月惑星研究会関西支部通信 No.20

1999年 1月24日


参加者
池村/伊賀/奥田/内藤/林/前田/新川(初参加)/安達
    以上8名
あけまして おめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします。

 1999年最初の例会となりました。木星のシーズンもあとわずかとなりました。そのかわり明け方には火星が姿を見せるようになり,火星の観測シーズンを迎えました。また,夕方の空には金星がその美しい輝きを見せるようになりました。まだまだ観測シーズンが続きます。
 社会人の方には木星の観測は事実上,土曜日と日曜日だけの対象になりつつありますが,ここのところ合の間に大きな変化がおこりました。今回もできるだけ間が開かないように観測のほうをお願いしたいと思います。
 また,今月の例会には新しく入会された新川さんもおいでくださいました。デジカメ談義に花が咲きました。とても有意義な例会となりました。今回欠席された方も次回にはぜひともおいでください。


◎自己紹介と近況報告

安達

1995年から復活して関西支部としての活動を始め、支部長を引き受けています。現在は25名の会員で活動しています。(伊賀補足)

伊賀

電子メールでいろいろな人とつながりが多くなってきた。連絡を取って数回になると他人のような気がしなくなります。連絡を取って入会を薦めています。28cmSCを使っています。昨年までスケッチを取っていた。最近はピコナで画像を撮っている。現在,観測報告を管理している。木星専門で活動している。木星が観測できなくなった現在、シーズンオフとなった。自分の観測が無くなって解析はやりにくくなったが,これからいろいろ整理していきたい。火星はみなさんでサポートしてください。支部HPは1ヵ月に600件ヒットしている。もうすぐ5桁のアクセス数になるが半分は海外からのアクセスになっている。内容もできれば英語にしたい。惑星観測の解析と報告を世界に発信したいと考えている。

奥田

火星からの入門で,木星も観測を行いながらスケッチを続けていた。CCDも火星から始めた。もう少しで3年になる。

25cm反射で活動している。1990年10月8日に火星の初スケッチ、1991年から木星も始めた。それまでの眼視から、1997年3月に冷却CCDカメラBITRAN BT01を購入して画像を撮っている。(伊賀補足)


73年に天文を始めた。しばらく休止していたが,社会人になって復帰した。シューメーカー・レビー第9彗星の衝突がきっかけになった。C14で見ている。スケッチ中心の観測を行っている。現在,CCDかデジタルへの移行を考えている。

内藤

観望中心になっているが,観測意欲をかきたてるためにやってきました。引っ越しをしましたがベランダでの観測と,やりにくい環境です。15cmマクストフを手にいれ,今までとは違って惑星の観測もできるようになった。先日、10年前の火星のスケッチが出てきて(8cm屈折)なつかしかった。現在、変光星の観測を行っている。日本変光星研究会の会員でもある。

池村

火星が好きで,74年か75年に観測に役立てばと,シミュレーションを始めて作った。撮影はしているが,分析まではしていない。惑星が出ていたら画像を撮っている。31cmニュートンを使っている。名古屋は空が明るく,惑星しかできない。いよいよ火星のシーズン到来で意気込んでいる。

1967年3月の火星接近からの観測とのこと。(伊賀補足)


前田

昨年の7月に入会。池村さんに紹介してもらった。天文は4年くらい前から本格的に活動を始めた。ピコナでの撮像前は,銀塩でおこなっていた。31cmを使っているが,28cmは移動用の望遠鏡として使っている。20年くらい前に天文をやっていた。

新川(新会員)

天文暦は,1970年10月から始めた。父親にかってもらった望遠鏡で見た土星がきっかけだった。73年に火星を20枚くらいスケッチした。75年の火星も観測した。受験で天文を休んでいたが,大学に入り復活した。学生では車で移動していろいろ観測した。望遠鏡はポータブルを使い,星座の写真を撮って回った。流星観測をやったりした。なかなか見れない対日照の観測を行ってきた。1985年に就職したが,忙しくなり天文はできなくなった。仕事としてはフィルムのスキャナーの開発を行ってきた(ソフトの開発)。少し前,昔の星の写真をスキャンしていたが,彗星の衝突などで復活熱がおこってきた。最近になって自宅をかったこともあり,望遠鏡を据え付けた。手持ちのビデオカメラで惑星を撮ったが画像が悪くて大変だった。64枚のコンポジットを行ったこともある。そんなとき,池村さんのデジカメの画像に出会った。仕事の方もデジカメになったこともあり,自分で改良して使い始め研究している。1週間に2から3日撮影している。いままで一人で撮影をしてきたが,一人でやっていてもつまらない。いろいろさがして月惑星研究会関西支部がみつかった。関西天文同好会の林さん(当会の会員でもある)に,様子を聞いてこれならと、入会した。望遠鏡はC11を使っている。

惑星用のデジカメを作ってほしいと,池村さんに言われ,参加者から拍手を受けられました。しかし,製品の開発よりも,改造が一番とかわされました。

新川氏は富士のDS-8とミノルタのDImage EX1500の2台のデジタルカメラを改造し、惑星に挑戦している。PICONAの後継としてのメガピクセル機として注目が集まった。1975年に安達氏の30cm移動式赤道儀を見学した経緯がある。(伊賀補足)



◎木星の情報

 現在支部の面々による観測数は次のようになっています。
   林    89枚スケッチ 
   安達  157枚スケッチ
   奥田  112枚画像公開
   池村  130枚画像公開
   前田   50枚画像公開
   伊賀   76枚(スケッチ42枚を含む) 
   忍穂井  59枚画像公開
   根市    4枚画像公開
   薄出    1枚画像公開

1 木星の概況


GRSとSTBの様相

SEBの様相
 GRSは68°か67°にある。最近は余り動いてはいないようだ。GRSの直後のSTBsにDSがある(101°1/9,95°1/16)。これはいままであったもの。

 BEは(200°1/10),FA(228°1/10),にある。207°のSTZにDSがあるかもしれない。STBのD.sectionの先端(139°)の暗部は2個のDSになった(ポルトガルからの情報)。STBのGapは280°くらい。

 GRSの前方のSEBはかなり赤い。後方の100°までのPost-GRS SEB Disturbance(GRS直後のSEBの白斑群)はほとんど見えなくなった。SEBの2=130°(1月上旬)からわずかに白斑が残っているが,そのほかの部分はほとんど無くなってきた。GRSの前方のstreakが残っている。SEBsの2=30°に白斑がある。

2 BAAレポート解説


北半球の様相
第2回中間報告がBAAのRogers氏から寄せられた。
  • BEとFAが接近してきている。
  • STrZのWSがGRSに接近してきている。
  • NEBnに大きなBayができた。このBayはBARGEと衝突して変化が起こった。Bayは急速に前進している。
  • SPRは白っぽく明るいが,これはCCDが誇張したものだ。(これについてはあんまりな表現と,みんなで愚痴りました。)
  • STBのDSがSTrBに入り込んだが流れは,STBnの対流に乗っていた。
  • NEBにriftがあった。2つあって180°離れたところにあった。中はWSのchainになっていた。非常に早い変化をともなっている。
  • NTBとNNTBの間にriftがあった。非常に速く前進しており,木星面の中でもっともはやいジェットストリームかもしれない。
  • NNNTB付近のメタン白斑(2=140°)がある。

3 GRS周辺の変化


大赤斑付近の様相
GRSの湾が浅くなった。SEBの赤色をした部分は,今まで急速にGRSの直下のSEBsに流れ込み,再びSEBsの位置に持ち上がってきたところで,GRSの方とSEBsにわかれて流れていたが,今回,分かれて流れなくなっているのが見られた(1/16)。そのため,GRSの後方のSEBは,物質の供給を受けられなくなって明るく淡化したように見えた。しかし,5日後には元のようにGRSの方向にも分岐し,濃くなった。すなわち,もとの姿に戻ったようだ。この時,奥田さんの画像では湾の底がふくらんだようにも感じられた。短期間の変化だった。

4 木星会議の抄録(伊賀)の紹介

木星会議当日の発表に加えて補完されたものを紹介された。現在までのmid-SEB outbreakの活動領域を加えてグラフで示されました。抄録をほしい方は事務局まで申し込んでください。増す刷りします。

5 今後の予想

SEBnが淡化している傾向が益々強くなってくるのではないかと,考えられる。

◎火星情報

1 火星近況(池村)


火星暦図

今年の北極冠の消失ストーリー(池村氏)

池村さんの持参された資料(右図)の,火星暦図について説明を頂きました。極冠の消える様子について,グラフから読み取る方法を解説いただきました。今後Ls=145°に消失するだろうと思われる。小さくなる様子はグラフでは直線になっているが,現実には小さくなっていくのがもっと急になっている様に思われる。南極冠はこの時点では極点から20°位までの広がりで,一日中夜の状態になっている。従って詳しい様子は確認できない。見えはじめるときはDeの値が+の方に移行すればわかるが,それまでは見ることができない状態にある。今年は5月ごろに見え始めるだろう。計算上,両方の極冠が見えることになる日が2〜3日あるということになる。

今期は北極冠の消失の過程が観測できるのと,永久北極冠が見える可能性がある。今回の接近では17秒の大きさになる。次回は2001年6月に21秒になり南極冠最大の大きさが観測できる。今年は中接近となる。

シミュレーションができたときには一部から批判を受けたこともあったが,観測のときに比較しながら見ていただくと,雲の発見ができるのではないかと思われる。ようは,使い方である。

2 極冠の測定方法(安達)

火星の見かけの中心位置から角度にして何度の広がりをもっているか,肉眼でしっかり確認して記録するようにしたほうが良いだろう。また,画像を撮っている人はシーイングによって画像と肉眼では大きさに違いが感じられることもあるので,観測の度に角度を肉眼ではかって別に記録したほうが良いだろう。

◎事務局から

・99年度会費受領者
池村/伊賀(2年分)/新川/内藤/奥田/林/前田/安達
・木星会議
今年の木星会議は「かわべ」という声も上がっていますが,まだ最終確認ができておりません。このまま行くと,案内状は関西支部の方で発送するということになるのかと思いますが,動きが取れません。今後のことについては事務局あずかりとさせていただきます。
・名簿
新入会員が2名加わったこともあり,事務局から名簿の更新したものをメールで流させて頂きます。郵便の方は送らせていただきます。月惑星研究会本部のほうにも送ることにいたします。ただし,行を詰めて送りますので,各自適当にレイアウトしてください。

◎次回の例会

1999年 4月25日(日) 午後1時からの予定です。

発行:月惑星研究会関西支部

〒520-0242 大津市本堅田4-8-11
TEL(0775)73-7605

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