ALPO-Japan/Kansai branch sub Latest

【第26回・木星(観測者)会議】


    第26回木星会議
日程:2002年6月15-16日(土/日)
場所:かわべ天文公園
   〒649-1443 和歌山県日高郡川辺町和佐 2107-1
主催:月惑星研究会 後援:かわべ天文公園
世話人:かわべ天文公園 小嶋 孝弘

第26回木星会議 報告

 第26回木星会議は和歌山県の「かわべ天文公園」で開催されました。
木星会議が和歌山県で開催されたのは初めてのことでした。参加は全国か
ら23名の方々が集まりました。
 関東からは5名、中部から1名、あとは関西からの参加者でした。地元
の方も何名か参加されました。勧誘もおこない、豊中の男生と和歌山の女
性が例会に来てみたいと言う返事を受けました。関西方面で木星会議を行
うたび、新しい会員が増えています。底辺の拡充のためにもいいことです。

■6月15日(土)・第1日目

 2002年6月15日(土)から16日(日)にかけて行われました。
会議に先立って一般市民向けに「木星ってどんな星?」という講演会を1
時間弱支部長の安達がおこないました。木星の生い立ちから磁場、内部構
造、、変化する表面の模様、研究対象、これからの展望が主な内容でした。
12:00〜12:50 ◆講演会 【木星ってどんな惑星?】 
               講 師:安達 誠 氏(月惑星研究会)

13:00〜13:10 ◆開会式 

1 開会セレモニー      総合司会:伊賀

世話人小嶋さんのあいさつ



 開会の挨拶 開会宣言 安達 誠 氏 (月惑星研究会/関西支部)




歓迎挨拶  かわべ天文公園 台長 矢治 健太郎氏




 
2 自己紹介   13:10〜13:30    
 参加者からめいめい、自己紹介を頂きました。参加者が比較的少な
  かったため、時間がとれて楽しい雰囲気となりました。
  各自1分で自己の紹介。

Kuniaki-Horikawa     堀川さん


Kazuyo-Syouji  庄司さん


Masahito-Niikawa    新川さん


Hiroyuki-Syouji    小山田さん


Kazushi-Tabe    田部さん


Ikuko-Oohashi   大橋さん


Tatsuhiko-Suzuki  鈴木達彦さん


Mitsue-Suzuki     鈴木光枝さん


Toshihiko-Ikemura   池村俊彦


Teruaki Kumamori   熊森さん


Akira-Arai   新井さん


Natsumi-Abe   阿部さん


Hiroko-  & Hideyuki-Karasawa  P  唐沢さん夫妻


Yuuichi-Iga   伊賀さん


Takaya-Oshiro    尾代さん


Makoto-Adachi   安達さん


Ichirou-Tasaka  田阪さん


Takeshi-Yamaoka  山岡さん


Toshio-Hayashi  林さん


Takahiro-Kojima  小嶋さん



3 木星の近況(2001〜2002) 堀川 邦昭氏 13:30〜15:30
 この報告に入る前に、堀川氏から木星の表面模様におけるそれぞれの名
称の説明がありました。初めての人にとっては大切なことで、初めて参加
されていた方々は熱心にメモをとりながら聞いておられました。


◎大赤斑と前方のSTrZの活動
 2001年9月後半に大赤斑の南側にアーチがかかり、2001年10月になって大赤斑の前方のSTrZに不規則な暗部となって出現した。とりわけ、前方にあるドーナツ状の暗斑が形成されているのが 目立ち、このまま行くと2002年8月頃(明け方に木星が見え始めた頃)に大赤斑と会合する可能性がある。

 2001年11月7日になって大赤斑から前方に伸びるstreakとして出現し、その後次第に前方に伸びて行った。2002年2月頃には2=270°にまで到達した。その後、2002年1月になって大赤斑の直前に切れ目が出現し、gapとなって前方へ広がって行った。

◎NEBの活動 riftについて、どの位置に見られていたかが、伊賀さんのつくられた展開図を元に説明がなされた。
 また、NEBの北縁にはbargeとnotchがみられ、bargeはここ数年多く見られている。先シーズンからつながりもあり、マージしたものも見られている。notchについてはつながりのあるものはさがしにくいが、ひとつだけつながりのはっきりしたものがあり、6年間も追跡できているものがある。
今シーズンは子の緯度に面白い対象がたくさん見られた。

◎BA  2000年3月にBAが形成された(大赤斑通過直後)。形成時は長さが11°あり、 1970年の頃の永続白斑の大きさになった。その後木星面を1周し、2002年にふたたび 大赤斑の上にさしかかった。何か変化が起こるかと期待されたが変化は起こらなかった。 しかしながら、大赤斑の上に差し掛かったときにBAからSTrZに白い雲の帯が流れ込んだような 姿が観測されたことがあった。しかし、これも一時的なものにとどまった。肉眼では見えにくく なったときもあったが、メタンバンドではこの間終始見えていて、高さは同じまま存在が確認されている。

◎SSTBの白斑
 肉眼では捉えにくいものだったが、画像では鮮明に捉えられており、4つの白斑のうち2つがマージするところが捉えられた。 伊賀氏が動画にまとめられ、そのマージする様を全員で鑑賞した。

◎EZの白斑
 1975年にGWSと略される大きな白斑が出た。この白斑は、SEBZの中 央からの白雲からなにかを供給されてできているのではないかと言われて おり、それ以後追跡されている。しかし、今シーズンに入り、前半は見ら れていたが、後半には存在すらはっきりしなくなり、衰退した。

 以上が、木星の近況のまとめとなった。その後、記念写真を撮って、 ティーブレイクとなった。

15:30〜16:00 ◆記念撮影

ティーブレイク


3 分科会 16:00〜17:00 
 今回の分科会は4つに分かれて行われた。


(1)画像処理  担当:新川勝仁
 CCD画像の処理方法について具体的な討論が行われれた。




(2)眼視観測  担当:安達 誠
 6名の参加があり、自己紹介ののち安達から眼視観測の有用性が説明された。
 その後、参加者からの意見を頂いた。



(3)画像の活用法 担当:伊賀祐一
 撮像された画像や集められた画像からどのようなことが分かり、どのよ
 うな方法で分析すれば良いかが紹介された。



(4)木星面に見られるおもしろい現象 担当:堀川邦昭
 参加は5名で、大赤斑は、縮小傾向にあること。SEB Disturbanceのこ
 と。シューメーカー第9彗星の衝突痕のことなどが話し合われた。


        
4 討論会 担当:池村 17:00〜18:00(第1部)
 近年、撮像が多くなり、スケッチが減ってきた。画像が集まるとそれを使っていろいろと研究活動が
できるが、報告されて、インターネットに公開されている画像を利用して自分の研究成果としても良い
のだろうか。また、アマチュアなんだからそう言うことをしなければ勿体無いし、宝物を上手に活用す
ることは出来ないかと思う。
 そこで、今回集まって頂いた。みなさんから意見を聞き、今後度のよな方向ですすめていけば良いか
を考えたい。そんな思いで、話し合いがすすめられた。


5 懇親会へ 18:30〜20:00 



・サイクリングターミナルにて(徒歩5分)。
 会場近くでバーベキューを頂きました。
  新宮の田阪さんから頂いたワインなどを
 頂きながら楽しいひととき過ごしました。




  

6 観望会 20:00〜21:00 
・1mカセグレン鏡で球状星団などの観望。
 せっかくここまで来たのだから三鷹の1mを見ないともったいない。でも、天候が
  悪く星はほとんど見ることはできませんでしたが、雲間から1等星を見ることが
  できました。せっかくのチャンスでしたが星をしっかり見ることが出来ず残念でした。
  




7 2次会 21:00〜25:30 
 2時頃までいろいろと話が続いたようです。幸いにも酔いつぶれる人もなく
有意義な会だったようです。
安達は睡眠不足で途中でリタイアしましたので様子が良く分かりませんが、
学生の新井さんが、悪い?先輩に木星の研究をしなさいと随分迫られていました。
若いと言うことはほんとうに羨ましいことです。
安達なんかには誰も言ってくれません。      ┓(´_`)┏
 そのあと、安達の悪口もあったようですが、本人は夢の中でした。起きて
なくてよかったっ!


24:00     ◆就寝

■6月16日(日)・第2日目
---
 8:00〜 9:00 ◆朝食

8 討論会 9:00〜10:30 
 前日に引き続いて、池村さんが司会となって行いました。内容は前述の
とおりです。




◎クイズ誰のスケッチ?  クリックすると正解が表示されます。




9 研究発表 10:40〜12:50 
◎ 新川 勝仁 「最新デジタルカメラによる惑星撮影」 


  デジタルカメラ、ビデオ、冷却CCDの3つの特性を比較検討されました。
最終的には観測テーマとコストパフォーマンスを加味して考えるのが良い
と言うことにはなりますが、新川さんのレベルではやはり、デジカメの方
が良いとのことでした。また、これらを有効に使うにはそれぞれに見られ
る弱点をいかに克服するかが大切であるとのことで、デジカメの弱点として、

 ◯ ほとんどの機種がコリメートになる
  フラットフレームにならないため、補正する必要がある。
 ◯ 画素数が多い
  基礎データ量が多くなり過ぎるので、トリミングをしてPCの負担を軽
  減する必要がある。
 ◯ カメラ内で処理する時間が空いてしまう。
  コマ数が稼げない。すなわちシャッターチャンスが減ってしまう。そ
  のため、高速のデジカメを使ったり、高速で処理できるメモリーカー
  ドを使うことが必要になる。

 ◯ CCDは熱に弱い
  撮像の際冷やすことが必要。高速シャッターがきれるようにすること、
  機材を休ませる、ダーク補正をするなどの対策を考えた方がよい。
 ◯ ピクセルサイズが小さい
  ノイジーになるため、ソフトウエアビニングによる見かけ上のピクセ
  ル拡大処理をすると良い。

テーマ1:静止画像を動画にするには
Photoshopで作成したレイヤー形式の画像データを
PhotoMotionAVIでAVI形式にして、その後、TMPGEncを使ってMPEG形式に変換する手法
に関して解説しました。

テーマ2:2色カラー合成処理の実際
RGBからなる通常のカラー合成ではなく、G画像をRとBの加重平均とする2色カ
ラー合成法に関して解説しました。

テーマ3:各種フィルタを使った撮影
補色フィルタからRGB画像を得るのと同様の原理で安価なシャープカットフィルタ
を使って、特定波長のバンドパスフィルタで撮ったのと同様な画像を得る方法に関し
て解説いたしました。


伊賀 祐一 「2001ー2002年のNEB」
 NEBの活動はこの期間は1から3期に分割して考えられる。
第1期 白斑の発生
  20日おきにNEBZに白斑が出ている。12月の終わりまで続いた。
第2期 南側に白斑ができてきた
  NEBに白斑ができ、それがリフトに成長して行った。リフトは成長し、
  リフトによって押されたbargeがnotchを食いつぶす現象が観測された。
第3期 衰退期
  
 リフトは、bargeやnotchを後方より押し、加速させてたくさんの興味あ
る現象が観測された。集まった画像からたくさんの測定を行い。ドリフト
チャートから見い出すことができた。

熊森 照明 「ソフィア堺でのビデオ画像処理」
 最近支部のHPで公開されているビデオが像の画像処理を紹介された。彼
の優れた画像は最近の画像撮影者に大きな衝撃を与えているが、どのよう
な方法でされているのかの紹介となった。たくさんの画像をセレクトしな
ければならないが、短時間にたくさんの画像が得られる特性を有効にいか
しての処理の紹介だった。

特にドーム内、鏡筒内の温度管理、換気について、徹底的に対策を施され、
冬期にも冷風が出る空調機を求めたがこの世に存在しなかった、などのお
話しもありました。
また、ソニーTRV900と、ソニー DCR-VX2000について、木星の試写および
感度比較をしてみたところ、ソニー DCR-VX2000は感度が高いことが確か
められ、ノイズも少なく、今後もっと高品質が期待できるとのお話でした。



田部 一志 「しし座流星群のローカルシャワー現象」
 茨木で得られたビデオ画像の紹介があった。一気に数十個の流星が画面
いっぱいに出現している。よく観察すると、時計と反対周りに出ているよ
うに思われるとのこと。支部の畑中氏も時計と反対周りの現象を見ている
とのこと。



田部 一志 「大赤斑の位置について」
 天文ソフトナビゲーターで過去および未来の大赤斑の位置を、少なくとも望遠鏡で覗い
てみて見えるか見えないかを表現出来ないかを考えた。大赤斑が確実に捉えられたのは
1831年太陽観測で有名なシュワーベが最初だった。1665年から1713年に掛け
てカッシーニやマラルディ等が類似の観測をしているが現在の大赤斑と同一である可能性
は低い。
 位置はなんらかの周期性を見い出した研究はない。2系に対して3000度も移動しており、
簡単には解決できないことが分かった。



「NEB北縁のbargeとnotch」 堀川邦明
 1997年から見えるようになった。この年からNEBの拡幅が始まったが、この拡幅が
元に戻る過程でBargeやnotchがたくさん出るらしい。
 bargeは拡幅しているときと衰えてきたときとでは自転周期に違いがありそうだ。
1999年末頃はbargeとnotchが近く(緯度方向)なっていた。
その後衰退期には両者は南北に離れてきている。notchは緯度方向には動いていないらしい。



小嶋 孝弘 「1m望遠鏡による、木星型惑星の銀塩撮像」
 1mの口径を生かした銀塩での画像を撮影しているが、おそらく、処理の手間が最も少ない。
ラボに出すだけであり、最も時間が有効に使えることが最大のメリットである。
ただし、プリントができるまでに要する時間が大きくなることが欠点である。



10 次回の開催地  13:00〜
 第27回木星会議は福岡で行うことで全員が賛同し、決定された。
  時期は未定。

11 閉会の挨拶 安達
--------------------------------------------------------------------------------------------
その後のメールにて。

        福岡大学の 竹内 です。(2002/07/02)
月惑関西の安達さんから、来年の木星会議開催の依頼を受けました。

    From: 安達 誠 
    題名: 27回木星会議依頼  (2002/06/22)

    > 竹内さま:
    > 
    >  ごぶさたいたしております。
    >  
    >  さて、先だって和歌山行いました木星会議の時に、来年の第27回木星
    > 会議は福岡方面でお願いしたいということで参加してくださった皆さんの
    > 賛同を得ました。恐縮ですが、ご準備いただけますでしょうか。
    >------------------------------------------------------------
     
    お引受けしたいと思います。

    まだ 1年先ですが、徐々に準備を整えていきたいと思います。
    会場の確保は私の方で行いますが、会議の内容・進行等については
    皆様の御協力をお願いすることになると思いますので、
    その時はよろしくお願いします。

    竹内 覚 / 福岡大学 理学部 地球圏科学教室
------------------------------------------------------------
  また、残念ながら今回欠席された長谷川均さんが、次回はぜひ出席する予定との
  メールが飛び交いました。
26h-c2002.LZH 画像全部 22.4MB




ALPO-Japan HomeALPO-Japan Latest Home