1999年 3月23日の火星

池村俊彦(Toshihiko Ikemura)、忍穂井幸夫(Yukio Oshihoi)、新川勝仁(Masahito Niikawa)


Toshihiko Ikemura (310mm Newtonian, Digital still Camera NEC PICONA)
1999/03/23 15:51:22(UT) 
Ls=113.97゜CM=296.12゜De=+15.29゜Dia=12.95"

31cm F5 ニュートン
テレビュー5Xバーローレンズ 1゜プリズム
赤外カットフィルターDR655使用
合成 F38   NEC PICONA 1/7秒  3 枚コンポジット
(強調画像:作成伊賀)
シーイングが2/5〜3/5で良くなかった。南中に近づいて、シーイングがだんだん良くなってきたが、翌朝の勤務のことを考えて、後髪を引かれる思いで撮影を終了した。

ヘラスが異常に白く、赤外カットフィルターをつけて見るデジカメのモニターでは、青くさえ感じることもあった。大シルチスの下(北)の鶴は写りませんでした。

1999/03/23 16:21:36(UT) 
Ls=113.98゜CM=303.49゜De=+15.29゜Dia=12.95"

31cm F5 ニュートン
テレビュー5Xバーローレンズ 1゜プリズム
赤外カットフィルターDR655使用
合成 F38   NEC PICONA 1/7秒   4枚コンポジット


Yukio Oshihoi (200mm SC, Digital still camera NEC PICONA)

1999/03/23 16h11m(UT)
Ls =113.7゚ CM=300.7° De =+15.3゚ Dia =13.0"
200mm F10 S.C(C8EX)  3 composite
Digital Camera NEC Picona 1/7"
強調画像作成:伊賀

Masahito Niikawa (280mm SC, Digital still camera Minolta DimageEx1500)

青色強調画像はこちら

(JPEG 116KB)
1999/03/23(UT)
Ls = 114.0, De = +15.3, Dia = 13.0"

Telescope : C11 (SC) D=280mm fl=2800mm
Camera : Minolta DimageEx1500 Digital Camera
         taking lens removed
Effective F No.: 105 (Or7mm Eyepiece Projection)
Filter: IR cut & Lowpass built-in the camera
Obs.site : Mozuhonmachi Sakai-City Osaka Japan
Exposure : 1/4 sec


Image Processing:

  • the Maximum Entropy Method deconvolution after composite of the original taking images (the leftmost images)
  • Enhanced the leftmost images with the unsharp masking method (2nd left). The color of these images are simulation of naked eye.
  • Enhancing the Blue channel layer images with contrast adjustment. of the leftmost images for easy detection of atmospheric phenomena (3rd left)
  • Hue of the 3rd left images is inverted (the rightmost images )

今日の火星(安達 誠)

お二人の画像から,SYRTIS MAJOR(シルチス)の東側のNeith Regio(ニース地方)に夕霧か夕雲が発生しており,それが火星の自転とともに沈んでいく様が記録されています。また,目だつ雲がChryse(クリセ)にあり,明るく目立っています。この雲はこの時期特有の北半球の低緯度地方の雲なのですが,よく見ると,この2つの地方をつなぐように淡い雲が東西に横たわっており,SYRTIS MAJORの北半分を覆っています。そのためSYRTIS MAJORは北半分が南半分と比べて淡くなっているのが読み取れます。この部分は度々,雲に覆われてひどい場合はSYRTIS MAJORの北半分が非常に見えにくくなることがありますから,注意したいところです。

次にHELLAS(ヘラス)の雲ですが,明るくよく目立ちます。お二人の画像から,感色性の違いがよくわかりますが,いずれにせよ青っぽい雲が発生していたようです。多分,肉眼的には青色というよりも青みが少しかかった白色の雲といった見え方だっただろうと思われますが,非常にきれいに写っています。できれば明るさの変化を自転の位置ごとに追跡して頂きたいと思います。

お二人の画像からは北極冠らしいものが認められます。雲なのか極冠なのかはこれだけでは決定できませんが,まだ,わずかに存在しているといっていいと思われます。


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