月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.103

2020年10月18日

 今月も、支部例会はオンラインとなってしまいました。恒例化は避けたいところですが、見通しが立ちません。悲しいことです。振り返れば1年半以上JRに乗っていません。宴会も1年半以上たちます。人が恋しくなってきています。勝手なことを書きました。
 例会は12人の方々が参加してくださいました。お礼申し上げます。参加された方から聞きましたが、本部の例会と関西支部の例会は雰囲気が違うとか。見方を変えれば、両方で違った味が楽しめるということかも。
 今回は、安達の方でZoomに月惑星研究会専用の道筋をつけるはずでしたが、いろいろ手間取り、急遽荒川さんにお世話になりました。次回からは安達の方で専用の道筋をつけて皆さんに案内させていただきます。荒川さん、ありがとうございました。


近況報告

 参加者からの近況報告をしていただきました。安達から開会のあいさつと近況報告をさせていただきました。そのあと、各自から報告をしていただきました。
 参加者:水元・堀井・畑中・井上・山岡・堀川・田部・松岡・熊森・長瀬・荒川・安達


火星の解説(安達)

 火星は、衝が10月15日に過ぎたところで、衝になるまでの火星を振り返って、極冠縮小期のまとめを作り、それを使って解説しました。

(1)大きな模様の変化


   今シーズンになって、気になる模様の変化は、上の4か所ありました。ヘラスとシルチスは同経度になるので、2つをまとめ、3か所の紹介をしました。
 @ (Margaritifer Sinus;23W;-10)地域
 Margaritiferの先端に(Oxia palus;8W,+12)という暗斑がありますが。それが、今までとは違った見え方になっています。

2018, May, 05 Iwamasa  2018, Nov. 02 Go    2010, Oct, 14 Wesley
これを見ると今シーズンは、2018年のグローバルダストストームによってニリアカス(Niliacus Lacus;20~40W,+30)と一体化したことが分かります。
A(Daedaria;W120,-30)地域
 今シーズンは(Daedaria;W120,-30)の両側に暗部ができました。

2018, Jun, 02 Iwamasa 2018, Nov, 27 Ishibashi 2020, Oct 14 Edwards
2018年のグローバルダストストームによって形成されたことは確実です。海老沢マップで確認すると、この地域は過去に何度も同じような変化をもたらしているところで、珍しいことではないことが分かります。地形図と比べると、東側の棒状の暗部は、Solisの南にある大山脈の西の端に位置しています。地形と風によって、何らかの影響を受けてできたものと思われます。一方、西の三角形の淡い暗部の方は、平原になっているところで、ここは地表に覆われたダストが風の影響を受けてできたものと思われます。
BHellas・Syrtis地域

 2018, Jun. 08 Peach   2018, Nov. 11 Horiuchi  2020, Oct. 14 Albuquerque
2018年のダストストームの後、Hellasの南東側が見えなくなっています。これは今年になってからの変化です。この資料を作っている時に2020年5月1日から5月7日の間にHellasの東側でダストストームが発生し、そのあとから見えなくなったことが分かりました。


(2)ダストストームの発生

 前半では5回発生しました。
 右図の×印の位置で発生しました。
 最後のものが最も大きく、これによって、火星の模様が広い範囲で見えにくくなりました。
 3月8日 東1Cimmerium北側
 4月11日 Hellas
 4月12日 Aurorae Sinus
 5月4日 Hellas
 6月23日 Xanthe


(3)エッジダストストーム

 これまでに、はっきりしたものが11回観測されました。発生地点に偏りはありませんでした。また、時期的にはSPCが縮小してきた過程で頻繁に起こり、最近のようにSPCが小さくなってからは見られなくなりました。
 エッジダストストームが発生すると、南半球中緯度にダストが拡がり、シーズン前半は南半球の模様がダスティーになって非常に見えにくくなりました。しかし、エッジダストームが収まって以来、大気の透明度は増し、模様がよく見えるようになりました。


(4)Tharsis台地の火山による白雲と地形の影

 カメラの解像度・画像処理技術の向上によって、地表の凹凸の影がはっきり記録されるようになりました。ターミネーター付近で頻繁に記録されるようになり。地形図との比較や雲の発生など、新しい情報が増えてきました。今はArsia Silva Monsの雲が目立っていますが。これから年末にはOlympus Monsを含めて他の山岳雲が見えるようになってきます。
 これらの雲画像を記録するには、できる限り450nm以上の波長のフィルターで記録していただけると、正確な雲の情報が得られます。


木星のNTrZ out breakの活動のついて(水元)

 今回は、本部の水元さんが、HPに集まった木星の画像から作成された資料を基に、解説していただきました。NTrZにできた白斑が、木星面で元も速い気流に流されながら木星面を1周するように動くもので、第1・2・3と相次いで白斑が出現し、NTrZをどんどん前進していきました。HPに公開されているものを参照してください。
 白斑は、前進しながら後方に灰色の暗斑を残していきました。この暗斑は2系に対して移動せず。後方から白斑が追いつくと、消失するという特徴を持っていました。これまで大体5年周期で起こっていましたが。今回は3年余りという特別短い期間で発生して驚かされました。
 この様子を動画を見ながら確認しました。



 左図のように、今回のoutbreakによって見られた、暗斑や白斑を測定すると(水元氏作成)、3本のリーディングスポットの後方に暗斑が残ります。(青色のドット)この暗斑は、ほとんど一を換えませんから、前進してきた白斑と衝突することになります。
 つい先日で、これらの3つのリーディングスポ     ットは、これらの暗斑に追いつき消滅しました。これで、一連のNTrZ outberakの活動は終了しました。今後は、この部分が暗くなっていくのかどうかを見守りたいところです。ただ、合が迫ってきていますから、いつまで追跡ができるかは、皆さんの観測にかかっています。


会員からの持ち寄り話題

(1)ZWO ASI462MC 赤外カットフィルター (熊森)

 赤外カットフィルターを使っているが、カットした後の入射される波長域が、どうも赤色が多く、これを改善したくて、フィルターを探しました。中国製のものが良さそうなので、買い求め、テストしました。結果は、今までよりも再現性がよくなりました。
 (安達はよくわかりません。熊森さんのブログを参照してください。平に平に・・・}


(2)二重リムとアポダイジングマスク (熊森)

 火星など、明るさの際立つ惑星や月面の画像に二重リムがでて、観測者を困らせていますが、それを解決できないかと、アポダイジングマスクを作って、チェックしました。形式はSCのCPの前に、防虫ネットを、内側に向かって薄くなっていくようにマスクをかぶせて、火星を撮像しました。
 結論的に、赤外など、波長の長い光では、二重になるリングの幅が広くなりますが、いつものリングは解消されることはありませんでした。現在、報告されている画像で二重リングのないものは、おそらく出ないように、処理段階で調整されていると思われます。


(3)火星の画像にかけた部分が写る (堀井)

 火星を撮像すると、一部分にかけて写る部分が出てきました。(みんなで鑑賞)原因を考えてほしいとのことで、見あいました。火星には模様がありますが。木星のように周辺減光で見えなくなることがなく、暗い模様もリムやターミネーターまでほぼ見ることができます。(ダストストームがあれば別ですが)そのため、周縁部にくると、リムが暗くなるため。コントラストを上げると、かけて写る。これが原因だとまとまりました。
    (明るいと出っ張ります。安達)


その他

(1)例会日

 当面はオンラインとなります。今後の予定は、追ってお知らせいたします。


(2)木星会議

 参加された皆さんで話し合いました。木星のシーズン中にやるのが、建前なので、12月の終わりごろの日曜日に、1日だけのオンライン木星会議を行うことにまとまりました。開催についての決定機関はありませんが。前回安達に一任されていますので、この場で方向性を決めさせていただきました。ご了承ください。
 今後、学生さんも参加できる日程を、教育機関にお勤めの会員に聞いて、会長が連絡をくださることで最終決定とし、皆さんに通知します。
 また、この例会では、木星会議となっているが、新たに「惑星会議」として発展してもいいのじゃないかという方向性も提案されました。多くの方が好意的に受け止められていました。今年末の木星会議で、このことを皆さんに働きかけ、今後の計画として考えてみたいと思います。


(3)支部会費

 郵便振り込みで、いただきました。
  岡本さん50,000円 何年か分とカンパとか。年1000円で割ると50年分。
  もう、終身会員ですね。厚くお礼申し上げます。
  堀井さん7月17日に2020年分1000円入金しております。ありがとうございました。
 ご協力ありがとうございました。ほかの方もよろしくね。

振込先 00940−6−132972
    月惑星研究会 関西支部
連絡先 jh_3svw@yahoo.co.jp



月惑星研究会のHomePageへ戻る  関西支部のPageへ戻る