月惑星研究会例会通信 No.153■ 日時:2013年10月06日(日曜) 13時−17時 ■ 場所:国立天文台三鷹講義室 ■ 出席者(計61名)敬称略
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■ 内 容 1 自己紹介
2 木星の近況(堀川)A.)初心者向け講座:パターンの説明、木星観測の意義などB.)SEB内部の謎の白班について SEBの内部に謎の白班(渦ではないかも)がある。 B.1) 動き 3月の画像では大赤斑と離れているが、最近接近した。 8月は30°離れていたが、9月に急接近し9月5日には20°程度となり、ひしゃげてbayに合わせるよ うな形状になった。 白斑の後方には赤みのある雲が大赤斑の北に向かって流れている。白斑と同じ色なので、白斑の 中身が漏れ出しているのかもしれない。 謎の白班自体は昨年から存在していて、大赤斑にじわじわと接近していた。 田部氏補足:白班は普通、風がシアーする箇所に発生するがこれはそうではないので「謎の白班」と 呼んでいる。大赤斑の前方では、赤みのある雲が優勢になりつつある。 B.2) 周辺の動向 8月31日、SEB後方の活動領域から白い大赤班北まで筋が伸びているのが見える。 9月後半、筋の領域が広がっている。謎の白班の北側の赤みのある雲と被っているように見える時 もある。 B.3) 特徴 黒い模様が白班の上を横切っているように見えたこともある。(例:3月4日) メタンバンドで明るく見えることもある。 これまでに見たことのない形態の模様で、木星大気に関する我々の知見では説明が困難。今後の 動向を予測するのは難しい。 C.)大赤斑 経度がII=200°を超えた。 近年で最も濃く赤くなっている。いわゆるSEBの濃淡との相関関係とは逆センス。 SEBとの間にブリッジが出来ている。SEBsを後退する暗斑と大赤斑の会合によって形成されたよう だ。 今後SEBが活動的になれば、周囲をアーチが取り囲み淡化すると思われる。 D.)WSZ(NEB北縁、NTrZ南部に位置する長期間存続している白斑) 今年始めに別の白班と衝突があり大きくなった。今シーズンは不明瞭な状態となっている。 高解像度の画像には内部に薄暗いものが見えることもあり、これがこの白班の実体なのだろうと思 われる。 前方にバージがあり、接近している。このバージはもともと2つあったが接近して衝突した。 ただし9月20日の画像までは2つに分離して見えており、お互いの周りを回っている可能性がある。 このバージに接近したことでWSZの前進スピードが遅くなったかもしれない。 E.)BA(永続白斑)とSSTBの小白斑群 BAは後方から衝突したSTBのレムナントによって前進スピードが上昇した。これは過去の傾向と同 じ。 BAの南側にあるSSTBの小白班群は、A7とA8の間に1つ増えて10個になった 質問:BAは成長しているのか? -> いまのところ衰退しているようには見えないが、将来的には衰退するかもしれない。 3 村山先生のインタビュービデオの上映(田部、30分)亡くなられた村山先生を偲び、2003年の火星大接近前のインタビュービデオのダイジェストが上映さ れた。4 閃光観測に向けた打ち合わせ(田部)11月12-18日に三鷹、西はりま、川崎で集中観測を行う。その他観測所等からも協力有り。 5 月面衝突閃光(友田)LADEEという月周回ダストを直接観測する衛星が打ち上げられる。高感度のカメラを使える人は、地上からも観測キャンペーンに協力して頂きたい。 6 バリンジャー・クレーターのパノラマ写真(石橋)村山先生と行った際のパノラマ写真。今は下に下りることが出来ないため、中からの写真は貴重。7 番宣(明治大天文部)『クイズ100人力』という番組に明治大学天文部のメンバーが出演する。放映日程:11月2日17:30- 是非ご覧になってください。 8 次回例会未定(12月上旬が目安)○例会後は調布駅前の居酒屋で2次会、活発な交流が行われた。 |
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