月惑星研究会関西支部例会・支部通信 No.105

2021年5月9日 (本部例会と合同での会)

 オンラインの会が続き、今までの対面での例会ができなくなってずいぶん時間が経ちました。ようやくワクチンの兆しがありますが、それとてほとんどの方には、まだ縁の遠い事柄で、我々が摂取するまでの間に、どんどん新しい変異型が生まれてくるのじゃないかと、安達は危惧しています。さて、4月の支部例会を遅らせたのは、安達が退院後間なしになること、月惑星研究会のロゴの事、次の木星会議の事、木星については体調の関係でまとめられないなど、本部との共通の内容や、安達の個人的な事情で、5月の本部例会と合同でさせていただきました。残念なことに、関西支部からの参加は少なく、熊森・阿久津・私を含めて3人でした。本部の方々との面識がなく、参加の敷居が高かったのかなあと思わずにはいられませんでした。
 次回の例会は7月です。本部の例会もありますが、関西支部は単独で開くことに決めました。7月は、安達の方からZoomでの会の案内を送らせていただきますので、支部の方々は、何卒よろしくお願いいたします。


近況報告

 参加者からの近況報告が行われました。
 参加者(順不同):17名(その後増えていますから正確ではありません)
          関西支部からは3名でした。
          それぞれ1~2分の持ち時間で近況を報告されました。


木星の近況(担当:堀川)

 現状の報告がありました。
  〇 大赤斑の様子
  〇 大赤斑からの準循環気流に伴うSTr Beltの発生から現状まで
  〇 EZの暗化
  〇 NEBの変化
 詳しい様子は、近いうちにHPに、堀川さんのプレゼンが公開されますから、それをご覧ください。


土星の近況(担当:堀川)

 今シーズンの土星は、暗斑や白斑がなく、のっぺりした、変化のない姿になっている。
 Deが赤道に近づいてきたため、北極見えにくくなりつつある。六角形が見えにくくなった。


参加者からの持ち寄り話題

 ここに出ている発表のプレゼンが、追ってHPに出ますので、詳しくはそれをご覧ください。

「VMCの4月1日の画像に現れた、夜側の雲について」(三品)

 近内さんからVMC(マーズエクスプレス)の鯉会画像に中に、ターミネーターから夜側に、雲塊が写っているものがあります。というアナウンスがありました。その後、近内・三品・安達の3人で議論したものを、まとめられました。
 安達がVMCの画像の動画を作成し、どのような見え方になっているのかを確認し、それに関する論文がないかを探されています。その結果、VMCの公開画像を調査し、今回注目した雲塊について調査結果した論文(今年に出たもの)を発見されました。
 そこには、この雲塊は火星大気の中間圏で発生しており、水か二酸化炭素の氷晶でできていること。高度は40qから80qくらいで見られることなどが出ていました。
(右図は発表で使われたものではありませんが、データが出ているものを掲載しました)
 論文の名前など
スペインのバスク大学のチームによる研究のurlです。
題名
 A long term study of Mars mesospheric clouds seen at twilight based on Mars Express VMC images
著者
 J. Hern?ndez‐Bernal A. S?nchez‐Lavega T. del R?o‐Gaztelurrutia R. Hueso E. Ravanis A. Cardes?n‐Moinelo S. Wood D. Titov First published: 22 March 2021

 今回の現象からは、雲の正体は分からないものの、VMCの画像は、今までに探査機が飛んで写している時間帯ではない所(ターミネータ付近)を撮像しており、新しい知見が得られています。ぜひ、ご覧ください。
<質疑応答から>
 Q:この雲塊は、移動して(流されて)いるのか。
 A:ターミネーター付近では、夜側から昼側に係の高速で動く雲が見つかっているが、リム側ではまだ調べていない。火星大気の潮汐流と関係があるかもしれないので、夕方側のターミネーターで調べてみたい。(安達)

 Q:火星には対流圏と成層圏に圏界があるのか。
 A:100q少々のところ(きせつによってかなり変わる)にグラフでは区切りのようなものが見えるが、実際にはない。ダストは下降するが、水は上に上がり、紫外線で分解されて、宇宙に出てしまうことが知られている

「クリセのダストストーム発生の特異点の追跡調査」(安達)

 これまでの観測で、クリセに発生するダストストームは、クリセの一か所が明るくなって観測されてから翌日に(2~3日になることもある)必ずダストストームが発生することが分かった。(右図の黄色いサークルが発生の特異点)
 発生場所は右のようになっているが、このサークルの中に光斑が発生した翌日に、クリセにダストストームが見られた。2020年に見つかったが、2005年にも瓜二つのダストストームが発生し、その時にも光斑が記録されている。そこで、ほかにも同じことが起こっていないかを、2018年からの報告画像を遡って調べてみた。




  光斑が見えた日      結  果
2018年 3月26日・27日    ローカルダストストームになった。
(グローバルダストストームで、観測不能の時間ができる。9月1日より調査再開。)
   12月31日 1月3日(3日後)ローカルダストストームになる。
2020年 3月11日 以後の観測がない。
     5月21日 以後の観測がない。
     6月22日 以後の観測がない。
     6月23日 中規模のダストストームになる。
     9月24日 翌日以降、地域が明るくなった。
   11月11日 大規模ダストストームになる。
   11月14日 大規模ダストストームになる。
2021年 4月27日 ローカルダストストームが発生。
 このような結果となり、光斑発生後の後、観測報告があるものにはすべてにダストストームの発生が見られた。よって、この地点はダストストーム発生の特異点であると言える。
 今後は、調査の年代を広げていきたいと思っている。


「部品の製作請け負います」(鈴木邦彦)

 小型旋盤を買い求め、仕事の休日に使える状態になっている。直径100mm以内で作れるものなら、製作を請け負います。材料などは実費負担をお願いします。納期指定もご遠慮ください。(ボランティア作業です)
 希望者は、鈴木邦彦さんまで連絡してください。アドレスは安達まで連絡をお願いします。


「STD DS6 & DS7の変化」 (水元)

 Clyde Spot (DS6)と前シーズンに呼ばれていた白斑がありました。その同緯度の後方には暗斑があり、DS7のナンバーが降られていましたが、永続白斑BEを通過したころから様子が変わりました。
 DS6は、FFR(高気圧的な渦状の乱流で、極域にたくさん見られるもの)に変化しました。その結果、大きさも大きくなっています。もう一つのDS7は、暗斑ですが、暗斑の周囲を取り巻くような白いハロができました。様子はPJ-32での画像にありますが、珍しい変化をしています。
 今回は、それが昨シーズンからどのようなふるまいをしてきたのかをドリフトチャートをもとに紹介されました。


月惑星研究会のロゴについて

 木星会議の時に、平林前会長から、ロゴを作ってはどうかという提案がありましたが、今回の例会では、どのように扱えばよいかを話し合いました。多くの方が、初めて聞く内容で、その場で考えては発言するというのが難しく、意見は出ませんでした。MLで田部会長から情報が流されましたので、ぜひ読んでください。
 安達は、月惑星研究会で発信するものにはぜひ欲しいと思っています。自分なりに、このようなものはどうかという案は作っていますが、趣旨をご理解の上、挑戦していただけるといいのではないかと思っています。誰かに任せておけばいいという考え方は、捨てて、よろしくお願い申し上げます。


事務連絡

(1)支部会費を次の方々から入費を受領しました。ありがとうございました。

 菅野さん(2021)、中井さん(2021、2022)
振込先 00940−6−132972
    月惑星研究会 関西支部
連絡先 jh_3svw@yahoo.co.jp


(2)次回の例会は7月です。

 日程は、後日MLで発表いたします。支部の皆さん。対面での例会は、ワクチン完了後となりそうですね。皆さんと懇親が深められるまで、健康で過ごせるように気を付けていきましょう。
 安達は、公共交通機関は1年10カ月使っていません。外食はもう2年以上になると思います。悲しいですね。もう、完全に籠の鳥状態です。でも、あと半年くらいかな。頑張ります。



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