ALPO-Japan: Jupiter Section (November 3, 1998)

1998年11月 3日の木星

安達 誠・伊賀祐一・池村俊彦・林 敏夫・堀川邦昭


November 3, 1998

●概況
池村氏の画像は、マージしたBEからFAの経度が観測されています。BEはII=227度に位置し、STZにむき出しの白斑として存在しています。その後方II=235度にはSTBのWSがあり、STBを分断しています。FAはII=259度で、こちらは周辺が暗いエッジで取り囲まれた白斑として見えます。FAから後方のSTBは濃いBeltです。堀川氏は淡いながらもBEを眼視で捉えられています。安達氏はBE、WS、FAの詳細な様子を捉えています。

STBsのDark Spotの経度はII=138度、その後方のDark SectionはII=171度で長さが10度ほどになっていて濃度が下がってきました。この後方のII=185度からSTBが南にシフトしてSSTBにつながっています。安達氏はSTBnがSTrZに斜めに下がっている様子を捉えています。

Mid-SEB Outbreakの先端部の活動が見られますが、CM付近のII=162度の白斑はやや明るく、これより前方では活動がSEBnにシフトしています。II=200度付近までにはいくつかの白斑が見られますが、II=200度付近はShadeされています(安達氏No.97)。II=200度以降はややSEBの北側に白斑が見られます。Mid-SEB Outbreakの後端部は250度付近と予想されています。

NEBにはRift構造が目立ち、NEBはEZnのFestoonとともに複雑な様相です。特に、池村氏のNo.94の画像や安達氏のNo.96のスケッチのように、II=170〜210度までの40度に渡りNEBの内部に顕著なRift構造が見え、NEBの活発な活動を見ることができます。


安達 誠 M.Adachi (310mm Newtonian, Drawing)


No.94 1998/11/03 08:44(UT)
I=126.4 II= 99.0
Seeing:2/10 Transp.:5/5 x390
  • SSTBは濃く、幅が広く黒々と見える。
  • STBsのDSはこのシーイングでははっきりしない。
  • NEBはかなり幅が出てきて、元の幅に戻りつつある。


No.95 1998/11/03 09:20(UT)
I=148.4 II=120.8
Seeing:4/10 Transp.:5/5 x390
  • STBsのDSはII=138.3度で、きれいなOvalに見える。STB南側のエッジに沿うように明部が見える。
  • STBと大赤斑のアーチはつながっているように見える。
  • SEBsは青味が強く見える。CM後方のSEBZにMid-SEB Outbreakの白斑群が見える。いずれもかなり小さい。
  • NEBnは暗斑がいくつもあるらしいが、目立つものはない。その代わりにNTrZに染み出すようにオレンジ色のにじみが出ている。


No.96 1998/11/03 10:55(UT)
I=206.3 II=178.1
Seeing:6/10 Transp.:5/5 x390
  • CM左のSTBにDark Sectionがある(後端II=179.3)。
  • CM左のSEBsに小さな非常に明るい白斑が見られる。SEBsは東西に渡って全部見えている。
  • CM右のNEBnに目立つBarge。全体は4度くらいの長さだが、中央に濃い部分がある。
  • NNTBはCMより後方で再び淡くなっている。


No.97 1998/11/03 11:32(UT)
I=228.9 II=200.5
Seeing:7/10 Transp.:5/5 x390
  • STB〜SSTBにかけてはシャープなものは見られず、詳細は不明。
  • STBはCM左でSTrZに斜め下に滑り込んでいる姿がはっきりと捉えられた。
  • SEBのCM付近に右上がりの羽毛状の模様が並んでいる。
  • NEBにはしずく型の明るいStreakがたくさん並んでいる。
  • NTrZには横一文字ではない、ねじれたひも状の青っぽいフィラメントが見える。一部はNTBから細いFestoon状になって見えているものもある。
  • NNTBとNTBとの間にも細いBeltが1本見られる。


No.98 1998/11/03 12:45(UT)
I=261.2 II=232.5
Seeing:2/10 Transp.:5/5 x390
  • CM左にBEが見え、左上のエッジははっきりしている。その後方のSTZに小さな白斑、さらに後方に明るいFAが見える。
  • SEBsのCM後方にBayが見える(II=236.7)。
  • SEBnは非常にシャープに見える。
  • NTBの濃化部の北に細いBeltが見られる。


No.99 1998/11/03 13:35(UT)
I=303.9 II=274.9
Seeing:4/10 Transp.:5/5 x390
  • STBの濃化部が見えてきた。後方のSTrZに注目したが、シーイング悪化のために詳細不明。ただ、STrZにStreakの前端があるようにも見える。
  • SEB全体が単調で、濃淡のない太いBeltとして見えるようになった。
  • NEBsは濃く青っぽいFestoon状の模様がたくさんある。


林 敏夫 T.Hayashi (355mm Schmidt-Cassegrain, Drawing)

No.62 1998/11/03 09:15(UT)
I=145.4 II=117.8
Seeing:5/10 Transp.:3/5 x312

  • GRS後方の白斑がSEB内でNからSの一筋に成っている。
  • EZnのCM前方にフェストーンの暗部が宙に浮いている。

No.63 1998/11/03 12:35(UT)
I=267.4 II=238.6
Seeing:4/10 Transp.:3/5 x312

  • STBのCM右に白斑がはっきり見える。


堀川邦昭 K.Horikawa (160mm Newtonian, Drawing)


No.89 1998/11/03 09h33m(UT)
ω1=156.3 ω2=128.6
Seeing:5-6/10 Transp.:3/5 x200
  • STBの暗斑は前方に向かってやや拡散したように見える
  • mid-SEB outbreakの白斑群は比較的明瞭で最後尾のものが最も明るく目立つ
CMT観測 (時刻はUT)
297. 1998/11/03 09:22EZN DFESTC1149.6
298. 1998/11/03 09:44NEBN DBAR C2135.3
299. 1998/11/03 09:47STB DSPOTC2137.1
300. 1998/11/03 09:52EZN DFESTC1167.9
301. 1998/11/03 10:17EZN DFESTC1183.2
302. 1998/11/03 10:24SEBZ WOVALC2159.4
303. 1998/11/03 10:27STB DSECTC2161.2


No.90 1998/11/03 12h36m(UT)
ω1=268.0 ω2=239.2
Seeing:4-5/10 Transp.:1-3/5 x200
  • BEはFAよりひと回り大きい、輪郭はぼやけているが、周囲より白く明るいためよく目立つ
  • SEBはCM前方でSEBZがやや明るくなっている
  • NNTBがCM後方で極端に淡く、SPRのshadeに溶け込んでいる
CMT観測 (時刻はUT)
304. 1998/11/03 12:10STB WBE C2223.4
305. 1998/11/03 12:36SEBS DPROJC2239.2
306. 1998/11/03 12:40EZN DFESTC1270.4


伊賀祐一 Y.Iga (280mm SC, Digital Still Camera NEC Picona)


No.68 1998/11/03 10:20(UT)
I=184.7 II=156.8
Seeing:4/10 Transp.:4/5 LV15mm
2 images composite

強調画像
  • STBsのDark Spot(II=138)は変わらないが、その後方のDark Section(II=166)からSTBはやや南にシフトしている。
  • Mid-SEB Outbreakの白斑は、CM後方のII=164度のものは明るい。
  • EZnにはFestoonが多いが、とりわけCMのものは青味も強く巨大である。
  • NEBには淡いRiftが多く、幅も狭い。CM前方のNEBnには淡いBargeがNTrZに突き出している。


池村俊彦 T.Ikemura (310mm Newtonian, Digital Still Camera NEC Picona)



極端な画像処理を適用(伊賀)

No.93 1998/11/03 10:32:20(UT) I=192.9 II=164.8 III=293.7
De= +2.0゜E.Dia=45.83"
31cm F5 ニュートン
テレビュー5Xバーローレンズ
1゜プリズム 合成 F39
NEC PICONA 1/7秒 2枚コンポジット




極端な画像処理を適用(伊賀)

No.94 1998/11/03 10:53:38(UT) I=205.9 II=177.7 III=306.6
De= +2.0゜E.Dia=45.83"
31cm F5 ニュートン
テレビュー5Xバーローレンズ
1゜プリズム 合成 F39
NEC PICONA 1/7秒 2枚コンポジット




極端な画像処理を適用(伊賀)

No.95 1998/11/03 11:55:36(UT) I=243.6 II=215.2 III=344.0
De= +2.0゜E.Dia=45.83"
31cm F5 ニュートン
テレビュー5Xバーローレンズ
1゜プリズム 合成 F39
NEC PICONA 1/7秒 2枚コンポジット

  • NEB内に異常な白筋が現われています。



極端な画像処理を適用(伊賀)

No.96 1998/11/03 12:06:50(UT) I=250.5 II=222.0 III=350.8
De= +2.0゜E.Dia=45.83"
31cm F5 ニュートン
テレビュー5Xバーローレンズ
1゜プリズム 合成 F39
NEC PICONA 1/7秒 3枚コンポジット



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