月惑星研究会例会通信 No.171■ 日 時 : 2018年7月1日(日曜)13時−17時 ■ 場 所 : 明治大学生田キャンパス第二校舎5号館5203教室 ■ 出席者 : 28名(敬称略、参加者一覧順) 鈴木 光枝、堀川 邦昭、石橋 力、長瀬 雅明、諸藤 亮、吉田 順平、米井 大貴、大和田 篤、 森谷 諒、高橋 徹、恒川 穂乃佳、小河 萌、平 結衣、宮澤 紀希、鈴木 孝偉、小林 諒、 山脇 諒一郎、本島 蓮、小山 誠也、平松 明秀、成田 広、米山 誠一、水元 伸二、三品 利郎、 鈴木 重則、鈴木 邦彦、小澤 徳仁郎、岩政 隆一 |
■ 内 容 1.自己紹介詳細省略 2.2017〜18の木星/トピックス(水元)1)STr Disturbance(南熱帯攪乱)の消失とその後 ・01_2017-2018_STrD-8-10(PDF) ・02_2017-18_STrD_L(GIFアニメ) ・大赤斑(GRS)に阻まれ停滞中のSTrD前端にSTrD後端が到達 → STrD消失(2018/6/2頃) ・循環気流(Circulating Current)前端がGRSに到達(2018/6/4頃)→ 循環気流消失? ・白雲がGRSの南側を通ってGRSの前側へ急速に移動(2018/6/7~11) ・GRS前方のSTrBから垂れ下がるような暗部発生(2018/6/11~12) ・上記暗部は徐々に前進し暗柱化傾向.暗部とGRSの間は明るい(2018/6/14~28) ↓ ・STrD復活? or GRS前方に循環気流消失に伴う高気圧的渦発生? ・今後の推移を注視 2)ハッブル宇宙望遠鏡(HST)画像 ・03_20180417_HST-OPAL(GIFアニメ) ・2017/04/17 01:15〜09:39 UT ・2017/04/17 10:47〜17:36 UT ・上記の約半日を隔てて撮影された画像からGif動画を作成 ・詳細は下記参照 ・https://archive.stsci.edu/prepds/opal/ 3)Juno PJ13(2018/05/24) 動画 ・04_PJ13_G-Eichstat.mp4(MP4動画) ・Juno PJ13で撮影された画像からGerald Eichstatにより作成された動画 ・Juno PJ13画像の解説は下記参照 ・05_Juno at perijove-13_JHR(PDF) 3.木星の近況(堀川)(1)南熱帯攪乱の消失 ・南熱帯攪乱の前端がRSに遮られて停滞する間、後端は定速で前進(-0.7°/day)。 5月末に前端に追いついた。 ・1本の暗柱となった攪乱は徐々にやせ細り、6月初めには消失してしまった。 ・RS前方のSTrBに名残のような暗部あるが、現在のところ攪乱は再生していない。 (2)熱帯攪乱の消失後、RS前方のSTrBにくびれのような暗部出現。攪乱名残の高気圧的な渦と 思われる。 ・4月頃にBA北のSEB南縁に発生した暗斑群がSEBsのジェットストリームに乗って後退、6月末に 「くびれ」付近に到達。 ・「くびれ」とSEBsの暗斑との相互作用により、循環気流が再形成されれば、南熱帯攪乱が 復活するかも!? (3)SSTB AWO合体 ・SSTBに見られる9個の高気圧的白斑(AWO)のうち、A6とA7が合体。 ・2018年4月末にA7がBA南を通過後に加速、ドリフトは-1.6°/day(9h54m35s)に達し、 SST Currentとしても異常な値。 ・5月半ばにA6に接近、。5/24頃から合体始まる。 ・合体後の白斑は以前よりも大きく明るく見える。 (4)NNTZの高気圧的白斑の合体 ・NN-WS-4は2003年から存続する長命な白斑。もう一方は今シーズン形成された新しい白斑。 ・2月に一度接近したが離れ、20°前後の距離を保っていた。 ・5月に入り再接近し、25〜26日頃に合体。 (5)SSTBとNNTBで白斑が合体していた5月24日に、JUNOが13回目の近木点通過(PJ13)をした。 残念なことにJUNOの軌道はどちらの白斑からも離れていたため、観測はできなかった。 (6)その他の状況 ・EZ北部が薄暗く黄土色に見える。EZの暗化/着色は2012年以来。顕著な男らしいfestoon多数あり、 EBも濃く太い。 ・RS後方でpost-GRS disturbanceが活発になり、SEBsの暗斑も増えた。このような活動はSEBを濃化 させる。一方、SEBは全体として淡化が進んでいて、今後どうなるか予測ができない。 ・NEBは北縁が淡化して細くなりつつあるが、進行は止まっているようだ。バージや白斑は減少傾向。 堀川氏の解説資料(PDF) 4.火星の近況(三品)三品氏の報告内容は以下のリンク先に掲載されています。 ・火星の近況 5.惑星撮影に関して(岩政)・最近のDust Stormに覆われた火星を撮影した画像をMGS(Mars Global Surveyor)から得られた 高度データと比較することで、Dust Stormが火星面の低い部分に流れ込んだり、クレータの中に 入り込み、低地の姿やクレータの姿を浮かび上がらせている様子が判り興味深い。 ・撮影した画像と火星のグリッド画像と合成することで火星面のMGSのマップと経度・緯度を参照できる。 DustStormの状況が把握しやすい。 画像クリックでフルサイズの画像が表示されます。 ・常の画像処理ではR/G/Bの画像とフィルタ無しのL画像を合成してL/R/G/B画像に仕上げているが Dust Stormの状況が判り易くなるため、色味が視覚とは異なるが、例外的に赤外画像をL画像として 合成したIR/R/G/B画像を加えている。 ・火星の撮像では、輝度の高いリムの部分に回折効果で擬似模様が発生し易い。発生条件も様々で 低減は一様にはいかない。リムの白い雲などは忠実な再現は難しい。 ・火星の高度が20度を越えると十分撮影可能で、天候とシーイングが許せばその時刻から夜明けま頃まで 撮影している。 1ショット60秒でL/R/G/B/IR5枚の1セットに5分、1時間で最大10セット撮影し、シーイングが良い 時間帯の、L/R/G/B/IRのセットを選んで報告画像に仕上げている。 処理の手間の削減のため、ある程度自動化しているがシーイングが悪いと処理条件の設定が一定では なくAutostakkert、Registaxともに最適条件を決めるためのトライアルに時間がかかる。 ・土星は、数多くの画像をWinJuposのDe-rotation処理で合成し、ノイズ低減を図っている。 B画像が弱いので、透明度が良い時に良い画像が得易い。 画像クリックでフルサイズの画像が表示されます。 ・今年は火星の観測およびその画像処理に時間がかかっており、木星の観測が少なくなってしまった。 木星は2セット程度の撮像で、RGB画像の模様合わせに手間を掛けている。 ・筒内気流の改善に関して、今は14”シュミットカセグレンの背面セルにペルチェ素子による冷却を 行ない間接的に主鏡を低温にしている。当初は筒内気流の循環・排気を行い、次にスポットクーラー での鏡筒全体の冷却等の実験を行なった。それぞれの対策に効果はあり、鏡筒を設置する環境などを 考慮して対策を選べば良いと思っています。スポットクーラーで冷やした場合は、冷却を止めた後の 温度バランスが課題。撮影中も冷却を継続できる現在のペルチェ素子による冷却が理想と考えている。 岩政さんのブログ 6.月惑星研究会のサイトに関する個人情報保護面での問題提起(長瀬)・個人情報保護法がH29年5月に改定され、以前より適用範囲が大幅に拡大され、月惑星研究会の サイトにも影響があるのではと感じて調べた。 ・結論としては、個人情報保護面では大きな影響は無いと考えてよい。学術研究を目的とした 団体には法律の適用は除外されるとの但し書きがある。 ・しかし、サイトには報告者の個人情報や例会の報告で参加者の自己紹介や顔写真が掲載されて いるので、個人情報保護に関しての対応は必要と思われる。 ・天文学会や同好会のHPを調べると、国内のサイトの多くは注意を払っているとは思われない。 しかし、米国ALPOの英国のBAAのHPでは、それなりにプライバシーポリシーを掲載している。 ・日本の天文学会や川崎天文同好会などのサイトでは、データを公開する場面とメンバー間で連絡を 行なう場面を分けている。月惑星研究会のサイトではこれらが混在している。 個人的な情報が掲載されている情報の公開はメンバーなどアクセス者を限定する必要がある。 メンバーのブログもブログ自体は運営者が匿名なのに、運営者が判る形で掲載されている。 ・月惑星研究会のサイトの運用ルールが記載されているが、記載量が多く判り難くなっており、 また、英文の記載が和文の記載と異なっており、和文で記載されていることが英文に記載されて いない部分もある。 ・以下に長瀬さんが作成された資料をリンクします。 個人情報の取り扱い−1(PDF) 個人情報の取り扱い−2(PDF) 7.次回の例会日程次回の関東地区例会は、現時点では未定。日程が決まり次第、メーリングでお知らせします。 なお、10月13日(土曜)、14日(日曜)に米子高専で木星会議が開催されます。 第41回 木星会議 2018 米子 2次会:懇親会向ヶ丘遊園駅近くの寿司屋で12名参加の懇談会でした。 |