月惑星研究会例会通信 No.149■ 日時:2012年11月18日(日曜) 13時−17時 ■ 場所:川崎市多摩市民館(向ヶ丘遊園) 第1会議室 ■ 出席者(計34名)敬称略
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■ 内 容 1 自己紹介
2 黙祷 11月3日に亡くなられた山田真裕氏のご冥福を祈り黙祷。 3 木星面近況(堀川) 10月〜11月の木星面
1.NEBnの白斑NEBからNTBにかけて乱れていたが、ノーマルな状態に戻ってきた。かなり複雑な様相であった同緯度帯であったが、1997年に発生した長命な白斑WSZは生き残っている。今年に入りこの緯度帯には白斑が発生した。便宜的に、経度の小さいほうからWSB,WSA,WSCと名付ける。 WSCの前進スピードがWSAよりも速く、10月31日にこの2つの白斑がマージを開始した。 WSAがやや南寄りWSCがやや北寄りであり、ジェットストリームの位置関係から、時計回りに互いの周りを回るようにマージした。 この緯度帯での白斑のマージの様子としては典型的なものである。 WSBとWSAの2つの白斑も現在マージ中である。 ○質疑 田部:NEBの白班やリフトのよく発生するそのあたりでは雷が起きているのでしょうか。 堀川:恐らくそうだろう。 白斑やバージはリフトと相互作用している。 白斑同士のマージは副次的な現象(バージの発生など)を伴うことが多い。 2.小さくなった大赤斑19世紀の終わりごろ:30度程度1960年-1970年代前半:25度程度 1980年代:18度 2000年ごろまで:15度程度 最近の計測では13度程度にまで小さくなっている。大赤斑はその南北のジェットストリームによって駆動されると考えられ、いつかはCassiniの斑点のように無くなってしまうことが予想される。 経度方向のみならず、緯度方向にも小さくなっているような気がする。特にBAとの会合では、その間に隙間がみられるほどである。 ○Cassiniの斑点:1650年〜1713年 長径は10度ぐらいで、現在の大赤斑よりも小さい。 約+1度/dayで後退していた。 最後に観測された1713年以降のハーシェルやシュレーターの観測には残っていないため、我々は現在の大赤斑とは別物であると考えている。 現在に至るまで観測されている大赤斑は、シュワーベが1831年に観測したものが最初で、赤斑孔を捉えたものであった。 3.永続白斑BA約-0.5度/dayで前進しているため、2年に1度大赤斑と会合する。かつては永続白斑という名前のとおり白かったが、現在は赤味のある斑点となってしまった。 最近のBAは、後方に小さな暗斑と、さらにその後ろにヘニョヘニョとした白斑を従えている。 会合では興味深い現象を伴うことが多かったが、最近は起きていないようである。 小さな暗斑が大赤斑の周囲を回っているとロジャースは言っている。 4.北半球木星全体の印象として、北半球が黄色っぽく、南半球は白っぽい。可視光で見ると何もないように見えても、メタンバンドで明るいメタンブライトな斑点がいくつか存在している。 よく見てみると、可視光では赤っぽく、おそらく大赤斑の親戚のようなものであろう。 メタンブライトな斑点の中には、目で見えるものもあればよくわからないものもある。過去の例としては、メタンバンドでも可視光でも白く見えるものもあったし、白斑が赤斑に(逆も然り)なったこともある。 メタンブライトな斑点については、2009年の木星会議でロジャースの講演で紹介されていた。 4 会の話(田部)これまで例会通信の担当が山田氏であったが、今後は榎本が担当。例会中と最後の集合写真は米山さんが担当。 5 木星会議研究発表募集中。(特に学生さん)6 閃光観測報告川崎(六車)明治大の学生が参加。 D40cm,f5000mmの反射式、カメラはDMKを使用した。 11月3,4,6,7,9,10日に観測できた。 マニュアル操作で楽しく観測できた。 協力していただいた川崎科学館の皆さんに御礼申し上げます。 三鷹(さいとう) モチベーションを高めるために専用の名札を作成した。 雨が降った5日を除き、すべて観測を行った。 透明度が低いときはノーフィルターで行った。 参加者はおもに大学生で、全部で20人ほど。 望遠鏡操作はオート。 今後は自動遠隔観測できるようにしたい。 大学同志で共同観測(高木) 明治大、東海大、理科大で共同観測を考えている。今のところ 12月14日〜16日 12月21日〜23日 を予定している。 カメラはToUCamを予定。 生田(明治大)、湘南(東海大)、三門(理科大)で行うのが理想。 ほかの月惑メンバーにも協力をお願いしたい。 天文春の陣(2013年3月9〜10日)を八王子セミナーハウスで行う。 毎年冬に”天文冬の陣”として行っていたが、諸事情により春に延期した。 会の内容としては、泊りがけで講演会、分科会、観測会、写真コンテストなど。 惑星分科会にて閃光観測の話をしようと考えている。 スペインのソフト(田部) JID(Jovian Impact Detection) Windows XPでも7でも動作する。 取扱説明書はスペイン語のものしかない。 市丸さん(2010年)で演示。とても便利。 7 双望会2012レポート(山崎)望遠鏡を持ち寄り自慢しあう会。年に一度、愛知県の「スターフォレスト・御園」で開催。 参加は80名。 眼視でいかに良く星がよく見えるかが重要なポイントとなっている。 8 書籍の紹介(三品)Springer: Mars and How to Observe itSpringer: Jupiter and How to Observe it Cambridge: Observing the Solar System 円高のうちに購入を。 9 オーストラリアでの日食(石橋)洋上で撮影したビデオの上映。実際に見てみての感想: ストリームが全体に伸びているように見えた。内部のほうは大人しい印象だったという人もいた。 10 次回例会会場の手配が出来るか不明だが、2013年1月6日(日)を予定。(詳しくは後日連絡)○例会終了後はいつもの「ちゃすけ」にて懇親会。情報交換や活発な議論が繰り広げられた。 |
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