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月惑星研究会関西支部 例会を開催しました。


2001年10月21(日)13時から安達の自宅

(滋賀県大津市本堅田4-8-11)
 夜は、有志6人で一杯やりました。
◎例会の内容 
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出席者 新川  河原  奥田  風本  森田  西谷
      畑中   安達   伊賀   池村

夜も出席者 森田 安達 伊賀 池村 新川 河原


月惑星研究会関西支部通信  No.30 2001年10月23日発行  本年最後の例会となりました。1年間に4回しかないため、振り 返ると1年がやけに早い感じがします。今年は、火星の大黄雲が発 生し、話題の多い、また、それにともない忙しい1年になったよう に思います。土星の空隙の問題など、積み残しになったものもあり ますが、実りも多かったようです。  前年に比べるとスケッチ派がさらに少なくなり、画像派におされ っぱなしですが、これも時代のながれでしょう。一方、画像の方で はIRで撮影する人が出てきて、今までにない取り組みもできました。 今回の例会では、このIRについても話し合いましたが、これからは 狭い波長の画像に手が伸びていきそうです。例会で、少し話題にも なりましたがメタンバンドに近い領域を撮影しようと言う人も出て きています。日進月歩というところでしょう。  さて、今回の例会は10名の参加を得て実施しました。 ◎ 参加者  森田・新川・伊賀・河原・風本・奥田・畑中・池村・西谷・安達 ◎ 近況報告 森田 ピコナがようやく使えるようになってきた。アイピースの組   み合わせをかえて、よい画像が得られる方法を探している。 新川 家族サービスもあり参加が遅れたが、会社の方も不景気でち   ょっと暗い状況。みなさんミノルタの製品を買ってください。    f(^_^) 最近は、火星の観測の後に土星の観測も行っている。   メタンバンドに関心が出てきて、フィルターを組み合わせてメ   タンバンドもどきを作れないかと考えている。最近天文ガイド   の最優秀賞をもらって取材を受けた。近く自分のHPでいろんな   ものの処分市をするので、よろしく。 伊賀 どれだけ撮ったかははっきりしないが、木星の観測をやって   いる。最近になって、東亜天文学会の木星・土星課の幹事を依    頼され、承諾した。堀川課長が原稿などを書けないときに、ピ    ンチヒッターでできればよいと思っている。 河原 現在使っている25cmは10年前に鏡筒部分を6万円で作っ   た。鏡筒の鉄板が薄くて、向きによっては鏡筒がしなってしま   うので、向きを変えるたびに光軸を調整し直している。住んで   いるとこの気流が悪く悩んでいる。 風本 31cmの鏡筒を大阪の特殊光機に発注して40数万円で作った   が、特注の斜鏡のサイズを注文したところ、斜鏡に圧迫が出て、   星像が悪くなった。現在、修正してもらっているので、直り次   第頑張って活動を再開したい。31cmは光量がありすぎて困る。   また、重くて架台にかかる荷重もおおきく、架台の調整が必要   になっている。 奥田 先週から、土星・木星の観測を開始した。気流が悪く、よい   成果は上がっていない。 畑中 気流よりも天候が悪い。ここしばらくは雨ばかりだった。現   在、いつもつかっているDVのモニターがこわれて使えなくなり、   困っている。画像は、1枚の画像を2700枚の中から選ぶことに    なるため、まいっている。ビデオからのおこしは実に難しい。 池村 火星を120夜位観測した。全部で、撮影したコマ数は20   000コマくらいにだろう。このままの調子だと来年の2月か   ら3月まで追跡できると思う。現在、自宅の東側に2階建ての   家ができることになっており、すでに工事に入っている。画像    処理について新しい発見があった。 西谷 最近は限界を感じている。撮影してもなかなか処理まで気が   すすまず、画像処理まで進まない。夏に今まで骨髄バンクのド   ナーの登録をしていたが、夏に合う人が見つかり、提供した。   みなさん。まだまだドナーが必要です。ドナーになってくださ   い。 安達 火星はマンションに隠れてすっかり観測できなくなっており、   時々ダイニックアストロパーク天究館の20センチの屈折で観   測している。専ら観測の中心は木星となった。ただ、火星のま   とめを現在作成中である。 ◎ 伊賀さんが東亜天文学会木星土星課幹事に就任  新しく幹事になられます。今週の東亜天文学会の東京での総会で 承認されれば、正式に幹事となります。これからよろしく御願いし ます。宮崎前課長は仕事が忙しくなり課長を続けられなくなったた めに東京本部の堀川さんになります。また、今まで幹事であった、 浅田正さんも同時に御辞めになりました。  これからの新しいスタッフの活躍に期待します。 ◎ 木星の近況(伊賀)  伊賀さんによる、最近の木星の近況報告が行われました。今回は 事前に展開図を用意され、それを使っての説明でした。HPにこの 月惑星研究会関西支部通信が公開されるときには、その展開図も公 開されると思いますから、それを参照しながら次の解説を御読みく ださい。 ○ 大赤斑  経度は2系で76°くらいに位置しているもようだ。内部が一様で なかったり、後端に暗斑ができたり、最近では前方にストリークが できたりして、正確な位置決めができにくい、画像の測定でも73° になったり、78°になったりしているが、多分76°のまま移動せず に、停滞しているもようだ。 ○ STB  BAの直後に暗斑ができている。前シーズンにBAの後方に長さ40° くらいあったSTBの濃い部分が収斂したらしい。現在、大赤斑の近 くになってきており、このまま行くと来年の1月末くらいに大赤斑 を追い越すだろう。このときになにがしかの変化があるかもしれな  い。  また、STBは9月末に2系で300°くらいのところで2条に分かれ ている。 ○ SSTB SSTBには小さな3つの白斑が見られているが、とても小さなもの でなかなか、CCDでもとらえられていない。海外の観測(とくにED Grafton氏)で、素晴らしい画像がとられているが、これが写るく 来の気流が欲しい。この3つの白斑は、昨年から継続して見えてい るもので、昨年のものと同定ができた。ちなみに、安達は肉眼でと らえています。 f(^_^) ○ SEB  SEBsは2系で70°から暗斑群が後方へ伸びています。また、2系 で20°付近のSTrZとの境界付近に暗斑ができて入り、そのうち大赤 斑の下に到達し、大赤斑の下を通過する見込みだ。  SEBnは南組織が濃くなっている。 ○ EZ EZsのGWS(Great White Spot)が10月7日の画像でとらえられた。 EBは目立たず、フェストーンも見られていない。 ○ NEB  NEBは、全体が単調な見え方で、瀧本さんが指摘されているように 目立った模様が認めにくい状況にあるが、気流がよいときにはたく さんのバージのあることが確認された。ノッチも3つ確認されてい る。 ○ NNTB NNTBには2系で150°くらいに長いバーのようになったベルトが見 られる。また、220°くらいには左上がりの暗部が観測されている。 ◎ NEBのriftについて  9月から10月にかけてアメリカのALPOでは2系で170°くらいの NEBにDisturbanceが起こったと報告され、最近でも話題になっている が、それについて伊賀さんからのレポートがあった。  BAAからもロジャース先生がこの付近の画像を公開されており、 れを元にして解説された。この画像は全部で12枚のものから構成さ れている。最初は9月24日の安達のスケッチで始まり、国内からは 阿久津富夫さんの画像が3枚使われている。  この付近のNEBは南組織が淡くなって、所々が暗斑になって見えてい たが、170°のNEBZの中央付近に白斑が出現し、それが大規模なリフ トになって、成長したものであることが報告された。リフトの成長は 今年の木星会議で伊賀さん自身が発表されたものであり、それの発展 的な内容であり、Disturbanceというようなものではないとの解説だっ た。  一般的にNEBZの白斑の発生場所は木星全面で4ヶ所くらいあって、 寿命は調べたところ20から30日くらいのものが多いことが分かっ ている。今年も、同じような現象が木星で起こっているが、昨年のよ うには多くない。 ◎ SEBの淡化  SEBは全体として淡化傾向にあると思われる。シーズン初めと比べて も、昨年と比べても赤色が抜けてグレーっぽくなっている。一般的に はSEBの淡化はSEBsから始まるが、そろそろ注意が必要だ。 ◎ 火星の報告(安達) ○ 大黄雲  火星は、次第に黄雲が晴れてきており、ダストの下に暗色模様が見 えるようになってきている。部分的には南極冠が輝いて見え、その周 辺部にはダークフリンジの見えることも起こっている。全体として着 実に淡くなっていることは確かである。  しかしながら、ダストは相変わらず広く覆っており、濃いダストの 発生もまだ相次いでいる。前回の例会の時から後のダストの発生場所 を簡単に書き上げると次のようになった。(月惑星研究会関西支部通 信の発行の後に作成し直してHPには添付します。)火星の全面でほと んどの地域で大規模なダストの発生が見られている。このことから、 火星ではまだまだダストの発生が続いており、収束したとはいえない 状態である事が分かる。  今回の大黄雲は6月に発生して、過去にない異常な早い時期の大黄 雲の発生となった。過去の例から見ると10月ごろがそのピークに相 当し、実は、現在が大黄雲のピークになっていることが分かる。した がって、これから、再びの大黄雲の発生も十分に考えられる訳で、油 断できない時期であると言える。 ○ オリンピア山が黒く見える訳は?  例会の始まったときなどに、どうして黒い斑点に見えるのだろうと いう事が話題になっていました。そこで、例会の時を利用してこの件 について検討が行われました。いろいろな意見が出ましたが、おおむ ね次のようなことで共通理解しました。  ダストは山の周辺を覆っている。オリンピア山だけではなくタルシ スの3山もそうだが、頂上部はダストよりも高く、ダストの層を突き 抜けて出ているらしい。火口内部はおそらく玄武岩のように色の黒い、 すなわち反射能の低い岩石からなっており、地球から見ると黒い斑点 として見える。  では、なぜ白雲が覆っていないのかという点に関しては、山の周辺 のダストのせいで、山の周辺の大気の温度が上昇する。そうすると、 山の下から頂上付近に上ってくる上昇気流は今までよりも温度の高い 状態となり、水蒸気が凝結温度にならなくなり、山の頂の山岳雲は、 発生できなくなる。したがって、火口の内部が今までのような雲が無 くなり、地肌むき出しとなり黒く見える。  これが、おそらく黒く見える原因ではないかと結論付けました。例 会に出席されなかった皆さんはどのように御考えでしょうか。 ○ ダエダリアなどの新しい暗い模様は何?  今までにない暗い模様が、今回の大黄雲の発生に伴っていろいろと 見えました。とりわけ、ダエダリアとキンメリウムの北方にキンメリ ウムに沿ってベルト状に見えるというものが観測されています。  暗く見える理由は、例会でも大きな話題になりましたが、先程のオ リンピア山のようには結論は出ず、よく分かりませんでした。しかし ながら、上記の2ヶ所は、多分次のシーズンには暗い模様として存在 するのではないかと考えられます。  この2ヶ所は、今回の大黄雲の発達段階で特徴的な部分に相当しま す。まず、ダエダリアはモーレツに濃いダストの発生した部分です。 また、1973年の大黄雲の発生したときに新しい暗斑としてできた部分 でもあります。地形的にみて、高地の西側に相当し、東進してきたダ ストがぶちあたり、濃くなる部分に相当します。  もう1ヶ所のキンメリウムは今回は、ダストが非常に長く停滞し、 濃い状態が続いたところに相当します。  こういった理由で2ヶ所に大きな暗部が形成されたと考えられます。 ○ ミッチェル山が見える(池村氏報告)  ミッチェル山(ヘラスの南側に接するようにある山)が伊藤さんの 画像にとらえられています。HPにアップしてある画像で見られるので 注意してほしい。火星2001/10/20 ◎ 土星の近況(新川)  過去の観測と現在の観測からSTrZが明るくなりつつあるようだ。現 在の様子はSTrZが広がり、SEBの北の端がシャープになってきている。 これからSTrZの中間部に白斑が出てくる可能性があるように思う。  この件については、新川氏からレポートとしてHPに出してもらうよ うにお願いしました。 ◎ ゲストの観測の取り扱いについて 略 事務連絡 ◎ プリズム  再度注文します。欲しい方は事務局まで連絡ください。 ◎ OAA東京総会  安達が参加します。東京方面の方と会えるといいなあ。 ◎ 次回例会の案内  次回の例会は 1月20日になりました。今から予定を入れないように 御願い致します。 ◎ 次回の木星会議はかわべ天文公園で行われます。これについては決定 しております。小嶋さんがその段取りをつけてくださいますが、運営は支 部が中心となって行わねばなりません。次回の例会には具体的なことを話 しあわねばなりません。5月の開催ですから、1月を逃すと後1回しか話 あう時間がないからです。それまでに、案内も作る必要があります。おそ らくMLを通して話し合うことになりますから、よろしく御願い致します。 *************************************** 安達  誠    520-0242  滋賀県大津市本堅田4-8-11           東亜天文学会理事・企画部長           月惑星研究会関西支部支部長    @「jh3svw@yahoo.co.jp」@ ***************************************

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