ALPO-Japan

ALPO-Japan Meeting 2003/07/13(日)


2003年07月13日 13時〜17時 京都市生涯学習総合センター『アスニー山科』

 7月13日(日) 午後1時〜 関西支部例会を行いました。
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月惑星研究会関西支部通信  No. 38        2003年7月13日

 今回から初めて例会を公共の集会室を借用して行いました。出席は13名あ
りました。会場は京都駅から一つ東にあるJR山科駅(やましな)から徒歩7分
の所にある京都市生涯教育センターの2階の研修室で行いました。会場は40
人くらい入れる所で、ゆっくりと使うことができました。
 当日は大雨で、午前中に計画していた福井氏によるコロナドフィルタ−によ
る太陽の観望会は、自然流会となりました。例会は、木星会議の報告と火星の
報告が中心に行われました。

出席者(順不同)
   柚木/永長/河原/安達/畑中/伊賀/福井/林/薄出/池村/小嶋/
   大橋/中田

近況報告

畑中: 天候が悪いが、南の方は時々晴れ間が出るので、時々撮影できている。
   黄雲が発生したときは比較的良く観測ができていて、黄雲には幸運だ。
池村: 名古屋の天候は雨ばかりで、今年は特にひどい。最近はイタリアの新
   規参入が非常に多い。イタリア人は英語の苦手な人が多く、翻訳ソフト
   を使って送ってきている。画像などの必要なことの連絡も言葉の壁があ
   りなかなか大変だ。しかし、情報としては、空白地帯を埋めており、非
   常に助かっている。最近はD.C.パーカーが撮影後すぐに送ってくれるよ
   うになり、凄いことだと思っている。当面、撮影はToUcamで行っていく。
小嶋: 最近は銀塩よりもToUcamの撮影の方が多くなってきた。(参加者から
   銀塩はやめたのかと、間の手が入る)ローウェルやスキャパレリのスケ
   ッチが公開されており、現在のどの模様が運河としてとらえられていた
   のか、自分の観測を元に同定している。
薄出: 時代の流れでToUcamとPCを購入した。梅雨があけたら撮影を開始した
   い。CRTでピント合わせができるだろう。
林:  火星はマトモな色が出ず、苦しんでおり、報告ができていない。曇り
   と雨ばかりで観測はやれていない。5月6・7日以来、火星を見ていな
   い。
伊賀: 火星は6月の頭に見たっきりだ。CANで西はりまに行った。若い人に
      囲まれ、若返ったような気分(ムリだよ〜by:A)になって帰ってきた。
   西はりまではToUcamを紹介してきた。これからは解析を中心に活動して
   いく。
河原: 愛知は曇りっぱなし。雨ばっかり。とうとう鏡が(中西さんのものだ
   って! 口が滑りましたな〜んて。聞いちゃった!)出来上がって納品
   した。もうすぐファーストライトではないか。自分はこれから25cmに
   するか30cmにするか、中西さんの様子を見て考える。とのこと。
永長: 火星の色はどの色が本物か分からない。やる度に色が変わっている。
   ピントはモニターで合わせているが、非常にやりやすい。天文ガイドか
   ら発売している、PDMU(これでいいかな?安達には暗号です)でやって
   みている。モノクロだが1/15秒で良く写る。
柚木: 最近はもっぱらToUcamで撮っている。ST5は準備時間がかかり、観測
   の楽な方に流れている。しかし、STの情報は貴重なので、これからは両
   方やりたい。(ガンバッテ!)
福井: 例会には2回目の参加となった。観測はマンションの踊り場でやって
   いるが、これからは近くの公園に移るだろう。火星の観測をやっていき
   たい。コロナドフィルターの観望会は10月例会の時に延期する。
中田: 今までに3回火星をHPにアップしてもらった。撮影や処理のデータが
   大きすぎて、PCがパンクしそうで心配している。
大橋: 参入して1年が経った。これからもオリンピック精神でがんばる。
安達:(例会ではとばされてしまったので紙上(画面上?)発表)
    みなさんと同じく、悪天候で観測は全くできていない。最近は専らデ
   ータの解説つくりと近況のまとめつくりにかかっている。これから仕事
   で成績付けをしたり、受け持ちの児童のキャンプの引率が有ったりして
   7月23日までは観測ができない。見えてきたらがんばりたい。

The A.B.S. (Astro Bakuro Service)
 とうとう、安達はWinのノートPCを買うことにした。Macのノートが高す
ぎるのが原因。デスクトップだけでは不便なので。機種選びは伊賀さんが担当。
PC教室の先生も兼ねて頂きます。
 ミナサン。宜しくねっ。

1 木星会議報告(6月21日22日、福岡大学構内にて)報告者:伊賀
 今回の木星会議は福岡大学で行われた。今までに九州地方での会議がなかっ
たこと。木星の研究者が九州に集まっていることも有り、初の九州大会となっ
た。福岡大学の竹内氏とその教え子4名も会議に加わり。20名が集まった。
関西支部からは7名(伊賀/安達/土山/内藤/大橋/小嶋/福井)が参加し
た。
 木星大気の上昇流と下降流と、ベルトとゾーンの関係との構造の見直しの発
表があった。(今まではベルトは下降気流によってでき、バンドは上昇気流だ
と言われてきた)中島さんからの特別講演では、NEBの中にできる明るく小さ
な光斑が実は雷雲であることが発表された。この雷雲は急激に上昇する雲で、
伊賀氏のPCによる木星の動画でその様子を確認した。
 2日目はToUcamによる画像撮影の様子を伊賀氏が再現した。その後、研究発
表が5題行われた。木星会議の詳細は、別途HPを御覧頂きたい。ちなみに、来
年の大会は北海道で開こうという意見もあったが、取りあえずは東京方面で開
催する方向となった。北海道方面で開くとして、北海道の方々でスタッフにな
っていただける方は有りますか?

2 火星の近況

 火星の様子は、伊賀氏が中心になって報告された。最近、天文ガイドに記事
を執筆すると言うことで、連日仕事を返上して(ノ-_-)ノ火星の資料を読みあ
さっておられます。インターネットでたくさんの情報が得られ、その中から、
幾つかを紹介された。火星の基礎知識が増えました。

◎ 黄雲の分類
 特に注目したいことは、近年の観測で問題になったことだが、大黄雲の分類
が日本でははっきりしないことで、これを統一しないといけない。NASAでは次
のように分類されている。とのこと。

●局地的黄雲(Local storm)
    最大長が2000kmを超えない
●地域的黄雲(Regional storm)
    最大長が2000kmを超えるが、周回はしない
●周回的黄雲(Encircling storm)
    黄雲が火星を一周する
●全球的黄雲(Global storm)
    極も含めて火星全体に波及する

 
 日本もこの分類方法を採用していくのが適当だろう。我々もこの呼称に準拠
して使用することにしたい。ただ、腑に落ちないのは、2001年の大黄雲は
トップに分類されないということである。あれだけ火星面を覆いつくし、極を
横切り、全球に拡がったのだから、最も規模の大きいものに分類するのが適当
だと考えるが。
 
◎ 大黄雲の発生時期
 大黄雲の発生時期は、今年は2001年程早くなかったものの、全体的には
早い方に分類されます。従って、これから第2波の黄雲の発生が十分考えられ
ます。MGSの観測では火星の大気の温度の上昇が観測されていますから、20
01年のと時と同じく、大黄雲が発生する可能性が残されています。

◎ 黄雲の発生
 7月1日にドナルド・パーカー氏がヘラスの北側に黄雲を発見した情報が流
れ、各メディアが一斉に採り上げました。IAUCにも国立天文台報にも掲載され
ました。例会のときに伊賀氏がNASAの情報を示され、6月28日にMGSによっ
て黄雲がとらえられたことを報告されました。場所は2ケ所あり、いずれもシ
ルチスの左(東側)で、リビヤ(Libya;275W,0)の南端の斜面と、その北側にあ
るイシディス(Isidis;267W,+23)のこれも斜面でした。
 しかし、この黄雲は発達せずにすぐにおさまる小規模なものでした。NASAは
これからまさに黄雲の季節が始まると警告した矢先の7月1日の発生でした。
 安達がメーリングリストに流した様に、本当の発生は6月25日に遡ります。
イタリアの観測者達がこの異変をとらえています。発端はヘラスの南部にでき
た黄雲が拡散。広範囲に拡がり、周囲の大気の温度を上昇させたことが、大き
な原因だと考えられます。その後、NASAの言う黄雲が起こっています。NASAか
らの6月25日近辺の情報がないため、良く分かりませんが、実際の初発の異
常現象の発端は6月25日だ安達は考えています。
 しかし、ヘラスの北側から始まった明らかな黄雲の発生にだけついて言えば、
7月1日と言って差し支えないものと思います。今回、発生したことから、黄
雲発生のメカニズムが少し見えてきたように思われます。
 これからはさらにたくさんの黄雲の発生が期待されます。

◎ 南極冠の変化
 5月下旬頃から南極冠の中央が暗くなっている様子が、いろんな方々からの
画像ではっきりしています。この現象は例年よりもやや早めの出現だったよう
に思われます。その後、南極冠の暗化は順調に進み、例年見られるように南極
冠の中に割れ目を形成していっています。
 安達がその様子を、展開図に整理しました。現在ホームページに公開されて
いる図がそれにあたります。これから、状況が分かるように逐次追加して行き
ます。
 どのように南極冠が変化しているかは。この図を見れば良くわかりますが、
過去の例とくらべてみてもふだん通りの見え方であると言うことが良くわかり
ます。おそらく、これからはふだんのようになって行くと予想されています。
シルチスを正面に見た時に、真横に割れ目が出現するのが、最も良く目立つも
のですが、これと同じになって行く様です。
 伊賀氏は南極冠の様子について新知見を得ました。MGSからの画像によれば、
南極冠の真下には直径400kmの永久南極冠が存在すると言うのです。これに
ついては、過去にバイキングの撮影した南極冠の画像があり、それがこの永久
南極冠にあたります。これは、水の氷からできていると言うことです。周りに
見えている南極冠は実は二酸化炭素の霜が主成分で、厚くなっている所では8
0cmになるといわれています。現在の南極冠は、構成物のその霜が見えなくな
り、中央付近が禿げたように見えているのです。南極冠の縮小は、実はドライ
アイスが昇華して行くのを見ているのです。1971年の堀口氏のスケッチに
は見事に地肌の茶色の様子が描かれていました。

◎ ミッチェル山
 この正体は実は半島状になった斜面になった地形に霜がつもり、太陽光を激
しく反射して見えていると言うもので、探査機の写真が公開されています。

◎ 閃光現象について
 Ds=Deにとらわれているようですが、これは、火星面上から地球方向を観察し
たとき、火星の赤道座標上で、太陽と地球が同一緯度になっているだけのこと
です。2001年6月に観測された閃光の時刻を詳しく調べた結果Ds=Deが最も近い
日より前に観測され、当日は観測されていなかった。太陽−火星−地球の幾何
学的な特別関係とは5゜ほどの誤差がありもし、火星面の鏡面反射であった場
合、5゜の誤差は列車の線路勾配で100/1000にもなり、氷結表面の反射とは考
えにくい。

 過去の火星の子午線付近で観察された閃光を再度計算してみた結果、火星面
の地球から見た中心位置と、太陽から見た中心位置の差。言い換えれば、火星
から見た地球の太陽離角となります。火星の物理計算時に算出される位相角と
呼ばれるもので、これが5゜以内の時に起こっています。
 今年は5゜以内になる時期は最接近の頃です。火星の自転軸の南極がこちら
に傾いているため、−2゜付近のエドムは候補にはなりません。−20゜〜−
21゜付近 となるので、これまでに閃光が観測された場所として候補はソリ
ス付近の北側となります。位相角6゜以内のときに、ソリス付近が、火星面で
正中する時刻を予報したのが天文ガイド8月号191ページの時刻です。

   火星図上の位置
                             地球の中央点 幾何学反射点  太陽の中央点
     日時(JST)          i     CMe    De      CMb   Db       CMs   Ds
2003/08/27 16:45(JST) 05.03 + 91.6 -18.9   + 92.7 -21.2   + 93.6 -23.6
2003/08/28 17:23(JST) 04.86 + 92.0 -18.9   + 92.7 -21.3   + 93.1 -23.7
2003/08/29 18:01(JST) 04.86 + 92.5 -18.9   + 92.7 -21.3   + 92.7 -23.8
2003/08/30 18:40(JST) 05.02 + 93.0 -18.9   + 92.7 -21.4   + 92.2 -23.9
2003/08/31 19:18(JST) 05.34 + 93.4 -18.9   + 92.7 -21.4   + 91.8 -24.0
2003/09/01 19:56(JST) 05.79 + 93.9 -18.9   + 92.7 -21.5   + 91.3 -24.1
2003/09/02 20:34(JST) 06.33 + 94.3 -18.9   + 92.7 -21.5   + 90.9 -24.1
2003/09/03 21:12(JST) 06.95 + 94.8 -18.9   + 92.7 -21.5   + 90.4 -24.2

 紙面の関係で編集しなおしたときに図に記入した位置も誤ってしまいました。
8月27日はほとんど無理。8月29日に東天に上がったばかりの時刻。ここから9月
3日21時ころまで、これが、位相角を基に、ソリス付近に絞り込んだ場合の閃
光現象の高頻度予想です。
 ハワイ付近が最も適した観測地になると考えられます。これは、ソリス付近
に絞り込んだ場合で、火星全面においてどこに閃光が現れるか、確定している
わけではありません。太陽-火星-地球の幾何学的関係で、満月現象のように閃
光の可能性が高いのは、8月23日から9月23日 (位相角iが6゜以内)と考えられ、
発光する場所は、火星面のど真ん中、中央点です。もし、閃光を観測したら、
10秒以内の精度で時刻を記録し、報告をしてほしいです。

事務連絡
◎ 次回の例会は 10月26日です。 会場の予約の都合でこの日に決定され
 ます。会場は同じ所(山科)です。
◎ 会費の値上げ一件
 ○ 会費は本年から1000円にすることに、全員の承諾が得られました。
  早速ですが、個人あてに事務局から会費の納入状況について通知させて頂
  きます。メ−リングリストに投稿されたり、観測を報告して頂いている方
  は活動中とみなすことにしますから、会費を送って頂く対象とします。
   ただ、会員の中にはメーリングリストを読むだけでよい。(今の所は)
  と、言う方も何人もおられます。こういう方には会費を徴集することはさ
  けたいと思います。
 ○ 会費の納入には口座を利用されるか、郵便でお送り下さい。
      郵便局振込先
         00940-6- 132972
         月惑星研究会関西支部

◎ HP運営作業に感謝
 池村さんがHPを事実上統べてアップして下さっていることは周知の事実です。
非常な時間を使って会のために仕事をして頂いています。会費を値上げするこ
とも有りますので、1年間に2万円謝礼をもらって頂くことにしました。みな
さんの御理解をお願いします。この件につきましても出席者全員の承諾を得ま
した。
◎ カンパを頂きました。
 福岡の木星会議のおり、土山さんと内藤さんのお二人から1000円ずつの
カンパを頂きました。厚くお礼申し上げます。
◎ 会計係をおきました
 今まで事務局の安達の所で会計を管理していましたが、これからは福井氏に
会計をお願いすることになりました。本年中に逐次移管して行きます。ただ、
振込先の移転は根本からやり直さなければならず、今の所、従来のまま使いま
す。

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FROM  安達 誠
 東亜天文学会 理事/企画部長
 月惑星研究会関西支部 支部長
 520-0242  大津市本堅田4-8-11
 電話 077-573-7605  
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