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2001/01/22 月惑星研究会関西支部 例会模様

ALPO-Japan Meeting 2001/01/22



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月惑星研究会関西支部通信28(安達) 発行2001年1月23日

  
 21世紀最初の例会を開催致しました。総勢13名の今までの例会の中では
最高の人数が集まりました。新人の方もたくさんおいでいただき,また,当日
オブザーバーでこられた方も会員に成って下さり,大変にぎやかな例会となり
ました。前日は,全国的に非常に広範囲にわたって降雪があり,やむなく欠席
されたかたもあり,残念でした。次回には是非ともお越しおいただきますよう
ご案内致します。最後に,次回の例会の日時も予告しておきますので,今から
日程を抑えていただきますようによろしくお願いいたします。

1 参加者
 伊賀/奥田/前田/河原/安藤/森田(新)/風本(新)/新川/小嶋
 瀧本(新)/西谷親子/安達

2 自己紹介と近況報告
 新人の方には少し詳しく紹介いただきました。また,現会員のほうも簡単に
自己紹介を致しました。

安達: 前回の例会のあとは全く観測できておらず。3ヵ月間全く何もできて
   いない。火星を3回見たが,いずれも丸い円盤像を見たにすぎず,成果
   はゼロである。来月に入ったら火星をがんばりたい。
伊賀: 仕事が大変忙しく,昨年の10月以来ホームページの更新が滞ったまま
   になっていて心苦しく思っている。更新できるよう準備は整っているの
   で,なるべくはやくできるようにしたい。(2/15くらいになるとどうに
   かできるとのことでしたby安達)ホームページの運営については円滑な
   運営ができるように協力をお願いしたい。自分の観測は昨年の12月で
   終了した。
奥田: CCDで3色合成の撮影を行っている。25cmF7.4の望遠鏡にビットラン
   BT01で80000画素を使っている。現在ひどいしもやけにかかり,休業中
   である。
前田: ピコナ族で,ビットランも使っているが,最近全部ヘッドをモノクロ
   に取り替えた。東海の3色フィルターを使って撮っている。しかし,現
   在ごみに悩んでいる。今年の火星は,よいデータが撮れるようにがんば
   ってみたい。
新川: 会員の中では若いほうだ(ウッソ〜!by安達)。金星火星土星を中心
   に観測している。
風本: 京都市の直ぐ南の久世郡から来た。天文は10年余り休んでしたが最近
   になって,復活した。昨年21cmを自宅の3階の屋上に据え付けたが気流
   がよく無く,よいものは撮れていない。望遠鏡は宇治天体精機の鏡筒を
   ミカゲの架台に取り付けている。家の近くが交差点でしかも近くには橋
   があり,常に振動が起こり,じっとした惑星を眺められない状況で,対
   策に頭を痛めている。画像の撮影や処理は池村さんに教えてもらってい
   る。
森田: 高校の教員をしているが,現在は琵琶湖博物館に勤務している。自宅
   は守山で,事務局とは最も近くの会員である。30年前に天文少年をやっ
   ていたが,一昨年のくれに復活した。苗村さんのてほどきで20cmを磨い
   たが,非常によい面に仕上がり,本体も自作した。それ以来惑星をする
   ようになった。木星と土星が中心である。オリンパスのデジカメで撮っ
   ている。
小嶋: 26歳独身。銀塩にこだわり現在も継続している。プロビア100を
   かわべの1m鏡に取り付けて撮影している。現在はMLを参考にしながら
   惑星を見ている。2年くらい先をめどに銀塩の巻き返しをはかりたい。
安藤: 久しぶりに復活し,前回の例会から来ている。木星だけを観測してい
   る。現在カット数では1364コマ撮った。今年は1/2と3日だけ観測した。
   仕事が忙しくなり,毎週東京に出かけている。先には台湾にいかなくて
   はならなくなるかもしれない。これからは観測が減りそうだ。(台湾は
   気流がいいぞお〜っ。と,みんなから冷やかされていました)
河原: 濃尾平野の3川の川下に住んでおり,水蒸気が立ちこめ気流がよくな
   い。25cmのカセグレインを自作して木星や土星を観測している。火星の
   観測はまだ1回しかできていない。
瀧本: 天文は始めて5年くらいで,3年ほどは観望だけをやってきた。1年
   半位前からスケッチを始めた。まだ素人ですがよろしく。
林 : スケッチ観測はやっていたが,4・5年くらい前に再入会した。今は
   デジカメ中心に成ってしまった。ミノルタディマージュでやっている。
   基本はスケッチだと思っている。(拍手う!by安達)今年は火星もがん
   ばりたい。

3 木星のまとめ(伊賀)
 10.11.12月をまとめた展開図を用意され,参加者には配布された(7/13
人の人に)。カッシーニの画像で公開されている展開図と両方をもとに木星の
近況をまとめた。
 カッシーニは今月末まで観測している。これらの中にはメタンやモノクロの
画像が含まれている。公開されているのは10/31以降の分です。静止画がでてい
たが,12/3に細部のはっきりしたものが出るように成ってきた。12/7の画像は
すばらしい。永く観測できるとよいのだが,直ぐに観測してくれないようにな
る。恒久的には地上のみになってしまうだろう。最近は画像がクレジットの関
係でストップしている。
 また,ロジャース先生の提案したEZの大きな白斑などの観測はまだ公開され
ていない。

(1) SSTBの小白斑3個は各々,間の距離が狭まり,1ヵ所に集まりつつあ
  る。2=150〜200あたりに位置している。
  また,別の白斑2個は現在大赤斑の南を通過している。もともとは3個あ
  ったが,現在は2個になっている。
(2) SSTZは大赤斑の経度から後方で明るく成っている。
(3) BAは12/8か9日には2=265°,1/17には2=258°にいる。BA直後のSTBsに
  は明るく小さな白斑がある。この白斑は勢いが強く左回りの渦になってい
  る。BAも左回りの渦だが,カッシーニによるとその間には右回りの渦が存
  在している。この勢いの強い白斑は1998年に見られたもので,そのまま現
  在も継続して存在している。このままいくと,この小さな白斑はいずれBA
    と合体するのではないかと考えている。
     最近サンチェスさんがSTBのBC/DE/FAの変化を分かりやすくまとめた画像
    を公開されている。
     BAの左上には2=220〜240°くらいまでストリークが伸びている。今は2=
    260°くらいだろう。STBの北組織はBAの前方位まで進んでいる。
     STBにできていた#1・2・3の暗斑のうち#1のみがまだ見えている。
    2=125〜150位がそれにあたり,おおきな左回りの渦になっている。(渦は
    カッシーニの動画でよくわかる)
 (4) SEBの南方で大赤斑の前方のダークストリーク(STrZの暗斑)に注目
   している。このダークストリークの位置にSEBsの暗斑が次々に接近して
   る様子が観測されている。これらのSEBsの暗斑は地上からの観測では暗
   斑として観測されるが,カッシーニの画像をよくみると,中心に小さな
   白斑をともなっている。SEBsのこの暗斑がダークストリークにぶつかる
   と予想していたが,緯度が暗斑とは少し違っていて,2系では位置の変化
   は非常に少ないようだ。しかしながら,10/20には35°にいて1/2には42°
   になったことから,いずれ大赤斑と衝突するものと思われる。ただ,こ
   の動きのままだと,大赤斑と衝突するまでにはまだ,時間がかかりそう
   だ。
    現在大赤斑の前方にストリークが復活する兆しを見せているので,今
   後注目していきたい。
    大赤斑後方撹乱のところで,大赤斑の北側をかすめて通ったSEBsがこ
   の部分で乱れている。カッシーニの動画で見ると面白い。白雲の出が少
   なくなっているようだ。
    SEBの中央の明化は現在とまっているようだ。SEBZの中央が明るく成
   ってきて以来,明化が進むかと思われたが,なかなか進まないようだ。
   SEBnがやや太くなったように思われる。2=265°位まででSEBnが太くな
   っている。この部分はSEBnとEZsの撹乱とも言われるが,大きく乱れて
   いる。この乱れた部分はSEBnとEZsの複合体ではないかとも言われてい
   る。SEBの北半分はEZsと大きくかかわり合っているように思われる。
 (5) NEBnにバルジやノッチができていて,それを包むようにNEBの幅が広
   く成っているところが多く,全体に幅が広く成ったように見える。
   BARGE  2= 35      140  185  210  305  に見られる。
   NOTCH  2=   85  115     190           に見られる。
   3連構造が比較的顕著に見られる。
    カッシーニの動画によると,リフトのできるところが写っており,
   中央付近にできた白斑が,自転周期のずれによって斜めに引き伸ばされ
   ていく様子が捉えられていた。
 (6) NTBの南側にジェットストリームが見られる。全周に7個くらい見ら
   れるようだ。
 (7) NNTBに昨年赤いベルトがあり,一度見えなくなったが,現在再び見ら
   れ,長さとしては40°位に成長している。
 
 4 土星A環の異変か?
  12/22に新川さんから土星のA環に暗い模様らしきものが写っていたので,
 その確認をしたい旨のML(メーリングリスト)が流れました。南を上にした
 土星の画像のうち,右肩にあたるA環の中に棒状の暗い模様が複数の画像の上
 にできていたとのことでした。一見スポークの様なものに思えたそうですが,
 当日に同じものを写されていないかの確認をされたわけです。
  問い合わせの結果,同じ日の同じ時間に撮影された人(池村・森田)もあ
 ったのですが,ほかの人には写っていませんでした,従って,実在の模様で
 は無いらしいことを,新川さんは確認されました。
  原因として考えられることは,ニセ解像現象と呼ばれる,ものの公算が強
 いとのことでした。この現象は,強いコントラストのものを写すと,近くの
 ピクセルに黒い陰のようなものが起こる現象だとのことで,それが今回でた
 のではないかということでした。カメラはもともとこの現象をカットするフ
 ィルターがかけてあるから,そのままコリメートで移す方には問題無いが,
 改造して,はずしたものには出る可能性があるとの説明でした。このときに
 入っているフィルターは空間ローパスフィルターというそうです。
 
 5 最近の火星観測から(安達)
 (1)池村さんの画像と横倉さんの火星観測記録から
   視直径の小さいころから精力的に観測をされているが,最近は視直径が
  小さいころからしっかりした画像が得られるようになり,この点について
  は,眼視での観測を完全にしのぐように成ったと思われる。とても小さな
  画像だが,たくさんの情報を得られるように成った。
   ただ,今まで眼視での観測経験をつまれていない方にとっては,ほとん
  ど情報を取り出すことができないが,長年観測を続けてきたものは,その
  中にたくさんの情報を見い出すことができるという事を,説明した。
   現在HPに出すために伊賀さんに送ったコメントをみると驚かれると思う
  が,経験的に様子を読み取ることができる。先日横倉さんから火星のスケ
  ッチを送っていただいたが,非常によく見えたスケッチが得られていた。
  この時,太陽湖(ソリス)がやけに大きく見えることを連絡されてきたが,
  実際,関西支部の画像を見てもそれが裏付けられている。池村さんの画像
  を回覧してその事を確認し合った。視直径が6秒ほどで,すでにオリンピ
  ア山にかかる雲が明るい光点として捉えられている事を確認した。
 (2) CCDの画像処理の留意点
   視直径が5秒ほどの火星のCCD画像の処理をしたものを安達がいただいて
  いるが,それを見ると,同じ日の画像でありながら,写り方が大きく異な
  っている様子が捉えられている。模様をだそうと無理をして画像処理をす
  ると,ここまで真実とは異なったものができることを確認した。できるだ
  肉眼で見て,それに近い処理をするように心がけ無ければならない。
   HPにアップされた画像のコメントをみながら,無理の無い画像処理をす
  るように心がけてほしい。
 (3) Planet-Bとの観測提携について
   日本の打ち上げた火星探査機「のぞみ」が2003年に火星に到着するのを
  機に,火星の地上からの観測支援体制をととえるべく提案が成され,安達
  のところに協力してほしい旨の通知がありました。地上から観測してのぞ
  みに撮影してほしい所を進言することができます。現在安達はその協力メ
  ンバーに1999年から入っていますが,我々のHPがそれに有効に働きそうな
  ので,協力を頼みたいということでした。
   出席者で話合いましたが,みなさん乗り気で,受ける事にしました。い
  ずれ,正式にどのような協力体制を引いていくかは,出てくると思います
  が,今年は2003年の本番を控え,その訓練期間として実施していただき,
  みなさんも火星について勉強していただきますようにお願いいたします。
   例会では,1999年に配られた火星観測ハンドブックの紹介を致しました。
  また,この計画の観測の目的として掲げられたもののコピーを配布して,
  その紹介を致しました。今年のハンドブックが送られてきましたら,みな
  さんのところにも送ります。
   そのあと,例会では,火星の季節の説明。をLsをもとに解説しました。
  また,スケッチや画像の報告に必要な数値の説明と,火星の画像の方向性
  の統一をはかることを説明しました。用は,火星の画像の場合は,南北を
  画像と正確に合わせないと,方向が決まらず,なんの価値もない写真にな
  る事になると,解説しました。みなさんも次の点に気をつけて報告をおね
  がい致します。
    ○画像の南北を実際の南北に合わせること。火星をモニターで必ず水
     平に動くようにセットする。
    ○データには必ずLs/Deを添付すること。
   この2点を必ずまもって報告する用にしてください。木星の場合は,模
  様がほとんど水平で問題ありませんが,火星の場合は自転軸の傾きから,
  地球の方を向いている向きが大きく変わりますから注意が必要です。
 
 6 THE JUPITER OBSERVER'S GUIDE AND REFERENCE BOOK
  アメリカのALPOの出している,初心者向けの分厚いハンドブックの紹介を
 行いました。広島の佐藤健さんから安達がいただいたものです。木星の模様
 の名称から観測方法。まとめ方に至るまで懇切丁寧にかかれたものです。画
 像はほとんどなく,スケッチと写真が少々でまとめられたものですから,や
 や時代遅れの感じもしますが,撹乱など大きな現象が的確に説明されていて
 中味のある書物でした。
  東京方面を中心に多分にたものを作ろうという計画が出ている様ですが,
 これの日本版といったものでしょう。詳しく知りたい方は事務局までお知ら
 せ下さい。例会に欠席された方には,目次を郵便で送ることにします。
 
 7 その他
  安達が苦手なためよく分かりませんが,画像処理についてや,機械的なこ
 とを盛んに情報交換されていました。詳しくは,参加者に問い合わせて下さ
 い。
  例会のあとは6名で新年会を行いました。近くの居酒屋で8時ごろまで,
 楽しい一時をすごしました。人数が少なくて残念でしたが,その分思ったこ
 とを存分に言い合えたのではないかと思います。
 
事務連絡 
 
 ◎ 木星会議は6月ごろになりそうだ。支部の方からもたくさん参加してほし
  い。
 ◎ 木星会議では発表もできればやってほしいので,何か話題のある人は今
  から準備をしておいてください。
 ◎ 最近メーリングリストにバイナリーメールを流している人があるが,中
  には読めない人もいる。そういた人には1時間余りにもわたって文字だけ
  がえんえんと流れていることになるので,画像等は個人宛か自分のホーム
  ページに公開して見ていただくように配慮してください。
 ◎ 例会の時に会費を徴収しました。2001年分の未納の方は事務局まで送っ
  て下さい。じょうずにね。(^_^)/
 ◎ 次回の例会は
             4月15日(日) 午後1時から


            月惑星研究会関西支部支部長      安達 誠