月惑星研究会例会(1998年12月13日)  場所:世田谷区立烏山区民センター3F第3会議室  出席者:鈴木達彦、藤由嘉昭、佐藤宏樹、栗原工、後藤真澄、橋本千尋、      佐藤幹哉、佐藤智子、田部一志、関口俊夫、堀川邦昭、長谷川均、      小山田博之、碧川哲也、平林勇、鎌塚英典、唐沢英行(17名) 1 しし座流星群について   鈴木(富士山)、田部(伊豆)、佐藤夫妻(河口湖)、堀川(三浦半島)、   長谷川(清里)、平林(北富士)、その他(自宅)で観望。思った程の   出現ではなかった。府中天文同好会の竹本宗一郎がIIで撮った4h13mの   火球に伴う痕のビデオを鑑賞。藤由氏より全般的状況と今後見られる(この   日極大を迎えた)ふたご群、来年1月3/4日のしぶんぎ座流星群の解説。   ■ しぶんぎ(りゅう)座流星群   1999年1月3〜4日、月があり条件最悪、23時〜1時くらいまでに   何か芸(火球を見せるとか、超長経路の流星を飛ばすとか)を披露する可能性   がる。   ■ しし座流星群   1999年11月18日12時(ヨーロッパで出現の可能性あり)   数時間早まると日本でも大出現が見られるか?   1999年11月17日5時頃(藤由氏の予測)    2 木星面近況(堀川)     2-1 永続白斑 BE 10〜11月初めは比較的明るく白かったが、11月半ば以降は未確認。    BE〜FAは接近中。シーズン始め7月には〜40°、11月には〜35°。    来シーズンもしくは来々シーズンに合体してBAへと進化するか???  2-2 mid-SEB Outbreak 後端位置 9月 〜270°に明るい白斑        10月 200〜210°あたりが後端か?    活動領域が縮小(150°->90°くらい)    図-1 図-2  2-3 NEB barges 昨シーズンから永続している可能性のあるbargeは250、260、350、140°    付近にあるもの。  2-4 南半球       図-3  2-5 大赤斑(Red Spot)    RS前方にdark streak D.Parker氏の写真では11月22、23日まだ消えていない。    RS南方のアーチはやや淡化。リム付近でもRSの輪郭は良く見える。(平林) 3 天王星の環(長谷川)[planet MLより]      天王星の環に関する論文を読んだ。   論文は、   Baines, K.H., Yanamandra-Fisher, P.A., Lebofsky, L.A., Momary, T.W.,   Colisch, W., Kaminski, C., 1998,   Near-infrared absolute photometric imaging of the Uranian system.   Icarus 132, 266-284.  以下、その論文を読んだ際のメモ。 観測 NASA/IRTF NSFCAM (256x256 pixels) 0.15arcsec/pixel uly 10, August 10, Spempember 16, 1995 PSF 0.6 - 0.8 arcsec 以下の4つのバンドでのイメージング観測から天王星系の絶対測光を行った。 J(1.27μm) H(1.62μm) H'(1.73μm) C-H伸縮による吸収バンドに関連する。 K(2.20μm) 可視の分光データと合わせて、 リングシステムからは、 水、アンモニア、炭化水素系の吸収は見られなかった。 可視より近赤外領域で50%ほど明るく、これはチャコール、 炭素質コンドライト(Murchisonいん石)、Iapetusの暗い領域と同じ スペクトルを示している。 近くの衛星から破片のメタンの氷、炭化水素系の氷が荷電粒子、 あるいは光化学反応によって変性を受けて生成された有機物であろう。 さらに1.0μm付近に吸収と思われる特徴があることから、シリケイト (pyroxene, not olivin)も含まれている。Idaのスペクトルとよく似て いる。 衛星の測光から、 Miranda, Titania, Arielには1.5μm付近の水の氷の特徴が見られる。 C-H化合物の氷(メタン?)のものと思われる特徴も見られる。 フラットなリングのスペクトルとは明らかに違う。 天王星本体は、 緯度方向に対流圏の雲の構造の違いがあり、南極地方にエアロゾルによる 極冠が見られるが、全球的な成層圏ヘイズとは強いコントラストを見せ ている。 というような内容。 これを見て感じたことは、天王星のリングのスペクトルはまだ得られていないこ とでした。「すばる」の観測対象としてうってつけです。ちょっと調べてみよう かと思っています。CIAO では分光できないんだっけ? 天王星本体を隠して分光 できればけっこう世界のどこでもできないデータが得られそうです。分光ができ ないなら、IRTSによる分光ですね。リングのサイズはけっこう大きいから普通の スリット分光でもじゅうぶんかもしれない。海王星のリングも行けるかな。 1μm付近のシリケイトの吸収を確認するだけでも仕事かもしれないし、その他氷 の吸収を見付けたり、リング物質のサイズ分布などもおもしろいでしょう。将来 LMSAで見るのもおもしろい。 ところで、夏に岡山で天王星のKバンドスペクトルを取りましたが、非常に淡かっ たですね。データとして使えるかどうかわからないぐらいのものでしたが、あれっ て、本体およびリングのスペクトルを見ていることになりますが、うまく分離で きれば、おもしろい。がんばってやって見る価値もありそう。 もしかしたら30cmクラスでもメタンバンドフィルターを使えば写るかもしれ ない。 4 1831-1876の大赤斑(田部)    Uber die Bewegung des Roten Fleckes auf dem Planeten Jupiter Inaugural-Dessertation zur Erlangung der Doktorwurde genehmig von der philosophischen Faukultat der Friedrich-Wilhelms Universtat zu Berlin Von Hans-Hermann Kritzinger(1911 20 Dezember) この文献に1831年以降の大天連の観測について詳しく述べられています。  1831年以前については、1666-1713年にカッシニが観測した斑点、1740年  に一時的に見られた斑点についても述べられています。      1831-1876年の観測数の概略は下記の通りです。   1831-1840 非常に少ない。特に1831-33年頃はかなりこじつけないと追跡          できない。誤差も大きい。   1840-1850 やや増える(複数の観測者)がまだ少ない。位置を追いかける          のには十分な量の観測がある。   1850-1860 かなり多くなって来る。位置は完璧に追跡できる。   1860-1870 赤味が無かったので一般的な興味は引かなかったが複数の国で          連続して観測されている。   1870-    1876年には赤味が強くなり、英米仏露伊などの列強諸国で観測。          日本では全く観測されていない。 5 木星会議について     5-1 収録発行の件   第23回木星会議の残金(61,500円)、22回の残金(12,000)、木星研究   グループの原稿料の貯金(200,000)を元手にして収録を作成する。現在までの   原稿提出者は次の通り(石橋、安達、浅田、竹内、田部、インガソル)、未提出   者(長谷川、唐沢、堀川、伊賀、阿久津、佐藤パタ、佐藤健)。未提出者のうち   長谷川、伊賀、堀川、唐沢の各氏は年内の提出を約束。)  5-2 次回(24回)開催地の件   かわべ天文台の矢治台長が歓迎するとの以降。宿泊予約が取れるのは6ケ月前から。   問題は開催主体がどこになるのか?関西月惑??。かわべ天文台?? 6 次回例会   2月7日(日曜) 多分 烏山区民センター 7 二次会(いつもの場所で)6名出席   月惑に女子高生を呼ぶためにはどうしたら良いか?PASSの件。次回月惑での   論文講読の件について意見交換。 (文責 田部)