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ALPO-Japan Meeting 2006/01/22(日)


月惑星研究会関西支部通信 No.47号 2006年1月22日

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 火星は次第に遠ざかり、反対に明け方には木星が観測の好機を迎えた。火星は1月初旬に小規模なダストストームらしい活動をし、一方木星はmid 
SEB outbreakの活動が始まった。次々に新しい現象が起こり、ゆっくり休んでいられない状態になっている。しかし、最近は気流がめっぽ
う悪く、観測はおもうようにすすまない状態になっている。しかし、今回も11名の参加を得て、有意義な時間を持つことができた。

<参加者> 福井・安達・柚木・畑中・瀧本・野々口・中田・伊賀・林・奥田・永長

1 近況報告

◎ 畑中 11月の中ごろから観測を本格的に始めた。いろんなことを試しているが、6000コマ重ねてみたりした。カメラの新調を考えて
    いる。赤外で撮ると雲のない状態が撮影でき、おもしろい。
◎ 林  観測はできていない。全くできていないわけではないが天候も悪くうまくいかない。12月18日に網膜破孔になり、京大病院にい
    って治療を受けた。眼の中にごろごろしたものができている。これからは最後の火星をがんばりたい。もうすぐ起こる接食もやりたい
    と思っている。(原因の一つは加齢だそうです。安達も同じようなことを言われています。(~_~;)
◎野々口 いつも10cm屈折でやっている。小さくても観測できることを示したい。時々しか観測はできていないが、これからも眼視でいこ
    うと思っている。今年ある木星会議には出ようと思っている。
◎ 奥田 寒さにくじけている。最低気温は平年並みだが筒の中ほどまで霜が張る状態だ。楽な観測を目指し、観測所を建てようと準備している。
◎ 伊賀 望遠鏡は半年間のぞいていない。10月に引越ししてから一度も見ていない。観測活動など、やれるだけはやって行きたい。
◎ 中田 時間に余裕ができて来た。火星は赤外カットをしてとっているが処理ができず、処理しなければならないものがたまったままになっ
    ている。おもに火星ばかりをやってきた。寒さについていけなく観測は減っている。今年になって1〜2回は撮った。土星はきれいな
    ものを撮りたい。昨年末に子供向けに観望会をやった。(生き生きと話されていました:A)朝早い時間の観測は苦痛でできていない。
    今年は地球に接近する彗星の観測をやってみたい。
◎ 永長 町(自治会)の係が忙しく、十二指腸潰瘍が動き出して再検査が待っている状態だ。どうやらピロリ菌が棲んでいるらしい。老化がす
    すんできてモニターを見るのがつらくなっている。ゴルフもいい成績が出なくなってしまった。(安心してください。みんな一緒です。
    みんなで年をとれば怖くない(^_^)V)職場から帰って火星。明け方には木星を見ている。コンスタントにやって行きたい。(体の観測
    もしてくださいよ!)。
◎ 福井 10月の黄雲のころに眼がやられて火星が2つに見えるようになった。休養している間に観測ができにくくなってきた。藤枝市は毎
    日のように晴れているが仕事が忙しく残念だ。日食に行くので準備に頭を使っている。
◎ 瀧本 12月4日国立科学博物館の西条さんが来られた。伊能忠敬さん以前に地図を作ったり天球儀を作ったりしている人がいてそれを調
    べるお手伝いをした(後述)。天球儀には中国の星図が描かれている。仕事からの帰りが遅く、火星はなかなか撮れるチャンスがない。寒
    いけれど何とかやっている。晴れれば土曜日や日曜日には朝の観測をしている。最近HPを立ち上げた。地元で行われている子どもの
    天体写真展のお手伝いをした。日食に行こうという悪魔の声に悩まされている。(笑)
◎ 安達 1月になってすぐに眼の病気になった。病名は結膜結石。結膜に入り込んだウイルスによって、結膜に石ができ、角膜がヤスリのよ
    うな結膜にこすられる病気。朝起きたら痛くて眼があけられない状態になった。病院で、先がピンピンに尖ったピンセットで石を取っ
    てもらった。恐怖だった。その間、眼の調子が悪く、病院通いをしている間にダストストームらしい現象が起こったが、しっかり見落
    とした。平林会長や熊森さんに教えてもらってあわててしまった。観測は雪に邪魔されてなかなかできない。ちなみに例会から帰ると、
    家の近くは猛吹雪。家に帰ると体は雪だるま状態でした。
◎ 柚木 緑内障の疑いがある。視野に暗点が見える。望遠鏡では肉眼で見えにくくなってきており、昔は見えていたものが見えなくなってきて
いる。特に火星はそういう風に見える。(柚木さん。それはダストですよ。)10月から頭の調子がへんになり、脳を診てもらった。その結果、
脳梗塞が見つかった。手足が冷たい。タバコはいけないが、時々のんでいる。(ばちがあたるよ!)観測は無理しないようにした。加齢による
影響らしい。観測機材はATKがよさそうだということが分かってきた。機材やフィルターについて勉強している。
(みなさん:質問は柚木さんに)日食に行くので準備をしている。









<おまけ>
柚木さんから、土星の波長別画像の紹介があった。HSTでもこれに似たものが出ている。フィルターによっていろいろな写り方になるようだ。

2 木星の近況


(1)mid−SEB outbreak発見の経緯(永長)
 11月30日に350度に白斑がみつかり、mid SEB outbrーeakじゃないかなとおもって、その経度を中心に狙って観測した。結果、何
回か観測できて確認された。伊賀さんなどに指導を受け、最終的にはロジャースにも認めてもらった。
 発生から捉えることができたがシーイングが悪く、残念だった。今朝も3時半から写せるように準備し、撮影して例会に出てきた。
 340度の前方に目立つ部分があり、SEBが明るくなっている。よい画像も集まらず、はっきりした観測記録がなく様子が分からず、やきもきしている。
みなさんもがんばって撮影してほしい。


(2)まとめ (伊賀)
 2系で180〜200度と、300度付近に活動的な領域がある。11月23日には見られなかった。25日にあるようなないような常態。30日には
明らかに見られる。先の経度のほうが先に起こって300度については後発の可能性がある(李ジャー巣もそういっている)。
 12月7日は微妙な移り方。9日にははっきりと撮られた。olliveーttiの画像に出ている。14日には、かろうじてみえる。18日にはっきり
と永長さんがはっきりした白斑をとらえている。明確な白斑で、怪しいと考えた(伊賀)。19日には顕著になった。23日には白斑が2つになり、mid
になったと考えた。25日にははっきりしてきた。SEBnにも見えてきた。
(堀川さんも確認)29日には300度くらいに出始めている。1月3日には広がりつつある(300度くらいまで)。1月8日に決定的になり、SEBc
にでてきた。その後どんどん発展してきた。290度から350度くらいの広がりになってきた。



(3)レクチャー
 mid−SEBoutbreakについて(伊賀)
 1998年の現象のまとめから、今回の現象はどんな現象かを説明した。当時の木星面の活動の図を出し、それについての解説を伊賀さんが行った。今回
のものは、SEBが淡化する現象ではなく、部分的にSEBが淡くなって見えるもの。同一経度のところから白斑が次々に出てきてSEBの北半分を前進し
ていく現象であることを説明された。
現象で、白斑の出始めの最初の1個を画像で発見したのは、今回が初めてのことだろう。気流のよくない時期だったのが残念だ。これらの白斑はメタンでは
明るく写るはずだ。
 今回は1998年のときのようにGRSに向かってえんえんと流れていくものと思われる。白斑群の前進していく様子の追跡が楽しみである。6月ごろま
で見えているのではないかと思われる。この現象では、SEBの中央に赤いバンドやバージができることがあり、SEBcと呼ばれるこれらの現象に注目し
てほしい。
 これらSEBnにできた白斑は、SEBcのBargeにぶつかると小さくなり、北にもぐりこむようになることが観測されており、今回はそれを確認す
るよいチャンスになるとおもわれる。白斑の発生は過去の例から見て8日から7.5日で発生を繰り返しているようだ。
 SEB dist.との表裏一体の現象かもしれない。「SEB中央の白斑突発現象」和名がないが、あえて付けてみた。SEB Dist.はSEB全
体にわたって変化が起こるが、mid SEB outbreakは北半分で活動が起こる点が相違点となる。









<討議>
◎ 柚木・・・・よい勉強になった。過去の現象など、HPを見て勉強できるところをHPの中に作ってほしい。

<トピック>
◎ 瀧本・・・・近況報告で紹介されたものを画像を見ながら紹介された。調査された対象の人は久米通賢(くめつうけん)といい、江戸時代の下級武
    士で、今回の調査ではその業績の調査をされたようだ。平賀源内と同時代に活躍した人である。
   天球儀・・・しっくいで球をつくり、それに書き込んだもの(丸亀市)で、中国星図(星宿)が描かれている。
   総量地図は、伊能の測量の4から5年前にされたもので優秀なものだったそうだ。

3 火星の近況(安達 誠)


A 年間の整理
  2004年12月初観測から2006年1月までの現象のまとめをパワーポイントで確認した。
  まとめを作成する上で、様々な疑問点が見つかった。パワーポイントで説明しながら、参加者でそれらの疑問点を討議した。
(1)5月と6月に見られたダストベールについての紹介
   果たして本当にダストベールかどうかの確認が難しいが、非常に怪しいものがみつかった。ことを紹介した。観測数が少なくはっきりしないが、
   何度も起こっているらしい。
(2)用語の判断基準
    ・ ダストストームとダストベールの違い
    ダストストームは地表が見えなくなるくらい濃いもの。ベールは下の模様が透けて見えているもの。
    ダスティーであるのは全面が白っぽくなり、模様のコントラストが低くなるもの。
   ・ ポーラーフードと極雲の違いは極全体を広く覆い、淡い雲が全体を覆っているものをフードと呼び、極雲は極(あるいは極のすぐ近く)にある
    濃い雲。
  以上の説明は、安達がHPのコメントに書く際の一応の目安で、全体に紹介した。





(3)赤い模様
   今シーズンには赤い色をした地域が目立った。カメラのせいか、処理のせいか、はたまたほんとうにあったことか、区別がつかない。いずれにせ
  よ、赤い色の地域は前シーズンには見られなかった。
(4)ニクス・オリンピカの着色
   ほとんど見られなかったニクス・オリンピカだが、見えた時期には赤く着色されていた。それはなぜか。
(5)画像の端が二重に記録されたわけ
   ピコナではエッジの内側に明るく飛ぶ地域が出ていたが、今の機材ではエッジが使えない。理由が依然としてはっきりしない。
(6)南極雲が12月に出てきた!?
   12月は、大気の水蒸気が北に集まっている時期なのに、南極に白雲が記録された。マカリで測定しても南極雲が見えてくる。このような時期に
  雲が出るのは自然なのか。

B 目立った現象
(1) アルシア・シルバの山岳雲
  夕方になるにつれて明るく白くなる様子を池村氏が鮮明に捉えた。
(2) なぞの白斑
  柚木氏がヘラスの北東に、一見、山岳雲の見え方と同じものがみつかった。
(3) ブルークリアリング
   衝の近くになって、今年も出た。収束するときには、局部的に残りながら見えなっていく様子が記録された。
(4) 北極冠
  現在のところ、まだ極冠の姿は見られない。いつ見えてくるかが注目点になる。
(5) 低気圧
    アキダリウム西側に見える、巨大低気圧はエリシウム側でも見られた。
   しかし、明るく見えるところはアキダリウムの東側になることが多く、今シーズンもほとんどこの例に習っている。
   C 1月のダストストームについて
  1月7日に熊森・池村さんの画像で確認できた。瀧本さんの画像ではわからない。ことから、明るく顕著なものではなく、ダストベールというところ
 が適当だと考えられる。8日にはソリス付近がやや明るくなったものの、その後、急速に拡散していった。しかし、8日以降、東へ広がったものはマル
 ガリティファーのすぐ南側にひろがり、この地域の模様を一時期淡くさせる様子が記録された。
  熊森氏自身の指摘と、平林会長の指摘で気がつき、普段の検索では発見できなかったことを説明した。折悪しく、眼の病気になっていたころで、モニ
 ターを見る眼が集中できていない時期だったことが影響したようだ。

D<情報>
  雑誌「カシミール3D」2600円(第3弾)に火星のマップが付いている(福井)
 解像度は3種類用意されている。
 KASHIMIR 3D.com

3 土星の概況(伊賀)
 以前からスポーク模様については議論があった。この現象がほんとうにある現象なのか、それとも何かのいたずらによるものかの判断ができないままでい
  たが、このぼど、アメリカでこれの観測に成功した。カッシーニが2005年9月16日に撮影した画像に見つかった。
  スポーク模様の原因にはいくつかの説がある。
  ・ 流星物質によるものか
  ・ 磁気圏の不安定さが原因
  ・ 太陽と土星の位相角
   リングの裏側から撮影したものに写っていた。ハッブルでも撮影している。リングにあたる太陽光の光が少なくなると見やすくなるらしい。原因は位相角に
   よる影響が大きいらしいが原因までは分かっていないようだ。

   <バンドの色>
   最近は、優秀な画像が多く入るようだが、木星モードで緯度を測定すれば、模様の色の変化を追跡することができるだろう。だれか追跡してみてほしい。
    (安達)

4 フィルターについて(柚木)
 IDASと、フィルターを作ることで何度もやり取りしているがこのほどIDASから新製品の提案があった。
  IDASの提案
  450nm以下で幅の広いものができるようになる。モノクロのカメラでないと光量が稼げない。ToUcamではかなりしんどい。秒間5コマで
  撮影。バーロー2倍で撮れている。UVについてはバーダーのものは光量が得られ、2ばい良くとれる。土星でも使える。
 (これらの報告は火星の画像を元に解説をしていただいた。なお、関心のある方は柚木さんまで問い合わせてください。)



5 事務局から
(1) 会計報告(福井)次のような精算がありました。詳しくは福井さんまでお尋ねください。
また、未納の方は福井さんまで送っていただくか、振込みを利用してください。
  郵便振込先 00946−6− 132972
    月惑星研究会関西支部

 71070円 繰越の部
 93900円 収入の部
 25200円 支出の部
 139770 現在高

(2)会費の使途について
  講演会の実施を考えてほしいとの要望がありました。今年中に実現できるように事務局のほうで調整させていただきます。
(3) 次回の例会は4月23日になりました。今から予定を空けておいてください。
(4) 支部通信の46号はまだ出ていません。近日中に出します。実は、例会終了後、うっかりパソコン上でデーターを消去してしまい、完成品が出
  せない状態になっています。すみません。









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 代表者 安達 誠
 月惑星研究会関西支部 
 520-0242  大津市本堅田4-8-11
 電話 077-573-7605  
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