木星観測報告 10/ 5-12/24

安達 誠


木星の観測シーズン終盤のスケッチをまとめてみました。全部で17枚のスケッチの画像があります。(編集者:伊賀)

以下は12月24日の観測について、安達氏本人からいただいたコメントです。


12月24日木星の観測をしました。気流はいまいちでしたが、大まかな傾向はつかめました。経度はII系で325°でした。GRSの前方にあるBay がかろうじて確認できました。STrZでの明るさは今までのようには明るくなく、やや暗くなった感じが します。気流が悪いので怪しいかもしれません。

NTrZがかなり暗くなっており、NTBがほとんどわからないくらいに見えていました。経度によって見え方が異なるかもしれません。

SEBは300°位にやや濃度に大きな変化が起こったように見えます。詳細は不明ですが、注意したほうがよさそうです。といっても、だれもみていないのかもしれません。 HSTによれば永続白斑の近くに新しいWSができているとのことで、かなりややこしくなっていると伊賀さんから HSTの画像を見せてもらいました。地球からはもうほとんど観測できないのに、あんまりだと、思っています。

今年のうちにもう1枚何とかして観測したいと思ってます。


1996年10月5日 18時40分
I=259 II=263
S:3/10 T:3/3
31cm Refl. x360
  • STBにFAらしき形状が見られる。
  • STBは濃さも十分にあり、かなり濃く見える。
  • SEBsはわずかながら目立った。
  • SEBnの北側はフィラメント状のままでshadeのように見える部分がある。細かな模様がチラチラ見えるが、大きなものはなく、細部まではつかみかねる。
  • EBは今までよりもやや幅が広くなったように思われる。
  • NEBsは小さな暗柱がたくさん並んでいるように見える。フェストーンの付け根から右下がりに暗部が見られることが多いが、今日は全くそれらしい姿は見られず、S.comp.に暗班がある以外目立つものはない。
  • NTBは全体としてかなり濃くなってきたように見える。
1996年10月5日 19時34分
I=292 II=295
S:2(0)/10 T:3/3
31cm Refl. x360
  • STBはCM付近よりやや右上がりになっているように見える。またたくさんのD.spotがあるらしいことはわかるが、つかみきれない。
  • SEBsに南へ広がるshadeが見られる。自分にはstreakとは見られない。
  • 急激にseeingが悪くなりobs.中止。
1996年10月13日 17時35分
I=41 II=344
S:2/10 T:5/5
31cm Refl. x360
  • SSSTBが今日はseeingのためか全く見られない。
  • SSTBは淡くモヤモヤした暗塊がたくさんあり、何やら複雑だが目立ったものは見られない。
  • SEBsも途切れはなく特に変化はない。
  • SEBの中央やや北側のBeltはよく目立っている。
  • 北半球はかなり暗くなって、いつも明るいNTrZもかなり暗く、中が見にくい。
  • NEBnにD.sectionが見られる。比較的よく目立つ。
  • NTBが幅が広くなっており、かなり濃く見え、NEBと同じ位の濃さとなっている。南組織がやや濃くなっている。
1996年10月13日 18時42分
I=82 II=24
S:2(3)/10 T:5/5
31cm Refl. x360
  • SEBsのbayはうかつにもCMを過ぎてしまったが、明るさ、又南にかかったアーチ共、前と同じ姿になっている。GRSを1.5mm位右に描き過ぎてしまったため、Bayとの間が広く見えるが、実際はもっと狭くなっている。又、このすぐ前にも小さなBayがあって、これもシーイングが良い時にくっきりと見られる。
  • GRSは輪郭がclearではっきりし、中央に核状に暗い部分が見られる。
  • NNTBのこの辺りは比較的暗く、よく目立つ。少し濃く描き過ぎてしまった。
1996年10月16日 18時30分
I=188 II=107
S:1/10 T:5/5
31cm Refl. x360
  • STBは淡いながらもボンヤリと東西にわたって認められる。
  • SEBについては大きな変化は認められない。GRS後方のSEBnはやはりかなり暗く、SEBsの100°より後方も相変わらず暗いままである。ただseeingのせいかSEBZ内にあっても良いはずの明部の存在ははっきりしない。小さいのか暗いのかどちらかのもよう。
  • NEBnはCM左側で存在がはっきりしているが、右側は不明。
  • 北半球はいつも通りで目立ったものはない。
  • NTBはS.comp,の方がN.comp.よりもはっきりと認められる。
1996年10月21日 18時16分
I=248 II=129
S:2/10 T:3/3
31cm Refl. x360
  • STB付近はモヤモヤしていてモーレツにつかみにくく、LEBSの存在がはっきりしない。もう少しcenter近くなると分かりそうだ。
  • NEBnの西側には衛星のshadow。
  • NEBZ内の活動がやや活発になってきたようで、rift状の模様が確認されるようになってきた。
  • NTBの淡化部もはっきりしないが、ここに淡化部があるとすれば、かなり元に戻りつつあるように思う。今までのNTBの濃さになってきていると判断する。
1996年10月21日 18時48分
I=267 II=149
S:3/10 T:4(2)/5
31cm Refl. x360
  • LEBSが見え始めてきた。STBは前方に暗部がかなり長く伸びており、順調に復活している様子がうかがわれる。BCの前方のSTBnにnotchがある。
  • STrZnのCM西にWSあり。
  • 中央のSEBsにWSがあるが、その下のSEBZは決まって暗くなっている。
1996年11月24日 17時00分
I=162 II=145
S:3(1)/10 T:4/5
31cm Refl. x360
  • SSTBはかなり幅が広くなり、暗部が目立っている。
  • 久しぶりにLEBSが見えている。seeingの乱れがひどく、とてもCMTは取れない。BC、DE間のWS1はDE寄りに位置しているのが見て取れる。
  • STBはLEBSより前方に伸びだしているのがつかめるが、以前と比べて大差無く、進行の度合いは遅いようだ。
  • STrZは北側がやや明るく見られる。
  • EBは全周にわたって見られる気配がしていたが、かなり淡く以前と大差無し。
  • NTrZは赤っぽく明るく見えている。
  • NTBは比較的濃くよく目立っている。NNTBとの中間のBeltは存在すらはっきりしない。
  • 北半球は南半球よりもかなり暗く、前と同じ状況である。
1996年11月24日 17時50分
I=193 II=175
S:1(2)/10 T:4/5
31cm Refl. x360
  • SSTrZやや広くなってきている。
  • BC、WS1、DEが見える。
  • SEBsに浅いBay。前後のSEBsは濃淡多し。
  • NTZに淡いBeltが見られる。特にCM付近に見やすいものが見られる。
  • 急激にseeingが悪くなり、Obs.中止。無念。
1996年12月02日 17時34分
I=4 II=286
S:1/10 T:5/5
20cm Refl. x290
  • seeing悪くまともなイメージではないが、久しぶりのObsのためスケッチを取る。
  • SSTBはかなり濃くよく目立つ。CM前方にD.sectionが見られる。
  • STBはSSTBほど濃くはないが、比較的よく目立っている。
  • NTBはNTrZが暗く、あまり目立たない。
  • 北半球は全体的に見て、以前と同じようにくらいままに見える。
1996年12月06日 17時12分
I=261 II=152
S:1/10 T:5/5
20cm Refl. x290
  • LEBSが見えるII系だが、seeing悪く分からない。
  • STBは右側になると暗くなりよく分からない。もしかして見えないのだろうか?経度を計算しないでObs.したので...
  • STBはLEBSの前方で濃化が進んでおり、かなり目立っている。11月のPic du MidiのCCDのイメージではこの濃化部はSTBのn.comp.がよく目立ち、SSTBに前方が接して入り込んでいるのが見て取れる。近赤外のCCDイメージのため、ノーマルな姿ではないが、はたしてこのスケッチのSTBが本当のSTBなのか何となく怪しげな気もする。
  • SEBs Bayか?北側が時々明るく見える。
  • EBはseeing悪いが、ぼんやりと幅広く見えている。
  • NEBとSEBの濃度差はあまり無く、かなり暗い。
  • NTrZはかなり暗く、NTBとNEBnの境がはっきりしない。周辺減光が強く、STrZの右側がかなり暗く、モヤモヤしてつかみにくい。
1996年12月07日 17時12分
I=59 II=302
S:1/10 T:5/5
31cm Refl. x360
  • SSTBは濃く、とてもよく目立つ。
  • STBは見えるには見えているが、ほとんど詳細はつかめない。(STBは淡く見えにくく、このままGRSの上方まで続いているように見える)
  • STrZは微妙な明暗が見られる。小さな白斑か明部が連続的にあるらしく、モヤモヤしている。今シーズンの見え方が変わらず。そのまま続いている。
  • SEBの中央の東西にBelt状の明部が見られる。
  • NEBsのprojectionはよく目立つ大きなもの。一つの大きな塊ではなく、二つに東西に分かれているらしいが、よく分からない。
  • NTBは強烈に見えにくいが、seeingがやや落ち着くとかろうじて見える。
1996年12月08日 17時23分
I=223 II=99
S:1/10 T:5/5
31cm Refl. x360
  • SSTBは濃く見やすい。暗部も見られるが、目立つほどではない。
  • STBはかすかに認められる。GRS直後においてやや見やすい。SSTrZのGRSすぐ南に軽い明部がある。
  • GRSは周辺部ながら明るい赤色にきれいに見えるが、輪郭までは分からない。
  • SEB:GRS直後の部分でもよく見えており、明部や暗部は認められない。
  • STrZには明部がいくつもあるが目立つものはない。
  • NEBnが濃い!
  • NTBは右側の部分だけs.comp.が濃くよく目立つ。この経度ではNTBは比較的分かりやすい。
1996年12月11日 17時00分
I=322 II=175
S:2/10 T:3/5
20cm Refl. x290
  • SSSTB?かなり濃くよく目立つ。
  • SSTBは左側以外全体的に濃く見えない。
  • SSTBのBC前方にD.sectionがある。
  • STBはLEBSのある経度だが、気流も今一つだが透明度が悪く、細かな部分の見極めがつかない。大きな暗班はようやくつかめた。
  • STrZに明るさのムラがあるが、はっきりとしたものはない。
  • SEBZのBelt n.comp.のs.がよく目立って濃い。n.comp.にモヤモヤと暗班が並んでいて面白い。今シーズンの見え方が相変わらず続いている。
  • NTBnにD.sectionが見られる。大きさはかなり大きい。ただボーッとした形で、spot状ではない。色までは不明。
  • 南半球も同じだが、北半球側でもかなり暗い。地球からの距離が遠くなり、暗くなったための影響かもしれない。limb darkeningが今日はよく目立つ。
  • EZ内部はEBの位置にやや暗い暗班状のモヤモヤした模様がたくさんあり、シーズン途中よりもかなり活発になってきているように思える。
1996年12月11日 17時00分
I=120 II=325
S:3(1)/10 T:3/5
20cm Refl. x290
  • STBがSSTBに右上がりに入り込む場所がモヤモヤして、どうしてもつかめない。ぼかしてごまかした。無念。
  • SEBsの明部はGRS前方の大きなBayと思われる。周辺部にありながら明るく見える。
  • EBはやはりこの経度でもかなり濃く感じる。
  • STrZはCM後方からモヤモヤした暗部が見られるが、捉えところがない。Bayの前方は比較的穏やかである。
  • SEBnのs.comp.はかなり濃く、よく目立って見える。
  • NTBはかなり幅が広くなって見える。s/n.comp.ともに境目はよくつかめるが、濃くは見えない。
  • NNTBの位置に明部がある。白斑というほどではない。
  • SEBsは細くはっきりと見られる。特にSEBsのsmall bayの前方は真一文字にかなりはっきりしており、STrZと明らかな境界を示す。projectionのようなものが見当たらない。
  • スケッチでは十分に表現できないが、北半球は南半球に比べてかなり暗い。NTrZは他の経度に比べてこの辺りは赤味が弱いように思われるが、透明度が悪いので確定はできない。
1996年12月15日 17時22分
I=246 II=69
S:1/10 T:5/5
31cm Refl. x360
  • GRSは悪seeingのため、色がよく分からない。
  • SEBsとの間の明部は悪気流に埋もれて分からないが、明るくはないらしい。
  • SEBZはGRSの前後に明部は感じられない。GRS右下には何かありそうにも思うが、よくはつかめない。
  • STBはshade状にのみつかまえられるが、SSTBはいつもながら濃く目立つ。
  • NEBは中央にrift状の明部があり、濃い部分がとても目立つ。
1996年12月24日 16時59分
I=211 II=325
S:1/10 T:2/5
20cm Refl. x290
  • STBは極めて淡く、詳細は全く不明。
  • SEBに大きなモヤモヤがあり、何やら変化があったように見える。
  • SEBの中央のBeltはよく目立つ。
  • NTrZはかなり暗く、NTBはほとんど分からないくらいになっている。
  • NEBよりもSEBの方がやや暗く見える。
  • festoonはよく目立つ。