月惑星研究会例会通信 No.136

■ 日時:2010年5月30日(日曜) 13時−17時

■ 場所:川崎市多摩市民館(向ヶ丘遊園) 第4会議室

■ 出席者(計32名)敬称略 

鈴木達彦、渡辺隆文、森永大貴、最上 聡、成田 広、米山誠一、唐澤英行、山崎明宏、
田部一志、三品利郎、石橋 力、鈴木重則、小山田博之、佐藤康明、友田孝久、宮川健太、
堀川邦昭、池上暁子(明治大)、高田哲朗(明治大)、吉川元気(明治大)、鈴木秀典(明治大)、
鈴木翔太(明治大)、石津光啓(工学院大)、宮内荘治(工学院大)、牛尾亮太(東海大)、
木村浩明(東海大)、友野弥生(東海大)、北村昌也(東海大)、中村祐太(東海大)、
榎本孝之(理科大)、三盃毅知(理科大)、山田真裕

4ヶ月ぶり例会。 学生が14名も参加。久々に大盛況の例会となった。 発表も学生から2本あり、若い力を感じる事ができた。
例会の様子


■ 内 容

1 自己紹介

2 木星面近況(堀川)

 2010シーズンの観測を開始。
まだ観測量は少ない。

・SEBの淡化について

 過去のSEB淡化

  2007年・・・・・・・・中途半端。淡化完了前に攪乱発生
  1992年後半〜1993年・・SEBn〜EZsが薄暗かった
  1989年・・・・・・・・全体淡化
  1973年〜75年・・・・・SEBn〜EZsが濃い
  1972年・・・・・・・・EZが濃い
  1969年〜1971年
  1940年代〜1960年・・・3年おきに濃淡繰り返す

RS後方の方が淡い。RSが濃くなってきている。
画像だと濃く見えるが、眼視だとそれ程濃く見えない。

メタンバンドで撮影するとSEBは縞のまま変化が無い。

SEBの濃淡は雲の粒の性質の違いの可能性もある。
必ずしも成分の違いではない。
  *地球の雲も黒っぽかったり白かったりする。

SEBとRSは

  SEB濃→RS淡
  SEB淡→RS濃

  と変化する相関関係がある。

1980年代はRSが濃くなると経度が後退、薄くなると前進する傾向にあった。


・NEB

拡幅現象が完了。太くなった。だがメタンバンドで観測すると細いまま。


・BA

2005年に赤くなったBAは昨年色が淡くなり、今年は再び赤くなっている。 RSに対して0.5°/day のペースで前進しており、9月頭にはRSに追いつきそう。


・その他の地域

概ね昨年と同じ。


・SEB攪乱

SEBが淡化すると、数ヶ月〜数年後に攪乱が発生する。
こちらの方がメインイベントなので、見逃せない。

始めにサメのヒレの様な形の「暗柱」が出現する。(中央分枝)
その後、南分枝として「高速後退暗斑」、北分枝として「暗斑」や「白斑」が出現。

短期間のうちにSEBが復活する。

暗柱を検出した場合には、月惑星研究会のHPに報告すること。

RS前方にSEBの痕跡である暗部があり、紛らわしいので注意。

暗柱の出現場所を予測する方法として「リースの仮説」を使う手もある。
あくまで「仮説」であるが、無視は出来ない。



3 惑星撮影にも使えそうなカメラの比較(三品)

三品さんより、一眼デジカメや、ハンディービデオで惑星観測に使用できそうな機種を紹介していただいた。
実機での使用報告が待ちどおしい。
 

4 宮崎放送の番組上映(田部)

  1940年代から木星観測をされていた、宮崎県出身の薦田一吉さんを紹介する番組を上映。
田部さんが提供した薦田さんの木星スケッチも紹介されていた。

5 大赤斑の回転について(榎本)

  画像を用いて、大赤斑の回転周期を求めてみた。
測定するにあたって、大赤斑の中心を目分量で決め、回転中に引き伸ばされた模様については、前端を基準に算出した。

測定結果

 2009 07/22〜07/24 4d20h
 2009 08/02〜08/05 5d06h
 2009 09/10〜09/12 4d19h
 2009 10/07〜10/09 4d03h
 2010 04/17〜04/19 5d21h

今年に入って若干遅くなっている気がする。
あまり一定していない。

例会の様子


・発表を聞いた上での周囲の意見

RGBそれぞれで測ると正確になるかも。
大赤斑を真上から見た画に補正してから測定してみては?
探査機の画像で測って比較してみては?
BAAは周期5日程度だと測定しているので、良い線だと思う。

6 ToUCamの動画を圧縮する(中村)

ToUCamで撮影した動画の容量が莫大で、すぐにハードディスクが埋まってしまう。
そこで、圧縮した動画で観測に使える画像を得られるだろうか?

・フリーソフト「Any Video Converter」を使用。

・テスト動画

撮影場所:満天星の天文台(石川県鳳至郡能登町)
撮影機材:60cm反射望遠鏡 焦点距離4800mm
撮影日:2009年8月19日 23:47:50
天候:晴れ(薄もや)
撮影時間:60秒
解像度:640×480
フレームレート:15f/s
コーデック:1420
総フレーム数:1351
ファイルサイズ:608MB

・圧縮結果 ファイルサイズ:600MB → 12MB
ビットレート:55365kbps → 1119kbps
フレーム数:変化なし

ではRegistaxを使用するとどうなるのか?

例会の様子


まとめ

・ファイルサイズは小さくなるがノイズが発生
・変換方法など改善の余地あり
・コーデックの種類と方法を勉強する必要がある。
・高解像度の画像で通用するのか?

7 土星の白斑について(堀川)

白斑が発生している。

3月に10°(体系III)あたりに出現。
4月後半から不明瞭になり、経度も15°〜40°くらいまで幅が広がった。
5月に消失。

過去、5〜6年、同じ様な白斑が何回か出現している。
白斑の発生源は徐々に後退している。

土星でこれだけ長期の活動が継続しているのは珍しい。

8 次回例会案内

2010年7月25日。 多摩市民館にて。

*その後二次会が行われ22名が参加。さまざまな情報交換がされた。

例会の様子
例会の様子
例会の様子



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