月惑星研究会関西支部通信 No.14

1997年 6月14日


 今回は木星会議直前の支部例会となりました。木星会議の内容の確認やSTr白斑のまとめ、さらに今回は新入会員の方が3名加わりにぎやかな例会となりました。また、夜には懇親会を開き、仕事で1次会に欠席された須田さんも3次会に駆けつけていただき、有意義な会となりました。また、今回の例会は浅田さんのお宅を会場に行いました。改めて浅田さんにお礼申し上げます。散らかしたままで返ってしまい申し訳なく思っています。今後、これにこりないでください。

<参加者>
浅田 奥田 土山 内藤 薄出 忍穂井 吉田 伊賀 安達 (須田)

<参加者自己紹介と近況報告>

☆浅田
 支部に入って活動を始めて4年目となった。観測は自宅の望遠鏡で行っているが車の振動の影響などで午前2時以降に観測には適した条件となる。4月までは火星の観測を行っていたため、木星観測は出遅れてしまった。去年より冷却CCDを使い始めた。スケッチと平行して使っていたが、時間がかかるため、今年はスケッチはやめてCCD1本に絞ってがんばっている。
☆奥田
 浅田さんの家に始めて来られたとの由。火星の観測を初めのころはしていたが、今は木星だけになってしまった。火星は1990年からスタートしている。木星は1991年から始めている。今年の5月より冷却CCDを始め、ようやく写せるようになった。(例会に時には画像を持ってきておられました。)今年は肉眼と平行したい。
☆土山
 仕事が忙しく観測はほとんどできていない。これからがんばりたい。木星観測は去年から始めたばかり。
☆薄出(新入会員さんです。)
 小学校3年生のときにグリコの懸賞に当たり紙筒の望遠鏡が当たったことが天文へのきっかけとか。また、このとき、望遠鏡で木星を見たのが因縁だったとか。観測というものはほとんどやっていない。スケッチはほんの少々だけやってみたことある程度。現在は自宅に25cmのニュートンを置くためのドームを自作中とのことでした。(ドームの写真を持ってきて披露されました。)
☆内藤(新入会員さんです。)
 昨年まで名古屋で学生をしておられたとのこと。HPを見て入会して来られました。日本変光星研究会に所属されています。(惑星に浮気されました。)惑星は過去に数枚程度観測をしたとのことです。名古屋にいたときにはご自分の16cm反射にCCDを取り付けて変光星の光度測定をやったことがあるとのことでした。
☆忍穂井(新入会員さんです。)
 小学校5年生のときに6cmの屈折で土星を見たのがそもそもの始まりだとか。中学校では太陽黒点の観測をしておられたとか。和歌山県出身とのことです。百武彗星をきっかけに復活されたとのことです。20cmの反射(ビクセン)を昨年の9月か10月に購入されたそうです。木星は今年から見るようになったそうです。
☆吉田
 まだ学生です。ハレー彗星のときに天文を始めました。今年で木星の観測をはじめて4年目になる。少しずつ観測をしているとのことです。(どうやら今は木星よりも写真の方に浮気されているようどす。)
☆伊賀
 (人の自己紹介をパソコンに入れながら聞いてはりましたが、自分のときには打ちながらはできひんかったみたいでした。)
 火星の観測するのに木星観測をはじめたらそれが本当になってしまい。現在は火星は全く観測していないとのことです。月惑星研究会の大阪支部というのが昔あって(安達が作ってかってにやめた悪名高き支部)、安達にいろいろスケッチにけちをつけられ、やめていたが、SL9の時から復活。(ちょっと書きすぎたかな。)げんざい28cmのシュミカセで観測をしている。(陰の支部代表です)
☆安達
 支部のまとめ役をしています。研究家ではなく、観測屋です。自宅の31cmをあやしくもあやつって観測をしています。スケッチのことだったらなんでも聞いてください。それ以外のことは答えてくれる人を紹介させていただきます。

《木星観測近況報告》

浅田
CCD29枚
奥田スケッチ3枚CCD12枚
土山スケッチ1.5枚
忍穂井スケッチ14枚
吉田スケッチ5枚
伊賀スケッチ35枚
安達スケッチ13枚
 忍穂井さんもスケッチをがんばってされています。伊賀さんはSTr白斑のこともあり、たくさんの観測をされています。反面安達はほとんど観測ができておらず、伊賀さんや浅田さんにしかられました。
 メンバーの中で観測をされている人がある様でしたら、事務局まで送ってください。
 とりわけ、STr白斑のあるときの観測は重要です。1枚でもあれば送っていただきたいと思います。皆さんの協力なくしてはできませんので、よろしくお願いいたします。

《STr白斑の観測経過報告》

 STr白斑の観測は世界中で注目されていたものだけに、たくさんの情報が飛びかっているようです。今回の例会ではたくさんの方のスケッチや画像を元にこの白斑のようすをまとめました。
 白斑が大赤斑の下を通り抜けのか、消えて無くなるのか、止まったままになるのかなどいろいろな予測が立てられました。概ね、白斑は大赤斑の北側を一時的に通り抜けたあと消滅したか、大赤斑のまわりを時計と反対回りに回転しながら吸収されたかのいずれかになったようです。データが少なく確実なことはわかりませんが、おそらくこのどちらかになったものと支部では考えました。以下にそのときの情報を並べて見ます。(いずれもUTでの日時です)

4/28白斑は大赤斑に順調に接近中。
5/10大赤斑の左にSEBsのへこみとして確認されている。
5/11伊賀さんが大赤斑の下に入り込んだと報告(まだ入っていなかったらしく伊賀さん本人からフライングとのこと)
5/12宮崎さんのCCDによると会合が開始されたように見える。大赤斑のHollowに接して見られる。
5/15パーカーさんのCCDによればへこんだ部分がHollowに入りかけている。
5/17浅田さんの観測では入り口にとどまっている。安達は、左肩にとどまっている様子を眼視観測でとらえている。
5/20宮崎さんのCCDの画像では少し北へ下りてきている。
5/22パーカーさんのCCDではわからなくなっている。大赤斑の真下に飲み込まれたか。
5/24宮崎さんの観測では白斑は真下にいるように見える。大赤斑の両端にも白斑が見られる。
5/27伊賀さんがかろうじてHollowに入っているのがわかる。
5/29輝度のないものが全体に広がってはっきりしない。
6/02ピックの観測では右上に抜けて白く写っている
6/03パーカーさんの画像でも右上に白く写っているとのこと。
6/09大赤斑の右上にいてSTBをカットして南側に白斑がよくみえる。
6/11大赤斑の左上のSTBが左下に抜けて白くなってみえる。
6/13見当たらない。唐沢さんはBAYの中にあるのではないかと疑問に考えている。安達/伊賀/浅田も同様の観測をおこなっている。


《永続白斑》

 これから先、夏ごろに永続白斑が次々に大赤斑を追い越していく様子が観測されることになります。今に始まった現象ではありませんが、過去この現象のときにSTBが濃くなったり、永続白斑の位置が変化したりすることがありました。今回は永続白斑のうちBCとDEの間が近年でもっとも近くなっており、変化が期待できます。
○白斑どうしの位置に変化が起こる。
○BCの前方のSTBが濃化し、前方に急速に伸びていく。
など、いずれかの変化が起こるのではないかと考えられます。BCが大赤斑に近づくにつれ接近のスピードが加速されますので、CMT観測を実施しながらしっかり観測してください。

《NEBnの2つのDark Spot》

 5/9の浅田氏のCCDに2つの暗斑が捕えられていた。ω2=285°にNotchがあり、その前後に2つの暗斑がぴったりと第II系に乗って停滞している。肉眼的には5/26に伊賀さんが発見している。ピクドミディの公開されている画像を見ると5月初の画像にはなく、浅田氏のCCDにも4/25には見られないことからどうやら 5月の頭位に形成されたようだ。

 また、ついでながらこの部分に見られるNotchだが全周で7こ見られており、6月上旬には第II系で15°30°100°150°190°220°285°の位置に見られている。いずれも停滞しているので、観測のときには注意して確認してください。このNotchは拡大すればきれいな明るい白斑で、継続して見られることになりそうです。また、過去には東西に伸びて、NEBが乱れたこともありますので注意してください。


《GRSの北方のNTrZとNEBnの淡化》

 5/22の浅田氏のCCD観測によれば,NTrZが明るく、活発になってきたことが見られている。NTrZには白斑が出現したり、暗柱が出現したりしている。
 4/28の観測によればGRSの真下のNTrZに白斑が出現し、大赤斑の後端真下までひろがった様子が観測された。今後NTrZのかなり広い範囲に影響が出るかもしれない。
 例会のときの6/14日の朝の観測ではこの付近のNEBnが淡化しはじめており、今までにない様子を示しはじめている。一見NTrZの白斑が広がってNEBを浸食しているかのようにも見えるが、安達が観測したところによればNEBnはこの部分でもきわめて細く今までと同じ緯度に観測できており、NTrZの白斑が浸食したものでは無いことが判明した。しかし、いずれにせよ今までに無い傾向であることには違いが無く、今後注目する必要がある。

《STZのBarge》

 今までの呼び方ではBAR(バー)と呼んでいたもののことだが、伊賀氏が見つけた。4/24にω2=175°、5/6 202°、5/11 209°、6/7 225°と、後退していることが確認された。

《全体観》

 注目すべきところは、あちこちにあるが、全体的に北半球に注目するところが多いように思われます。今後の観測には注意をお願いします。
 以上で木星の観測のレポートを終わります。

(==〇==)木星会議に向けて

 きたる8/23〜24にかけて京都で行う木星会議の案内が、天文雑誌に公開されました。

 もうご覧になった方が多いことと思いますが、改めて協力をお願いいたします。とりわけ、参加の紹介を気が付いたところでたくさん流していただきたいと思います。参加が少ないと財政的に苦しくなりますのでよろしくお願いいたします。

 インガソル先生に来ていただくことになっていますが、我々の会議のうち来ていただけるのは第1日目の懇親会終了時刻までです。そのため、先生の記念講演や交流会は1日目にすることとなり、プログラムの順番を少々いじりました。細かいところは省略しますが、基本的には次のようにします。

(1日目)
 1:00〜3:00研究発表(4題)研究発表には東京の本部の方からインガソル先生に聞いていただくのに耐えられる発表をお願いしたいと考えています。関西支部でも1つ位ださないとお話しにならないかと考えていますが、内容的にみてちょっと厳しいように思います。だれかお願いできませんか。

とりわけ河北さんあたりに悲鳴を届けたいと思います。
  ヒエーーー!!
届いたやろか。

 3:00〜4:00特別講演
 5:00〜5:30交流会
 5:30〜6:00ポスター発表
 6:20〜8:00懇親会
 8:00〜10:00分科会
(2日目)
 9:00〜10:30今年の木星
 10:30〜12:00研究発表(3題)


                  

《木星の名称について》

 木星観測をするときに気になるのが模様の名称で、今まで我々は先輩方の作って来られた「惑星ガイドブック」に掲載されている名称を使って報告を書いていたのが常だったのですが、言葉上の問題点が出てきました。それはCMTの報告をするときで、記号を使って報告を出すときにどのような名称を使うかによって、集約するかたにたいへんな労力を書けているからです。そこで、今回の支部通信には例会のときに話し合った我々共通の名称のプリントを付けて送りますので、観測をされるときにはこの名称で使用していただきますようにお願いいたします。
 この名称は「THE GIANT PLANET JUPITER」を執筆され、我々が勉強に使っている英国ロジャース先生の書物に書かれた名称を使っています。不明な点ができましたら、事務局までお知らせください。

事務局便り事務局便り事務局便り事務局便り事務局便り

☆新しい名簿
今回新しい名簿を作成しました。送りますので今までの名簿は破棄してください。例会に欠席された人の中で間違いがある人はすみやかに事務局までお知らせください。
☆会費
例会のときに新入会員の方から一部会費を徴収することができませんでした。まだの方は500円相当の80円切手を送ってください。
☆支部通信
支部通信はE-mailで送って良い人にはそれで事足りますが、そうでない人もおいでになりますので、メール以外の方には今迄とおりに送ります。今回は名簿と略図を送る関係で皆さんに送りましたが、次回からはなるべく省略いたします。
☆木星会議
会議が近づいてきましたら、当日に何時に集合するかなどを通知させていただきます。我々はスタッフですので午前中から集合になることを覚悟しておいてください。
☆最後に
観測をがんばりましょう。!

発行:月惑星研究会関西支部

〒520-02 大津市本堅田4-8-11
TEL(0775)73-7605

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