1997年8月 1日の木星

浅田秀人・安達 誠・忍穂井幸夫・堀川邦昭・小山田博之


1997年 8月 1日の観測

浅田秀人 (305mm Newtonian, MUTOH CV-04 CCD Camera)

1997.08.01 13h26m(UT)
I=214 II= 87
1997.08.01 14h51m(UT)
I=266 II=139


    強調処理を行なった画像
  • BCはRSの前半分を進み、DEが間もなくRS後端に達する。DE〜FA間がさらに開いている。
  • BC,DE間のWSが次第に目立っている。
  • RS後方のSEBsに接するdark-streakは、なお厚みを増しているようで、SEBがNEBより数段太く見えている。Streakの終点はII=130.Streakは眼視ではなだらかな裾野であるが、メタンバンドでは何故かこんもりした山型。
  • NTBがII=70以降で太く、90で途切れている。110から再び見える。
  • NTrZの暗斑はII=65付近および180以降に1個有り。


安達 誠 (310mm Newtonian, drawing)


1997.08.01 13h58m(UT)
I=233.6 II=106.6

  • STB以南のbandのcontrastは極めて低く、今までのようなSSTBが見られなくなってしまった。そのためSSTZの中にある小さなWSは存在がはっきりとつかめないないままになってしまった。
  • SEBZはovalのchain。明るさはものによってまちまちになっているらしい。
  • SEBnのbeltはGRSのhollowと比べ、明らかに間が開いて見える。GRSの前後が通り抜けられるような形。
  • NEBnのbargeはあまり目立たなくなってきており、濃度は低い。反対にnotchは良く目立つ。
  • NNTBは東西にわたり良く見えているが、CM後方ではdark spotがいくつかあるらしい。


1997.08.01 14h42m(UT)
I=260.4 II=133.1
  • SPRはコントラストが低く、何か良くつかめない。
  • SSTZnにWSがある。極めて小さい。
  • STBもよく見るとモヤモヤしているが、目立つものはない。
  • SEBs右端にdark sectionがあるのか?気持ちゴツゴツしている。
  • SEBnn淡い1本のbeltとしてSEBnと二条に見える。
  • NEBsは青味がかってにじんで見える。
  • CM後方のrift状のNEBが見える。
  • NEBnの細いひも状のbeltは良く見える。


1997.08.01 15h40m(UT)
I=295.7 II=168.2
  • STBはかなり濃く思うが、目立った濃淡は見られない。
  • SEBはこの経度では単調で、大きな目立った模様は見られない。
  • NEBsは活発で、青っぽいprojectionが良く目立つ。とりわけ、center右のdark sectionは黒く良く目立つ。直前にplumeが良く見える。
  • NTrZにprojection状に見え、さらにその右にも小さなdark section(dark spot)が見られる。
  • NNTZは明るさの異なるWSがあちこちに散見できる。目立った2個のWSだけ記録する。


1997.08.01 16h20m(UT)
I=320.1 II=192.4
  • SSTB以南はcontrastが低くはっきりしない。
  • STrZには小さなWSがいくつかあるが、目立たないので、スケッチには残さないことにする。
  • CMより右側のEZは左側に比べてcontrastが低くEBなど目立たない。
  • EBはCMよりも前方で見にくくなってしまう。
  • NEBnの左側の2つのnotchは輝度が低く目立たない。
  • NTrZはstreak状に明るい部分が帯のように連続的に見られる。
  • NTBのdark spotは目立つが、急激に気流が悪化しつつあり、よく分からなくなった。
  • NNTBは細くなって目立ちにくくなる。


堀川邦昭 (160mm Newtonian, drawing)


1997.08.01 13h05m
I=201.2 II= 74.5

  • EZ内の模様が少なく淡い。
  • SEBZには相変わらず多くの白斑があるが、シーイングのせいか不明瞭である。
  • NEBがやや細く見える。

忍穂井幸夫 (200mm Newtonian, drawing)


1997.08.01 13h40m(UT)
I=221.8 II= 95.0

  • STBの白斑BCがGRS上方左側にあり、GRS上方をすり抜けようとしている。
  • 白斑DEが大きく白い。GRSの上方後方に差し掛かっている。
  • BC-DE間が狭くなったように感じる。BC-DE上方にも淡いスポット状の部分がある。
  • STBZのGRS後方に白斑状の淡い部分が3ヶ所並んでいる。また、その後方部分も淡い。


報告:安達 誠 (310mm Newtonian, drawing)

展開図をかきました。
描いていて思ったのですが、かなり無理をしているということです。数が足らずあいてしまった部分があるのですが、無理やりにつないだ感じです。あてにはなりませんが、一応作ったというところです。7月18日から19日の2日間のものです。同じ日の堀川さんのスケッチを送っていただいたのですが、WS(notchi)の数が違っていてこれでいいのかと疑問に思っていますが、うそも描けませんからこれでいいかと思っています。堀川さんの了解を求めて二人合作の展開図とすればもっといいものに変身するかもしれません。
カラーのスケッチ
カラーのスケッチを公開していただきましたが、ダイニックの60cmでのカラースケッチもとれました。やはり30cmとは一味違います。つぎのHPの更新には使っていただこうかと考えています。伊賀さんよろしく。
観測で目だったこととして
  • NNTBよりも北のBeltの濃度が低くなったこと。
  • 全体的にBargeの濃度も低下していること
  • NEBが単調になり面白くないこと
  • SEBZのGRS後方の白斑群も不活発になったこと
  • SSTBも濃度が低くなったこと
などを捕えています。詳しくはもう少ししたら報告します。

報告:堀川邦昭 (160mm Newtonian, drawing)

7月末は台風くずれの熱帯低気圧のせいで、1週間ほど欠測となりました。
その後、夏空が戻りましたが、もう一つカラリと晴れませんし、シーイングも梅雨明け頃ほどではなくなってしまいました。

  7/24 14:30UT ω1= 68.8 ω2=  2.5
  7/24 15:48UT ω1=116.3 ω2= 49.7
  8/01 13:05UT ω1=201.2 ω2= 74.5
  8/02 14:28UT ω1= 50.0 ω2=275.0
  8/03 15:55UT ω1=260.9 ω2=118.0
  8/04 14:47UT ω1= 17.6 ω2=227.3
  8/04 16:51UT ω1= 93.1 ω2=302.3
  • STB以南はほぼ変化なし。BCが大赤斑のほぼ真上を通過中。DEとの間は以前より少し広くなった(27分=16.3°8/1)。
  • 大赤斑はω2=62.4で停滞。南半分濃く赤みもある。
  • 大赤斑後方のSEBZの白斑群は相変わらず活動的だが、少しシーイングが悪くなると個々の白斑を分離するのが難しくなる。
  • ω2=300台のSEBZは7/24、8/2、8/4に観測したが、相変わらず1-2個の白斑が見られる。台風による欠測が長かったので、前進運動の確証は得られていない。7/24にはまだ大型の白斑が見られたが、8/4は形のはっきりしない不明瞭な明部で、白斑と呼べるような状態ではなかった。
  • NEBでは7/24にω2=40°付近、8/2にω2=270°付近に顕著なriftを観測したが、追跡できていない。
  • 大赤斑前後のNEBnは淡化が進んでいるようで、ベルトが細くみえるようになり、北縁の小白斑もnotch状に見える。
  • NTZのbargeは目立たなくなり、周囲のshadeと判別が難しい。

小山田博之 H.Oyamada (200mm VISAC, Drawing)


1997/08/01 13:46(UT)
I=226.3 II= 99.3


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