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土星の体系2と体系3について(BAAからの回答)

三品利郎 2011/02/27

英国天文協会の土星課長、マイク・フォークさんに、土星の体系2と体系3について問い合わせました。
懇切丁寧な回答をいただきました。全文を和訳しました。
-------------------マイク・フォークさんからの回答----------------------
惑星の北半球における現在の大きい嵐があり、土星は今、特に観察が楽くなっています。これは、初は2010年12月に現れ、まだ存在しています。

 質問ありがとうございます。
私は以下の文章でこれに答えることを試みました。あなたが既にご存知のポイントがあれば、失礼しました。私が明らかにしていない用語があれ
ば別のメールを送ってください。そうすれば、さらに説明します。

 土星で斑点や嵐を追跡するのは、地球上で追跡するのと同じように行います。即ち、時間に対する緯度と経度の条件で、これらの特徴ある模様
の位置を測定することによります。 緯度は地球も土星もともに赤道から測かられます。
地球では、グリニッジ子午線から相対的に経度が測られます。私たちは土星の大気の頂上を見るだけでなので、土星には、経度のゼロのための確
固とした基準点がありません。その結果、木星と土星の両方の経度システムが、特定の日時での中央子午線に関して経度0(スタートポイント)
を持っています。そして、他の日時での中央子午線経度を導き出すために、固定的な自転周期を使います。
 
 私たちがスポットの位置を引き出すのであれば、何時でも、そのような経度系で整理します。
(1)スポットが自転周期と同じ周期で動くと、時間に対して経度は同じままです。
(2)スポットが自転周期より速い周期で動くと、時間に対して経度は減少するように見えます。
(3)スポットが自転周期より遅い周期で動くと、時間に対して経度は増加するように見えます。
時間に対する経度のグラフが、斑点の自転周期(いつも直線的な変化とは限らない)とその回転速度を導き出すすために、使用できます。
木星のように、土星の大気は緯度に従って異なる風速を流します。両者とも、風速(つまり自転周期)は赤道領域では、温帯や極地方よりはるかに
速いです。従って、分析の観点からは、以下が好都合です。
(1)特に赤道のゾーンの経度システムを定義すること。
(2)惑星の他の領域には、別々の経度システムを持つこと。

体系1は、土星の赤道の領域に使用されて、国際天文学連合によって定義されているように844.3度/日の回転速度に基づいています。
体系2は、何年も前に赤道領域で以外の斑点の自転周期を提供するために、米国Association of Lunar and Planetary Observers(ALPO)によって
導きだされました。

 最近は、国際天文学連合が土星の磁場の回転の周期を赤道領域以外の特徴的な模様の代替のシステムとして提案しました。それは、土星の磁場
の回転に基づいていますが、依然として、赤道領域以外の特徴ある模様の便利な参照経度系を形成しています。これは体系3として指定されていま
す。
体系2と3の回転周期の違いは大きくはありません。両方が赤道領域でないところの特徴的な模様の便利な参照経度系を提供します。WinJuposなど
の近代的なソフトウェアでは一方の経度系から他方の経度系への変換が簡単にできます。
他の多くの天文同好会(BAA土星セクションなどの)は体系3を使っていますが、体系2を開発した米国ALPOは、依然として体系2を使うのを好んでい
ます。多くの観察者が、3つの経度系(1、2、および3)全てを、中央子午線経度として、彼らの観測に表示しているのがわかるでしょう。
体系1と2だけを使用する観察者もいるでしょうし、その一方では、体系1と3を使用する観測者もいるでしょう。しかし、時間が記録されている限り
は、観測が分析されるとき、一方の経度系からもう一方の経度系に変換するのはは簡単です。

 これが役に立つことを願っています。 

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