月惑星研究会例会通信 No.157

■ 日 時 : 2015年1月25日(日曜)13時−17時

■ 場 所 : 船橋市視聴覚センター5階 視聴覚ホール

■ 出席者 : 20名(敬称略) 

石川和樹、石橋 力、榎本孝之、小澤徳仁郎、齊藤美和、鈴木達彦、田部一志、
戸塚 一、戸次遥香、縄田景太、橋野英嗣、堀川邦昭、三品利郎、三谷祥二、
三盃毅知、三宅 歩、山崎明宏、吉田駿平、米山誠一、龍華良典
集合写真


■ 内 容

1.自己紹介

  自己紹介は、個人情報保護の観点により削除しました。

例会の様子


2.木星の近況(堀川)

  1)この数ヶ月で木星面の様子はかなり変化している。特に大赤斑周辺の変化が大きい。
   昨年の秋頃は、大赤斑が剥き出し状態だったが、大赤斑の後方に暗斑が発生し、それが崩れるように
   大赤斑の南をアーチ状に縁取る様に変化した。アーチ状の縁取りは一旦消えたが、再生している。

   大赤斑の南を流れるジェットストリームは通常後方に流れるが、その流れが大赤斑の後方で淀み、
   大赤斑の北側を反転したことにより縁取りとなっている。その縁取りは大赤斑前方にストリーク
   として伸びている。この流れは大赤斑周囲を流れる循環気流が原因と思われる。
ジェットストリームの流れの変化

大赤斑周辺の変化

   2000年7月に同じ様な現象が発生し、4ヶ月ほどストリークが何度も伸びていた。
   最終的にはストリークが暗斑になり、SEBsを後退して大赤斑に取り込まれた。
   循環気流が強まるのは大赤斑の回転速度の増加が原因と思われる。
   循環気流が強まると、大赤斑後方のSEBの活動が弱まる様である。
   大赤斑の循環気流が強まった時期には、大赤斑の後退速度が弱まり、同じ経度に留まる傾向である。
大赤斑の経度変化

  2)昨年の9月に大赤斑の南をBAが通過した後、BAの前方に伸びた暗斑列(青黒い)と大赤斑前方に
   ストリーク(赤茶色)が前方で合流しているように見られる。

  3)大赤斑前方にあった謎の明部は、昨年の10月以降やせ細り、目立たなくなっている。
   その代わりにSEBnが明るくなっている。

  4)SSTBの一部は中央が明るくなり、南北に分離している様に見える。
   EZのフェストーンは活発な状態が続いている。

  5)NEBは若干太くなっているが本格的に太くなる様子は見られなし。
   NEBnの白斑WSZは赤味が失せて居り、前進速度が低下している、

  6)NTBは淡化している。NTBの一部がNNTBと一体化している様に見れる。

  7)今シーズンもGRSとその周辺に注意が必要とのことでした。

3.ダミアンピーチが作成したDVDの紹介(三品)

   DVDの内容は各種ソフトの使用方法の説明でした。ダミアンピーチは画像処理にAutoStackkert、
   WinJupos、PhotoShopを使っている。説明中のAVI画像では、木星面の変化がほとんど無く、
   シーイングは相当良さそう。木星像が動くのは、経緯台による追尾が不完全な為と思われる
AutoStackkertによる処理の説明

Registaxによる処理の説明

    

4.火星の名所紹介の第4回目−極冠の話(三品)

   楕円軌道の火星では、北半球の夏は太陽から遠く、南半球の夏は太陽に近い。その為、
   北極冠と南極冠の様子は大きく異なっている。
火星の軌道、Lsと火星の表面温度

火星の軌道とLs

Lsと火星の気温分布

南・北極冠の比較

   北極と南極は地形が大きく異なっている。南極は高地で起伏が激しく、北極は平原。
   北極の平原は太陽系誕生の初期に、火星に巨大な小惑星が衝突して出来たとの説がある。
北極の平原がなぜできたか

小惑星衝突説
   この説は、2008年の6月、ネイチャーに論文が掲載され、ネイチャーのWEBニュースでも、
   衝突のアニメーションと一緒に公開された。

5.双望会(そうぼうえ)の紹介(山崎)

   双望会(そうぼうえ)は、巨大な望遠鏡や工夫を凝らした望遠鏡の展示会。参加者80名限定の
   展示会で、一般見学者は参加できない。申し込みは先着順で、短時間で満員となる。
   会の名前の如く、双眼望遠鏡や双眼式の望遠鏡が多い。

双望会(そうぼうえ)レポート
   1)私の12.5"  Dall-Kirkham望遠鏡+Losmandy Z赤道儀
私が持ち込んだ望遠鏡
   2)10” ALTER-N + 乾燥空気循環機構
双望会で見かけた望遠鏡1
   3)Ninjya 400 初音ミク仕様
双望会で見かけた望遠鏡2
   4)66cm 自動導入ドブソニアン
双望会で見かけた望遠鏡3
   5)40cm フル自作クラシカルカセグレン
双望会で見かけた望遠鏡4
   6)無茶苦茶見えるHαダブルスタック望遠鏡
双望会で見かけた望遠鏡5
   7)双望システムの感想
双望システムの感想

6.今年の閃光観測(田部)

    初めての学生に木星の閃光現象を説明。
    今年の閃光観測は3月3日から8日を中心に北海道の名寄天文台、石垣島天文台、
    川崎市青少年科学館の3ヶ所で行う予定で、明治大学と東京理科大学の学生が参加の予定。
    2月15日(日)の13時−17時に川崎市青少年科学館の学習室2で事前打合せを実施予定。
    

7.今年の木星会議(龍華)

    今年は、明治大学と東京理科大の天文部が中心となって運営する。
    明治大学の生田校舎で9月に開催予定。開催日は9月12、13日が第1候補。

8.その他

    次回例会は4月12日の予定。会場は未定。

2次会:東船橋駅北口の魚民(14名)

    2次会で、次回木星会議に、Damian Peach、Christopher Go などを旅費の一部を
    補助して呼ぼうという案が出されました。月惑星研究会には、2万円くらいの貯金
    (月惑の剰余金10万、木星会議残金2万)があるとのこと。また、木星会議の会場費が
    かからなければ、木星会議参加費の多くを招待者の旅費にあてられ、相乗効果で参加者が
    多く集まれば残金も出る可能性もあるとのこと。
二次会の様子


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