木星観測報告 5/16〜6/1、6/6

九条観測所: 浅田秀人


木星96 レポート3 (6/3)
今回は5/16〜6/1の観測結果から、最新の木星像のうち興味深いところを紹介します。

SSTB〜STB:

SSTBが全周で比較的よく見え、太さ、濃度はSTBの太い部分と同等。
STBはII=160付近から北縁だけの細いBeltが見える。II=210付近から通常の太さで、II=300付近から次第に南へシフトしている。II=15付近からほぼ淡化している。尚、同経度付近から後方でSTZがやや暗く、STBが濃度を落として後ろへ続いているようにも見える。
永続白斑は、5/24にBC,DE、5/22にFAをとらえ、6/1の予想位置は BC:226 ,DE:248 , FA:288 である。(6月末までならば、-0.4/1day で概略位置は求められます。)
DEの後方40度(FAの前方10度)にSTrZに開いたNotchがあり、結構見つけ易い。FAはそのNotchの右肩の位置だが、CM付近で何とか見える程度。

RS,SEBs

CCD Photo
RS前後のSEBsが次第に南に盛り上がって、RSをアーチ状にほぼ取り囲んでいる。(特に、RS後部で明らか) しかし、RSにまだ淡化の兆しはない。5/25. RSの位置はII=57
SEBsに大きな湾を形成しているSTrZ北部の白斑はII=357(5/25)にあり、大変目立っている。SEBsの活動はこの白斑前方〜RS(II=320〜45),RS後方のII=70〜80,永続白斑BC,DEの北側(II=205〜265)に見られ、いずれも昨シーズンと似た様相で、南縁が濃く、盛り上がっている。

SEBZ〜SEBn

4/24から注目しているRS直後の明部(白斑)は、5/23,25の両日に如何にも白斑状に見えている。位置はII=68(5/25)、緯度上はSEBnの領域。

EZ:

コントラストの優れたフェストーンが発生している。I=240付近で、5/24,26に顕著にとらえている。また、6/1にはI=90に別のフェストーン有り。これらの特徴は背は低く、EZの幅の1/3程度。経度幅は約20度。NEBとの間だに細長い隙間があり、その隙間はよく見るとNEBの浅い湾である。

NEB:

北縁が大きく波打っている。また、好条件下では、NEBは単なるひとつの縞でなく、斜めに流れる縞の集合体の如く見える。北縁の大きな波のひとつひとつがそれぞれ別の縞かと感じさせる。(とても言葉じゃ表現できない)

NTrZ:

6/1、II=305に明部を見ている。5/2,12に見たものとは別物だが、すぐ南のNEBは湾になっており、似た様相である。尚、明部に形はないが、CMから1時間過ぎても存在はわかる。

305mm(反射) 眼視観測+CCD / 九条観測所(京都市)


p.s.

5/23〜26、驚くほどシーイングのいい日が続きました。24,25は滅多に使わない392xで見ましたが、癖になりそうです。

6/6日の木星(一言レポート)

26h過ぎ、ちょうど南中の時に見ました。STrZの大白斑(SEBsの大きな湾)は26h27mにCMT(II=0)。この斜め左下のNEBには目立ったリフトが見え、斜め右下のEZにはRS方向に延びる色の濃いフェストーンがありました。
RSがCMにせまる頃には残念ながら雲に覆われました。

/30.5cm反射 280x @九条観測所(京都市)


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