細長い天体-オウムアムア 月惑例会 2018年12月10日 三品利郎 11月25日のNATUREに、太陽系の外からやってきたと考えられる小天体が、細長い形を しているとのレポートが掲載されました。その発見が、インターネットのニュースサイトで想像 画とともに掲載され、話題になりました。それを日付の順に振り返ってみます。 ◆ 10月26日 ハワイにあるパンスターズ1(PanSTARRS-1)望遠鏡で発見された小天体が、太陽系外から 来たらしいとのニュースが、アメリカの天文雑誌、スカイ・アンド・テレスコープのニュースに掲 載されました。それを、国立天文台の渡部潤一先生がtwitterで、「大ニュース」として、「離心 率が1.189! これだけ強い双曲線軌道は初!」と紹介されていました。 ◆ 11月10日 国立天文台の渡部潤一先生がtwitterでその天体が、1I/2017 U1 (?Oumuamua)と命名され たと、速報されています。 ◆11月21日 AFPの日本語ニュースサイトで、「太陽系外から飛来した小惑星を初観測、葉巻形で岩石質」と 想像図付きで報道されました。 要点は、以下です。 1. オウムアムア(Oumuamua)は全長約400メートルで、幅に比べて長さがおよそ10倍という非常に 細長い形をしている。 2. それについて、Natureに論文が掲載された。 ◆Natureに掲載された論文は、「A brief visit from a red and extremely elongated interstellar asteroid」 (恒星間を渡る赤くて非常に細長い小天体の短期滞在)というタイトルです。 論文の要約の中で、「Light-curve observations indicate that the object has an extreme oblong shape, with a 10:1 axis ratio and a mean radius of 102±4 m, assuming an albedo of 0.04.」 (その天体は、アルベドを0.04と仮定すると、平均径が102±4mで、軸比率が10:1の極端な長楕円形であるという ことが、光度曲線から観測された。)という一文が目を引きました。 私は、「10:1の極端な長楕円形」ということが俄かに信じられず、一体、どのような光度曲線を描いているのかを 知りたくなりました。そこで、論文をネットで買いました。 下の図、論文の「Figure 3 Lightcurve of ‘Oumuamua」がその光度曲線で、それは、まるでサイクロイド曲線のよ うなカーブを描いています。急速に暗くなり、ボトムから急速に明るくなるということは、細長い天体が回転している と考えるのが自然だと理解できました。 参考 アストロアーツのニュース、「恒星間天体「オウムアムア」は細長い葉巻形」 以上