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    第25回木星会議模様
日時:2001年5月19-20日(土/日)
場所:神奈川県立青少年センター(京浜東北線 桜木町より徒歩5分)
主催:月惑星研究会 後援:神奈川県立青少年センター

参加者数(開会時)一般23名  
         学生10名
このうち関西支部からは、 安達、伊賀、池村、伊藤、小嶋が参加




会議の内容

5月19日(土曜)
13:00 鈴木達彦さんの手慣れた司会により開会宣言


唐沢英行さんの開会挨拶


月惑星研究会会長 平林 勇さんの挨拶

      自己紹介(1人1分)

  14:00 今シーズンの木星面まとめ(堀川邦明)


          <1999-2000シーズン>
          ・2000年3月 永続白斑の合体(BE+FA→BA)

          <2000-2001シーズン>
          ・SEBの明化
          ・NEBの拡幅

  15:30 全員で記念写真



  16:00 講演 宇宙科学研究所 理学博士 阿部新助 先生
演題「21世紀:系外木星観測時代」
系外とは、太陽系外のことで、主恒星のスペクトルを
超精密調査することで、恒星の周りを周回する惑星の
存在を確認するというもの。
太陽系外惑星探査の歴史の紹介
           1995年が系外惑星発見の年となる。
          地球外知的生命探査
           1959年にネイチャーに発表され、SETI計画のスタートまで。
          太陽系外惑星の種類
           現在58個見つかっている。
          太陽系外惑星から出ている電波
           コヒーレントミッション
           シンクロトロン放射について
           コヒーレントエミッション
        <阿部氏から木星会議参加者への提言>
          観測していながら、解析していなかったために系外惑星の発見を逃した
          異国の研究グループ引き合いに出し、「観測も大事ですが、解析も大事
          ですよ」と。


  17:30 1日目終了
  19:00  懇親会(一ノ蔵)
      木星カルトクイズ、正解発表。
      最高得点者 長谷川均さん得点 18/20
           最後に出てきた、ちまき風の炊き込みご飯は美味であった。

    20:00  2次回 一気飲み提案で歓声をあげて、店から
      しかられる。
      ○○博士(20代の若い男性)が途中から参加
      太陽系探査機の話や、対日照の向こう側のなぞ、
      太陽系を外部から観測したときの星間塵の分布観測などの
       研究の話。
    21:00  解散  (3次回まであったとのこと)

5月20日(日曜)
  09:00 パネルディスカッション
                   コーディネーター 田部一志

ことしの特別企画として、ベテラン観測者・研究者をパネラーとしたディスカッショ 
ンを行なった。昔から一度はやりたいと思っていた企画ではあったが、時間不足もあ 
りやや消化不良の感も否めない。パネラーには次の5人の方々をお願いした。いずれ 
も、日本の木星界を代表する人たちである。

 安達 誠(月惑星研究会関西支部長・東亜天文学会企画部長)
 堀川邦昭(月惑星研究会・東亜天文学会木土星課幹事)
 池村俊彦(月惑星研究会関西支部)
 唐沢英行(月惑星研究会)
 長谷川均(月惑星研究会)

田部:最初は眼視観測・スケッチの大ベテランの安達誠さんです。安達さんは誠文堂 
から
「天体スケッチ入門」という著書を出版されています。スケッチの優位点・敢えて指 
摘できる欠点など述べていただければと思います。


安達:一言でいいますとスケッチは労力の割には客観性がないということができます。 
しかし、スケッチという手法は望遠鏡が発明された17世紀の昔からずっと続けられて 
きた方法で、観測の継続性という点からも、無くしてしまってはならないものだと思 
います。
現在、写真やCCDやその他で活躍されている方も最初の惑星観測はスケッチでした。 
ここにいらっしゃる池村さんや唐沢さんも昔はスケッチ観測をされていました。スケ 
ッチは単に観測の手法というだけではなく、現象を見極める力をつけるという点で非 
常に優れています。さらに、観測の入門として、高価な機材を購入する財力の無い若 
い学生さんでも手軽に行なうことができます。
 さらに、ある程度の口径と観測の慣れは必要になりますが、条件が良ければ現在C 
CDで撮られている以上のイメージ、例えばHSTのイメージに近いものさえ見るこ 
とが出来ます。例えば、1993年のSEB攪乱の時、n-branchに先行するストリークや、N 
TCurrent-C
に乗って高速で前進するNTrZの白斑などは、なかなかCCDでは捉え難いものです。
 次にスケッチの質の問題ですが、一言で言うと「その時の模様の特徴を捉えた」ス 
ケッチが良いスケッチで、きれいに仕上がったものが良いというわけではありません。 
例えば佐藤健さんのスケッチは、他の観測者のスケッチのようなリアリティはありま 
せんが、現象の位置はきちんと捉えられています。まとめると次のようになるかと思 
います。
スケッチによる眼視観測は
1)    客観性に乏しいという欠点がある反面、
2)    手軽で入門として最適
3)    慣れることによってCCDを上回るものが見られる
4)    現象を見極める力がつく
などの良い点があります。若い人、入門の人に是非おすすめしたいと思います。また 
ベテランの方でも、CCDやビデオ観測の合間には是非スケッチも採ってください。

堀川(コメント):現在、木星関係のホームページなどで見られる木星画像はほとん 
どCCDのものになってしまっている。しかしCCDは周辺機器まで揃えると相当高価だし、 
いくら素晴らしい木星画像を眼にしても、そこにどんな重要な現象があるのか見分け 
る力はなかなか養われない。そういう意味でスケッチの重要性はなくならないと思う。

田部:次は眼視観測は眼視観測でもCMTによって経度を測る観測の国内の第一人者 
である堀川さんです。堀川さんは1974年から木星観測を続けられ、これまでにスケッ 
チ2700枚、CMT7000個を達成されています。
堀川:長い間、木星の観測はスケッチが主流でした。写真観測が加わりましたが、明 
らかに写真よりスケッチの方が良く見えるのと、機材に費用がかかる、後処理が面倒 
などの理由により、手軽なスケッチが主流とならざるを得なかったという側面もあり 
ます。一言でいうと簡単に出来るということです。しかしながら、眼視観測はスケッ 
チだけではありません。見たものを言葉として書き残す方法とCMTによる経度測定 
があります。スケッチの備考欄に描ききれなかったことを言葉として書き残すことは 
今でも重要な記録保存法だと思いますが、CMT観測も次の点で優れた観測方法です。
 まず、スケッチ同様きわめて簡単にできます。望遠鏡以外何の機材も必要としませ 
ん。それでいながら、木星面の模様の経度を決めることによって木星面を吹く風の風 
速までも求めることができます。慣れることによって、2-3分の精度(経度にして1-2 
°)で経度決定が行なえます。スケッチや言葉による記録が定性の域を出ないのに対 
して定量的な観測がとなります。スケッチよりもやや小口径(6cm-10cm)の望遠鏡で 
も意味のある観測が出来るのも見逃せない優位点です。定量的なのと、小口径で可能 
なことが受けて、1970年代頃から日本でも、主に学生の間で、盛んにCMT観測が行な 
われるようになりましたが、最近下火なのは寂しい限りです。しかし、1800年代末か 
らイギリスで1940年代からはアメリカで観測されたデータの蓄積があります。伝統的 
な観測で歴史的にも大きな実績のある観測方法です。つまりスケッチからの形態学的 
考察と同じかそれ以上にCMTによる力学的な考察が重要です。アマチュアが探査機や 
プロに勝てるのはこの分野だけと言っても過言ではないといえます。みなさんもっと 
CMTを採りましょう。

田部(補足):経度測定から自転周期及び風速を求める方法はシュプリンガー・フェ 
アラーク社の「アマチュアための太陽系天文学」に詳しく書かれています。

田部:これまでは眼視観測のお話でしたが、次はCCD観測の話です。国内で最も精力 
的に惑星のCCD撮像を行なわれている池村さんです。池村さんはかつては76/Pウエス
ト−コホーテク−イケムラ彗星の発見者として有名でしたが、今は惑星撮像の第一
人者として有名です。
池村:CCDによる木星観測の優位性と欠点ということですが、優位性とか欠点とかい 
う話になるとどうしても他の観測方法との比較ということになってしまいます。そう 
  いう見方も重要かも知れませんが、ここではアマチュアとして、やっていて楽しい 
「う見方も重要かも知れませんが、ここではアマチュアとして、やっていて楽しいか 
、苦痛かという側面も併せて考えたいと思います。
 木星観測(撮像)の歴史は、スケッチ⇒銀塩写真⇒CCDと進展してきました。特にC 
CDに関してはコンピュータの発達と普及が大きく関わっています。1991年頃にボ 
イジャーの画像データーを入手しまして、カラー画像に仕上るのに、
当時の私の環境で、ソフトも最初から自作、おそい処理速度、表示能力が16色しか 
なく、これで、カラー画像に仕上るまで、4ヶ月かかりました。CCDの種類もいろい 
ろありますが、CCD撮像後に画像として見えるようになるまで、また、得られた画 
像データーからの、測定、整約、保存、伝送についてコンピュータを使いますが、こ 
こ10年で100倍以上高速、価格は1/3程度になったことにより、アマチュアで 
も手軽に利用できるようになりました。撮影30分後には、木星画像を仕上て、撮影 
データーをつけて、全世界へメール送信報告が可能です。
 さて、木星面の観察はやはり基本は眼視でしょう。しかし、見た画像をそのまま出 
力するのは自分で描画するしかなく、技量と練習が必要です。銀塩写真は、客観性と 
いう点では良いのですが、解像度、階調の能力が低くく、カラー(ポジ)では、日数 
がかかることがあります。また、時刻の記録にも気を使う必要があります。位置の測 
定は改めて、その写真に定規を当てて目測することとなります。結局位置測定は、写 
真をパソコン画像に取り込んで測定しているのが実態です。
 これに対して、コンピュータの画像環境もWindowsの普及で急激に進化し、CCDによ 
って得られた、いわゆる「電子ファイル」となった画像データは仕上処理が早くでき 
るようになり、時刻もカメラやコンピュータのマシン日付を利用して直接ここからC 
M計算もできてしまう。また、赤外や紫外の領域での観測にも幅を広げることが可能 
です。画質も向上し、撮影能率も上がります。スケッチ、銀塩写真に比べて1桁上の 
精度を目指せる可能性も秘めています。そのため、撮影時刻の精度は10秒を求めら 
れています。早いコンピュータがあって、ソフトウェアが準備できていればの話です。 
CCDでは多くの可能性、能力を秘めていて、最新の方法ではありますが、アマチュ 
アの趣味として、「安い」「早い」「きれい」も必要ですが、最も大切なことは、 
「楽しい」、「満足感がある」ことです。あれもこれもと、手を出しすぎて、長続き 
しなかったり、苦労になってはいけません。私は、スケッチも、銀塩写真も経験して 
おり、眼視で見たように写すことを目標にしており、デジカメで撮影してみたら、こ 
れがいちばん満足のいく観測ができているので、現在はピコナを使っているというわ 
けです。アマチュアですから、「楽しい」、「満足感がある」も基準の一つとして考 
えましょう。そうすると、撮影したり描いた画像は、最終的にどう整理したいか。 
「楽しい」「満足感がある」も基準に加えると、自分なりの最終保存方法も考えやす 
いと思います。CCDといっても、冷却CCDからデジカメ、ビデオなど多くの種類 
があります。また、価格もピコナが下限で、上は1000万円のものまであります。 
私は最も安い、画像処理が簡単なカラー画像がすぐできるデジタルカメラを使用して 
います。というわけで、IT革命が広がり、身近なところのパソコンを利用し、デジ 
タルカメラをつかうことで、ずいぶん手軽にデジカメで撮影できるようになりました。 
望遠鏡とパソコンを持っている人にとっては、新たな出費はCCDカメラだけです。ち 
なみに私の使っているピコナ(NEC製)はいま中古屋で1万円以下で買えます。決して 
高いものではありませんのでトライされる方が増えることを期待します。

田部:CCDと並んでここ数年盛んになってきたのが、家庭用のビデオによる観測です 
。この分野の草分け的存在でもあるのが唐沢さんです。
 
唐沢:スケッチ、CMT、CCDと話が進んできましたが、私がもっぱらやっているのがビ 
デオ観測です。仕組みはいたって簡単で、家庭用のHi-8のビデオカメラをコリメート 
で望遠鏡の接眼部に取り付けて、その日のシーイングや透明度に合わせて適当にズー 
ムを調整して観測しています。取り付け用のアダプターは今では望遠鏡ショップなど 
でも売られていて、ビデオ・カメラを持っている人にとっては最も簡単な観測方法で 
す。モニターをつないで(つながなくても)、最もいいところで録画すれば観測その 
ものは非常に楽です。私のように、眼が悪くなってしまった人間でもその時の木星面 
を記録するという意味の観測は短い時間でも毎日やる気にさせる点で断然優れていま 
す。
 また、スケッチの補助的な役割も果たせます。ビデオを見ながらスケッチしたり、 
CMTを採ったりすることができます。何度も再生できるのが強みでしょう。月惑星研 
究会(東京)の例会でもビデオを上映しながらのスケッチ大会を企画したこともあり 
ました。みんなで同じ映像を見ながらCMTを採れば個人の癖の把握や、練習にもなり 
ます。とかくCMTは一発勝負みたいなところがありますが、ビデオに記録する方法で 
すと何度でもトライできます。それだけ精度も上がるでしょう。
 反面欠点もいくつかあります。観測を見直そうとすると観測と同じ時間かかります。 
また写真やCCDで行なわれているような画像改良も簡単ではありません。素データが 
大きいために画像処理にも時間がかかります。さらに、最良の場合でもCCDや眼視の 
画像にはかなわないという欠点もあります。それでも、あまり眼視観測をしないで眼 
の(木星に対する)慣れを失ってしまった観測者に比べるとディティールも十分のよ 
うです。1枚の静止画を作り出す作業をしようとすると大変骨の折れる作業になるの 
も欠点の一つでしょう。反面シーイングの良い瞬間の映像を1/30単位で拾えますから、 
シーイングの影響を最小に食い止めることができます。新潟の伊藤さんや沼澤さんが 
始められましたがまだ普及したというほどではありません。
 ビデオ観測は何といっても簡単なのが取りえで、最大の時間分解能で長時間撮れる 
のが特徴ですが、反面これをやってしまうとテープ代と後の整理が大変になってしま 
います。簡単なので、大勢の人に取り組んで欲しいと思います。
(以下は伊藤氏の個人的な補足です)
短所として初期投資がかかる。ある程度大きな口径(20cm以上)
の望遠鏡,カメラの他に静止画キャプチャーが可能なパソコン
が必要。大きな口径の望遠鏡をもてあましている?公共施設や,
CCDカメラは高くて扱いづらそうだという方におすすめです。

田部:最後はプロの機材を使って観測をする変種のアマチュア長谷川さんです。
長谷川:私もかつてはスケッチやCMT観測を一生懸命やっていましたが、月惑星研究 
会の30周年の時、本会の創世期のメンバーでもあった国立天文台の海部宣男さんに講 
演をお願いしたのがきっかけで、野辺山の45m電波望遠鏡で木星を見てみないかと誘 
われ、プロの機材をアマチュアも使えるんだと判ったわけです。当時野辺山に居られ 
た海部さんにお願いして観測所や海部さん宅で何度か勉強会などやったりして電波で 
の観測や赤外での観測などをやるようになりました。
 現在国内にはプロ用の望遠鏡として、ハワイにあるすばる望遠鏡(厳密には国内で 
はないが)、岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡、野辺山の45mアンテナ、電波 
干渉計などがあります。加えてそれに近いものとして、西はりま天文台(近く2mが 
入ります。)、美星天文台、群馬県立天文台などがあります。これらの望遠鏡は普通 
公募制で、どんな観測をどんな目的のために行ないたいのかをプロポーザルという形 
で提出して審査を受けてOKとなって始めて使えることになります。プロでもプロポー 
ザルを出して落ちることもあるわけで、競争率は2〜3倍くらいかなという感じです。 
そういうわけですから最初から時間分解能は非常に悪いことは覚悟しなければなりま 
せん。1年に1回か2回の観測ということになってしまいます。
 観測そのものは、望遠鏡のプロが付いてくれることが多いので、観測中はモニター 
を眺めることくらいしかやることがない場合があります。その意味では非常に楽です。 
その反面、多額の国費を投じた施設を使って観測するわけですから、結果を出さなけ 
ればなりません。ある意味それがプレッシャーにもなります。優位点といえば、その 
望遠鏡でしかできない観測ができることです。世界で誰も見たことのない木星を見る 
ことも可能な筈です。
 日本では、南米チリに世界各国と共同で、大規模な電波干渉計を作る計画が進んで 
います。ALMA(アルマ)計画というもので、2006年完成を目指しています。これまで 
の電波干渉計とは比べ物にならないほどの分解能を持っており、いまから非常に楽し 
みです。
 日本には太陽系天体を研究テーマとする天文学者はマイナーな存在です。その中で 
も惑星、特に木星のプロはほとんどいません。そのため天文学者の間では太陽系天体 
の観測についての理解はかなり低いものがあります。木星のプロといったら天文・気 
象含めて九州に数人いる程度で、そのほとんどがアマチュア出身です。プロの望遠鏡 
といえどもプロポーザルしだいではアマチュアでも十分使えます。プロの機材を使う 
アマチュア観測者が増えることを願っています。

質問:プロポーザルに書いてある以外の観測を行なうこともできるのか?
答:原則としてできない。でも、木星の隣に土星があったりするとついでに観測する 
ことはある。でも、この場合木星で結果を出す前に土星で結果を出してしまうことは 
できない。
(ブラックリストに載る可能性がある。)


田部(感想):かつて、世の中にラヂヲというものが登場したとき、これで新聞が売 
れなくなると危機感を募らせた人たちがいました。でも新聞はなくなりません。さら 
に時代が進んでテレビが登場したとき、ラジオは当然のこと映画さえも無くなるだろ 
うと思われました。しかし、ラジオも映画もなくなりません。それは、それぞれ必要 
なものだったからでしょう。LP(直径30cmのビニールのレコード)が登場した時、SP 
(直径25cmのシェラックのレコード)は完璧になくなりました。CDが登場して、LPも 
もはや風前の灯火になってしまいました。同じものがより簡単でクオリティも高いも 
のが出現したからでしょう。木星観測の各分野がこれからどのようになるか? 現在 
の世界の趨勢はCCDが優位のようです。はたしてこの状況が何時まで続くのか?CCDに 
よる観測もその能力に見合っただけの整約(位置測定も含めて)成されているのか? 
など考えると、まだまだ未開拓の分野がありそうです。観測者と解析者(整約者)の 
分業みたいなことも考える必要があるかも知れません。スケッチやCMTに関しても、 
これまでのデータが十分生かされているかと言えば答えはNo.でしょう。いまから、 
それに取り組もうという人材も出てこないのが現実の姿ともいえます。プロの器材で 
もハワイの某天文台などはデータを公開して自由に研究に使ってくれという姿勢を示 
しています。逆に言うとそれだけ、データを採っても解析しきれないということです。 
このようにデータの海に溺れる姿は、人類の近未来を象徴しているのかも知れません。 
テレビもラジオも新聞も十分に生かしきれない自分のようです。
 それはそれとして、木星観測の世界に若い人たちを引き込む努力はしなくてはなり 
ません。流星や変光星の世界ではしし座流星群やミラ観測キャンペーンなどが盛んに 
行なわれています。月惑星研究会(東京)では、遅ればせながら、木星観測入門ガイ 
ド(仮称)の制作に着手しました。最も若い世代の大学生を中心に執筆をお願いしよ 
うと思っています。中学生-高校生向けの入門書が、今ほど必要な時もないのではな 
いでしょうか。
                                    おわり
11:00 研究発表



        (1)NEBのRiftの生成過程(伊賀祐一)

(2)木星の雲層構造の考察(竹内覚)




        (3)野辺山のミリ波干渉計による木星のマッピング(長谷川均)
      世界初の木星、土星の電波画像を得たはなし。
           木星は撮影する波長によって温度が異なり、今回は、波長が1.1〜1.2mm
           で撮影した。

        (4)      (堀川邦明)

        (5)永続白斑の合体時の渦としてのエネルギー的考察(永井洋)

  12:00 全体会

次回第26回木星会議は小嶋さんからの提案で和歌山県の
川辺天文公園で開催することで全員一致で決まりました。



    散会
    こののち、惑星研究のために月惑星研究会関西支部の惑星画像を
  使用することについて、駅付近での昼食時に論議
  月惑星研究会関西支部の画像を使って得たドリフトチャート図などは
  HPに掲載することを話し合った。
  また、月惑星研究会関西支部の会員となることで、研究用に画像を
  使用でき、成果について、HPに掲載報告する義務等についても
  話し合い、支部のHPにアップされた画像を使って、支部のメンバーが
    研究活動をすることをもっと積極的に進めていこうという話に中心が
    ありました。報告は皆さん、たくさんしていただいていますが、ただ、
    撮影に力が入っており、それを有効に使った研究がほとんど行なわれ
  ていないことを打開しようという方向で話し合いをしましたが、結論
  には至りませんでした。
  堀川さんと小山田さんが、年会費500円を事務局(安達さん)へ支払い、
    入会手続きを行いました。
   

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