ALPO-Japan: Jupiter Section (May 15, 1998)

1998年 5月15日の木星

浅田秀人・安達 誠・伊賀祐一・池村俊彦・奥田耕司・忍穂井幸夫・堀川邦昭


May 15, 1998

●概況
天候に恵まれず、5月5日以来の観測です。

注目のMid-SEB Outbreakは、木星が低空でもあり、詳しい観測は行なえませんでした。

大赤斑が捉えられましたが、昨シーズンよりもかなり淡く、赤味も薄いようです。また、形もきれいな楕円形をしていない様で、中央部南のみがやや濃いようです。注目の大赤斑の経度ですが、浅田氏の画像からの測定ではω2=63.5、眼視CMTからω2=65.4で、わずかに後退しているようです。

安達氏が指摘しているように、大赤斑直後のSEBZがかなり淡くなっています。4月26日の池村氏の画像では、この明部はもっと後方まで波及しているようです。一方、大赤斑直後のSEBsは濃化部(浅田氏測定ではω2=78と91付近)があります。


浅田秀人 H.Asada (305mm Newtonian, MUTOH CV-04 CCD Camera)

Asada CCD Image JPEG 28KB
Left : 1998/05/14 19h42m(UT) I=206 II= 55
Right: 1998/05/14 20h17m(UT) I=224 II= 73
Asada CCD Image JPEG 23KB
極端な画像強調を適用
木星観測報告 1998/5/14
※5/14の一観測で見られたのは木星全面の1/4程度、RS周辺のみ。
概況:
・全体的な傾向、belt,zoneのバランスは昨シーズン後半と変化がない。
・SEB,NEBのbeltとSTrZ,EZ,NTrZが目立つ。
・RSは明るさ、色彩とも昨シーズンと同様である。
・NEBは細めで、barge,notchが所々見える。
・高緯度の濃度は南北ほぼ等しい。
SPR〜STB:
・STBはRS前方から南へシフトして、II=85付近で途切れている。STZ,SSTBは同じ経度でSTBと平行線を描いている。
・STBのII=45付近、及び55付近に濃部がある。(画像では暗斑状)
STrZ,RS:
・STrZはRS前後とも明るい。RSは明るい橙色で、昨シーズン後半と同じ様子。
・位置は、日の出後に測ったCMTがII=65.4(5/14,29h05m)、画像から求めた値が63.5で、昨シーズン末期より僅かに後退している。
SEB:
・RS直後のSEBsが南側に隆起して、II=78付近で暗斑状の一塊に見えている。
・また、この暗塊のすぐ後方、II=91付近のSEBs〜SEBZにも別の暗塊がある。
・SEBZはRS直前に小規模のW-areaがあり、RS後方はII=70〜100に3連の白雲が見られる。
EZ:
・Festoonはシーズン始めにしては見易く、やや活発な様相である。
NEB:
・太さはSEBの約半分で、NTrZ側にbargeが突き出た様子は昨シーズン末期と同じである。確認したbargeは4個で、位置はII=29,43,102,114(画像より測定)。
・一方、notchは2個で、位置はII=24(画像より測定)及びII=34.6(CMT)。
NTrZ:
・確認した範囲(II=10〜110)で、極めて明るい。
NTB:
・確認した範囲(同上)で、太さはNEBの2/3程度。
NTZ〜NPR:
・NTZ,NNTZの明度は同等で、NTrZに比較すると随分暗い。
・NNTBはdark-section状の部分(始点はII=50,画像より測定)のみ確認できる。

池村俊彦 T.Ikemura (310mm Newtonian, Digital Camera NEC Picona)


No.9 1998/05/14 19:47(UT)
I=204.4 II= 53.5

極端な画像処理を適用


No.10 1998/05/14 19:49(UT)
I=206.3 II= 55.3

極端な画像処理を適用


忍穂井幸夫 Y.Oshihoi (200mm Newtonian, Digital Camera NEC Picona)


Image#7 1998/05/14 18:30(UT)
I=158.3 II= 7.9
NEC Picona 5 Images Composite

極端な画像処理を適用

1998/05/14 18:55(UT)
I=172.4 II= 21.8

Image#8 1998/05/14 19:44(UT)
I=203.5 II= 52.6
NEC Picona 3 Images Composite

極端な画像処理を適用



奥田耕司 K.Okuda (250mm Newtonian, BITRAN BT-01 CCD Camera)


Image#3 1998/05/14 20:01(UT)
I=212.2 II= 61.3
Seeing:3/10 Transp.:8/10

Image#4 1998/05/14 20:09(UT)
I=217.1 II= 66.1
Seeing:3/10 Transp.:8/10

極端な画像処理を適用

極端な画像処理を適用


  • すでに夜が明けている。
  • GRSはだいだい色でハッキリ見える。
  • その他、細部まで見る暇がなく、撮像に取り掛かった。

安達 誠 M.Adachi (310mm Newtonian, Drawing)


No.3 1998/05/14 19:28(UT)
I=194.1 II= 43.1
Seeing:3/10 Transp.:5/5 x360
  • ω2=300°付近のSEBの暗部はよく目立つ。
  • NNTBが全体的に幅が広くよくめだっている。
  • STBの存在は一目見てわかるが,目立つほどの濃さはない。
  • 大赤斑は赤色が感じられない。
  • NEBはセンターのバンドがよく目立ち,全体が濃さの濃い,バンドとしてところどころにBARGEらしきものが見られる。


No.4 1998/05/14 19:42(UT)
I=158.2 II= 51.6
Seeing:4/10 Transp.:5/5 x360
  • SEBSの南側には低いprojectionが見られる。
  • ω2=0°付近のSTrZには淡いshadeがかかっている。
  • EBは幅の広いバンドとしてかすかに認められる。
  • GRS Hollowはやや明るくなっているが目立たない。
  • SEBsはGRSの直後で暗塊となってよく目立つ。
  • SEBZにはいくつものOvalがあるが。形や位置のはっきりわかるものはない。
  • NEBは東西にわたり,安定したbandになっている。


伊賀祐一 Y.Iga (280mm Schmidt-Cassegrain, Drawing)


No.8 1998/05/14 19:23(UT)
I=190.7 II= 39.9
Seeing:4/10 Transp.:4/5 x311
  • 天候に恵まれず、11日ぶりの観測となった。
  • Mid-SEB Outbreakに関係するSEBの模様は見えていない。
  • SEBはSEBsがやや濃く、SEBnは拡散状である。
  • GRSはかなり淡く、赤味も無い。GRSの右上のみがやや濃い。GRSを取り巻くSEBsのBayは明瞭である。
  • STBは細く見え、GRSの南側にやや濃化部がある。
  • NEBは幅が狭く、NEBnは赤味が強く濃いが、NEBsは拡散状である。昨シーズンのBarge-Notch-Bargeのような構造がCM左に見える。
  • NTrZは最も明るい。
  • NTBは二条、もしくはNNTBとして見えている。
  • CMT観測:NEBn Barge Center II=39.9°


堀川邦昭 K.Horikawa (160mm Newtonian, Drawing)


No.3 1998/05/14 19:14(UT)
I=185.5 II= 34.7
Seeing:3-4/10 Transp.:2-3/5 x200
  • ひと月ぶりの観測
  • CM前方のSEBnがやや濃くoutbreakの後端と思われるが、前方の本体は暗くて白斑は確認できない
  • RS淡く赤みもない
  • NTrZがかなり明るいが、NTZは暗くNNTB不明瞭、CM前方ではさらに暗い
CMT観測 (時刻はUT)
2. 1998/05/14 19:17EZ-N DFESTC1187.4


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