ALPO-Japan: Jupiter Section (June 30, 1998)

1998年 6月30日の木星

安達 誠・浅田秀人・伊賀祐一・池村俊彦・忍穂井幸夫・堀川邦昭・佐藤幹哉・繭山浩司・小山田博之


June 30, 1998

●概況
SEBnの暗部が、6月17日(UT)の観測と比較すると、大赤斑を超えて前進している様子が捉えられました。6月17日にはω2=85まで前進していたSEBnの暗部(その直前のω2=83には明るい白斑)が、6月29日は大赤斑の北を前進してはるか前方まで達しています。
このSEBnの暗部の後方には、Mid-SEB Outbreakの先端部の白斑が存在しているはずですが、この日の観測では捉えられていません。

この日には、第II衛星ユーロパの本体の経過が見られました。安達氏のスケッチNo.19、No.20に、衛星本体が大赤斑に重なっている様子が捉えられています。浅田氏の画像では、大赤斑内部の左に衛星本体があり、周辺では明るくなり、離れていく様子が捉えられました。


浅田秀人 H.Asada (305mm Newtonian, MUTOH CV-04 CCD Camera)


極端な画像強調を適用(伊賀)


1998/06/29 18:21(UT)
I=215 II= 73



極端な画像強調を適用(伊賀)


1998/06/29 18:52(UT)
I=234 II= 92



極端な画像強調を適用(伊賀)


1998/06/29 19:24(UT)
I=253 II=111



池村俊彦 T.Ikemura (310mm Newtonian, Digital Camera NEC Picona)


No.28 1998/06/29 18:35(UT)
I=222.4 II= 80.8
31cm F5 ニュートン
テレビュー5Xバーローレンズ、1゜プリズム
NEC PICONA 1/7秒 2枚コンポジット

極端な画像処理を適用(伊賀)

大赤斑付近がよく見えました。眼視ではもっと白っぽく、細部の模様がわかりにくいですが、写真では、大赤斑内部がみえています。

※注(伊賀)
この時間帯は衛星ユーロパの本体の経過がありました。NASAのJupiter Viewer 1.2で計算した位置を画像に重ねてみました。大赤斑の内部の丸がユーロパの本体の位置です。


忍穂井幸夫 Y.Oshihoi (200mm Schmidt-Cassegrain,Digital Camera NEC Picona)


Image#24 1998/06/29 18:10(UT)
I=107.3 II= 65.9
NEC Picona 1/7 sec.、2枚コンポジット

極端な画像処理を適用(伊賀)

  • GRScenter が CM を少し越えた時刻の画像。
  • Mid-SEB Outbreak のSEBn分岐の暗斑群は、GRSの経度を越えて前方にまで進んでいる。GRS後方のSEBsは淡く、白斑群が続いているようだが、シーイングが悪く詳細は不明。
  • EZにやや大きめの深いFestoonが2本目立っている。
  • NTrZの前方リム付近にProjectionが2ケ所にあるようだ。
  • GRSは淡く、北縁が捉えにくい状態にある。
  • STBはCM(GRS付近)でとぎれて、SSTBにシフトしている。


Image#25 1998/06/29 18:53(UT)
I=233.6 II= 91.9
NEC Picona 1/7 sec、2枚コンポジット

極端な画像処理を適用(伊賀)

  • SEBはSEBnが濃く、SEBsが淡く感じるが白斑群のようだ。
  • 強い画像処理をすると、2系=110度付近のSEBnに淡いヌケ部分がでてくるが、追跡している白斑だろうか?。


安達 誠 M.Adachi (310mm Newtonian, Drawing)


No.19 1998/06/29 18:10(UT)
I=208.0 II= 66.4
Seeing:3/10 Transp.:5/5 x360
  • GRSの左側に細いアーチが見られる。
  • GRSは小さく薄暗い。
  • EBは幅の広いバンドとなって見られる。


No.20 1998/06/29 18:53(UT)
I=234.2 II= 92.4
Seeing:6/10 Transp.:5/5 x360
  • GRS Hollowが明るくよく目立つ。
  • SSTBの内側に小さなWSがあるが目だったものはない。
  • SEBは南北の目だった太いベルトになっているが,とりわけ,北側のものが濃く,よく目立つ。
  • NEBのなかにbright streakがよくめだつようになった。


No.21 1998/06/29 19:34(UT)
I=259.2 II=117.2
Seeing:5/10 Transp.:5/5 x360
  • NPRと比べてSPRの方が全体的に見て暗い。
  • SEBnは目立たないが暗斑の連鎖のように見える。


CMT観測
1998/06/29 18:04STrZD GRSc 2 62.8
1998/06/29 18:24SEBsD HOLLf 2 74.9
1998/06/29 18:53EZnD FESTf 1234.2

伊賀祐一 Y.Iga (280mm Schmidt-Cassegrain, Drawing)


No.18 1998/06/29 17:42(UT)
I=190.6 II= 49.4
Seeing:3-4/10 Transp.:5/5 x311
  • Mid-SEB Outbreakに伴うSEBnの暗部が、6月18日の観測から大赤斑の前方に伸びている。大赤斑前方のSEBZに斜めに明部が見える。
  • 大赤斑は右上の1/3が濃い。
CMT観測
STrZ RS    p.e.   17h48m(UT) II= 53.0
STrZ RS    center 18h03m(UT) II= 62.1
STrZ RS    f.e.   18h16m(UT) II= 69.9


No.19 1998/06/29 18:16(UT)
I=211.3 II= 69.9
Seeing:3-4/10 Transp.:5/5 x311
  • Mid-SEB Outbreakの前端の暗部の活動が見られる。
  • 大赤斑の前方は、鋭角的に明部が流れて見える。、
  • SEBnは大赤斑の前方から右端のリムまで濃い。
  • 大赤斑後方のSEBZには白斑はない。SEBsは濃くなく、途中にGapがある。
  • CM左のEZnには明るいPlumeがある。EZnは全体にFestoonやVeilの活動が盛んである。


堀川邦昭 K.Horikawa (160mm Newtonian, Drawing)


No.14 1998/06/29 15:54(UT)
I=125.0 II=344.2
Seeing:4/10 Transp.:4/5 x200
  • FA不明瞭で白斑状に見えない
  • CM右でmid-SEB outbreakの活動が見られる、CM付近のSEBZも少し明るくなっている
  • SEBの黒点はII shade
CMT観測 (時刻はUT)
14. 1998/06/29 15:49NEBN DBAR C2341.2
15. 1998/06/29 15:58EZN DFESTC1127.5


No.15 1998/06/29 17:30(UT)
I=183.6 II= 42.2
Seeing:5-6/10 Transp.:4/5 x200
  • RSは南側をアーチで囲まれているが、本体は比較的はっきりしている
  • RS前方のSEBnの明部はかなり明るい
  • CM後方のfestoonは細くはっきりしたひげ状で、見事なplumeを伴っている
CMT観測 (時刻はUT)
16. 1998/06/29 17:52STRZ DRS P2 55.5
17. 1998/06/29 17:54EZN DFESTC1198.2
18. 1998/06/29 18:06STRZ DRS C2 64.0
19. 1998/06/29 18:20STRZ DRS F2 72.5


佐藤幹哉 M.Satoh (150mm マクストフ・カセグレンMK-65, Drawing and Digital Video Image)


No.2 1998/06/29 17:18(UT)
I=176.1 II= 35.0
Seeing:5/10 Transp.:5/5
6/29に木星のスケッチをとりました。
ついでに撮像したビデオ画像と合わせて、送付致します。

  • 大赤斑前方のSEBの部分が濃い。大赤斑の北側の濃さが流れ出したようにも見える。
  • 大赤斑が淡く、また前部とSEBの間がやけに明るく見えて、CMTがとりにくい。


No.3 1998/06/29 19:50(UT)
I=232.2 II= 90.6
Seeing:5/10 Transp.:5/5
ビデオ画像は、前回の時よりはずっと向上しましたが、この辺が機材的に限界のような感じです。動画なので、再生して目で流れを追うともう少し良い感じなのですが、静止画にすると、結構粗くなってしまいます。

1998年 6月29日27時50分(JST) 19時50分(UT)
CM 体系1= 232.2 体系2= 90.6 体系3= 185.7
望遠鏡 MK-65(15cm マクストフ・カセグレン)
    D=150mm f=1500mm
    PL-17mm使用
撮 像 Victorデジタルビデオ GR-DVX
    1/15 秒撮像
    Canopus V-PORTにより画像取り込み
画 像 3コマからコンポジットして合成。

視 相 5/10  透明度 5/5 天候 はれ


極端な画像強調を適用(伊賀)

繭山浩司 K.Mayuyama (200mm VISAC, Drawing)


No.4 1998/06/29 18:02(UT)
I=203.1 II= 61.6
Seeing:5/10 Transp.:3/5 x257
  • SEBは大赤斑前方で南側が濃く、後方で北側が濃い。
  • 大赤斑北側のSEBも暗い。


No.5 1998/06/29 19:02(UT)
I=239.7 II= 97.8
Seeing:5/10 Transp.:3/5 x257
  • STBはCM付近から後方で濃い。
  • SEBnはCM付近から後方で濃い。


小山田博之 H.Oyamada (200mm VISAC, Drawing)

No.10 1998/06/29 17:10(UT)
I=171.4 II= 30.1
Seeing:5-4/10 Transp.:6-5/10


No.11 1998/06/29 19:02(UT)
I=239.7 II= 97.8
Seeing:6-7/10 Transp.:5-6/10

  • SEB:大赤斑前方ではSEBsが、大赤斑後方ではSEBnが濃く見えました。このほか、 大赤斑北方のSEBが非常に濃い。
  • 大赤斑:かなり淡い(特に6時から8時の方向にかけて)。


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