月惑星研究会例会通信 No.137

■ 日時:2010年7月25日(日曜) 13時−17時

■ 場 所:川崎市多摩区民館(向ヶ丘遊園) 第1会議室

■ 出席者:(18名)敬称略 

鈴木達彦、鈴木光枝、平林 勇、成田 広、米山誠一、斎藤美和、横倉敏雄、山崎明宏、
田部一志、三品利郎、石橋 力、堀川邦昭、宮内荘治(工学院大)、牛尾亮太(東海大)、
友野弥生(東海大)、中村祐太(東海大)、榎本孝之(理科大)、山田真裕

猛暑日が続く中での例会。 学生が試験期間中の影響もあって、参加者が少なめ。 試験を抱えている中、5名もの学生が参加。
例会の様子


■ 内 容

1 自己紹介

 
鈴木達:
前回学生が多く参加してくれたので広めの部屋を確保したが、試験期間中で参加者が少なく残念。次回に期待。  
横倉 :
約10年ぶりの参加。普段は100円のシャーペンでスケッチしている。望遠鏡は自作の40cmを使用。  
米山 :
梅雨明け以降、シーイングが良い。特に22日朝は日本でこれだけ見えるのか、と思うくらい良かった。  
石橋 :
イースター島皆既日食に行ってきた。まだ時差ボケが抜けない。ビデオを持ってきたので後で上映する。  
宮内 :
木星はまだ見ることができていない。6月に工学院大学で大学天文サークル合同勉強会を主催した。  
榎本 :
明日は統計力学の試験。11:00まで参加するか悩んでいた。8月に野辺山での観測実習に参加する。  
成田 :
これまで2回ほど撮像を試みたが、昨晩は稀に見る条件で撮れて満足している。  
山崎 :
天気が回復してきたので、早起きして見ている。28cmSCを撮影に使ってみた。思っていたより見えるが、東西で光軸がずれてしまう。  
牛尾 :
先週の土曜日にスケッチを2枚とった。新入生も観測に参加している。最近太陽観測も始めた。  
中村 :
所有している携帯電話のカメラが30秒露光できるのを利用して、星の写真にチャレンジしている。  
友野 :
1年なので知識は無いが、これから頑張りたい。明日はテスト。勉強は夜に帰ってから頑張る。  
山田 :
2012年は金環日食で景気づけしてからケアンズの皆既日食を見に行くつもり。  
鈴木光:
最近は鳥の写真を撮ったり、西側のベランダで夕日の写真を撮っている。  
斎藤 :
2〜3年ぶりに来た。理科教師の職を辞し、大学で写真の勉強をしている。  
田部 :
先週、足柄観測所にてフジテレビの取材を受けた。本当は例会を取材してほしかったのだが日程の都合で無理だった。  
堀川 :
梅雨明け以降、木星が良く見えるので睡眠不足。足柄での取材時、道に迷い1時間強彷徨った。  
平林 :
前回参加できなかったが学生が多く心強かった。今回は試験期間中で少ないかと思っていたが、何人か参加者がいて良かった。

2 木星面近況(堀川)

 梅雨明け後、良いシーイングに恵まれている。
 

@木星面の発光現象について

6/3 オーストラリアの Wesleyさんが発見。動画が公開されている。
フィリピンの Goさんも観測。こちらも動画が公開されている。

1人のみの観測であれば、停止流星や木星-地球間での発光現象では、という疑いが出るが
オーストラリア、フィリピンで同時観測されたので、木星表面に極めて近い位置での現象であるといえる。

昨年7/19にも衝突現象があり、衝突痕が出現。


・過去の衝突現象
1979年 ボイジャーが-12.5等(流星の絶対等級)の流星を観測
1994年 SL9衝突により衝突痕出現
2009年 衝突痕出現
2010年 衝突の瞬間を観測

・なぜ2009年は衝突痕ができ、今回はできなかったのか?

・雲の頂部に到達する前に燃え尽きたと思われる。
・SL9の時も衝突痕ができなかった核があった。
・動画から流星の明るさの変化を検出し、地球の火球と比較してみたい。
・黒い衝突痕のできる、できないの境界を知りたい。

・なぜWesleyさん、Goさんの発光の位置に違いがあるのか?

・Wesleyさんの方が南に、Goさんは北にずれている。
・地球から見て木星の手前にあるとすると、ずれ方が逆。
・Wesleyさんは赤、Goさんは青で撮影している。
・大気差だ仮定しても、話が合わない。
・単色で撮影しているのに、仕上がりの画像の光点は白い。サチッているのか?
・赤の方が圧倒的に強く映っている。光は赤が主体?
・Wesleyさんは、あれだけ動画で揺らいでいるのに画像では1点に光が集中している。
 画像処理の方法が気になる。
・Goさんは光点が斜めに流れている。光軸がずれている可能性がある。
・2人とも正しい位置になっていない可能性がある。処理の問題か?


ABAと白斑の衝突

6月下旬にBA後方から白斑が衝突した。


・2004年末頃、BA後方に白斑が出現。
・当初はBAと白斑の間にSTBの残骸が存在。この残骸が接近を阻んでいた。
6/09 異常なし。
6/14 BAと接触しそう。
6/17 形が崩れている。
6/19 合体?BAに白い取り巻きができている。
合体と同時にBA後方にメタンブライトの白斑が出現。
7/06 BA後方のSTBレムナントが活発化、暗いベルトに。

・メタンブライトの白斑後方に、後退する暗斑群がある。
南赤道縞攪乱の構造に似ている?
その後STBが濃くなっている。

BSEB攪乱

18日朝に淡い暗柱の様な模様があると報告があったが、これは暗柱ではなかった。
が、攪乱の「種」になる可能性があるので注意する必要はある。
この模様は、昨年SEBに何箇所か出現していたバージの名残。

2007年の攪乱の際は、バージの位置に白斑が出現した。

バージの位置に「リースの仮説」の発生源が重なった時が、怪しいかもしれない。
8月頭、体系II=90°付近にリースの仮説、発生源Cが到達。
10月、体系II=180°付近にリースの仮説、発生源Bが到達。

例会の様子


3 最近10年間のシーイング累計(横倉)

観測の際、毎回恒星を導入してシーイングを測定している。
最近10年間でのシーイング5/10以上になった日数をカウントし、統計を取ってみた。

シーイングが5/10以上になった観測日の割合(5/10以上の日数/全観測日)

2000年 32.6%
2001年 48.3%
2002年 49.5%
2003年 51.4%
2004年 36.2%
2005年 33.3%
2006年 22.5%
2007年 34.0%
2008年 22.9%
2009年 58.7%
 

4 高感度CCDによるメタンバンドの撮影(山崎)

  1940年代から木星観測をされていた、宮崎県出身の薦田一吉さんを紹介する番組を上映。
SONYの高感度CCDチップ、ICX618を使ったCCDカメラFlea3を使ってメタンバンド撮影をしている。
フィルタはBadder製の889nm、半値幅8nmを使用。

・ピントはIRフィルターで合わせる。
・あまり拡大はせず、露光時間を短く。
・メタンバンドの画像で検出できる模様の数は限られているが、数が少ない分画像を解析しやすい。
・立体的に木星の模様をイメージできるようになる。
・Wesleyさんの画像と比較するとコントラストに顕著な違いがあるが、これはフィルターの半値幅が影響していると思われる。

例会の様子


5 イースター島皆既日食(石橋)

  石橋さん撮影の皆既日食の様子を上映していただいた。

例会の様子


6 次回例会

2010年9月26日。 多摩市民館第1会議室にて。

*その後二次会が行われ14名が参加。さまざまな情報交換がされた。

例会の様子
例会の様子
例会の様子



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