月惑星研究会例会通信 No.150

■ 日時:2013年03月31日(日曜) 13時−17時

■ 場所:川崎市多摩市民館(向ヶ丘遊園) 第1会議室

■ 出席者(計36名)敬称略 

鈴木達彦、永田駿介、唐澤英行、小澤徳次郎、米井大貴、吉田順平、石橋力、友田孝久、
平林勇、高橋徹、高橋和平、堀川邦昭、山崎明宏、米山誠一、鈴木彩奈、細谷美和、
宮田功太郎、秋山敬祐、戸塚一、柴山大顕、井守結子、神原永昌、豊永洸大、三品利郎、
成田広、東海林千尋、高木健太、原田淳司、御神本慶太、高倉潤、増田健汰郎、齊藤美和、
田部一志、諸岡等、栗原工、榎本孝之
集合写真


■ 内 容

1 自己紹介

鈴木達:
パンスターズを見た。夏風邪がなかなか治らなかったり足にイボができたりでなかなか外出出来なかった。車の事故にもあった。
永田:
関西支部に入った高校生。超新星もやっていて昨日は山形に行っていた。鳥取のシーイングは悪い。20cmC8とDFKで撮影している。  
唐澤:
木星会議は欠席してしまった。今年も観測報告は1回しかしていない。  
小澤:
天候が悪いので週に1回程度しか観測出来ていない。  
米井:
桐朋高校2年。3月24?26日に地学オリンピックの日本本選に出たが上位には残れなかった。話題になっている事を勉強したがヤマが外れた。そろそろ大学受験なのでがんばりたい。  
吉田:
桐朋高校1年、堂平にパンスターズの観測に行った。よくとれたので高校の文化祭に出すと思う。是非来てください。  
石橋:
1月頃から気流が悪い。日食ビデオの編集をやっていて悪戦苦闘している。  
友田:
2年ぶりに参加した。勉強して帰りたい。  
平林:
9,10月と体調が悪かったが、12月もあまりよくなかった。シーイングが良くない。天文ガイドの最優秀賞をとったので、プリントしたものを後で回します。パンスターズは割と明るかったと思う。これまで明るいめぼしい彗星は見て来た。  
高橋親子:
明治大OBと小学生の息子。二人で木星を見ている。息子が塾に通い始めたが理科の問題が意外と難しい。  
堀川:
放置状態だった望遠鏡のモーターが直った。タカハシの外付けのモータードライブを付けた。2月からシーイングが悪い。  
山崎:
パンスターズ彗星はちゃんと見る事が出来た。最近はシーイングが悪い。アベノミクスの影響か、年度末の仕事が忙しい。  
米山:
1月11回、2月4回、3月5回観測した。パンスターズは見る事が出来た。木星は自宅の屋根に隠れて終わり、土星は低い。4月1日から再雇用された。  
鈴木:
明治大学天文部、最近入ったばかりで右も左もわからないけどよろしくお願いします。  
細谷:
明治大学1年、彗星をみた。新入生向けの班紹介などの仕事にいそしんでいる  
宮田:
明治大学1年、惑星班長になった。木星会議に行った。彗星の撮影方向を当初間違えていた。  
秋山:
明治大学2年、新年度は新入生の名前を覚えるのが大変だ。  
戸塚:
明治大学2年、パンスターズは思ったより写っていない印象だった。閃光観測などを通じ、観測技術の向上をしたいと思っている。  
柴山:
明治大学2年、パンスターズ彗星は撮れなかった。  
井守:
明治大学2年、勉強したい。  
榎本:
理科大OB、宇宙研の近くに引っ越した。  
神原:
理科大2年、理科大は葛飾に新しくキャンパスが開かれる。  
豊永:
理科大1年、学部が葛飾に移るが神楽坂に機材があるので通って観測したいと思う。  
三品:
今年の気流は悪く惑星の撮影が難しいが、せっかく望遠鏡を出したので月を見ている事が多い。パンスターズは方角が分かりにくいので見つけるのが難しい。おかげで低高度の彗星の見つけ方がよく分かった。  
成田:
木星は眼視で見て良ければ撮影しようと思ったが、今年はついに撮っていない。パンスターズを川崎から見ることができると聞いて探した。飛行機雲を撮っている人が多くいたが、説明してあげても腑に落ちてくれなかった。太陽の活動がかなり穏やか。  
東海林:
東海大2年変光星班、新入生にいろいろと教えてあげたいが天気がなかなか優れない。歓迎期が終わったらいろいろとやりたい。  
高木:
東海大3年、パンスターズ彗星の観測会を企画した。飛行機がよく見えた。  
原田:
東海大1年、2回目の参加だがいろいろと勉強したい  
御神本:
東海大1年写真班、昨年度はあまり活動できていなかったので、今年度はがんばりたい。  
高倉:
東海大1年惑星班長、初めての参加で初心者ですが勉強したい。  
増田:
東海大2年生、天候が良くなくあまり観測出来ていない、天文台の倉庫から望遠鏡を発掘した。口径は10cmより小さいが、スケッチ用に使えるかもしれない。  
斎藤(田部):
元理科教師で女子大生。4回目の4年生。3回目の結婚記念日を迎えた。パンスターズはなんとか写真に撮れた。  
田部:
プラネタリウムのイベント、隕石が落ちてきたのも話題になった。喉と鼻の具合が悪くステロイドをもらった。ピッカリングの火星の本を持ってきた。大正13年に出版されたもの。  
諸岡:
天文ガイドの平林会長の写真を見て例会を思い出して来た。  
栗原:
東海大OB。勉強に来た。

2 木星面近況(堀川)

1.NTrZの白班の合体

 NEBの北側に2つの白班があった。説明の便宜のため経度の小さい方からWSA+, WSZと命名。
   ○   ○
   WSA+  WSZ
 WSA+はもともとWSA,WSB,WSCの3つが合体したもので、またWSZは1997年から16年間生存しているこの緯度の主、古株、親玉的存在である。

 ■1月31日から2月10日までの観測
  両者が近づき、WSA+が南, WSZが北に少し移動する高気圧的な渦の典型的な合体の様相を示した。
  WSA+の形成合体の時はあっという間に進行したが、今回はなかなか合体が進展しなかったという印象。

 ■2月13日から2月20日までの画像
  11,12日の観測が無いので肝心な部分が分からないが、13日時点では両白班の位置が入れ替わっていると思われる。
  20日には一つの白班の後ろ側にアーチがかかっているが、そのもとは14日までたどれる。白班にはぎ取られつつもその間にあまり変化の見られない模様だった。
  ドリフトチャートを見ると、WSA+がWSZに引き込まれ後者のドリフトを引き継いでいるようにみえる。従ってアーチはWSA+により形成されたものだろうと考えられる。

例会の様子


 アーチはその後WSZから離れて後退している。3月後半になると消失してしまった。
 WSZは以前より明るくなり、目立つようになった。今後同じように白班が出来ても全て取り込んでしまい、いつしか大赤斑のようになってしまうかもしれない。
 一連の白班の衝突合体は、Williams & Wilson (1988)の数値シミュレーションを見ているようだ。(大赤斑の形成とは過程が違う)

2.NEBの幅

 3月6日の永長さんの展開図をみると、NEBが細くなり始めている部分があるのが分かる。これは今後全体に広がるだろう。
 NEBの幅は4?5年周期で増減するが、南側の位置がほとんど固定されていて北側の位置が変わるだけである。幅変化に際して暗斑や白班が増えて来ている。
 白班の両脇に暗斑がある様子(●○●)をロジャースはtripletと呼んでいる。

3.北半球その他

 NNTBの南側の緯度帯に高速で前進する暗斑群がある。これをきっかけにNNTBが復活するかもしれない。

4.BAの後ろのSTB

 BAの後ろにSTBの後方が緯度の増加に伴って南方にずれ込む構造がある。我々は”床屋の看板構造”と呼んでいる。
 STBは本来濃かったが最近ここ20年くらいは長くなったり短くなったりしている。これがいまBAにぶつかりつつある。
 11月22日の観測ではBAの後ろに小さな暗斑があり、そのやや離れた後方にSTBが位置していた。
 その後STBの前端がBAに接近したが、間にある暗斑と青白い白班が邪魔をしている。また、暗斑の周りに白い縁取りが出来ている。
 BAの前身であるBCもいろいろなものをせき止めて来た。BAはこの緯度帯に大きな影響を与えるものなのだろう。
 これまでもBAの前方で出来た暗斑が伸びてSTBとなっているが、最終的にBAにたどり着き、暗斑となっている。
 どの世代もBAの約60°手前で発生しており、ここ20年ほどは同じような活動が繰り返し起きている。

例会の様子


5.南半球その他

 SEBが安定な状態ではあるが大赤斑は非常に赤く、眼視で見ても輪郭がクリアにみえる。
 SEBの南側に暗斑群があるが、大赤斑に到達して周りを回る様子が見られた。
 この際にブリッジが出来たりちょっとしたストリークが形成されていたが、大赤斑に特に影響は無いようだ。

6.AWO (Anticyclonic White Ovals)

 SSTBに高気圧性の白班AWOがいくつか存在している。
 最近になって白班群の間隔が迫っている箇所があるので合体するかもしれない。

7.SEB内部の薄い白班

 大赤斑の前方にうっすらとした白班が存在しているが、高解像度で見ると実態はよく分からない。
 白班の上に暗い模様が覆い被さっているようなイメージだ。メタンバンドで見てもよく分からず、ミステリアスな模様だ。

3 パンスターズ彗星の写真

 米山さん、石橋さん、さいとうさん、宮田さんから、3月に撮られたパンスターズ彗星の写真の紹介。

4 木星会議の報告(宮田)

 木星会議3日前に名寄入り、観測でも出来ればと考えていた。
 雪がすごかったが屋上にある望遠鏡群を開けてみせてもらった。
 リーズナブルなお値段でコテージに泊まった。
 会議では閃光観測の中間報告、観測風景の紹介を行った。(増田、戸塚)
  三鷹の報告(増田)
  川崎の報告(六車)
  かまぼこ観測所での報告(石橋)
 近況(堀川)
 研究発表
  大赤斑の長径変化(堀川)
  床屋の看板構造の重要性(田部)

5 惑星フェスティバル(仮)(戸塚)

 観測技術を学ぶために、大学生を中心として合同観測会を開きたい。
 座学で学べる知識を得る機会は多いが、実際の観測はやってみないと分からない事が多い。
 ベテランのみなさんの技術を盗む事が出来ればと考えている。
 実際に自分たちの行っている風景を見ていただいて、改善点をご教授頂きたい。
 対象ごとに観測で気をつけるべき点なども知りたい。

6 浅田さんの発表の紹介(三品)

 天文学会@埼玉大学での発表の紹介。
 木星をメタンバンドで観測し、周辺減光の変化を経年追跡しているというもの。

7 Autostakkert2の紹介(山崎)

 Autostakkert2という惑星画像編集ソフトウェアの紹介。Webから無料ダウンロード出来る。
 惑星の拡大率はドーズの限界と照らし合わせて、光学系と惑星ごとに目安を設けている。
 Registaxのような複雑なパラメータ設定の必要がなく、処理が非常に簡単。
 土星の処理と比較的相性が良さそうという印象。

例会の様子


8 天文ガイド最優秀賞をとられた平林会長のコメント

 日頃からねらいや目的意識をしっかりと持って取り組む事が重要です。


9 次回例会

 日程未定

○例会後は「ちゃすけ」で2次会が行われた。

例会の様子

例会の様子


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