月惑星研究会関西支部通信 No.12 (1996年12月 8日)


本年最後の支部例会です。木星会議の後の最初の例会となりました。

木星は夕方の空に低くなり、観測には向かない季節になりました。東京の方でもメールを読んでいますと、堀川氏も観測を終えられたようです。安達は仕事場に望遠鏡(C8)を持ち込んでしつこく観測しています。今回は、そのレポートも含めてお送りします。

出席者は次の通りです。

伊賀祐一、浜野節子、須田將昭、奥田耕司、浅田秀人、土山由紀子、
吉田裕市、安達 誠(8名)

富山での第21回木星会議報告(伊賀)

前号の支部通信で報告はしていますが、一応口頭による報告をしていただきました。

  • 1年間の木星の状況把握
    すでに発表されていますが、時間が大幅にかかり、最初の1日だけでは片付かず、翌日に持ち越してしまい、今後の持ち方に問題を残したことが報告されました。事前にCMTはどこかで集約し、会議当日には一覧表やドリフトチャートなどは作り上げておくようにし、当日になってからCMTをスケッチから拾い上げていくようなことにしないようにすることや、特徴的な大きな現象をしっかりつかむことに重点をおいたまとめをすべきだという反省がありました。
  • 7人の研究発表(前回の通信参照)
  • 名称は木星観測者会議ではなく、木星会議として行なう。
    今回の木星会議は「木星観測者会議」と銘打って行われましたが、観測者の会議というような狭いものにすることは好ましくなく、これからは「木星会議」という名称を使うようにしなければいけないと思います。

木星会議 '97 in 京都

来年(1997年)の木星会議は京都です。月惑星研究会関西支部が世話人となり実施することになっています。

日程8月23日(土)午後〜24日(日)午前
場所


西本願寺 興正(こうしょう)会館
京都駅から北西方向に徒歩15分。事前に連絡を頂ければ駐車場は確保できます。すでに安達が上記の日程で会場をキープしました。
費用

会場費、写真代、宿泊代、食事代、懇親会費総て込みで11000円くらいになります。ひょっとするともう1000円上げるかも...。かつかつの線なので。
内容



講演・研究発表・初心者向け講座(基礎講座)・SEB Disturbanceの基本的なパターンについての基礎講座・スケッチ講座(夜間の部)・CCD講座などを考えています。まだ決定ではありませんが、次回の例会の時には決めて、雑誌や関係者、地元の大学や同好会に働きかけをしていきます。

ちょっとあつかましいですが、100名の参加を目標に取り組んでみたいと思っています。来年はIAU(国際天文学会)が京都であり、この時に参加された海外の木星の研究者の話を聞く(できれば交流会がしたい)ということをメインに置き、会議を持ちます。木星の観測シーズンのちょうど中間のため1年のまとめには時間をあまり取らずに(2時間以内が目標)、上記のような目標に向けて開催したいと思います。

例会で話し合った木星会議の検討

  • 電話回線を確保し、会場でインターネットへのアクセスをできるようにしたい。このことについては安達が会場との交渉に当たる。
  • 記念写真は翌日渡しができるように手配する。担当者は次回の例会で決定する。
  • 共同観測など、事前に協定し、全国一斉に同じ時間に観測したものを持ちよるのもおもしろいのではないか。
  • 案内状は、3月例会後に検討したものを天文3雑誌に安達が依頼する(7・8月号)。
  • 7月例会にてプログラム作り
  • 電子メールやインターネットにて情報を流すと共に、発表や参加の受付などもメールで良いことにして、伊賀がその任に当たる。
  • 簡単なもので良いが、あらかじめ集録を発行する。

月惑星研究会本部と支部とのジョイント

木星会議の時に安達が本部の人と話し合ったが、本部と支部との合同の合宿を実施できないかという計画案を示しました。ただ、会場など何も決まっていませんが、東京と関西の中間点で行ないたいという希望を伝えました。そのうち皆さんに具体的なことを示せると思います。

12月頃に実施していきたいと思います。来年の木星会議が8月で1年の集約が不十分になりますので、1年を振り返ってちょうど良いかと考えています。木星会議に参加された方には申し訳ないのですが仕方がありません。10月はアマ天、11月はOAAの総会がありますので、時期的にはこれで仕方がないかと思います。


火星共同観測

西はりまシンポジウムにて、赤羽氏からの観測の依頼があったようです。発信人はISAS (宇宙研)のようで、火星の探査機が行くことを地球からカバーすることがねらいのようです。月惑星研究会支部からは河北氏だけが参加されました。残念ながら例会日に河北氏が欠席されましたので、詳しくは判りません。

河北さん、報告文を送って欲しいなあ。みんなでわいわい観測しましょうよ。ちょっと失礼だったかな?赤羽さんに...。

現在、火星は浅田氏が4夜観測されています。ちゃんとCCDによる写真を撮られています。例会時に回覧して頂きました。視直径6”なのに極冠は言うに及ばず、アキダリア・ルナ湖・オリンピカ・エリシウム・キンメリア・シレーンなど主立った模様の分かる写真を得ておられました。さすがさすが! ちなみに、浅田氏以外の観測はゼロでした。皆さんがんばりましょう。

伊賀補足:

過去の安達氏の火星スケッチを見せて頂きました。また、安達氏の火星の模写集も見せて頂き、火星のスケッチを取る際の注意事項をうかがいました。その中で、火星に現れる雲について、「本来の地形を理解して、後で雲が出現したことが分かる」、「慣れてくればどこかには雲が存在している」、「極冠が溶けた際に雲が通るルートはほぼ決まっている」など貴重な経験談をうかがいました。

土星観測のまとめ(浅田氏)

8月2日にSEBのすぐ北側にベルト状に見えていたものが、実は白斑が元になっていたものだということが、宮崎氏からのCCD画像と観測のまとめから判明した。木星会議の時にも発表されているが、その後判ったことを含めて浅田氏が経過の報告をした。

今回の変化については、殆どの人が暗班を見ており、白斑を見た人が殆どいないことから、このような暗班が発生したという情報が飛び回ったものといえる。フライングしたことは否めない。あまり早くあれこれ言うべきではないことが大きな教訓として残った。

EZの南側にできた白斑(SEBn)が元になり、複雑な変化を遂げたものらしい。この白斑は未だに見えている。前後にベルト状の暗い模様が見えているが、これはSEBかEBか中間的な緯度にあり、はっきりしない。EBのようにも見えるがはっきりしない。浅田氏はこのベルトはフェストーンの一部ではないかという仮説を立てられたが、これはどうやら違っているらしいということだった。ベルトの暗部と暗部の間にあったものは白斑ではなく、宮崎氏の言葉を借りると白雲とした方が良いようだ。残念ながら眼視観測では捕らえることができなかった。この白雲をめぐって色々な変化が起こったということではありますが、詳しくは天界に書かれている宮崎氏の報告を参照して頂きたい。

いずれにせよ、注意して観測して行きたいものです。


木星観測報告

12月に入り、安達が木星を4回観測しています。観測できた経度はII系で示すと次のようになります。
12月 2日 286°
    6日 152°
    7日 302°
    8日  99°
いずれもシーイング1の劣悪な条件ですが、幾つかの特徴が捕らえられていますので、以下に報告します。

SSTB

全体的に見て、暗くはっきりしている。所々に暗部が見られる。一つの暗部は経度で20〜30°位はあるでしょうか。

STB

永続白斑は相変わらず見られる。BCの前方のSTBが相変わらず濃化してきているらしく、濃く捕らえられている。GRS後方はかろうじて認められる。GRSのすぐ南側のSSTZにやや明るい暗部が見られる。LEBSは相変わらずらしいが、それぞれを識別できていない。

GRS

赤味は相変わらず強く、リム近くにあっても色が良く分かる。経度は不明。

SEB

GRSの後方のSEBZは特に白斑を認めることはできていない。周辺減光ではっきりとつかめていない。LEBSのDEすぐ北側に明るい白斑を伴った湾が見られる。

NEB

暗い部分やリフト状の模様が所々に散見される。

事務局より

次回の例会は3月2日に行ないます。

例会の案内など、電子メールが使えるところは、これからは葉書を送らずにメールで送りますので、メールを確認して頂きますようにお願いいたします。

また、今度の例会が終了次第、堅田駅の近くで懇親会を開きます。詳しくは後日連絡します。ご予定ください。河北さ〜ん。お〜い河北さん。欠席は○×△□・・・。

会費徴収

浜野・須田・土山・浅田・奥田・安達から一人当たり500円を徴収しました(伊賀談:私は400円払いました)。未納の方は切手に替えて500円分を送ってください。ここ数年間全く払っておられない方もありますが、恐縮ですが継続の意志がある場合は通知してください。3月以降の通信の発送をストップします。財政にゆとりはありません。会費としての徴収にご協力ください。

新しい会員名簿を同封しますが、NIFTYやInternetなどの電子メールに加入しておられる方で名簿にIDの載っていない方がありましたら、至急報告ください。


発行:月惑星研究会関西支部

〒520-02 大津市本堅田4-8-11
TEL(0775)73-7605