ALPO-Japan

2001/04/15 月惑星研究会関西支部 例会模様

ALPO-Japan Meeting 2001/04/15

Guide Map


          永長、 
               西谷、西谷、林、白石、奥田
           中西、新川、河原、前田、池村、風本、
               畑中、森田、小嶋、安達、伊賀、
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月惑星研究会関西支部通信 No.29      2001年4月17日発行
 
 今回の例会は支部始まって以来の参加者を記録しました。17名
の参加があり、大変にぎやかで、かつ有意義な例会となりました。
また、遠方からお越しいただいた方や初めて参加いただいた方も
おられ、大いに刺激を受けられたようです。

参加者 池村・河原・中西・風本・前田・奥田・白石・永長・
    西谷親子・畑中・小嶋・森田・伊賀・安達・林・新川

1 近況報告
   初めての方には自己紹介もかねてお願いしました。
池村:「画像送信攻撃」とか「最先端の座」などと言う新語をつ
   くりだした。HPへの速報を頑張っている。
河原: 池村さんに勝ちたいと願いながら頑張っている。
風本: C14を借りて使っている。新しい望遠鏡をシュミットに
   するかニュートンにするか迷っている。
前田: 岡崎に転勤して池村さんの近くになった。よい画像がとれ
   るかと期待したが、残念ながらビリビリ揺れてばかりで成果
   が上がらない。
奥田: 昨日からようやく火星の撮影を始めた。
白石: 今年の2月に入会し、初めて参加した。デジカメから銀塩
   まで、広く浅くがモットーでやっている。C11とピコナで撮っ
   ている。研究というのはあまり好きではないが、撮影法につ
   いてはよい画像がとれるように応用を考えていきたい。現在
   36歳である。
永長: 火星は思うようになかなか写らない。もう少し頑張りたい。
西谷弘光: 受験の学年になり、何もできていない。
西谷輝昭: 1月19日に観測をやめると宣言してやめている。そう
   しないと、観測小屋ができないからで、観測小屋を作るほう
   に頑張っているが、作り初めてギックリ腰になった。体調は
   絶不調。もう少ししたらできると思うので、そうしたら、火
   星の観測ができるだろう。
畑中: 初めて例会に参加した。三重県の熊野からやってきた。
   安達から補注
    畑中さんは月惑星研究会大阪支部という、本会の前身時代
   のメンバーで、月惑星研究会への復活メンバーです。
小嶋: ここ一月、手首を骨折し、ようやくギブスがとれたところ
   で、なにもできていない。
森田: 自宅から15分でここまで来れる所に住んでいる。火星の方
   はまだ始められていない。ピコナの改造に失敗してしまった。
伊賀: 忙しくて、なかなか時間がとれず。HPでは池村さんのお世
   話になっている。最近月刊天文のほうから、HPにバリ島での
   火星観測ツアーの企画が起こっており、その宣伝を載せて欲
   しいという依頼があった。
 (協議の結果、掲載は見送ることになった。)
安達: 木星は完全に足を洗った格好になっている。火星の観測を
   精力的に行っており。明け方中心の観測活動となっている。
(林さんと新川さんは時間がずれ、近況報告を聞けませんでした。)

◎ 木星の概況とまとめ(担当:伊賀)
 報告された画像などから1月には全面の展開図が2枚、2月には4
枚も全面の展開図が出来上がり、かなり整理ができた。また、毎日
の観測も展開図形式に整理している。3月分は製作中で、今回の例会
には間に合わなかった。

1 STrZにあった、大赤斑直前の暗斑について
 この暗斑は気流が今一つよくないときは、STrZにできた暗柱のよ
うに見られたが、口径が大きくなると、はっきりと、STrZに暗斑と
して観測されたものです。カッシーニの画像では気泡状に中が明るく
なっており、高気圧性の暗斑です。
 この暗斑は昨年に形成されました。最初は2000年10月9日にダミ
アン・ピーチによってとらえられ、その翌日の10月10日になって支
部の中西さんがとらえておられます。暗斑の移動はこの直後から始ま
り、大赤斑に次第に接近していましたが、11月10日ごろになってほ
とんど移動しなくなりました。その後、この傾向が続いていましたが、
今年の2001年2月10日になって急に、大赤斑に接近を開始し3月18
日から20日くらいの間に大赤斑と会合しました。この様子は海外でも
追跡されていましたが、残念ながら、気流のよいときに恵まれず。く
わしい状況はわからないままになりました。おそらく大赤斑に飲み込
まれたのではないかと考えています。支部では3月10日に永長さんが
とらえたのが最終となりました。
 PS.天界の5月号に木星・土星課からの報告が掲載されます。

2 SSTBの小さな白斑の追跡
 大赤斑の南側に比較的顕著な小さな白斑がSSTBにあることは、たく
さんのかたが、お気付きの通りです。白斑は3つあったのですが、最
近になって、2つになりました。これらの3つの白斑は、大赤斑のすぐ
南側を通過していきましたが、真ん中に位置する白斑が面白い動きを
見せました。前後の2つの白斑は同じようにリニアに移動していきまし
たが、大赤斑の経度に近くなると、中央の白斑は動きが急に遅くなり、
後方の白斑と急接近しました。そのご、この後方の位置に白斑が1つ
だけとなり、どちらかが消えたか、マージ(合体)したかのどちらかの
ようです。この現象は昨年の10月にも同じような現象がとらえられて
います。
 大赤斑の経度に近づくと、スピードダウンするのが、同じようにとら
えられています。大赤斑とは緯度が随分異なりますが、大赤斑のすぐ南
側の  STBは大赤斑に近づくと加速される傾向がありますから、SST
Bはその反動の影響があるのかもしれません。もちろん推測の域をでま
せんが。

3 BAについて
 最近は形状がわかりにくくなってしまった。3月13日に230°にとら
えられたのが測定の最後となってしまった。4月の解析がまだ済んでい
ないので、詳しい状況はよくわからない。BAの直後には長さが35°に
およぶ、STBの濃化部がついている。

4 EZsとGWS(Great White Spot)
 約50日周期で大赤斑を通過している。GWSは1999年10月にできた
ものでその後、大赤斑を10回通過し、現在も存在している。ただ、現
在は以前のような明るさはなく、前後のSEBnに暗斑が認められること
から位置をつかんでいる。大赤斑の右下に来るとSEBZの明物質をEZs
に入れる現象が、何回も観測された。
 4月17日現在 1=180°にいて、+1.5°/日 で移動している。

5 SEBの現状
 SEBは現在は安定している。南北両組織の間にあった明部も次第に
その長さを縮めており、当分の間淡化は始まりそうにない。

6 NEBのようす
 ここしばらく普通の太さよりも太く観測されている。北側にはバー
ジやノッチが相変わらず見られ、全体としては2つくらいが存在して
いるもようだ。

7 その他 
 ここしばらく、木星は全面にわたって穏やかな様子をしている。
 また、一応の状況が理解されたところで、伊賀さんから、木星の
1系と2系についての解説が行われました。

◎ 火星の報告(担当:池村)

 最初に、池村さんから画像送信攻撃のための「リベンジ」が渡さ
れ、どのような形式で送って欲しいかということが説明されました。
毎日たくさんのアクセスがあり、世界で最も早く観測を公開してい
るサイトとして、頑張っているが、会員の皆さんからの送信手順を
整理して、アップデートがなるべく早くできるように協力してほし
いことが説明されました。
 欠席された皆さんには、事務局の方から、その要項を送ります。
 火星の南極冠についての池村さんからの解説が有りました。時に
シミュレーションの画像を使い、南極冠が現在見えているのか見え
ていないのかを確認しました。現在、南極冠は太陽の日が当たらな
い場所から、日の当たるところに顔を出してきたところです。
 支部の観測では、コメントを書いている安達が4月1日に南極冠が
見えたと報告しているが、この4月1日は南極冠は太陽の日の当たら
ないところに位置しており、見えないように思われる。
 火星の極冠の結成の問題は、物理表のLsの位置によるものがもっ
とも分かりやすく、数値をあげるとLs=110°から南極冠の結成が
開始されると、過去のOAAの観測結果ではなっている。本年の場合
は4月中ごろになって南極冠の位置に太陽光が当たるようになるが、
その後も極冠は大きくなり続け、Ls=160°位になったときに最大
直径を迎えることとなる。その後Ls=310°に至まで徐々に縮小を
続けていくことになる。
 
 この説明の後、南極冠の結成についての討論となりました。
 
 まず、南極冠は何からできているかということを確認せねばなり
ません。南極冠はドライアイスと氷でできています。大気中の二酸
化炭素が氷点に達すると、ドライアイスになります。氷の方が氷点
が高く、大気のうち最も先に現れる物体はまず、氷です。その次に
ドライアイスが極冠を形成します。
 火星には、大気中に水蒸気を含んでいることは言うまでもなく、
最初に南極地方を覆う雲は水蒸気の雲になります。そのあとから二
酸化炭素の固体であるドライアイスが極冠を覆うことになります。
 多い方はよくわかりません。雪のように上空から降るようになる
のか、あるいは、地球上の霜のようにできるのかはよくわかってい
ません。
 地球の霜は、水蒸気が露点以下になり、地上の物体に触れて、気
体となり、その後氷点を下回ったときに霜になります。さらに、そ
のごは、空気中の水分が次々にその上に氷となって付着していきま
す。南極冠の霜もドライアイスも同じような仕組みをとっているか
もしれません。また、ひょっとすると、厚い雲の中で降雪現象がお
こっているかもしれません。結局のところは、雲の中で起こること
で地球上からは頑張っても解決できない問題です。
 ただ、南極は、平たんなところでは有りませんから、こういった
霜やドライアイスが地上にできるところは、高地からできるという
ことが十分考えられます。盆地の底が周囲よりも良く冷えることも
有りますが、これは雲のない快晴の状態の時で、極冠形成には適用
できません。
 もしも高地から出来、さらに南極フードが淡くなったり、雲の切
れ目が出来たときには、地球からかいま見ることが出来るかもしれ
ません。そういったときには、予報よりも早く見える可能性が起こ
ります。

 今回の観測では4月1日と2日が少々、問題となる観測となりまし
た。1日は安達が眼視で観測しています。フードの中に明るい線状
の光点を見ています。見え方は、2から3個の光点でした。2日は
永長さんの画像ですが、これは、安達が前日に見た見え方のシーイ
ングの悪いときと同じ見え方でした。でも、その後は再び見ること
が出来なくなりました。
 このことは、南極冠が見えたというよりも、極点の中心に同心円
状に出来るものではないことをしめしていると、考えられます。今
後の観測で明らかになるかもしれません。

 その他の観測から

 クリセとタルシスに明るい雲が発生して、いずれも数日間追跡で
来ました。ただ、残念ながら、日本からは見えなくなったことや、
水による雲なのかあるいはダストストームなのかがはっきりしませ
んでした。三色分解の画像が有れば、もう少しはっきりとしたこと
が言えますが、残念ながら情報不足でした。皆さん。三色分解の画
像をとってください。
 極点付近は前述のように、いつも雲が覆っています。また、赤道
付近も絶えず雲が覆っており、常に淡い雲が観測されています。今
年から作成し始めた10日おきの雲の様子を地図に作ったものはそれ
らの活動を大変よく示しており、海外の観測者の方も画像を提供し
てくださっています。そのため、日本国内だけでは得られない、火
星全面にかかわる情報を示すことが出来ました。
 その地図を見ると、赤道付近の雲は火星の地形に大きくかかわっ
ていそうだということがわかってきました。現在、その観測を整理
していますが、次回の例会までにはもう少し、はっきりしたことを
皆さんに提示できるものと思っています。(by安達)

◎ 情報交換
1 火星の本
 Natinal Giographicの出している本で、火星のものが有るとの
ことです。非常に良く整理されていて、資料として利用価値が高い
様です。会員の皆さんの中で情報をお持ちの方が有りましたたら、
MLで流して下さい。
2 前田さんがフィルターボックスを作られました。
 自作でスライド式のフィルターボックスを持参されました。動き
も滑らかで、さすがの前田さんの作品でした。画像をとるときにフ
ィルターのことが気になりますが、素晴らしい出来でした。
3 プリズム
 池村さんが使っている例のプリズムですが、手に入れることが可
能になりました。例会の時に3人から注文の以来を受けています。
もしも必要な人は早く連絡をください。金額は交渉中です。

◎ 事務局から
 通信が遅くなってすいませんでした。最近火星に熱を上げて、寝
不足がたたり、30行ほど打ってはパソコンの前で20分ほど意識不
明になっていました。何度もこれをくり返し、ようやく打ち上げま
した。コメントもたまっています。ああ。。

 木星会議への参加者は
  伊賀・安達・池村・伊藤・小嶋さんなどのほかに誰が出てくだ
さるのかなあ。東京近辺の方も連絡くださいね。

 さて、次回の例会は7月です。第1日曜か第2日曜日かのいずれか
です。決まり次第、お知らせします。


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    安達  誠
   520-0242  滋賀県大津市本堅田4-8-11
          東亜天文学会理事・企画部長
          月惑星研究会関西支部支部長
   @[VZD07247@nifty.ne.jp]@
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