1997年6月 7日の木星

浅田秀人・伊賀祐一・堀川邦昭


6月 7日の木星観測です。関西では今シーズンでベストのシーイングに恵まれました。おかげで第II系経度で200〜300°付近の詳細をつかむことができました。

STBはω2=240°付近から南にシフトし、SSTBが後方で濃くなっている。そのSSTBはω2=305°付近からさらに南にシフトしている。本来のSSTBもさらに後方に伸びていて、SSTBが二条に分かれて見えている(浅田、伊賀、堀川)。STBの淡化部は淡いながらも認められる(浅田、堀川)。このSTBが南にシフトする箇所のSSTZに伊賀は白斑を観測している(ω2=237°)。

STrZのω2=197°に白斑が認められる(浅田、伊賀)。この白斑はSEBsの暗斑群の中にあり、SEBsのギャップの様にも思われるが、浅田の6月6日の画像でも目立っていた。この白斑はSEBs Bayとして5月7日に伊賀が観測しているものと同じである(ω2=188°)。

SEBsはω2=240°付近まで暗斑が連続していて、その後方は一定して濃い模様である。SEBnは大赤斑の後方のω2=120°付近から中央組織が濃くなっていて、この様相は330°付近まで続いている。注目すべきは、ω2=309°のSEBZにある経度方向に伸びる白斑である(浅田、堀川)。この白斑は5月26日の浅田のCCD画像(ω2=305°付近)、5月31日の伊賀のスケッチ(ω2=303°)にも捉えられている。

EZは明るいが、festoonが大規模に認められる(浅田、伊賀、堀川)。

今シーズンのNEBnにはいくつかのNotchが観測されているが、ω2=280°付近にはBarge−白斑−Bargeのtriplet構造が目立つ(浅田、伊賀、堀川)。この2個のBargeは木星面上で最も濃く、色は鮮やかな茶色である。このtriplet構造は5月26日以降観測されていて、CM観測から以下の経度が得られている。

観測日Barge-AWhite SpotBarge-B観測者
5/26
282.4
Y.Iga
5/31
284.9
Y.Iga
6/ 5
285.0294.7K.Horikawa
6/ 7274.7283.8292.2K.Horikawa
272.9

Y.Iga

NTrZのω2=235°付近に暗柱(暗斑?)が見え(浅田、伊賀)、浅田のCCD画像ではその直前に淡い白斑を伴っているように見える。

NTBは一様に見えている(浅田、伊賀)。NTZのω2=235°付近にも2本の暗柱が見えている(浅田、伊賀)。暗柱の間には淡い白斑があるのかもしれない。この模様は5月6日と11日の伊賀の観測でω2=205°付近、6月4日の堀川の観測でω2=222°付近に認められているものである。


浅田秀人 (305mm Newtonian, MUTOH CV04 CCD Camera)


※原画像に記入されている日付の 6 June 1997 は 7 June 1997 が正しいものです。

(Left)1997.06.07 17h45m(UT) I=322 II=253

  • SEBsのBay(STrZの白斑)はω2=197°にある。SEBsの単なるgapのようでもあるが、STrZの白斑である。
  • SSTBがSTBとの合流点から後方で濃い。
(Middle)1997.06.07 18h29m(UT) I=348 II=280
  • CM直前のNEBnにNotchとそれをはさむBarがあり、コントラストが顕著。
(Right) 1997.06.07 19h11m(UT) I= 14 II=305
  • CM直前のSEBZ(ω2=309°)に経度方向に伸びるareaがある。小さいが明るい。
  • EZn〜NEBsに大規模なfestoon。昨シーズンと大変似ている。
  • STBは大変淡いが、およそω2=290°付近から見えているようだ。

伊賀祐一 (280mm Schmidt-Cassegrain, drawing)


1997.06.07 17h20m(UT)
I=304.9 II=236.6

1997.06.07 18h20m(UT)
I=341.5 II=272.9

左のスケッチはシーイングが7/10で、今シーズンでベストである。右のスケッチではシーイングが悪化してしまいました。
  • STB〜SSTBへシフトする箇所がCMである。SSTZに小さな白斑(ω2=236.6°)が見える。ω2=300°より後方ではSSTBが二条に分離しているように見える。
  • SEBsは太く、CMから前方には暗斑が連なって見える。
  • EZにはfestoonが多く見られ、EBも見えている。
  • NEBは赤味がある。NEBnのω2=220°付近にNotchが見える。NEBnのω2=280°付近に、2個の暗斑を伴ったNotchが見える。この2個の暗斑(Bargeが正しいか)は、きれいな濃い楕円形に見え、前方の方がやや大きい。
  • NTrZに暗柱があり、さらにNTBにも2本の暗柱が見える。
  • より高緯度の北極近くにもBeltが認められる。


堀川邦昭(160mm Newtonian)

1997.06.07 18h15m(UT)
I=339.7 II=271.1
  • NEBnに典型的なbargeと白斑のtripletがある。
  • bargeは木星面で最も暗く、茶色である。
  • CM右のEZの暗斑は淡く拡散している。


1997.06.07 19h19m(UT)
I= 18.8 II=309.7
  • SEBのCM付近にぼんやりとした明部がある。
  • 形は不明瞭で輝度も低いが、1987年頃に見られた明部と同じようなものか?

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