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ALPO-Japan Meeting 2002/04/21 月惑星研究会関西支部例会


2002年04月21(日) 13時〜17時 安達氏宅

    (滋賀県大津市本堅田4-8-11)

月惑星研究会関西支部通信 No.33       2002年4月22日


 4月21日に支部例会を行いました。今回は木星会議直前の例会とあ
って、木星会議の内容についての話し合いがたくさんもたれ、活発な討
議の時間がもたれました。毎回感じることなのですが、例会の時間が足
りませんね。1時に始まって、5時までいつもやっていますが、決まっ
て積み残しができます。今回も、たくさんのことを質問したい人があり
ましたが、ざんねんながらかなわなかったかがおられ、事務局としては、
申し訳なかったと思っています。
 また、2回連続で学生さんの参加があったことは、嬉しいことでした。
さらに、例会を土曜日にしてはどうかと言う提案があり、参加者の皆さ
んは賛同されました。そこで、次の例会は7月の土曜日に行うことに決
めました。詳しい日程は追って連絡いたします。

1 参加者
 永長/伊賀/畑中/新川/安達/池村/河原/奥田/小嶋/新井/
 西谷(父)/林
 あっ!遅れてきた林さん!自己紹介してもらうのをわすれた!無念。

2 近況報告
◯永長
 木星観測は今年で2シーズンめに入って、ようやく木星のことが分か
りかけてきた。いつも、頭の中に木星が回っている(スゴーイ。とのみ
んなの声)。いつも木星を撮って頑張っている。一度はSEB撹乱の暗柱を
見てみたいと思っている。最近はシーイングが悪く、成果はあがってい
ないが、熊森さんの画像を見たり、海外の観測者の画像を見たりして、
ため息をついている。しかし、やる気は起こっている。(なくなった人
もいはりますが:A)ここしばらくの間、疲れがたまって体が動かしにく
くなっていたが、ようやく回復してきた。昨年火星を観測して、現在使
っている25cmからのグレードアップを考えている。
◯伊賀
 前回の例会以後観測は何もしていない。仕事の方も忙しかったが4月
に入って少し落ち着いてきた。現在望遠鏡を大きくしたいと考えている
(ミードの40cm)。休みになったら、家の建設業者と打ち合わせをし
ている。(The Astro Bakuro Service: 天文台のついた家を新築しよう
としてはります。今のマンションとくらべると低高度は見えませんが、
南中後も観測できるようになるので、うれしいようです。でも、伊賀さ
んが観測してたらまとめの方は時間があるのだろうか?:A)
◯畑中
 いろんな人の画像を見ながら研究している。特に、昔撮った木星の画
像を改良している。やっていて気付くことだが、昔の方が気流が良かっ
たような気がする。ビデオでの画像をとっているが、ビデオも有効のよ
うに思う。今後もビデオでやってみたい。
◯新井 
 京都産業大学の3回生で、木星に興味を持って少しずつやっている。
安達さんに20cmF6の鏡を用意してもらったのでこれから頑張ってやっ
ていきたい。
◯安達
 3月末にちょっとした油断から、仕事場で焼き物の釉薬を吸い込み、
全身に蕁麻疹を出しました。肝臓までやられ、観測どころではなかった
が、ようやく終息し、観測を再開してる。先日、ダイニックアストロパ
ーク天究館の60cmでカラースケッチをした。非常によくできて、よろこ
んでいる。最近は会長の平林さんが頑張っておられるが、まけないよう
に頑張りたい。
◯池村
 2月中順に火星の観測はストップした。となりにアパートができたた
めシーイングが悪くなったようだ。現在スランプ気味(仕事の出張で大
阪に長くとめられたおられたことも一因かな?:A)観測は3月下旬か
ら少なくなっている。現在はHPに力を入れている。我々のHPは最近海外
からもたくさん見られており、海外からも画像がどんどん送られてきて
いる。どちらかと言うと、海外から送られてくるほうが多いと言って良
い。これからは、来年の火星に向けてどんなことをするのかを話し合い
たい。(観測は今年の11月頃から開始できる)
◯河原
 中西さんの31cmを研摩しているが、会社をあわやリストラされると
ころで、落ち着かなかった。幸いにもリストラは回避されたが、仕事が
非常に忙しく、研摩の時間がとれなくなっている。今回はかろうじて例
会に出席できた。会社の勤務で毎日ヒーヒー言っている。
◯奥田
 ここのところ天気が悪くしっかり体を休めることができた。地域のス
ポーツ少年団の役員に当たり、日曜日ものんびりできなくなった。CCD
に思わぬ出費があり、観測所のリニューアルはできずじまいとなった。
ちなみに、CCDのチップを直すのに35700円かかった。
◯小嶋
 最近はシーイングが悪く撮影はしていない。夏になったらシーイング
が良くなるのでそれを待っている。最近は池谷・張彗星を撮っている。
今日は、木星会議の打ち合わせをしたい。
◯新川
 今日の出席者の中では3番目に若い(くやしいけどホンマや:A)。も
う少しすると金星が観測対象になる。ここしばらくの間は今までの観測
のまとめを作ろうと思っている。昨年の獅子座流星群のビデオやCD-ROM
を1000円で販売している。(消費税はかかりませんから買ってあげてく
ださい:A)
◯西谷
 最近になって3晩観測した。21cmの限界を感じており、観測意欲が
わかない。家庭的なこともあって現在はスランプ状態。

3 木星の状況
 最近は海外からの観測が多くなっており、集まってくる情報も海外に
圧倒されている。日本でも頑張ってほしい。ただ、日本はシーイングが
悪いのと、天候もよくなく、十分な成果があがっていない。観測夜数は
次のようになっている。
1月 日本 12日間 12人
   海外 30日間  8人
2月 日本 17日間 11人
   海外       8人
3月 日本 19日間  9人
   海外 28日間  7人

◎BA〜SSTB
 日本からBAが一時的に見なくなってしまった。シーイングが悪い精も
手伝ったかもしれない。BAの中にいくつもの筋が入り、乱れているよう
な様子が見られた。3月13日〜25日までこう言った状況が続いてい
たが、日本はこのときシーイングが悪い状態だった。3月26日にはふ
たたび日本でも見えるようになった。
 これらのことを観測からまとめる。
2月     順調に大赤斑の上を通過していった。
2月20日頃 大赤斑の真上を通過した。
2月25日  グラフトンのものではBAから左下に白帯がでたように観
      測されている、ここにはこうのような気流の流れはなく、
      不思議だ。
      このころ、BA前方の暗柱が見えにくくなってきた。
3月上旬    BAはやや赤っぽくなり、見えにくくなっているが、BA
      は存在していた。
3月25日までは国内ではシーイングが悪くうまく捕らえることはでき
      なかった。
3月28日  世界中で捉えられ、大赤斑を通過したのが観測された。
      特徴は、暗柱があり、やや赤味を帯びていた。
BAの大きさは
2001年10月31日 10°
     12月21日 10°
2002年 2月15日 10.9°
      3月07日 12°
      3月14日 10.5°
      3月16日  9.6°
      3月21日  9.3°(大赤斑の真上)
      3月23日  8.9°?
      3月28日  9.7°
      3月30日 11.1°?
 2月20日に大赤斑の真上を通過しているが、この頃からしだいに小
さくなってきている。大赤斑接近時、通常は速くなって動いていくが、
いつもと違って遅くなって動いていた。しばらくしてから速くなって動
いたことから最終的にはヅリフトチャート上ではリニアになった。現在
は今までのような状態に見えていることから、今後もこのまま見えつづ
けるものと思われる。

◎SSTBの白斑
 BAの右上にSSTBがあって、ちいさな目立った白斑が並んでいる。ドリ
フトはBAよりもやや速い。それぞれの白斑の距離はもともとは広かった
が、しだいに狭くなり、特に後ろの2つが急速に接近してきた。3月1
4日にはかなり狭くなり、3月25日の画像では1つに合体した姿が捉
えられた。この2つの白斑の間には逆回転の白斑が接近のときに出来上
がったが、画像ではこの逆回転の白斑が消えたとたんに2つはお互いを
回りあって合体している様子が見られた。このことはBAとFAが合体した
ときにも見られた現象で、BCとDEの合体のときにも同じことが観測され
た。ドリフトチャート上では、2つの白斑の白斑の合体したときの経度
はぴったり2つの中間の経度に新しい白斑の中央が位置しているのが捉
えられている。
 今回のSSTBの小さな白斑の合体(マージ)は2000年10月にも起
こったが、このときは大赤斑から離れた位置にあるときに起こっている。
不思議なことだ。

◎STrZのDark Streak
 2001年11月10日頃に出現した大赤斑の前方のダークストリー
クは順調に前進していた。ところが、2002年1月4日頃に大赤斑の
前端に接している部分から突如とぎれ、途切れた部分が流れに乗って大
赤斑から離れて行った。2月10日頃まで、この途切れた部分は進行し
たが、このころになって前方に残っていた部分がスーッと消えた。ダー
クストリークの最大のときの長さは約90°見られた。
 1998年7月と2000年8月にも2〜3ヶ月続いたものが観測さ
れているが、これらのときもダークストリークは同様の状態を経過し、
消えて行った。これらの現象はSEBsにできたダークセクション群の大赤
斑湾との会合に関わっているらしいことが分かってきた。
 ダークセクション群が大赤斑湾に差し掛かり、大赤斑湾を勢い良く通
過したのち大赤斑の後端部分で大きなダークセクションとして暗部を形
成。それが、大赤斑を取り巻く反時計周りの気流に乗ってアーチを形成
したのち、ダークストリークとして大赤斑の前方に現れている。さらに、
SEBsのダークセクション群が通過し終えたときにアーチが淡くなり、ダ
ークストリークの途切れた部分が形成されるらしい。
 さらに、このSEBsのダークストリーク群はSEBsの中でいくつかの塊と
なって存在しているようで、これらの動きを追っていくと、同様の現象
が観測されそうだ。

◎NEB
 2001年12月末まではNEBnの北側に白斑ができて、NEBを分断す
るかのようなリフトを形成するのが観測されていた。しかし2002年
1月からは様子がかわり、NEBnの南側に白斑が出現するようになった。
すなわち、白斑の出現する緯度が幾分南に寄った。そのため、今まで
NEBを分断するかのような大きなリフトになっていたが、1月からはNEB
の本来の緯度だけに広がるリフトを形成するようになった。したがって、
リフトができても北側の部分(本来はNTrZの南組織)はそのままベルト
として見える状態となった。
 この白斑は急速にNEBの中を前進し、今まで見られたバージを駆逐し、  
NEBには目立ったものがなくなってしまった。
 伊賀氏はこれらの動きを動画にまとめられ、参加者で何度も繰り替え
しその画像を見ながらその様子を確認した。

4 木星会議について
 小嶋氏から案内状が配付された。メールで送られているが、プリント
したものを渡され、参加者のうち予定がはっきりしている7名のものが
申し込み用紙に記入して、その場で小嶋氏に渡した。
 会場を確保するためには、今回の会議を一般の市民にも公開する必要
があり、木星会議に先立ち、当日の12時から1時間くらい木星とはど
んな星かを安達が市民向けに講座を開くことに決まった。その後、どの
ようなスケジュールで進行するかについて参加者から活発な意見交流が
なされた。ここにはいちいち書き上げないが、小嶋氏から討議の内容を
加味したプログラムが提示されることになった。
 大きな討議内容として、今回の月惑星研究会関西支部通信に出さねば
ならないことは、分科会のこと。
 だれが参加されるかによって、座長を勤められる人がいなければ分科
会は開催できないので、参加者の名簿を見ながら分科会を作ることにす
る。現在は、とりあえず、次の3つの分科会を作ることで共通理解をは
かった。
 画像処理    新川 
 初歩の木星観測 安達  
 画像の活用   伊賀

5 火星のまとめ
 新川氏が今シーズンに撮られた火星の画像を一覧に作成してこられ、
気付いたことを発表された。
◎レッドフィルターを使ってのまとめ
2000年12月〜2002年4月5日まで
 マクロ的な傾向として、大黄雲がいつごろ発生し、いつまで続いてい
たかが良く分かる。
2001年7月30日〜31日 シルチスが見え始めている。
               アキダリアは見えていない。
       10月〜11月 だんだんキンメリウムが見えてきている。
               ソリス・アオニウスが見えている。
       11月〜12月 かなり見え始めてきた。しかし、視直径
               は小さくなり、判別は困難。 
               主な模様は全て見える。
◎ブルーフィルターを使ってのまとめ
2000年2月〜2002年4月5日まで
 2000年2月には、赤道帯にかかる雲の帯が撮れている。また、こ
のころからヘラス・シルチスにはっきりした雲が見られている。暗い部
分が画像には出てくるが、赤の画像に出てくる模様とは位置から見て同
じものとは限らないようだ。
 2001年5月にはブルークルアリングが観測され、ソリス・アキダ
リア・マルガリティファーなどがハッキリと写し出された。大黄雲が発
生するまではシルチスがハッキリと写っていたが、大黄雲が発生してか
らは写らなくなった。そのご、ブルークリアリングはシーズン終わりま
で観測されていない。過去に撮られたハッブルの画像からみると、波長
で410nmの部分くらいに地表の模様が写るかどうかの境界があり、こ
こから波長が短くなると写らなくなる。今回は大黄雲発生後通常の火星
面に戻ったことが伺われる。
 画像を撮影すると、いつも南半球のターミネーター付近が明るく写り、
雲の発生が見られた。安達から、これは明け方に発生したきりが写るも
ので、水蒸気の集まって霧になったものが写った現象だろうとの解説が
あった。

6 情報交換
◎ ムードン天文台の画像公開
 1890年以降でムードン天文台が撮った木星の画像が、一挙公開さ
れた。4000枚程の量に及んでいる。火星も1930年代から195
0年代のものが公開されている。

◎ 金星の観測
 資金IRでも画像に模様が得られることが分かった。地上からの観測ネ
ットなどの取り組みにかわべ天文公園の台長さんがかかわっておられる
とのこと。

◎ 土星の観測
 池村氏からの報告で、特に異常は認められないとのことでした。

7 事務連絡
◎ 次回の例会について、毎回日曜日に開催しているが、次回は土曜日
に開催してはどうかという意見が多く出されました。そこで、次回は7
月の土曜日に開催しようと言うことになりました。会員の皆さんの都合
は如何なものでしょうか。
◎ 木星会議へ参加して下さい。
 今から都合をつけて下さい。お願いします。また、参加者を誘って下
さい。お願いします。



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月惑星研究会関西支部支部長(東亜天文学会理事・企画部長)
    安達  誠
   520-0242  滋賀県大津市本堅田4-8-11
   @「jh3svw@yahoo.co.jp」@
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