土星観測報告 8/2〜10/30 in 1996

浅田 秀人


土星のSEBn〜EZsに8月以降、ベルト状の暗斑が出現しているので、その様子を報告する。

今回は、一部を除き、眼視観測では模様の存在を確認するに留め、位置はCCDイメージから求めている。

暗斑を最初に確認したのは8/2のCCDイメージである。それは、SEBnの一部がEZ側に膨らんでいるように見えた。眼視観測で暗斑を確認したのは9/18。その時、暗斑はSEBnから少し離れ、EZsに新たなベルトが形成されたように見えた。

その後の観測で、暗斑はベルトに見える部分と、細くstreak状に見える部分があることを確認している。また、ベルトと別のベルトの隙間は相対的に明るく見え、悪条件での観測時には明斑に見える。しかし、明斑に輝度はなく、現在のところ、それは少なくとも1994年のEZnの白斑よりは暗く、単に暗斑の隙間と見ている。

土星のCCD画像 JPEG 15KB
8/ 2 9/ 2 9/15
9/18 9/18 9/18
10/510/1710/17
10/1710/2910/30
大きな画像はこちら(JPEG: 800x552 59KB)

結果、今回の現象はSEBn〜EZsに発生したベルト状の暗斑としてレポートする。

暗斑の位置を以下に示す。

比較的目立つ暗斑は2個で、それぞれを暗斑1,暗斑2としている。
その他の暗斑はstreak状だが、やや濃度を見た程度の模様である。
経度値は system-I。
注釈なきものはCCDイメージによる計測で、眼視観測はいずれもCMTではなく、目測である。
撮影 Date(UT)            暗斑1       暗斑2      その他の暗斑
                      始点 - 終点   始点 - 終点  始点 - 終点
  8/ 2  17h55m                           - 137
  9/ 3  15h45m                                       95 -
  9/15  15h59m                  127 -          
  9/18  15h39m-16h55m      - 125     159 - 211      
  9/24  16h23m             - 179     219 -          
  9/26  13h15m                                       9 -
  9/27  16h56m-17h24m      - 212     251 -          
 10/ 5  12h20m-15h14m               *340 -  80           *眼視の目測
 10/13  14h15m-15h08m *310 -  29      36 -               *眼視の目測
 10/14  13h48m             -  61      69 -
 10/17  11h59m-14h23m    4 -  56     104 -
 10/18  14h03m                           - 215
 10/20  14h05m-14h37m      -  82     139 -
 10/21  12h13m-12h53m      - 140     150 - 225 
 10/30  14h22m                       241 - 282

緯度は9/15,18画像からの計測で、暗斑の中心緯度は-10゜.

暗斑2の始点がコントラスト明瞭で、その計測値からDriftを求めた。

Drift: +10.55゜/day (9/15,I=127 〜 10/17,I=104)
以下の画像はこの期間のCCDイメージから得たstrip-mapsである。
暗斑2の始点の形はやや変化しているが、system-Iを順調に後退している様子がわかる。
暗斑1,暗斑2の隙間に白斑を見たのは9/18の1回だけである。
暗斑1および暗斑2の終点は見る度に異なるイメージでわかり辛い。

305mm(反射) 眼視観測 326x + CCD / 九条観測所(京都市) 浅田 秀人


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