ALPO-Japan: Jupiter Section (July 30, 1999)

1999年 7月30日の木星

池村俊彦、忍穂井幸夫、堀川邦昭
T.Ikemura, Y.Oshihoi, K.Horikawa


July 30, 1999(UT)

●Summary
池村氏はシーイングに恵まれ、詳細な画像を得られました。これまでのベスト画像です。

STBsの暗斑(#3)はII=55度に位置し、大赤斑の左上を通過しています。まだ濃度のある楕円形をしています。

BEとFAが接近している様子が池村氏のNo.34の画像と堀川氏のNo.28のスケッチで捉えられています。2つの白斑の間のSTBの小白斑も健在で、直ちにマージが始まることはないと思われます。経度はBEがII=115度、FAがII=131度、小白斑がII=124度で、BE/FAの経度差は依然として16度あります。ただ、BEの周りを暗く縁取っていたエッジが消失しているように見受けられます。また、BEの前方にSTBの濃化部が前進しているかもしれません。今後の追跡が必要です。また、FAの後方のII=147度にSTBに湾入する小さな白斑が生まれています。

SEBは大赤斑の後方から全体が淡化傾向にあり、中央部のSEBcにRed Streakが伸びているのがよく分ります。また、SEBsにはぼやっとした暗斑群がいくつか見られ、そのためにSEBの幅が太く感じます。

NEBnに注目されていて、Little Red Spotの出現かと思われていたII=210度の赤いspotは、その後形が崩れてきています。池村氏のNo.38の画像の右に見えるものがそのspotですが、内部に白い物質が見え、またNTrZに細いベルトが伸びており、Little Red Spotではなかったようです。NEBnのBargeが、NTrZの細長い白い領域と複雑に絡み合った現象が見えているようです。また、堀川氏のNo.28にはII=100度付近のNEBには明るいRift構造が見られ、さらに明るい白斑も存在しています。池村氏のNo.35の画像の左端にこの白斑が明瞭に写っています。

このように気流に恵まれると、NTBsにはNTC-Cに乗ったprojectionが随所に見られます。また、II=201度のNTZにはBargeがきれいに捉えられています。このBargeと同じ緯度のNTrZには非常に細いベルトが伸びています。

衛星現象は、イオの影の経過が16h48m(UT)から18h48m(UT)まで見られ、イオの本体の経過が18h12m(UT)から始まりました。池村氏の画像のNo.34から38までには、SEBsの右から左に移動するイオ本体が捉えられています。


Toshihiko Ikemura (310mm Newton, Digital still camera NEC Picona)

No. 33 1999/07/30 15:41:48(UT)
I=328.5 II= 46.4 III=246.8
De= +3.4 E.Dia=41.08"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/33
4 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
6 images composite
Seeing:2/5


No. 34 1999/07/30 18:30:42(UT)
I= 71.5 II=148.5 III=349.0
De= +3.4 E.Dia=41.10"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/33
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


No. 35 1999/07/30 18:37:10(UT)
I= 75.4 II=152.4 III=352.9
De= +3.4 E.Dia=41.10"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/33
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
4 images composite


No. 36 1999/07/30 18:48:46(UT)
I= 82.5 II=159.4 III=359.9
De= +3.4 E.Dia=41.10"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/33
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


No. 37 1999/07/30 18:57:58(UT)
I= 88.1 II=164.9 III= 5.4
De= +3.4 E.Dia=41.10"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/33
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
5 images composite


No. 38 1999/07/30 19:09:56(UT)
I= 95.4 II=172.2 III= 12.7
De= +3.4 E.Dia=41.10"

強調画像作成:伊賀

310mm Newton(F5)
TeleVue barlow 5x f/33
2 deg. prism, NEC PICONA 1/7sec
3 images composite


Kuniaki Horikawa (160mm Newtonian, Drawing)

No. 27 1999/07/30 16h04m(UT)
I=342.6 II= 60.4
Seeing:5-6/10 Transp:5/5
160mm Newton x200
観測コメント
  • RSは淡いが形ははっきりしている
  • RS前方のSEBに対して後方はかなり淡い
CMT観測 (時刻はUT)
69. 1999/07/30 15:59EZN DFESTC1339.6
70. 1999/07/30 16:00STRZ DRS P2 58.0
71. 1999/07/30 16:14STRZ DRS C2 66.5
72. 1999/07/30 16:28STRZ DRS F2 74.9
73. 1999/07/30 16:34EZN DFESTC1 0.9


No. 28 1999/07/30 17h22m(UT)
I= 30.2 II=107.5
Seeing:6-7/10 Transp:5/5
160mm Newton x200
観測コメント
  • SSTBやや淡く、STB〜SPRはコントラスト低い、そのためBE/FAは明瞭だが見づらい
  • RS後方のSEBは明部が存在するもののかなり薄暗い
  • NEBにかなりはっきりとしたriftが発達している
  • SEB上の黒点はI shade
CMT観測 (時刻はUT)
74. 1999/07/30 17:22EZN WOVALC1 30.2
75. 1999/07/30 17:35EZN DFESTC1 38.1
76. 1999/07/30 17:35STB WBE C2115.4
77. 1999/07/30 17:50EZN DFESTC1 47.3
78. 1999/07/30 17:50NEBN DBAR C2124.4
79. 1999/07/30 17:58EZN WSPOTC1 52.2
80. 1999/07/30 18:00STB WFA C2130.5


Yukio Oshihoi (210mm Newton, Digital still camera NEC PICONA)

No. 11 1999/07/30 18:08:18(UT)
I= 57.8 II=134.9 III=335.4
De= +3.4゜E.Dia=41.10"
210mm Newton(F5)
NEC Picona 1/7sec
single image


強調画像:伊賀
  • BEは113度付近、FAは128度付近に見られ両者の経度差は15度あり、経度差は縮まっていないようだ。BEの直前のSTZは暗柱が目立たなくなっている。
  • EZにFestoonが4本見られるが、CM付近の2本がはっきりしている。
  • NEBnにはbarge,notchが複雑に入り乱れて、CM以降ではNEBが細くなっているように見える。
  • 画像の右に衛星イオ本体が、また影が木星面に黒く写っている。


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