木星観測報告 1996/12/15

伊賀祐一


週末に夕焼けがきれいで大気が安定していそうなので、望遠鏡を引っ張り出して木星を見ました。ちなみに京都では日没16時48分 木星没18時47分でした。

この時期にしてはシーイングも安定していて、あんなに低空の木星(高度14°)を見て模様がはっきりと見えた経験はこれまでありませんでした。スケッチを1枚取りましたが、データは以下の通りです。全体的には特に変わった様相は認められませんでした。

1996年12月15日(日) 17時25分(JST)
体系I=247.5 体系II=69.8
280mmシュミカセ、x187、x280
シーイング 2/10 透明度 4/5

SSTB
この経度のSSTBは良く見えていた。同様にSSSTBも良く見える。東縁の経度(100°以降)でSSTBおよびSSSTBは南に湾曲している。

STB

この経度ではSTBは全く見えない。

GRS

最初はGRSとは気がつかなかったが、よく見るとGRSと分かった。といっても輪郭もはっきりとしないし、平べったい暗部に見えただけであった。経度は不明。

SEB

GRS前方のSEBsはとても濃く見え、GRSの北に湾入している部分はよく分かる。GRS後方のSEBsは全体的に淡い。

EZ

フェストーンも何も見えなかった。

NEB

NEBは全体的に濃い。NEBnは一様に暗いが、NEBsに2ヶ所condensationが見える。

NTB以北

NTrZから北は全体的に暗い状態であるが、この経度のNTBはくっきりと見えている。

※同日にPic du Midi天文台のCCDイメージ(近赤外)が撮られていました。GRSは南側にアーチがかかり健在のようです。また、SEBs BayもちょうどCM(28°II)に見えていて、GRSとの会合に向けて順調に後退しているようです。比較したくはないけれども、変なスケッチですね。

(縮小イメージに加工したため原画像からかなり劣化しています)
伊賀スケッチ GIF 32KB
Drawing by Y.Iga
1996/12/15 08:25(UT)
I=248 II=70
Pic du Midi CCD GIF 15KB
CCD Image(S2P) by Pic du Midi
1996/12/15 17:10(UT)
I=209 II=28

Pic du Midi天文台のGalileo探査機支援 E4 projectから

Pic du Midi CCD GIF 10KB Pic du Midi CCD GIF 11KB

Hubble Space Telescope(HST)の画像

HST Image GIF 24KB HST Image GIF 24KB
October, 1996
大赤斑付近
October, 1996
永続白斑とその周辺の白斑群
大赤斑の西のSEBsに湾入している白斑が
認められる。
大赤斑はくっきりと見えている。
    BC  DE WS2 FA   WS1,WS2,WS3は
----O--O--o--O-- 木星会議で命名。
__O__O__O_O____ WS4,WS5は新たに
 WS4 WS1 WS5 WS3    命名したもの。