月惑星研究会関西支部通信 No.10 (1996年9月15日)


安達の事情と、今年の木星会議の日程を考慮し、いつもより1ヶ月遅れの例会を行ないました。参加者は6名でした。
出席者: 浅田・伊賀・吉田・須田・浜野・安達

参加者近況

浅田

スケッチからCCDに移行しつつある。スケッチはCCDの80%ぐらい記録できているように思える(浅田氏本人の場合)。今後の撮影の方向としては近赤外に向けていきたい。

伊賀

マンションに住んでいるのため木星が殆ど見えないので観測はできていない。インターネットに関西支部のホームページを一昨日の金曜日に開設した。活動状況の紹介を進めたい。文字情報だけでなくスケッチや展開図など多くの情報を入れ、充実したホームページにしたい。木星会議では発表したいと思っている。CMTでドリフトチャートを作りたいので,CMTのデータ(大赤斑、永続白斑やSTBのおもな白斑のデータ)を送って欲しい。これらのデータは支部内の身内だけでなく、全てに公開していきたい。今後は観測報告の整理に力を入れたいと思っている。

月惑星研究会関西支部のホームページは下記のようになっています。

http://alpo-j.sakura.ne.jp/

吉田

夏はバイトが忙しく、観測できなかった。今はカメラに関心を持っている。京都の四条(京都で最も大きい繁華街)の明かりがひどかったり、シーイングが見るたびに悪くなっているように思う。

浜野

1年ぶりに例会に参加。転居したため、望遠鏡が出せずスケッチは取れていない。春から大学院に進学した。今度の自宅はアパートなので望遠鏡を出せない。

須田

仕事上の都合で観測がろくにできない状況にある。今の自宅のままでは観測場所がないが観測はしていきたい。最近は交野市にあるアマチュアの天文同好会に参加し、観望会にも参加している。今はOAA総会の実行委員になっているのでぜひ来て欲しい。講演会としては渡部先生の彗星の話、百武さん本人の話が用意されているとのこと。宿泊、懇親会に参加する場合は参加費が必要。地元の方と知り合い、少し天文活動をしている。マクストフを覗く機会を得た。覗いた感想としてはコントラストが悪かった(内面反射処理不良のため)が、本当は良く見えるそうだ。20cm反射経緯台を西村製作所に頼んでいるが、まだできあがったという報告をもらっていない。手元に届いたら観測に使いたい。

事務局より
数日後電話があり、本当はとっくにできあがっていたらしいが、連絡ができていなかっただけとのこと。今は苗村鏡の望遠鏡が手元に届いておられます。須田さん期待しとります!

安達

とうとうNIFTYにはいりました。IDはVZD07247です。一応惑星のフォーラムは2日に一度は覗いています。今後とも宜しく。でも、まだアップの方法が分かりませんので発信はご容赦を。木星の展開図の良いものが作れました。8月2/3日の2日間のものです。今度の木星会議で配布予定。
観測数(例会の時に報告のあった今シーズンの観測数)
浅田60枚土山 8枚
安達96枚須田 2枚
伊賀20枚中野17枚
奥田15枚吉田14枚

木星近況

SSSTB 8月中旬以降に見えている。現在SPRは淡くなり(やや明るくなり)見えるようになってきている。
SSTB FAの南の方が面白い。大赤斑後方に濃い部分がある。
STB
および
LEBS
LEBS付近でやや幅が広くなっている(170°位)。
大赤斑の後ろの130°で北側から見え始める。安達は大赤斑の南側にも認めているが、ほとんどの人は見ていない。
DEが明るく大きい。BCとDEの間のWSは北側に位置している。8月下旬〜9月にはSTBの中央近くに入り込んできた。またDEに近づきつつある。しまいにはくっついてしまうのではないか。さあどうなるか... 高度の高いDEに取り込まれてしまうのか。
WS2が交差するのは11月下旬ごろになりそうです。
FAの前のWSはほとんど消えかけている。
すぐ前方の北側に開いたnotchは形がややこしい。これについては白黒のまだら模様が回転しているため不定形になっているのではないかと考える。伊賀氏が発表したい希望を持っておられる。
STrZ SEBsのBayとGRSとの間に何やらあるが、淡い模様のため詳細不明。
GRS 南側にエッジ(アーチ)が見えた。生成過程に疑問がある。
5月23日頃にアーチになった。浅田氏によれば左側からお迎えが来たようにみえた。
大赤斑の周辺が反時計回りになっているので、SEBsの黒い物質がアーチになったのかもしれない。
SEB GRS後方のSEBZに4月24日に白斑が見られた。
それ以降白斑が何回も見られている。
7月18日(浅田)と9月7日(安達)がGRS前方のSEBZsに白斑が通り抜けたようになったイメージを見ている。
7月13日〜21日位までGRSの直後の白斑が大きくなり、SEBsを隠す(SEBsが消えたように見える)現象を浅田氏が見ている。8月9日には95°位まで見られた(安達)。これらの白斑は木星面に昇ってくる時は見えにくく、沈む時には見易くなる(浅田)。
EZ 5月後半にフェストーンがたくさん見え始め、その後活発に観測できるようになったように見える。特に変わった模様は認められない。大きなものは全周で8本位認められる(浅田、伊賀)。
NTrZ 所々に白斑が見られるが、追跡されていない。このゾーンは赤っぽくなって見られている(浅田)。
NTB 0〜90°は一条、それ以外は二条の傾向で、所々に暗班が見られる(9月には80〜300°位まで)。
8月頃からNTBsに淡化した部分が眼視観測で見られるようになった。これから淡化が進んでいくのかもしれない(安達)。

1996年度木星会議
参加者予定者(3名)
浅田秀人・伊賀祐一・安達 誠
ひょっとしたら河北氏も?
インターネットのホームページ
月惑星研究会関西支部のホームページが開設されました。以下のURLでアクセスしてください。ご覧になっての感想を伊賀氏までお知らせください。
http://alpo-j.sakura.ne.jp/
安達から
安達と浅田氏が木星面の見え方について、自分の目の感じる色の話し合いをしました。観測の情報交換をするたびに観測結果に違いがあり、なぜなのか喧喧諤諤(けんけんがくがく)と話し合いましたが、結局人によって感色性が随分違うという結論になりました。浅田氏は黄色や赤色に強く、安達は青色に強いということらしいのです。自分には色がよく分からないからといって悲観する事のないことがよく分かりました。自分はどの領域に強いのか一度調べておくことが大切でしょう。

次回の例会は12月 8日です。

次回の例会は12月 8日に実施することに話し合いました。今までより1ヶ月遅れとなります。毎年、8月に安達に公の仕事が入り、予定通りにできないこと、11月には京都大学の11月祭があって学生の出席に困難をきたすことがその理由です。誠に恐縮ですが、ご理解ください。従って、12月・3月・6月・9月に例会を実施することに変更します。
新入会員紹介
八木徹郎 昭和29年生まれ
  〒679-43 兵庫県揖保郡新宮町觜崎138-2
         tel 0791-75-4681(fax兼用)
高校生時代に木星の観測をされていたとのことで、その頃(1975年)のスケッチを送ってこられました。望遠鏡は関西光学の10cm反射経緯台です。今後とも宜しくお願いいたします。

土星に暗班出現

仙台の小石川氏からと、浅田氏から相次いで連絡をいただきました。

9月18日24:00に確認した時のスケッチを掲載します。SEBのすぐ下に1本淡いベルトができ、その一部に暗班が見られます。形状はサツマイモを横に3個並べたように見えるとか。安達は3個には見えませんでしたが、浅田氏はこの後の時間にご覧になって確かに3個の暗班が見えたとのことでした。めったに見られない位置に斑点ができたので注目しています。

ところで、昨年までの土星はEZの南側がやや広くなっていましたから、今回の暗班の緯度はひょっとすると本来のSEBの北組織の上にできた斑点かもしれません。だれか写真とかCCDの画像を使うなどして緯度を割り出していただけないでしょうか。まだ何ともいえませんが、今後とも追跡のほど宜しくお願い申し上げます。