月惑星研究会例会 1992年12月20日(日)於 烏山区民センター ◎参加者 渡辺(日大理工、分科会長)、平野(理大)、岡村(理大)、秋山(東海大)、 佐野(東海大)、関口(千葉天体写真協会)、高橋(明治OB)、白木(日大 理工)、村井(日大理工)、竹内(九大)、田部、堀川、長谷川、小倉(日大 文理)、山口正博(工学院)、石橋 ◎火星近況 (小倉) 北極冠がいびつな形 火星の春分(Ls=0)のころ 白木   CM350付近 (De 10度)ぐらい   朝の方の縁が目だつ(霧?)。 小倉 シルチス北部がやや淡くなった(?) 小倉   付け根の部分は濃い。 ソリス 充血している。白目のところに血管が.... シレーンの海   思い込んだら試練の海を... 大ダストストームは起こっていない。   火星通信によれば小さなストームは起こっているらしい。 ◎木星近況 (堀川) 大赤斑のCMT Date(1992) center ========================= 12/4 39.6 繭山 10/31 37.1 堀川 11/12 37.5 堀川 11/24 37.6 堀川 12/18 38.2 堀川 STBの状況  大赤斑の後方でSTBに濃いところ(dark section)がある。シーイングが悪い とのっぺりとしている。 12/18 55.2 dark section p.  この部分の暗部は昨シーズンのBC-DE間のshade部分が発達したのか(?) 92/7に濃くなった(堀川)。  大赤斑周辺から前方は全体的にSTZBも含めてshadeされている。このあたり にBC, DEが存在するらしい。  DE center 12/18 52.2 堀川  大赤斑前方STBもSTBZBも淡い。大赤斑前方からSTrZにdark streakが伸びて いて、STBnにつながっている。 150-180付近にdark section FAの後にあるやつ。去年から存続 STB dark section 252.1-277.5II(堀川CMT、12/5)   240-290II(繭山スケッチ、12/8,12/13)   これも昨シーズンからモヤモヤした模様があった。それが発達した 可能性あり。 STBについてのまとめ  STBは全周でshadeされている。  dark sectionが3つありSTBが復活傾向にある。  STrZが白くなったので相対的暗く見えているのかもしれない。 大赤斑について  昨シーズンより少々淡くなったようだ。(堀川)  赤みが強い(ピンクがかっている -- 石橋) NTB  40II付近より後方で濃い。(白木)  100II後方で北組織が垂れ下がって太く二条になっている。(堀川)  130II前後は太くて二条になっている。(繭山) SEB 北組織は淡いが存在する。  南組織は淡くて見えない。  12/16 120II前後で見えた。(堀川、小倉)  SEBZ-STrZは白さを増した。  IAUCに載ったSEBの温度変化の話。 Orton(JPL)が10/26にIRTFで行った18micronの観測では、SEBの温度が それまで低かったのがNEBと同じ程度にまで復活した。これは前回の SEB撹乱の前にも見られた現象であり、6-9ヶ月以内にSEB撹乱が発生 するかもしれない。 NEB  濃淡があり活動的。 ◎Hideの定理の木星型惑星への応用 (竹内) 観測事実 木星・土星:  赤道で正の方向の風 eastward jet(西風) u > 0 天王星・海王星:westward jet(東風) u < 0 Hideの定理  大気中での流体の自転軸のまわりの角運動量の極大値は、ストレスの存在す る境界面上の東風(u<0)の領域にしか存在できない。また角運動量の上限は赤 道におけるΩa^2である。(Ω:自転角速度、a:惑星半径) これを内部(下層)に帯状流Uが存在する場合に拡張。U が十分大きい正の値 をとるならば、大気層が西風であっても、そこで 角運動量Mの最大は可能とな る。木星、土星は内部の帯状流が存在する。天王星、海王星では内部の帯状流 を必要としない。 Hideの定理が  木星・土星では成立しない。   木・土と天・海の違いは何か? 拡張Hideの定理が  木星・土星では成立する。   何故内部が運動するのか? 拡張されたHideの定理を支持する研究  L??? & Dowling 海王星のGDS Dowling & Ingersoll 木星 GRS 否定する研究 Voyager mean(u'v')とdu/dyが正の相関。渦がジェットに運動量を輸送して いる。ただし、測定結果に疑問もある。 (du/dyとdM/dyとの相関は違うのでは?)  詳しくは竹内氏のメール(KPMBBSにも紹介済み)参照。 ◎CMTフォーマットの話 (長谷川)  前前回の例会で提案してCMTファイルフォーマットの修正案を報告。次回例 会までにフィックスして運用に入る。  配布資料参照。 ◎太陽系科学シンポジウムの報告 (長谷川)  11/30に宇宙研で行われた太陽系科学シンポジウムで赤外2.12micronの水素 吸収バンドでの木星のイメージの解析について発表を行った。その簡単な報告。 ◎横浜海賊堂より新刊案内 (堀川) B.M.Peek "The Planet Jupiter"の第12章南赤道縞と南熱帯の訳の配布。 ◎忘年会 つぼ八にて