木星観測報告 3/22〜5/15

九条観測所: 浅田秀人


木星レポート2 (5/19)
7月に衝を迎える木星は4月末ごろからよく見え始めています。
目立つ縞模様はSEB,NEB,NTBの3本で、80倍程度の低倍率で確認できます。
南北両極の比較は、南にやや濃度がありますが、殆ど差はありません。

南から順に詳細

SPR〜SSTB:

普通の条件では極めて平坦な暗部であるが、好条件の時はSSTBとその南のSSTZに分離する。
SSTBの太さ、濃さはSTBとほぼ等しい。
STBが南にシフトしてSSTBに合流するII=50付近にやや濃度あり。
SSTZが明白なZoneとして確認できるのはSL9衝突以前の94年前半以来では。

STB〜STrZ:

STBは淡化して確認し辛い部分がある。同時にSTB上のLEBSも背景とのコントラスト不足から見つけにくい状況。
STBは昨シーズンと同様、螺旋階段状。始まりはII=170付近で215付近までは北縁のみ。5/12、213に白斑を見ているが輝度がなく、BCではない。
その白斑の後方から通常の太さで、DE(II=256)の後方から緩やかに、355付近からはやや急に南へシフトして、RS真南の50〜120の間でSSTBと合流している。
特に濃度があるのは、DE直後からFA前方の小白斑(STrZ側に開いた白斑,II=295)付近。 以降は40付近にやや淡い部分があるが、ほぼ安定している。
STrZは全周で明るい。白斑状に明るい部分はSEBsに湾を形成している2カ所でII=353と247. 353の白斑は昨シーズンから見えているものだと思われる。移動は体系IIに対して 0.135/1day のゆっくりした後退。

RS:

シーズン当初と比べると、僅かに赤味を増した橙色。RS直前の幅の広がったSEBZと似た色調。北側半分は若干淡い。位相は左上がり、右下がり。

SEB:

SEBsは色彩を感じない濃灰色、SEBnは茶系統を帯びて、濃淡で比較するのは難しい状態。 特に最近の5/10以降、s,nの濃淡に差が感じられない。
細かく見ると、SEBsは南縁に相変わらず濃度がある。 II=315〜50,75〜105,190,270〜295の各経度上で目立つ。
353の白斑〜RSの間は凹凸のある盛り上がりが見られる。
SEBnはRSの直後では北縁だけが見られ、II=79からにわかに濃度と太さを持つBeltになっている。そこからは徐々に濃度を落としながら後方へ続き、355付近からなだらかに細くなる。
SEBZは条件のいい時は全周でZoneであるが、全体的には昨シーズンより細い。
目立って太いZoneに見えるのは、SEBnが細くなっているRSの前後。但し、RSの前は黄色味が強く、RSの後では白色に近い明るさである。この後者の明るさを最初に見たのは4/24で、2個の白斑状に見えた。 5/9には、形状は判断できないが、小さな白斑の群を想像させる。5/14には、明るい部分はやや東西に伸びている。

EZ:

全体的に明るく、STrZと同等である。
EZ北縁のフェストーンは付け根部分に濃度はあるが、伸びた部分は淡く明確な形になっているものは希である。また、コントラスト効果に欠ける為、ovalもあまり目立たない。

NEB:

平均的にはSEBより細い。太い部分でSEBと同等。南縁は平坦だが、北縁は大きくうねっている。
淡化部が2カ所。II=87と208 いずれも北部が淡化し、NTrZに開く大きな湾になっている。南部はやや淡くなっている程度。

NTrZ:

やや明るさが落ちて、現在はEZ,STrZに比べて若干暗く、NTZと同等の暗さに見えることもある。
NTrZに明部が2カ所。 II=110付近とII=208。208は5/2に非常に明るく見えた。しかし、5/12には「やや明るい」に留まっている。10日間で移動は見られない。

NTB:

全周であまり濃淡はなく、太さは平均的なNEBの約半分。

305mm (反射) 眼視観測  九条観測所(京都市)


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