうが、もう一度考え直さなければならないのではないかとおもわれる。


(3) 渦の方向

 この画像は矢印の方向に流れている気流などによって、中央のSSTBのWSができている様子だが、左下に逆回転の渦が見られる。どう見ても、上の大きな白斑と同じ成因でできたものと思われる。これは大変興味深い。


(4) 大気の立体構造

 公開されている画像の中でも特に興味深い。
NEB〜NTBの下部は赤っぽいが、SEB〜STBの下は南北対象とはなっていない。今までの経験から驚きはしないが、改めて感心しながら眺めた。
 早く、大赤斑の部分で同じものを公開してほしい。
  今回の公開によって、興味深い画像がたくさん出ている。いろいろな人の見解を聞きたいものだ。


持ち寄り話題

(1) 米原高等学校の生徒による発表

 前回の例会の時に、木星像にリング模様が出てしまったので、それが出ないように気を付けて処理をした。しかし、それをするとベルトのコントラストが上がらない。どうもピントがうまく合っていないような気がしている。
 参加者から、もっと大きく撮る。ゲインを上げること。オートスタッカート2を導入してしょりをするようにとアドバイスがあった。


(2) 40cmの改造(堀内)

 安く上げるつもりが、結局のところ高くついてしまった。ドブソニアンの筒をニュートンに使うのは、なかなか大変なことだった。アルミニウムの筒を巻いてもらうのは、ほとんどのところに断られた。非常に技術が伴い、簡単にはできないらしい。
 セルに構造上の問題があって、鏡筒の向きが変わると8mmの押し引きねじで固定しているが、、ここでずれが出るようだ。晴れたらテストしていきたい。


カッシーニの画像から

(1) リングの近接画像から

 非常に細かい部分まで撮像されており、リングが小さな粒で構成されている様子が、画像から見て取れる。また、リングも近くを回る衛星によって、ウェイブ状に曲がった姿をしており、興味深い。


(2) 接近時の動画

 極から赤道にかけて接近していく様子が動画で公開されている。その画像を見てみると、土星の表面の気流の流れが記録されていて、興味深い。


土星の近況

 概ね、今年に入ってから大きな変化は見られない。4月から7月までの可視光での観測では大き な変化は見られないが、IRで撮影されたものでは、NNTB付近に変化が見られた。また、衝を挟んでハイリゲンシャイン現象は今年も顕著でに見ることができた。
4月からの可視光の変化など、画像を使って確認した。


その他の惑星

 海王星の観測が層が送られてきており、大白斑が記録されている。今回は2つの白斑がPic Du Midi天文台での観測画像で記録されていた。


事務連絡

(1) オーストラリアのNiall MacNeill氏からの依頼について

 送られてきた経緯、どのような画像を望んでいて、どのようなことをしたいのかを、安達から参加者に説明した。HPを見てあやしい団体ではないことが分かった。我々のHPに観測報告を送ってくださっている方々もたくさん加わっておられることもあり、MLにその旨を流すことについては、参加者で了承した。HPに呼びかけをいれてもいいかという意見も出た。

(2) 今年の木星会議

  9月9日(土)〜10日(日)に明治大学で行われる予定です。みなさん!都合を付けてご参集ください。

(3) 今後の例会予定

    2017年10月例会   10月15日(日)・・・第1研修室
    2018年 1月例会   2018年1月28日(日)・・・第2研修室


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