ALPO-Japan: Jupiter Section (June 1, 1998)

1998年 6月 1日の木星

浅田秀人・伊賀祐一・池村俊彦・奥田耕司・忍穂井幸夫


June 1, 1998

●概況
大赤斑付近の観測です。浅田氏の報告では、大赤斑の南側にアーチができつつあるようです。また、5月27日の浅田氏の画像に見られた大赤斑後方のSEBZから大赤斑前方への白雲の動きは、見えなくなったようです。

大赤斑の位置は体系II=63〜64度です。浅田氏の5月27日の画像からの測定では64度、6月1日の画像からの測定では63度でした。伊賀のCMT観測では61度と出ていますが、淡い大赤斑と、それを取り巻くSEBsの左右アンバランスな形状の影響が現われてしまいました。

大赤斑後方の体系II=110度のSTrZに、SEBsに湾入する白斑が浅田氏・池村氏・奥田氏の画像に捉えられています。これまでの観測を詳しく見てみると、5月15日の浅田氏・奥田氏の画像、5月20日の浅田氏・池村氏の画像にも写っているようです。

May 15(JST)May 20(JST)June 1(JST)

浅田氏CCD画像 ω2= 73

浅田氏CCD画像 ω2= 84

浅田氏CCD画像 ω2= 81

奥田氏CCD画像 ω2= 66

奥田氏CCD画像 ω2= 66

奥田氏CCD画像 ω2= 84


池村氏CCD画像 ω2= 73

池村氏CCD画像 ω2= 79

今日は第IV衛星カリスト本体の経過を見ることができました。南極付近を経過するカリスト本体は、一見影の経過と見間違うばかりに暗いものです。経過の始まりは18h50m(UT)でした。


浅田秀人 H.Asada (305mm Newtonian, MUTOH CV-04 CCD Camera)

Asada CCD Image JPEG 12KB
Original Image
Asada CCD Image JPEG 10KB
極端な画像強調を適用(伊賀)

  • RSを取り巻くアーチは7割方できている。しかし、RS淡化の気配は目下のところ無し。
  • SEBZの5/26に見えた長い白線は見られない。RSの真下で途切れている。
  • SPRの黒点はカリストの現物。
  • NEBのbargeは左半分に2個、右端に1個見えるが、後者の1個だけ顕著。

池村俊彦 T.Ikemura (310mm Newtonian, Digital Camera NEC Picona)


No.23 1998/05/31 19:34(UT)
I= 0.0 II= 79.4
Ds= +1.8゜Dia=38.28"
31cm F5 ニュートン
F40 2゜プリズム
NEC PICONA 1/7秒 2枚コンポジット

極端な画像処理を適用

6/1朝は、名古屋では、雲が切れてやっと晴れ渡ったばかりの状態でまだシーイングが悪く、もう2時間遅かったらシーイングが良くなったでしょうに。きっと京都、大阪は良シーイングに恵まれたことと思います。

眼視では、もう少しよく見えていたのですが、今回はちょっと品質がわるいです。


No.24 1998/05/31 20:05(UT)
I= 19.1 II= 98.3
Ds= +1.8゜Dia=38.28"
31cm F5 ニュートン
F40 2゜プリズム
NEC PICONA 1/7秒 3枚コンポジット

極端な画像処理を適用

私は午前4時20分ころから撮影しています。

忍穂井さんの写真によると、カリストの経過だったようです。忍穂井さんは経過直前、午前5時頃は経過の最中。

南極付近の暗い部分を経過していても影かと思うほどカリストはずいぶん暗いのですね。

一度カリストの経過をみてみたいとおもっていたのですが、まさか、撮影したあとでわかるとは..。


忍穂井幸夫 Y.Oshihoi (200mm Newtonian, Digital Camera NEC Picona)


Image#16 1998/05/31 18:42(UT)
I=327.7 II= 47.4
NEC Picona 1/7 sec.

極端な画像処理を適用

木星も今期最高の見え味で、シーイング7/10、透明度7/10となり、ピコナ像もシャープなものが撮れました。

もっともシャープなもの1枚だけを送る事にします。コンポジットすると、悪い画像に引きずられて全体にぼけた画像になってしまいますので、コンポジットなしのものにしました。

よく見ると、衛星カリストがまさに今、木星に入ろうとしているのがわかります。(画像右上、SSTB の南付近にコブのようになっている)


1998/05/31 19:00(UT)
I=338.4 II= 58.1
Seeing:7/10 Transp.:7/10
  • 月ヶ瀬村にて観測(20cm反射)。今期最高のシーイングに恵まれて細部まで良く見える。
  • SEBZのGRS後方は中央部が淡く抜けて見える。
  • EZにFestoon2ヶ所が目立つ。


奥田耕司 K.Okuda (250mm Newtonian, BITRAN BT-01 CCD Camera)


Image#15 1998/05/31 18:52(UT)
I=333.1 II= 52.8
Seeing:4/10 Transp.:6-8/10

Image#16 1998/05/31 19:18(UT)
I=349.0 II= 68.5
Seeing:4/10 Transp.:6-8/10

Image#17 1998/05/31 19:43(UT)
I= 4.2 II= 83.6
Seeing:4/10 Transp.:6-8/10

極端な画像処理を適用

極端な画像処理を適用

極端な画像処理を適用


  • GRSの赤みは感じなく黄色っぽく見える
  • 衛星カリスト本体の通過が見られた

伊賀祐一 Y.Iga (280mm Schmidt-Cassegrain, Drawing)


No.14 1998/06/01 19:03(UT)
I=341.5 II= 61.1
Seeing:6/10 Transp.:4/5 x311
  • 大赤斑が中央のスケッチである。今日は透明度も良く、大赤斑もわずかにオレンジ色に見える。
  • 大赤斑のCMT観測 f.e. 18h50m II=53.3, center 19h03m II=61.1, f.e. 19h12m II=66.6。
  • STBはずっと見えている。
  • 大赤斑前方のSTrZに特に変化は見られない。
  • SEBは大赤斑前方はSEBsが濃い。大赤斑後方のSEBZに白斑は見られない。
  • NEBnの左に2個のBarge、その間のNTrZにNotchが見られる。
※観測中にカリストの経過を見たのですが、スケッチに描くのを忘れてしまいました。

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