ALPO-Japan: Jupiter Section (May 13, 1998)

Mid-SEB Outbreak just occurs.
STB Oval 'DE' has been disappeared.

May 13, 1998

Yuichi Iga


●Mid-SEB Outbreakの発生(Mid-SEB Outbreak just occurs.)
1998年 4月30日の我々の観測から、SEBZの活発な活動を報告しましたが、Pic du Midi天文台(フランス)から公開された1998年 5月 7日の画像を見ると、Mid-SEB Outbreakと呼ばれる撹乱状態が発生しています。急速にSEBZを広がっていく白斑の動きに注意して下さい。
●永続白斑DEが消失か?(STB Oval 'DE' has been disappeared.)
1940年頃からSTBに観測されてきた3個の永続白斑(BC,DE,FA)ですが、いよいよその一つのDEが消失したようです。これもPic du Midi天文台の1998年 5月 7日の画像で捉えられています。眼視ではBC、DEともに見えにくいかもしれません。今後の確認観測が必要です。

Mid-SEB Outbreakの発生

1998年4月30日の伊賀・池村氏の観測から、体系II=310〜345度付近のSEBZに見られた白斑群の活動は、Mid-SEB Outbreakであることが分かりました。ガリレオ探査機の地上支援観測を継続しているPic du Midi天文台から公開されている1998年5月7日の画像から、活発な活動を続けている様子が捉えられています。以下のURLをご覧ください。
Pic du Midi Observatory: Observations related to Galileo E15 orbit
http://megasn.obspm.fr/galileo/E15.html

Mid-SEB Outbreakは、SEB内南部に発生した小さな白斑が、数日で急速に北に前進し、SEBnに広がっていくものです。発生位置には新たな白斑が生まれ、数ヶ月に渡ってSEB全体に波及する現象が見られます。この現象をまとめてみました。

What is 'Mid SEB Outbreak'?

Pic du Midi天文台の公開画像から、近赤外(I-Band)とメタンバンド(8930Å)での画像から展開図を作成しました。体系II=0度のSEB南部を発生源として、そこから北に急速に前進する白斑が捉えられています。体系II=340度のSEB北部の白斑は非常に明るく、またメタンバンドでも明るい白斑として捉えられています。すでに活動は、SEBnに沿って急速に展開しているようで、体系II=240度付近まで白斑群が広がっています。

Pic du Midi, JPEG Image 40KB

比較のために、ほぼ1週間前の4月30日の眼視スケッチ(伊賀)とデジタルカメラ画像(池村)を示します。Pic du Midiの画像は近赤外とメタンバンドですので、単純な比較はできませんが、Mid-SEB Outbreakの初期の活動を捉えています。

Iga's Drawing
1998/04/29 19:50(UT)
I= 0.3 II=323.8
Ikemura's Image
1998/04/29 19:56(UT)
I= 3.8 II=327.3
Ikemura's Image
1998/04/29 19:57(UT)
I= 4.4 II=327.9


永続白斑DEが消失か?

STBに湾入している3個の永続白斑(BC,DE,FA)は、昨シーズンまでは小さくながらも見ることができました。しかしながら、3個の永続白斑の距離は次第に縮まり、昨シーズン後半にはBC-DE間が15度、BC-FA間が22度まで接近していました。特に、BCとDEがかなり接近していました。今シーズンはまだ条件が悪く、永続白斑の観測はできていませんでした。

Pic du Midi天文台の1998年5月7日の画像から判断すると、永続白斑DEが消失しているように思われます。メタンバンドでは永続白斑は明るく撮影できるために確認が容易でしたが、この5月7日の画像からはBCとFAは確認できますが、DEが写っていません。I-Bandでの画像では、FAは小さいながら白斑として捉えられていますが、BCは拡散状であり、DEは存在が分からない状態です。比較のために、1997年9月16日の永続白斑の様子を並べてみました。

BCとDEが非常に接近して、DEが消失した可能性も考えられます。今後の解析が待たれます。

Pic du Midi, JPEG Image 30KB

DateI-BandMethane-band
1997/09/16 I=172 II= 58 I=167 II= 53
1998/05/07 I= 38 II=305 I= 55 II=322


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